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女神と同居は嬉しい?嬉しくない?
夢の中が快適でも、きつい現実のオアシスを選びたい
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俺は今、広大な砂漠の真ん中に立っています!
理由はもちろんお分かりですね?
これがBランクに上がるための正式な依頼だからです。
「……まじなんだこれ?」
目の前には砂、砂。砂!
上は太陽、こんなところさ迷ってたら死ぬぞ!チート能力者は自然に弱いんだから勘弁してくれよ。しょせん人の子なんだよ!
そんな愚痴をこぼしながらギルド長の誘いに乗った数分前の自分を殴りたくなる。
ホワイトキングダムから南の森をそのまま南に抜けるとこの砂漠が広がっているらしい。らしいと言うのは自分の足で来たわけではないからだ。ギルド長にここに砂漠があることと、でかいワームを倒してこい。という大雑把な説明を受けた直後に大きい布を被せられた。
んで、気づいたらここだ。
「帰り道は自分でってか……」
チート能力の創造魔法である兵器召喚でジェット戦闘機でも呼び出せば一瞬で帰れる。だから帰りは問題と言うほどではない。ないが、いきなり放り出されてこの暑さだ。地域によるものなんだろうが汗が流れ続けてきつい。
「ここでじっとしても仕方がない。歩くか」
とっとと見つけ出してワーム倒して帰ればいい。それだけなんだ。
そう一念発起して歩き出したはいいが、なんのモンスターすら見つからない。
暑い……。
まさか、ランクあげるのにこんなところへ送られるとは思わなかった。
暑い……。
Bランクの人達はこれをクリアしてきたのか。すげえな。
暑い……。
喉が乾いた。それに砂でやや足をとられるのがきつい。歩きにくい。
暑い……。
木すら見えない。なんの影もない。太陽がまぶしい。
暑い……。
どれくらい歩いたのかわからない。後ろを見ても足跡が並ぶだけで時間の指標にはならない。
暑い……。
水のみたい。眩しい。砂しかない。
暑い……。
ワームは?水は?影は?……どこ?
暑い……。
やばい。頭がボーッとしてくる。
暑い……。
あれは海?……幻覚ってやつか。
暑い……。
あのまぼ…し……たのしそ……。
暑い……。
あ……。
一瞬にして目の前が暗くなり大地は砂の海の真ん中でバサリと砂を少しだけ巻き上げながら倒れた。
「おお勇者よ。倒れてしまうとは何事か」
白い空間、白い世界。この白さのなかに銀髪が綺麗な女性が声をかけてきた。まぁ女神ですが。
「んー?俺はいつ寝たんだ?」
この世界に来たと言うことは女神と契約する前に俺は寝てしまったから呼び出されたのだろう。そうなると今は夜か?
「寝たのではなく倒れたんですよ?」
「倒れた?」
覚えている限りの記憶を振り絞る。ギルド長に袋を被されて砂漠へ。それから歩いていたのは覚えているけれど……。
「あー、なるほど。砂漠で倒れたんだな俺は」
朦朧としてた事もあり確かな記憶ではないが、そこは推測を交えて聞くと女神はしっかり頷いた。
「はい。今の状態は熱中症+脱水症状ですわね。今起きたら頭痛、吐き気、めまい、高熱。更には倦怠感までありますわね」
淡々と言う女神はなんというか悪魔に見えてくる。感じだ。
「起きたら死にそうだな」
その大地のざれ言に女神も返す。
「起きなくても死にますわ」
まぁそうだよな。くそう!恨むぜギルド長!!
「どうすっかな。正直、助かる案が全然見つからないんだが」
「そうねえ。起きても朦朧としてるだろうし、大地さんじゃどうにも出来ないですね♪」
楽しそうに言いやがって鬼かこいつ!
「それじゃあ死ぬまでここで夢見ている方がいいのかねぇ」
「大地さんがそれでいいなら。あ、せっかくだし女神の膝枕でもして差し上げましょうか?」
は?
