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賢者。勇者剣士と合流する。
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とにかく再度の警告として国王には第二王女の振る舞いと、自ら進んでからなのか無理やりなのか加担した侍女たちのことを告げた。
王族としてはあまりに幼稚で我儘が過ぎる行動に、国王はすぐさま側近に命じて第二王女を後宮の自室へ監禁し、勇者である『白雷の翼』のメンバーがひとりでも王都にいる間は出してはならないと命じる。
それが守られるかどうかで王国の存在意義が問われるのだと力説され、側近は慌てて王女の身柄確保に動いた。
「……まったく。いや、お恥ずかしい……アレは長い間末子として可愛がられていたが、第三王女が産まれてから王妃の寵愛を失ったと思い込んでしまった……王太子はともかく、第一王女からすべて分け隔てなく教育を与えてきたつもりだったが……」
「あの……恐れながら、第三王女がお生まれになったのは……?」
「うぬ……そ、その……3年前なのだ……アレが12の年で……翌年には第二王女として皆に披露する予定であったが、その前に慶事として第三王女の誕生が大々的に行われてしまったのに嫉妬してしまって……」
王族は13歳になると成人とはいかないまでも、貴族的な社交界デビューと似た感じで『正式な王族』としてお披露目されるのだという。
そのため10歳か11歳ぐらいから様々な儀式の知識を詰め込まれ、予行演習を何度も行い、特に王女たちは煌びやかに着飾って婚約者候補と顔合わせをするらしい。
しかも第二王女は他のどの兄姉よりもキラキラしい物が大好きときて、自分が主役になれるその日を心待ちにしていたのだと、国王は溜息をつきながら当時を振り返った。
ちなみに私たちは謁見を終え、私の『大賢者』称号と勇者パーティーへの加入を祝う『ささやかな宴』に呼ばれている。
本来ならば大掛かりなパーティーになるところだろうが、国王はケヴィンの素朴な性格を理解しているのか、国王の他は宰相や重鎮たちのみ両手で足りるほどの人数しか席にいない。
しかもミウの両親はこの席に呼ばれてはいないというのだから、親子の断絶具合がわかろうというもの──と思ったら、実は父親の方から辞退の連絡があったということだ。
「このような宴、父だけならばともかく、絶対母が自分も兄妹も参加させろと無理やりついてきたでしょうからね……第二王女とどっこいどっこいの醜態を晒すわけにはいかないと、父なりに判断したのでしょう」
「ミウ嬢はまことに聡明だな。我が娘もそのように己の立場を理解できれば良いのだが……」
「どのような家柄でも、完璧なものなどありません。その時々で良い判断をなさればよろしいのでは?」
「うむ……ならば今は貴殿たちが同じこの卓についてくれていること、それが我の評価と受け取ろう」
ケヴィン、デューン、私、ラダ、そしてミウとゆっくり視線を合わせ、国王は安心したように微笑んだ。
王族としてはあまりに幼稚で我儘が過ぎる行動に、国王はすぐさま側近に命じて第二王女を後宮の自室へ監禁し、勇者である『白雷の翼』のメンバーがひとりでも王都にいる間は出してはならないと命じる。
それが守られるかどうかで王国の存在意義が問われるのだと力説され、側近は慌てて王女の身柄確保に動いた。
「……まったく。いや、お恥ずかしい……アレは長い間末子として可愛がられていたが、第三王女が産まれてから王妃の寵愛を失ったと思い込んでしまった……王太子はともかく、第一王女からすべて分け隔てなく教育を与えてきたつもりだったが……」
「あの……恐れながら、第三王女がお生まれになったのは……?」
「うぬ……そ、その……3年前なのだ……アレが12の年で……翌年には第二王女として皆に披露する予定であったが、その前に慶事として第三王女の誕生が大々的に行われてしまったのに嫉妬してしまって……」
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そのため10歳か11歳ぐらいから様々な儀式の知識を詰め込まれ、予行演習を何度も行い、特に王女たちは煌びやかに着飾って婚約者候補と顔合わせをするらしい。
しかも第二王女は他のどの兄姉よりもキラキラしい物が大好きときて、自分が主役になれるその日を心待ちにしていたのだと、国王は溜息をつきながら当時を振り返った。
ちなみに私たちは謁見を終え、私の『大賢者』称号と勇者パーティーへの加入を祝う『ささやかな宴』に呼ばれている。
本来ならば大掛かりなパーティーになるところだろうが、国王はケヴィンの素朴な性格を理解しているのか、国王の他は宰相や重鎮たちのみ両手で足りるほどの人数しか席にいない。
しかもミウの両親はこの席に呼ばれてはいないというのだから、親子の断絶具合がわかろうというもの──と思ったら、実は父親の方から辞退の連絡があったということだ。
「このような宴、父だけならばともかく、絶対母が自分も兄妹も参加させろと無理やりついてきたでしょうからね……第二王女とどっこいどっこいの醜態を晒すわけにはいかないと、父なりに判断したのでしょう」
「ミウ嬢はまことに聡明だな。我が娘もそのように己の立場を理解できれば良いのだが……」
「どのような家柄でも、完璧なものなどありません。その時々で良い判断をなさればよろしいのでは?」
「うむ……ならば今は貴殿たちが同じこの卓についてくれていること、それが我の評価と受け取ろう」
ケヴィン、デューン、私、ラダ、そしてミウとゆっくり視線を合わせ、国王は安心したように微笑んだ。
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