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ヴィヴィニーアのわがまま

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あいたい
あいたい
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王太子妃殿下となられる義姉上にも簡単に会うことは叶わないが、なぜ自分の婚約者にも簡単に会うことが叶わないのか──
幼いヴィヴィニーアには理解ができなかった。
しかし『幼い』というのは年齢上のことだけである。
王家の者ならば六歳の誕生日を迎えた王子であればもうこの国の始祖に繋がる歴史や『聖女』という役割を果たす者についてもしっかりと理解し、たとえ国王であったとしても聖女たちの頂点に君臨する『大聖女』を蔑ろにはできないのだ。
何しろかの者は神聖な儀式を執り行うだけでなく、国の守護神の声を聞き、その姿を見、その加護を受け、そしてこの国中で誰よりも強大な魔力を持つ。
その存在だけで国は富栄えるとも言われるほどで、仮に国王にカリスマ性がなかったとした場合、大聖女が存在するかどうかで人心が離れてしまうこともあり得るのだ。

なのに今日もヴィヴィニーアは叫ぶ。
「おい、あいつをつれて来い!どうしてぼくのところに来ないんだぁ!」
「殿下、それは少し難しいかと……」
白い子犬をギュッと抱き締め、窘める侍従を涙目で見上げる金髪の王子はとても可愛らしく、ともすればその魅力に負けてしまいそうになる。
しかし大聖女様は現在まだその力が安定しないため、大神殿の最奥にある『神の間』という部屋で修行を積んでいると、王城にいる者は皆知っていたため、どんな可愛らしい『お願い』であろうと、聞くわけにはいかないのだ。




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