婚約者とヒロインが悪役令嬢を推しにした結果、別の令嬢に悪役フラグが立っちゃってごめん!

行枝ローザ

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リオンの提案で合計七人は王家の豪華な馬車で移動することになった。
さすが王家の大型馬車──六人乗り、六頭立てのシンデレラもビックリな超豪華馬車にシーナが目を真ん丸にする。
「なっ……すっご……」
「なぁ!お前に見せたかったんだよ!ルエナ嬢との婚姻式ではもっと派手に飾ろうかと思っているんだけど。というか、本当はこれを贈るつもりだったんだけど」
「いや、あんたのことだから同じ六頭立てでもそれこそカボチャ馬車でも作るつもりだったんじゃ……」
「ウッ……」
シーナに指摘され、リオンは王太子らしくなくたじろぐ。
前世で知らない人はいないであろう有名な某クラシック・アニメの真っ白な馬車を再現したいと馬車職人に依頼したものの、あの曲線を表現するには強度や実走に対して問題があるということで却下され、では実写映画の金でできたレース編みのような馬車は…と言ったら、その想像力を褒められはしたもののやはり純金であろうが金メッキであろうが実用的ではないとやんわりと退けられた。
「……そりゃそうでしょうね」
おそらくは材質の問題だけではなくカーボンボディで作るなど、自動車作成に繋がる技術的な面でこの世界には知識がない。
見比べた馬車はまだ完全な形ではないらしく、過剰な宝飾も金の塗装もされてはいないが、王太子の印章がバッチリ施されている。
「いずれはルエナの印章も作るから、今日はまあ予行演習と思って乗り心地を確認してよ」
「いやこんだけ所有感強調しておいて、それはないでしょうよ」
平民たちにしてみればどこの家紋だか印章だかわからないと思うが、少なくとも王立貴族学園に通う子供のいる貴族たちであれば、絶対に見間違えようのないその印は『間違えてもちょっかい出したら、しかるべき措置が行くよ?』という無言の圧力であることは、ドン引きするぐらい明らかだった。


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