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講義・2
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細い線がいくつも縦横に引かれ、点がいくつも置かれる。
そしてその点を通る直線が引かれ──
「これが『グラフ』です。他にも形はありますけど、体温や体重を記録するならこれで十分……」
「この『36.6』というのは何ですか?」
「あ、それを基準として、体温が上にあるか下にあるかで安全…ウゥンッ!それは何日かつけてからお教えします。最低でも三ヶ月も続ければ、自分の身体を管理するという意味が少しはわかるかと……」
「……面白いですわ。私が王宮で王太子妃教育を受けても、こういったことは教えてもらえていませんもの」
どうやら初潮もまだらしく、王都に暮らす貴族たちよりも早く施される性教育もまだらしいエリー嬢の質問をはぐらかしつつ『毎日検温すること』を説明していると、ルエナ嬢が感心した声を上げた。
王太子妃教育は外国語や歴史、礼儀やダンスレッスンなど、ほとんど国内外で王太子妃がどのように王太子の飾りとして役に立つかというものばかりで、女性の身体に関するものなどは実家である公爵家が教えているという前提らしい。
しかもそれは閨教育は終わってますねということで、女性側の都合などではなく、いかに男性優位で吐精してもらうかの心得程度だという。
「………なんじゃそりゃぁ────っ!!!」
フンスフンスと鼻息も荒く、リオンはとにかくルエナ嬢に対してけっして普通の男性とは違う扱いをするはずだからと、シーナは力説する。
「……でも、どうして?」
「え?」
「あの……でも、その……あ、あなたは……」
はっきりと信じたわけではない──リオン王太子が話してくれた『前世』と『シーナ嬢とは双子であった』という言葉。
だがルエナの希望としては、自分の婚約者がこの目の前の元庶民の少女に心を寄せているとは思いたくはない。
だからこそ信じ切れないが、信じて問い質した。
「あなたは……で、殿下の……想い人ではなく……その……い、妹、なのでしょう?」
「あ、あいつ、そこまで話したの?」
意を決して言葉を紡いだのに、あっさりと子爵令嬢が肯定するのを聞き、逆にルエナ嬢はキョトンと瞬きを繰り返した。
そしてその点を通る直線が引かれ──
「これが『グラフ』です。他にも形はありますけど、体温や体重を記録するならこれで十分……」
「この『36.6』というのは何ですか?」
「あ、それを基準として、体温が上にあるか下にあるかで安全…ウゥンッ!それは何日かつけてからお教えします。最低でも三ヶ月も続ければ、自分の身体を管理するという意味が少しはわかるかと……」
「……面白いですわ。私が王宮で王太子妃教育を受けても、こういったことは教えてもらえていませんもの」
どうやら初潮もまだらしく、王都に暮らす貴族たちよりも早く施される性教育もまだらしいエリー嬢の質問をはぐらかしつつ『毎日検温すること』を説明していると、ルエナ嬢が感心した声を上げた。
王太子妃教育は外国語や歴史、礼儀やダンスレッスンなど、ほとんど国内外で王太子妃がどのように王太子の飾りとして役に立つかというものばかりで、女性の身体に関するものなどは実家である公爵家が教えているという前提らしい。
しかもそれは閨教育は終わってますねということで、女性側の都合などではなく、いかに男性優位で吐精してもらうかの心得程度だという。
「………なんじゃそりゃぁ────っ!!!」
フンスフンスと鼻息も荒く、リオンはとにかくルエナ嬢に対してけっして普通の男性とは違う扱いをするはずだからと、シーナは力説する。
「……でも、どうして?」
「え?」
「あの……でも、その……あ、あなたは……」
はっきりと信じたわけではない──リオン王太子が話してくれた『前世』と『シーナ嬢とは双子であった』という言葉。
だがルエナの希望としては、自分の婚約者がこの目の前の元庶民の少女に心を寄せているとは思いたくはない。
だからこそ信じ切れないが、信じて問い質した。
「あなたは……で、殿下の……想い人ではなく……その……い、妹、なのでしょう?」
「あ、あいつ、そこまで話したの?」
意を決して言葉を紡いだのに、あっさりと子爵令嬢が肯定するのを聞き、逆にルエナ嬢はキョトンと瞬きを繰り返した。
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