初めての異世界転生

藤井 サトル

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不思議なアイテム。呪いの道具もその一つ

潜在能力の高さ。奴は万越えです!

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 全然話が進まない……。

「起きろジーさん!!」

「おお、すまんすまん。どこまで話たかのう」

 寝起きのような声で言う仮面。相変わらずシュールな光景だ。

「グランドバルニアに行く為に呪ったまでは聞いた。そして、お前がそこの王と言うこともだ」

「そうじゃそうじゃ。そこまで連れてってくれんかのう。そうしたら成仏してこの還魂の仮面も呪いが消えて砕けよう。どうじゃ?」

「そんなことしなくても、簡単に呪いを消して砕けますよ?」

 仮面の提案をばっさり切り落とすフルネール。

「な!え!?……まってほしい。グランドバルニアには秘宝もあるんじゃ!欲しくはないか?」

 秘宝ねぇ。

「しかし、砂漠の地下だろ?砂漠にあまり良い思いでは……なくはないが」

 暑さだけの思い出の他、リリアとの二人だけ(フルネールは見ている)の思いでも吊られて思い出す。

「大地さん、フルネールさん、グラネスさん。私は仮面さんを助けてあげたいんですけど、ダメですか?」

 リリアは三人の顔を見ながら聞いた。

「俺はリリアさんが行くならついていきますよ」

 とグラネス。

「そうですねぇ。秘宝も気になりますし私も構いませんが……」

 三人の視線が大地へ向けられる。

「大地さん。私たちはパーティではありませんけど、一緒に行きたいです。ダ……いえ、お願いしてもいいですか?」

 んー?ダメか?出はなくお願いと来たか。……しかし、その表情には弱いからやめてほしいものだ……。

 わかります!この、断られるのが不安だけど、でも、勇気だしてお願いするリリアちゃんの表情はとっっても可愛いですよね!この表情を引き出す大地さんの手腕。お見事です!

 いや、そんなつもりねぇから!!ただなぁ。

「しかしなぁ……」

「大地さんはリリアちゃんのこと嫌いなんですか!」

 おま、何てこと言ってんだ!

 大地さんがはっきりしなからですよーだ!!

 あ、珍しく俺に怒ってるな。

 ふーん!

「そうなんです……か?」

「まてまて!そんなわけないだろ?」

 そう言いながらリリアの顔へ指を伸ばし、その泣きそうな瞳に溜まる涙をすくう。

「俺がはっきりしねぇのは単純に金がねえからだ」

「あ……」

 『あ……』じゃねえよ!フルネール!お前、準備なしで行けると思ってたのかよ……。 

「そうなると、どうしても……リリアとグラネスさんに負担をかけることになるんだよ」

「そ、それなら私がお金出しますから!」

 16歳にたかる30のおっさんと女神。なんでしっかりしなきゃいけない人種がだらしないのか。

「それは流石に……」

 さすがのフルネールもこれには断るしかなかった。
 そんな空気が重くなってきたテーブルに人影が一つ。

「話はきかせてもらった!!」

 その人影はギルド長のおっさんだった。

「いきなりどうした。おっさん」

「金に困ってるおっさんに朗報だぞ?」

 そう言いながらギルド長はお金の入った大きな袋をドンと置いた。

 え?なにこのお金。大量にあるのはわかるけど……犯罪でもさせられるの?こわ……。

「これはな……」

 ギルド長は次の言葉を大地に耳打ちするようにいった。

「アーデルハイド様からのお礼だと。意味はわかるよな?」

 アーデルハイド?……あ、王女様だっけか!……え?なんで俺宛?名乗ってないよ?