「今、こちらに来てくれるならして差し上げますわよ?」
そう言って女神は正座すると、指を揃えて大地に向かってちょいちょいと手で招く。
普段は裾が長いワンピースのようなもので見ることが出来ない女神の太ももが、今は彼女自信の手でわざと捲られている。下着までは見えないが、遠目からでもわかる肌の極め細やかさはそそられるものがある。
抗ってしまおうかと一度は悩むが、それでも大地は首を横に振った。
「女神の膝枕なんて体験はきっとこれから一生ないだろうけど……やめとくよ」
「えー?……うーん、やっぱり私よりリリアちゃんがいいんですねぇ」
「いやまて!俺はそんなこと一言も言ってないぞ!?」
その慌てぶりを楽しむように女神は口許をにやけさせる。
「その慌てぶりは怪しいですわ。可愛いですもんねリリアちゃん」
深くため息をして「勘弁してくれ」と嘆く大地。そこで、気になった事を思い出す。
「そういえば、聖女ってなんなんだ?」
「なに?ともうされても……そうですわね。私からしたら可愛い娘みたいなものですね。ずっと見守ってきた存在ですし」
その表情は先程のいたずらな笑みを浮かべていたのとは違い、どこか愛しそうに見る母性溢れるもので、女神のこういう美しいところがズルいと思えてしまう。
「娘って言うことは、リリアを聖女にしたのは女神なのか?」
聞いてから少しだけ間があったが、女神は首を振るう。
「いいえ、違いますよ……」
そう言った時の女神の表情は少し陰りがあったように見えた。だが、それは見間違いだったに違いない。何せ次には楽しそうに大地をからかい始めたのだから。
「やっぱり大地さんはリリアちゃんのことが気になるんですのね」
「うふふふ」と嬉しそうに笑い、大地が否定する前に続ける。
「そんな大地さん。今起きるととっても良いことがありますよ?」
「いいこと?体調がよくなったってのか?」
「そうですわねぇ。今は高熱と脱水症状と朦朧とする意識でしょうか?」
「変わってねぇじゃねぇか!!苦しいだけだろ」
「いいからいいから……きっと、嬉しいことがありますよ」
そして俺はこの表情には勝てない。女神の慈愛に満ちて、優しくて、見守られているような表情。
視界が暗くなってくる。
「ダイチさん……目覚めましたか……?」
その言葉を聞いたとたん頬に水滴が当たったのを感じる。体は熱いままなのに、意識も確りしてるとは言いにくいのにだ。
それに何より聞き覚えのある彼女の声もよくわかる。
「リ……リア。か?」
うまく声がでない。それに今の俺はどんな体制なんだ?
ぼんやりしていた視界が開けてくる。目の前直ぐに見えるのは何かの布が盛り上がっていることと、その奥にリリアの顔だ。頭は何か柔らかいものに乗せているらしい。
大地の一言で更に水滴が落ちてきた。
「なん……で、ないて、るんだ?」
「ダイチさんのせいですよぉ。本当に生きてて良かったです……お水少しでも飲んでください」
寝ている大地の唇に少しだけ水を入れたコップを近づける。膝枕をしているお陰で少しだけ頭が上になっているからこそ溢さずに器用に水を飲ませられる。
何度も水なんてものは飲んできたが、これほど美味く、体に透き通ってくるのは初めてだった。
「美味い……な」
その水のお陰で少しだけ楽になった喉が言葉を話しやすくする。
そして、「もう少し飲んでください」再びリリアからコップを唇へと近づけられた。普段の大地であれば恥ずかしさや照れ、そして本の一握りの傭兵コースにより拒んでいただろう。
だが、今はリリアが何故ここにいるのかとか、何故膝枕しているのかとか、そう言ったものを考える余地がなく、ただただ、リリアの好意に黙ってその身を預ける。
次第にまぶたが重くなってくるのを大地は感じた。涙が止まったリリアに自分のボサボサ頭をゆっくり優しく撫でられると心地よく安心してしまう。だから「今は寝ていてください」と耳元で優しく囁かれてしまえば、大地はまた暗闇の睡眠へと落ちるのだった。
理由はもちろんお分かりですね?
