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第1章:冷静に悪役令嬢アティスを分析する
19:冷静に改めまして
しおりを挟むアティスが倒れて大騒ぎだったらしい。
大方A I改め、エフィスから話を聞いていたからなにも驚かなかったけどね。
儀式が終わり私が倒れているのを知った、王子ジュノーとファイ様は、すぐに私の寝台に駆け付けてくれたらしい。ファイ様は一晩中家族と一緒に私を看ていてくれたらしいが、儀式翌日には竜人様はここを後にしなければならないしきたりがあるらしく、残念そうに帰っていったそうだ。
そんな彼女の後ろ姿を想像したら急に寂しくなった。
ファイ様…まだあなたとお話していたかった。また、会えますでしょうか…
一方、大活躍だったのが、妹アンジュと研究者ドリスペアだ。
アティスの意識回復のため、国中に数少ない秘薬を、どんな手段を使ったの知らないが、なんとか取り寄せ施してくれたというのだ。
二人ともありがとう。
そして、改めましてアティス。
あなたには今、エフィスそして、美琴の二つの魂がついているわ。
安心して、絶対にハッピーエンドを迎えて見せる。
(→そうよ、二人で一つ。私たちはアティスなんだから。)
「あれ?お母様、そういえば最近あの赤い鳥をお見かけしませんわね。」
アンジュがふとつぶやく。
「あら、そうね。紅色でそれはそれは光り輝く美しい鳥だったのに…」
「お母様、赤い鳥って?」
「アティスちゃんが眠っている一週間、夜な夜なあの小鳥がきて、囀って帰るの。その間月明かりのように優しい光があなたを包み込んで、あなたまで輝いて見えたの…それはそれは綺麗な光景だったわ…あら、いや。アティスちゃんが辛いところを綺麗だなんて不謹慎だわ。ごめんなさい、今のは忘れて。」
それ、きっと月光浴をその赤い鳥さんが代行してくれていたんだ。
そういえばエフィス、あなた月光浴しないとって言ってわよね?
何か知っていたの?
(→何度もの周回で月光浴をすると体調が優れることを知りました。経験則です。今思えば、竜人には月光がエネルギーになるのだと思います。夫のアクエスも月光浴を毎日していたので)
なるほど。
じゃあ、鳥さんは月光浴・竜人に詳しいってことだね。
私は急にドッと不安な気持ちに駆られた。
自分は竜人だけど、竜人のことが全くわからないのだ…
ぽつりぽつりと疑問が浮かんでくる。
ねえ、エフィス。
アティスってなぜ竜人なのかな?
それに私どうやったらドラゴンになれるの?
ドラゴンてきっと人間より寿命長いんだよね、
家族と生き別れになってしまうのかな…
ねえ、エフィス…
どうしよう…
(→それは私もわかりません。しかし、お父様の見た目はとても竜人の方に似ています。もしかしたらアティスは、お父様の一族の先祖返り…という可能性を疑っています…)
私の心の不安は
まだ消えそうにない。
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