「えーっと、人違いでは?」

「残念だけどばれてるぞ。ハンター初日にクラスターモンキーを仕留めている事とか、王女た親衛隊隊長を助けていることとか」

 まじで。王族に強いことばれるとめんどいこと流れてきそうで嫌なんだけど。だけど……。

 じっと見てくるリリアの視線に汗がながれてくる。その、希望が見えた。見たいに期待してくるのもなかなかのプレッシャーだぞ。

「わかりました。いただきます」

「それはよかった。ちゃんと受け取ったこと伝えておくからな?」

 そう言いながらギルド長は戻っていくがタイミング良すぎじゃないか?それに『受け取ったこと』か。変な話にならなければいいけど。

「ダイチさん。えと……」

「心配するな。俺の不安の種が一つ減ったから一緒に行こうか」

 パァッと明るさがにじみ出てるのがわかるほどの笑顔で喜ぶリリア。

 それにしてもどこから面が割れたのか。やはりギルド長か?なにか情報とか集まりそうだし、王族との関係でもあるんだろうか?いや、金を渡されていた時点で関係あるだろうな。

 四人と仮面は町に出て必要そうな物を買う。この時に用意するものだが以下を用意した。

 食料――保存が聞く食べ物……ではなくサンドウィッチ等の手で食べられるものを女神保管庫に収納。これで腐らず出来立てをいつでも食べられます。だそうだ。

 飲料――水を大量に、好きなジュース等も。これも当然女神保管庫へ。だだし、木の水筒は一本ずつ各自が持つ。

 備品――テント、暖房、冷却、松明、ロープを基本的に購入。後は各自が必要と思う魔道具を
購入。フルネールは何故か魔力を流すと5秒後に音をならし続けるオモチャのような魔道具を買っていた。

 頂いたお金を結構使ったが、まだある!お金持ちって素晴らしい。

 あの、大地さん?お金持ちと言うわけでは……。

 そうか?これで調味料買えるし、あとフルネールもほしい服とかあったら買っても良いんだぞ?

 服?ですか?何故です?

 あれ?……前に服は欲しいとか言ってなかったか?

 えーと。あ……あの時の。

 洞窟での暴走女神の乱での話だ。女子トークでその様なことを言ったのを思い出す。

 あれはただの冗談ですから……あまり気にしなくていいんですよ?

 わりぃな。女の遠慮し勝ちに言う冗談という言葉は信用してないんでな。ま、好きそうな服があったら言ってくれ。

 ……もう大地さんは。鈍感なのか鋭いのかはっきりしてください。

 そんなこんなで午後にはすべての用意が完了した。

「しかし、今からいくのか?」

「もうお昼も過ぎちゃいましたからね。どうしましょう」

 リリアが太陽の位置を確認しつつ砂漠につくまでの時間を考える。

「大地さん。皆が乗れるものだしてくれればすぐじゃないですか?」

 また無茶ぶりを。ってリリア。そんなキラキラした目で見ないでくれ。あんなメルヘンチックな物はそうそう出す気ないんだから。

「わかった。しかしどこで出すか。ここじゃあ人目つくしな」

「あ、それでは平地とかどうですか?」

 リリアが一つ提案する。あの場所もまたリリアにとっては大切な思いで場所の一つなのだ。


 リリアの提案にしたがい平地へとたどり着いた。

 さて、何を出すか。全員が乗れて、且つ早く砂漠へいくことが出きること。……ジェット機も降り方がなぁ。気球型では遅いし、UFOかなぁ。……いや、アレで行くか。

 ちょっとしたスペースの地面があれば着陸も離陸も出来る。音は結構出てしまうが、まぁ気にすることはない。もちろん自分は運転できないのでアイAI君に任せよう。この兵器はヘリコプター。

 細長く丸みを帯びた体、魚の尻尾のように伸びる尾翼、頭には大きい十字型の羽。AI任せのため操縦席は一人はいれるくらいにして、後ろには数人程度はいれる空間。そして、申し訳程度にバルカン。

「こんなもんかな?さあ来てくれ」

 大地は後ろのドアを開いて自分が先に乗り込み入り口から手を伸ばす。その言葉にしたがいフルネールは大地の手をとってヘリコプターへ乗り込む。

 次にリリアが目の前に来た。少しだけ躊躇したが、それがっと大地の手を握ると引き上げられてヘリコプターへ入った。

 最後にグラネスにも手を伸ばそうとヘリコプターの入り口から外を覗くがいなかった。「あれ?」と思い外をよく見てみるがやっぱりいない。どう言うことか、と一度ヘリコプター内を見てみると既にグラネスは座っていた。……いつ乗り込んだんだ?