これがBランクに上がるための正式な依頼だからです。
「……まじなんだこれ?」
目の前には砂、砂。砂!
上は太陽、こんなところさ迷ってたら死ぬぞ!チート能力者は自然に弱いんだから勘弁してくれよ。しょせん人の子なんだよ!
そんな愚痴をこぼしながらギルド長の誘いに乗った数分前の自分を殴りたくなる。
ホワイトキングダムから南の森をそのまま南に抜けるとこの砂漠が広がっているらしい。らしいと言うのは自分の足で来たわけではないからだ。ギルド長にここに砂漠があることと、でかいワームを倒してこい。という大雑把な説明を受けた直後に大きい布を被せられた。
んで、気づいたらここだ。
「帰り道は自分でってか……」
チート能力の創造魔法である兵器召喚でジェット戦闘機でも呼び出せば一瞬で帰れる。だから帰りは問題と言うほどではない。ないが、いきなり放り出されてこの暑さだ。地域によるものなんだろうが汗が流れ続けてきつい。
「ここでじっとしても仕方がない。歩くか」
とっとと見つけ出してワーム倒して帰ればいい。それだけなんだ。
そう一念発起して歩き出したはいいが、なんのモンスターすら見つからない。
暑い……。
まさか、ランクあげるのにこんなところへ送られるとは思わなかった。
暑い……。
Bランクの人達はこれをクリアしてきたのか。すげえな。
暑い……。
喉が乾いた。それに砂でやや足をとられるのがきつい。歩きにくい。
暑い……。
木すら見えない。なんの影もない。太陽がまぶしい。
暑い……。
どれくらい歩いたのかわからない。後ろを見ても足跡が並ぶだけで時間の指標にはならない。
暑い……。
水のみたい。眩しい。砂しかない。
暑い……。
ワームは?水は?影は?……どこ?
暑い……。
やばい。頭がボーッとしてくる。
暑い……。
あれは海?……幻覚ってやつか。
暑い……。
あのまぼ…し……たのしそ……。
暑い……。
あ……。
一瞬にして目の前が暗くなり大地は砂の海の真ん中でバサリと砂を少しだけ巻き上げながら倒れた。
「おお勇者よ。倒れてしまうとは何事か」
白い空間、白い世界。この白さのなかに銀髪が綺麗な女性が声をかけてきた。まぁ女神ですが。
「んー?俺はいつ寝たんだ?」
この世界に来たと言うことは女神と契約する前に俺は寝てしまったから呼び出されたのだろう。そうなると今は夜か?
「寝たのではなく倒れたんですよ?」
「倒れた?」
覚えている限りの記憶を振り絞る。ギルド長に袋を被されて砂漠へ。それから歩いていたのは覚えているけれど……。
「あー、なるほど。砂漠で倒れたんだな俺は」
朦朧としてた事もあり確かな記憶ではないが、そこは推測を交えて聞くと女神はしっかり頷いた。
「はい。今の状態は熱中症+脱水症状ですわね。今起きたら頭痛、吐き気、めまい、高熱。更には倦怠感までありますわね」
淡々と言う女神はなんというか悪魔に見えてくる。感じだ。
「起きたら死にそうだな」
その大地のざれ言に女神も返す。
「起きなくても死にますわ」
まぁそうだよな。くそう!恨むぜギルド長!!
「どうすっかな。正直、助かる案が全然見つからないんだが」
「そうねえ。起きても朦朧としてるだろうし、大地さんじゃどうにも出来ないですね♪」
楽しそうに言いやがって鬼かこいつ!
「それじゃあ死ぬまでここで夢見ている方がいいのかねぇ」
「大地さんがそれでいいなら。あ、せっかくだし女神の膝枕でもして差し上げましょうか?」
は?
