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第六章 秘密の夜
秘密の夜
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ルウアが、山の門から近い広場に降り立ち、歩いて家にたどり着く頃には、日が落ちる頃になっていた。
家の近くの丘までいけば、かならず誰かに見つかり、どこへ行ったかと問われるに違いなかった。
山の門の近くの原っぱには、薬草なども生えているため、オババの使いでそれを取りに来たといえば、怪しまれることもなかった。
家に帰ると、暖炉のそばで縫い物をしていたフレアは、ルウアをみるなり目をうるませた。
ルウアは、それをみて、心配掛けたこととフレアは自分がどこに行っていたのかを知っているのだとわかった。
「ただいま」
姉への想いを表現しきれずに、ぽつりとつぶやいた。
フレアは、何もなかったかのように、今日は何も聞かなかった。ただお腹は空いてる?とだけ聞くと、スープをあたためて飲ませてくれた。
腹に物が入ると、自分が朝から何も食べていなかったことを思い出し、あとからあとからパンや果物や、空腹の腹に詰め込んだ。
身体が温まり、人心地つくと、ようやく緊張していた気持ちが落ち着いた。
フレアにだけは、今日みたことを話そうかと思った。
しかし、彼女に話そうと思ったとき、奥から母が現れた。
母は、ルウアをみるなり、
「あなた朝からどこ行ってたの?」
というと、頭をこづいた。
ルウアは、軽く舌を出すと、オババに薬草届けてくる!と言って、家を飛び出した。
薬草などもってはいないことを、フレアも母も知ってるだろうが、母のいる前で話す気にはなれず、それよりは一人になりたいと思った。
とぼとぼと歩いていくと、オババの家には明かりがついている。
またイリを蒸して手仕事をしているのだろうと思った。
何とはなしに、自然に足が家の前へと向いた。
オババになら、話してもいい。
戸口を開けると、囲炉裏の前にいるむっくりしたオババの背格好が見えた。あいさつもしないまま、黙って、囲炉裏のそばへと言った。
オババは、特に何も言わずに、黙って布を棒に巻いていた。
ルウアは、昼間みたことをどうやって話そうかと、そればかりに夢中になり、オババが淹れてくれたお茶に気づかなかった。
オババが、
「ちょっと冷えてきたから、ヨモギ茶でも飲め」
と言うと、ルウアは手元の下にある古い碗に入った茶をみつけた。
「ありがとう」
そういうと、オババは、そっとルウアをみた。
「何かあったんか?」
ドギマギするルウアをみて、にたっと笑った。
「お前が、何も言わないで家に入ってくることはあっても、茶に礼をいうなんてこたぁ、めずらしいもんな」
というと、一人でカッカと笑った。
そんなオババをみて、昼間の緊張から少しほぐされた気がした。
「オババよ、これから言うことを誰にも言わんでくれ。いや、本当は、長やみんなに伝えなきゃいけないんだと思うけど、俺にはできないんだ。
だから、オババだけの耳に入れておこうと思って」
とルウアが言うと、
「山に入ったんか?」
と聞いたので、ルウアは度肝を抜かれてしまった。
「何で、分かったんだ!」
「お前のことは、ションベン垂らしてケツに蒙古斑ができてるときから、ずっとみてる。
この間の話のあと、お前に山の話なんぞするんじゃなかったとワシは反省した。お前みたいな、まだ毛も生えそろわんような小僧っこに、山に深入りさせてしまうようなことをワシがたきつけてしまった。
もし、お前が山に行ってしまったなら、半分はワシの責任じゃと思っておったところだ」
それを聞いて、ルウアは、話しやすくなったと思った。
「じゃあ、責任の半分を持ってもらうぞ。オババ。
俺は、今朝山に行った。いや、実はさっき帰ってきたところだ」
そういうと、オババは手元から目をあげた。
「昨日の嵐のときに、丘から山をみたら、山の上に赤い雲がでていて、
それをみたら、居てもたってもいられなくなってしまった。
今朝、こっそり家を抜け出て山へ飛んできたんだ」
「何かみたのかい?」
「ああ。そこには、湖のほとりで野営してる民がいた。ラシュタールって民を知ってるか?」
オババは、うなづいた。
「彼らは、もともと農耕民族じゃった。しかし田畑を耕し馬を飼い生活していたが、土地を変えて、季節ごとに転々と生活するようになった。昔に海嘯があった頃からだ。一っところに住むのではなく、山を転々と歩きまわり山のものを売って生活しているものたちだ。彼らがどうかしたか?」
「ああ、彼らは、それまで住んでいた土地を逃げてきたと行った」
「逃げてきた?」
「一晩にして、山が無くなったんだ」
オババは、苦渋の表情を浮かべた。そして、口で聞き取れないほどの何かをつぶやいた。