 一応その近くに仮面もいることを確認したため、全員いることはわかった。

「大地さんこれは……何でしょう?」

 ぐるりと見回すリリアが興味津々の様子で大地に聞いた。

「これはヘリコプターと言って空飛ぶ乗り物だ。危険だからそこの椅子に座ってくれ。動かないように固定もするから」

 大地の言葉にうなずき、リリア、フルネールも座る。

 こういうときにグラネスさんがいてくれて助かった。シートベルトの説明しやすいし。

「グラネスさん、ちょっとシートベルトの説明するのに協力してくれ」

「わかった」

 近くにあるベルトについて説明をする大地。グラネスさんは大体理解してくれたようで問題なかった。そしてそれをリリアとフルネールにも見てもらった……はずなんだが?

「大地さん。私にシートベルトをつけてくれませんか?」

 まぁ、フルネールはこう言うの言いそうだよな。って言うか体に触れそうになるから嫌なんだが。……事案になるだろ?

「お前……わざと出来ないって言ってないか?」

「そんなことないですよ。ほら、リリアちゃんも難しそうにしてるでしょう?グラネスさんが鋭いだけですね」

 きっぱり言いやがって。

 まぁまぁ。私の体……触れたくありません?すこしくらいならいいですよ?

 そういう誘惑ほんと止めろ。って言うかシートベルトやったら注意してても触れそうなんだよ。

 良いから良いから。

「大地さん。ささ、どうぞ」

 そう言って両手をこちらに広げてアピールしてくるフルネール。改めて言うまでもないが、彼女に触れたことがある(不可抗力等で)ため、その細い体が柔らかい事は十分わかっているのだ。

「はぁ、触れても通報するなよ?」

「しませんよ。大丈夫です!」

 大地はフルネールへ近寄りシートベルトへ手を伸ばしそれを体に巻き付けていく。

「きゃっ……ごめんなさい」

 その過程で大地がフルネールの体に触れてしまい、この急なふれあいに彼女は驚き声を出す。本当ならもっと艶かしい声を出そうと考えていたはずなのだが、そんな制御は出来ず、意図してない声で大地を驚かせたことにより謝った。

「一応出来たけど……すまない」

 その一言を言ってから振り替えると反対方向のリリアもシートベルトに四苦八苦していた。――いや、グラネスさん。また酒夢想してないで教えてやってくれよ……。

「その、リリア?大丈夫か?」

「ダイチさん。ごめんなさい。こんなことも出来ない私は乗る資格なんてないかもしれません」

 半べそか気ながら更に四苦八苦を続けるリリアを見兼ねた大地はそっとリリアの持つシートベルトを手に取った。

「先に謝っとく。体に触れたらごめん」

 その言葉に色々理解したリリアは頬を上気させながらコクンと頷く。

 そして、今度こそは触れないように大地は慎重にシートベルトを巻き付けていく。

「んっ!」

 無理でした。大地は体に触れてしまったが、リリアは両手を自分の口許で抑えつけ声を出さないように努めた。その結果、余計に犯罪めいた声になってしまった。

 だが、まだ終わっていない。その声により中断してしまっているのだ。続けるべきか止めるべきか……。

 そんな葛藤の中、リリアは口を抑えながら言う。

「お願いします……ダイチさん。最後まで……してください」

 フルネール!お前!リリアになに吹き込みやがった!!!

 落ち着いてください大地さん!私はなにも吹き込んでいませんよ!!これはたぶん、リリアちゃんの潜在能力です!!!

 やつの戦闘力は53万か……。破壊力が桁違いだろう。

「わかった、少しだけ我慢してくれ一気にやるから」

 大地さん……エロいですよ。その言い方は……。

 言葉選んでる余裕ねぇんだよ!!

 このあと、大地が秒も掛からない動きで終わらせたため進展はありませんでした。
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