「今、こちらに来てくれるならして差し上げますわよ?」
そう言って女神は正座すると、指を揃えて大地に向かってちょいちょいと手で招く。
普段は裾が長いワンピースのようなもので見ることが出来ない女神の太ももが、今は彼女自信の手でわざと捲られている。下着までは見えないが、遠目からでもわかる肌の極め細やかさはそそられるものがある。
抗ってしまおうかと一度は悩むが、それでも大地は首を横に振った。
「女神の膝枕なんて体験はきっとこれから一生ないだろうけど……やめとくよ」
「えー?……うーん、やっぱり私よりリリアちゃんがいいんですねぇ」
「いやまて!俺はそんなこと一言も言ってないぞ!?」
その慌てぶりを楽しむように女神は口許をにやけさせる。
「その慌てぶりは怪しいですわ。可愛いですもんねリリアちゃん」
深くため息をして「勘弁してくれ」と嘆く大地。そこで、気になった事を思い出す。
「そういえば、聖女ってなんなんだ?」
「なに?ともうされても……そうですわね。私からしたら可愛い娘みたいなものですね。ずっと見守ってきた存在ですし」
その表情は先程のいたずらな笑みを浮かべていたのとは違い、どこか愛しそうに見る母性溢れるもので、女神のこういう美しいところがズルいと思えてしまう。
「娘って言うことは、リリアを聖女にしたのは女神なのか?」
聞いてから少しだけ間があったが、女神は首を振るう。
「いいえ、違いますよ……」
そう言った時の女神の表情は少し陰りがあったように見えた。だが、それは見間違いだったに違いない。何せ次には楽しそうに大地をからかい始めたのだから。
「やっぱり大地さんはリリアちゃんのことが気になるんですのね」
「うふふふ」と嬉しそうに笑い、大地が否定する前に続ける。
「そんな大地さん。今起きるととっても良いことがありますよ?」
「いいこと?体調がよくなったってのか?」
「そうですわねぇ。今は高熱と脱水症状と朦朧とする意識でしょうか?」
「変わってねぇじゃねぇか!!苦しいだけだろ」
「いいからいいから……きっと、嬉しいことがありますよ」
そして俺はこの表情には勝てない。女神の慈愛に満ちて、優しくて、見守られているような表情。
視界が暗くなってくる。
「ダイチさん……目覚めましたか……?」
その言葉を聞いたとたん頬に水滴が当たったのを感じる。体は熱いままなのに、意識も確りしてるとは言いにくいのにだ。
それに何より聞き覚えのある彼女の声もよくわかる。
「リ……リア。か?」
うまく声がでない。それに今の俺はどんな体制なんだ?
ぼんやりしていた視界が開けてくる。目の前直ぐに見えるのは何かの布が盛り上がっていることと、その奥にリリアの顔だ。頭は何か柔らかいものに乗せているらしい。
大地の一言で更に水滴が落ちてきた。
「なん……で、ないて、るんだ?」
「ダイチさんのせいですよぉ。本当に生きてて良かったです……お水少しでも飲んでください」
寝ている大地の唇に少しだけ水を入れたコップを近づける。膝枕をしているお陰で少しだけ頭が上になっているからこそ溢さずに器用に水を飲ませられる。
何度も水なんてものは飲んできたが、これほど美味く、体に透き通ってくるのは初めてだった。
「美味い……な」
その水のお陰で少しだけ楽になった喉が言葉を話しやすくする。
そして、「もう少し飲んでください」再びリリアからコップを唇へと近づけられた。普段の大地であれば恥ずかしさや照れ、そして本の一握りの傭兵コースにより拒んでいただろう。
だが、今はリリアが何故ここにいるのかとか、何故膝枕しているのかとか、そう言ったものを考える余地がなく、ただただ、リリアの好意に黙ってその身を預ける。
次第にまぶたが重くなってくるのを大地は感じた。涙が止まったリリアに自分のボサボサ頭をゆっくり優しく撫でられると心地よく安心してしまう。だから「今は寝ていてください」と耳元で優しく囁かれてしまえば、大地はまた暗闇の睡眠へと落ちるのだった。
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