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女神と同居は嬉しい?嬉しくない?
女神が人に紛れる方法
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ギルドへ着いた大地はフルネールを連れて受付にいるユーナへと近づいたのだが、そのユーナは唖然と口を開けていた。
何せ今朝、依頼に出かけた大地が美しい女性を連れて親し気にしながら戻ってきたのだから。驚きも驚きだ。てっきりリリアの事を好いていて、ほかに親しい女性を作るイメージではなかった。現にユーナとも楽しそうに話しはするが最初に出会った頃も特に変なアプローチをしてこなかったからだ。(お風呂に呼んだ時とか……)
「ユーナさん?」
「あ、はい!」
一度大地を見た後、フルネールをチラリとみてから再び大地に視線を戻す。どうしたってそこの女性について聞いてみたい衝動があるのだが、かと言って聞いた時に「あ、俺の妻ですよ」等と爆弾を投下されてしまう可能性を考えると聞くに聞けないのだ。リリアの想いがどういうものかユーナは既に理解している為、動くに動けず、気になるのに聞けないもどかしさを感じ続ける。
「えっと、トサカってこれでいい?」
バッサリと斬り落とした縦長のトサカをユーナに見せつける。
「はい。そちらで大丈夫です」
そう言ってユーナは大地からトサカを受け取り、依頼書と纏められるように袋に入れてまとめた。
「ふふふ。やっぱり私のことが気になるんですね?」
一連の流れを黙ってみていたフルネールが妖艶の笑みを浮かべながらチラチラ見てきたユーナに近づいた。
まてまて、フルネールのこのノリはすげぇ嫌な予感がする。ほら、俺をチラリと見たよ!絶対何かやらかす!止!め!ね!ば!
「私は大地さんのド――」
「フルネール!何を言おうとした!!」
直ぐに大地がフルネールの口元へと掌をあててその口をふさぐ。少しだけしゃべらせてしまったがたぶん大丈夫……だよな?
そう思いながらチラリとユーナの方へと視線をやるが、その瞳は既に驚愕しているように目を見開いていた。
「え、えっと。フルネールさんは……大地さんの。どどど、奴隷ですか?」
大地の剣幕、そして最初の一つ目の文字。そこから予想出来たのが今ユーナが口にした言葉だ。
「えっ!?」
今も掌でフルネールの唇を抑えているが、そのフルネールは涙を流しながらユーナに視線で訴えるように見つめる。そこで察した。してやられた……と。そして、これも何時ものノリなのだと。だから諦めた。
「ふぅ。バレたら仕方がねぇか。さぁフルネール?何か言いたい事はあるか?」
そう言って大地は手を放した。
解放されたフルネールはわざとらしく片手を抑えてケホケホと咳き込む……フリをする。
「……いえ、ありません。ご主人様」
その一連の流れで混乱に拍車がかかりユーナは言葉を失っていた。
「全く……馬鹿な真似をしたものだ。コレはお仕置きかな?」
そう言った大地にユーナは慌てて止めに入る。
「ま、待ってください大地さん。どうしたんですか?様子がいつもと違いますよ!」
だが、その言葉を意に介さない大地は女神を横から覗き込んだ。
「ヒッ……」
女神がビクリと体を震わせた。傍から見れば怯えているのは間違いない。
そしてそれに見かねたCランク以下の人達はガタリと椅子から立ち上がった。しかし、それは遅いのだ。もうお仕置きは執行される。
「この馬鹿!こんなところで悪ふざけとか俺のみにもなりやがれ!」
そのお仕置きは恐ろしい物だった。長く続ければ顔の形が変わってしまうかもしれない。
「いひゃい……」
お仕置きの内容は二つの手を使い、フルネールの滑らかな頬を左右から摘まんで引っ張るのだ。恐ろしい!