「オババ、それだけじゃないんだ。俺はみたんだ!山が動くのを」
すると、オババは、皺だらけの目元を大きく見開いて、ルウアを凝視した。
「お前、その山が動いたとこにおったのか?」
「ああ、ラシュタールの長オガと話していたときのことだ。空気が急につんざくようになって、圧迫されるような息苦しいような何かが起きて、俺は森を抜けて飛び上がった。そしたら、さっきまであった森の場所が変わっていて、そこには元あった森がなくなっていた。まるで森という布を詰めてそこだけ隠したみたいに」
そういうと、オババは、くしゃくしゃな顔をして小さくうなった。
囲炉裏に薪をくべながら、じっと火をみている。
「オババ、俺はどうすればいいんだ?本当は、こういうのは大人の男衆に言わなければいけないんだろ?ラシュタールも、西の山でそれがあったと言っていた。これから東に進むと行っていた。東山にいる親父たちのところにも伝書を飛ばさないとならないんじゃないか?」
ルウアは、おびえて心臓が動悸している。自分の膝が震えているのをみて、それほど俺は怖かったのだと実感した。
オババは、長い沈黙をした後、ただ一言。
「大人には、ワシから伝えよう」
と言った。
「俺が言ってはまずいだろうな。禁を犯して山に入り込んだ罰をうけることになるだろうし」
そういうとルウアに、オババはこう伝えた。
「いや、これは山の禁の問題ではないんだよ。山が動いたところにお前さんがおったということが問題なんだ。誰でもみれるものではないのだ。たとえ、同じように山に入り込んだ小僧がおったとしても。
山が動くときというのは、山の神の意図があってのこと。それはワシにもわからんが、その場所、その時刻に動かしなさるはずだ。
その場所、その時刻にお前さんがそこにおったということは、山の男たちからすれば、山の神の意図にもっとも近い存在ということになる。
うらやましがられるだろうな」
というと、オババはニタっと笑った。
「お前さんが、山の儀もしておらんうちに、山の神様に見初められたと思わない奴もいないだろう。ワシが伝えたほうが、男衆には一番効くんじゃ」
「そういうもんか?俺は、あんな怖い思いをして山の神に見初められたなんて思わなかったぞ。第一俺がなんで見初められると、男衆がうらやましがるんだ」
「山の神は女だからの」
ルウアは、わからないことばかりだったが、オババに話すとスッキリしてい胸のつかえがなくなっているのを感じた。
「ワシからも一つ質問していいかの?」
オババは、真剣な眼になってルウアを見つめた。
家の近くの丘までいけば、かならず誰かに見つかり、どこへ行ったかと問われるに違いなかった。
山の門の近くの原っぱには、薬草なども生えているため、オババの使いでそれを取りに来たといえば、怪しまれることもなかった。
家に帰ると、暖炉のそばで縫い物をしていたフレアは、ルウアをみるなり目をうるませた。
ルウアは、それをみて、心配掛けたこととフレアは自分がどこに行っていたのかを知っているのだとわかった。
「ただいま」
姉への想いを表現しきれずに、ぽつりとつぶやいた。
フレアは、何もなかったかのように、今日は何も聞かなかった。ただお腹は空いてる?とだけ聞くと、スープをあたためて飲ませてくれた。
腹に物が入ると、自分が朝から何も食べていなかったことを思い出し、あとからあとからパンや果物や、空腹の腹に詰め込んだ。
身体が温まり、人心地つくと、ようやく緊張していた気持ちが落ち着いた。
フレアにだけは、今日みたことを話そうかと思った。
しかし、彼女に話そうと思ったとき、奥から母が現れた。
母は、ルウアをみるなり、
「あなた朝からどこ行ってたの?」
というと、頭をこづいた。
ルウアは、軽く舌を出すと、オババに薬草届けてくる!と言って、家を飛び出した。
薬草などもってはいないことを、フレアも母も知ってるだろうが、母のいる前で話す気にはなれず、それよりは一人になりたいと思った。
とぼとぼと歩いていくと、オババの家には明かりがついている。
またイリを蒸して手仕事をしているのだろうと思った。
何とはなしに、自然に足が家の前へと向いた。
オババになら、話してもいい。
戸口を開けると、囲炉裏の前にいるむっくりしたオババの背格好が見えた。あいさつもしないまま、黙って、囲炉裏のそばへと言った。
オババは、特に何も言わずに、黙って布を棒に巻いていた。
ルウアは、昼間みたことをどうやって話そうかと、そればかりに夢中になり、オババが淹れてくれたお茶に気づかなかった。
オババが、
「ちょっと冷えてきたから、ヨモギ茶でも飲め」
と言うと、ルウアは手元の下にある古い碗に入った茶をみつけた。
「ありがとう」
そういうと、オババは、そっとルウアをみた。
「何かあったんか?」
ドギマギするルウアをみて、にたっと笑った。
「お前が、何も言わないで家に入ってくることはあっても、茶に礼をいうなんてこたぁ、めずらしいもんな」
というと、一人でカッカと笑った。
そんなオババをみて、昼間の緊張から少しほぐされた気がした。
「オババよ、これから言うことを誰にも言わんでくれ。いや、本当は、長やみんなに伝えなきゃいけないんだと思うけど、俺にはできないんだ。
だから、オババだけの耳に入れておこうと思って」
とルウアが言うと、
「山に入ったんか?」
と聞いたので、ルウアは度肝を抜かれてしまった。
「何で、分かったんだ!」
「お前のことは、ションベン垂らしてケツに蒙古斑ができてるときから、ずっとみてる。
この間の話のあと、お前に山の話なんぞするんじゃなかったとワシは反省した。お前みたいな、まだ毛も生えそろわんような小僧っこに、山に深入りさせてしまうようなことをワシがたきつけてしまった。
もし、お前が山に行ってしまったなら、半分はワシの責任じゃと思っておったところだ」
それを聞いて、ルウアは、話しやすくなったと思った。
「じゃあ、責任の半分を持ってもらうぞ。オババ。
俺は、今朝山に行った。いや、実はさっき帰ってきたところだ」
そういうと、オババは手元から目をあげた。
「昨日の嵐のときに、丘から山をみたら、山の上に赤い雲がでていて、
それをみたら、居てもたってもいられなくなってしまった。
今朝、こっそり家を抜け出て山へ飛んできたんだ」
「何かみたのかい?」
「ああ。そこには、湖のほとりで野営してる民がいた。ラシュタールって民を知ってるか?」
オババは、うなづいた。
「彼らは、もともと農耕民族じゃった。しかし田畑を耕し馬を飼い生活していたが、土地を変えて、季節ごとに転々と生活するようになった。昔に海嘯があった頃からだ。一っところに住むのではなく、山を転々と歩きまわり山のものを売って生活しているものたちだ。彼らがどうかしたか?」
「ああ、彼らは、それまで住んでいた土地を逃げてきたと行った」
「逃げてきた?」
「一晩にして、山が無くなったんだ」
オババは、苦渋の表情を浮かべた。そして、口で聞き取れないほどの何かをつぶやいた。
「オババ、それだけじゃないんだ。俺はみたんだ!山が動くのを」
すると、オババは、皺だらけの目元を大きく見開いて、ルウアを凝視した。
「お前、その山が動いたとこにおったのか?」
「ああ、ラシュタールの長オガと話していたときのことだ。空気が急につんざくようになって、圧迫されるような息苦しいような何かが起きて、俺は森を抜けて飛び上がった。そしたら、さっきまであった森の場所が変わっていて、そこには元あった森がなくなっていた。まるで森という布を詰めてそこだけ隠したみたいに」
そういうと、オババは、くしゃくしゃな顔をして小さくうなった。
囲炉裏に薪をくべながら、じっと火をみている。
「オババ、俺はどうすればいいんだ?本当は、こういうのは大人の男衆に言わなければいけないんだろ?ラシュタールも、西の山でそれがあったと言っていた。これから東に進むと行っていた。東山にいる親父たちのところにも伝書を飛ばさないとならないんじゃないか?」
ルウアは、おびえて心臓が動悸している。自分の膝が震えているのをみて、それほど俺は怖かったのだと実感した。
オババは、長い沈黙をした後、ただ一言。
「大人には、ワシから伝えよう」
と言った。
「俺が言ってはまずいだろうな。禁を犯して山に入り込んだ罰をうけることになるだろうし」
そういうとルウアに、オババはこう伝えた。
「いや、これは山の禁の問題ではないんだよ。山が動いたところにお前さんがおったということが問題なんだ。誰でもみれるものではないのだ。たとえ、同じように山に入り込んだ小僧がおったとしても。
山が動くときというのは、山の神の意図があってのこと。それはワシにもわからんが、その場所、その時刻に動かしなさるはずだ。
その場所、その時刻にお前さんがそこにおったということは、山の男たちからすれば、山の神の意図にもっとも近い存在ということになる。
うらやましがられるだろうな」
というと、オババはニタっと笑った。
「お前さんが、山の儀もしておらんうちに、山の神様に見初められたと思わない奴もいないだろう。ワシが伝えたほうが、男衆には一番効くんじゃ」
「そういうもんか?俺は、あんな怖い思いをして山の神に見初められたなんて思わなかったぞ。第一俺がなんで見初められると、男衆がうらやましがるんだ」
「山の神は女だからの」
ルウアは、わからないことばかりだったが、オババに話すとスッキリしてい胸のつかえがなくなっているのを感じた。
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