「まったく……」
直ぐにその手を離すとフルネールは「あはは。ごめんなさい」と素直に笑顔で誤った。
その流れにやはりついて行けないユーナとそのほかの人達は何度目かの唖然とする。
「えっと?」
そんな困惑を続けるユーナに改めてフルネールが視線を向けた。
「ごめんなさい。ユーナさん。ちょっとした悪ふざけです」
ニコリとするその笑顔はとても美しく不思議な魅力にあふれていた。それでまたユーナは困惑するのだ。
「あ、いえ。えと、大丈夫です」
「そう。よかった。これから大地さんと一緒に動くと思いますのでよろしくお願いしますね」
こうしてフルネールについて変な人である事を周知しながら言及される事を逃れ、大地からは「女神扱いされなくていいのか?」と聞かれたが、フルネール的にも普通の人として接してほしい。リリアと同じ気持ちなんですよ。と軽く流す。ただ、もう一言、大地に言われたことがあり、「いや、残念だけどもう普通の人とは思われないな」と言われてしまって若干傷ついたのか。
「普通の人になりたかった……」
と、嘆きながら言うのだが、大地からするともう遅いのだ。
「あの一幕をやったんだ。そりゃ無理だ」
後戻りできない事をしっかり伝えたせいか、フルネールはやや肩を落としながらリリアのお見舞い品を一緒に買いに行くのであった。
何せ今朝、依頼に出かけた大地が美しい女性を連れて親し気にしながら戻ってきたのだから。驚きも驚きだ。てっきりリリアの事を好いていて、ほかに親しい女性を作るイメージではなかった。現にユーナとも楽しそうに話しはするが最初に出会った頃も特に変なアプローチをしてこなかったからだ。(お風呂に呼んだ時とか……)
「ユーナさん?」
「あ、はい!」
一度大地を見た後、フルネールをチラリとみてから再び大地に視線を戻す。どうしたってそこの女性について聞いてみたい衝動があるのだが、かと言って聞いた時に「あ、俺の妻ですよ」等と爆弾を投下されてしまう可能性を考えると聞くに聞けないのだ。リリアの想いがどういうものかユーナは既に理解している為、動くに動けず、気になるのに聞けないもどかしさを感じ続ける。
「えっと、トサカってこれでいい?」
バッサリと斬り落とした縦長のトサカをユーナに見せつける。
「はい。そちらで大丈夫です」
そう言ってユーナは大地からトサカを受け取り、依頼書と纏められるように袋に入れてまとめた。
「ふふふ。やっぱり私のことが気になるんですね?」
一連の流れを黙ってみていたフルネールが妖艶の笑みを浮かべながらチラチラ見てきたユーナに近づいた。
まてまて、フルネールのこのノリはすげぇ嫌な予感がする。ほら、俺をチラリと見たよ!絶対何かやらかす!止!め!ね!ば!
「私は大地さんのド――」
「フルネール!何を言おうとした!!」
直ぐに大地がフルネールの口元へと掌をあててその口をふさぐ。少しだけしゃべらせてしまったがたぶん大丈夫……だよな?
そう思いながらチラリとユーナの方へと視線をやるが、その瞳は既に驚愕しているように目を見開いていた。
「え、えっと。フルネールさんは……大地さんの。どどど、奴隷ですか?」
大地の剣幕、そして最初の一つ目の文字。そこから予想出来たのが今ユーナが口にした言葉だ。
「えっ!?」
今も掌でフルネールの唇を抑えているが、そのフルネールは涙を流しながらユーナに視線で訴えるように見つめる。そこで察した。してやられた……と。そして、これも何時ものノリなのだと。だから諦めた。
「ふぅ。バレたら仕方がねぇか。さぁフルネール?何か言いたい事はあるか?」
そう言って大地は手を放した。
解放されたフルネールはわざとらしく片手を抑えてケホケホと咳き込む……フリをする。
「……いえ、ありません。ご主人様」
その一連の流れで混乱に拍車がかかりユーナは言葉を失っていた。
「全く……馬鹿な真似をしたものだ。コレはお仕置きかな?」
そう言った大地にユーナは慌てて止めに入る。
「ま、待ってください大地さん。どうしたんですか?様子がいつもと違いますよ!」
だが、その言葉を意に介さない大地は女神を横から覗き込んだ。
「ヒッ……」
女神がビクリと体を震わせた。傍から見れば怯えているのは間違いない。
そしてそれに見かねたCランク以下の人達はガタリと椅子から立ち上がった。しかし、それは遅いのだ。もうお仕置きは執行される。
「この馬鹿!こんなところで悪ふざけとか俺のみにもなりやがれ!」
そのお仕置きは恐ろしい物だった。長く続ければ顔の形が変わってしまうかもしれない。
「いひゃい……」
お仕置きの内容は二つの手を使い、フルネールの滑らかな頬を左右から摘まんで引っ張るのだ。恐ろしい!
「まったく……」
直ぐにその手を離すとフルネールは「あはは。ごめんなさい」と素直に笑顔で誤った。
その流れにやはりついて行けないユーナとそのほかの人達は何度目かの唖然とする。
「えっと?」
そんな困惑を続けるユーナに改めてフルネールが視線を向けた。
「ごめんなさい。ユーナさん。ちょっとした悪ふざけです」
ニコリとするその笑顔はとても美しく不思議な魅力にあふれていた。それでまたユーナは困惑するのだ。
「あ、いえ。えと、大丈夫です」
「そう。よかった。これから大地さんと一緒に動くと思いますのでよろしくお願いしますね」
こうしてフルネールについて変な人である事を周知しながら言及される事を逃れ、大地からは「女神扱いされなくていいのか?」と聞かれたが、フルネール的にも普通の人として接してほしい。リリアと同じ気持ちなんですよ。と軽く流す。ただ、もう一言、大地に言われたことがあり、「いや、残念だけどもう普通の人とは思われないな」と言われてしまって若干傷ついたのか。
「普通の人になりたかった……」
と、嘆きながら言うのだが、大地からするともう遅いのだ。
「あの一幕をやったんだ。そりゃ無理だ」
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