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前世での『凛音』は特に敬虔な仏教徒というわけではなく、聞きかじりにアニメやバラエティ番組で得た情報などを自分なりに理解した範囲での説明でありおおよそ完全な仏教観とは言い難いものではあったが、そもそもそんな知識や概念すら存在しない世界の住人であるルエナはポカンと聞いているしかなかった。
さらには滔々と説明しているつもりだったリオン自身も思考がこんがらがってしまい、グダグダになって強引に自分と前世では双子の妹だったシーナが共通で遊んでいた『げーむ』と読んでいた『小説』でルエナたちが出てくる物があり、その内容と酷似したこの世界で本来起こるはずだった──と思われる──『ルエナ嬢の婚約破棄及び断罪劇からの修道院収容』を阻止するべく行動していたことに繋げた。
「はぁ……?」
やはり納得はしてもらえない。
ガックリとリオンは肩を落としたが、それは想定内のこと。
アルベールも実際シーナが学園に通い出し、事前に『こういうことが起こる』というのがハッキリしているいわゆるルートイベントが発生したことを知りながら、ゆっくりと納得していったのだ。
しかしそのすべてが本来ならばルエナ自身が多少でも関わらなければならないのに、それ以前にルエナ自身が王族の一員となるには問題があるほど他人を見下す令嬢に仕上がってしまい、同じ家格である公爵家以下の令嬢とはほぼ関わろうとしなかったのだから、悪役令嬢そっちのけでイベントが起きたことがおかしいのである。
だからある意味ではルエナ嬢を断罪劇から救ったということには変わりはないが、着せられっぱなしの濡れ衣を晴らすために行動していること、そしてこれからはルエナ自身も積極的にシーナ嬢に関わって『自分は敵ではない』ということを周囲に知らしめる必要があるのだ。
「むろんその際はこう…喧嘩腰ではなく、君本来の優しさというか……」
「けんか…ごし……?」
キョトンとした表情のルエナ嬢が首を傾げる様は、大きいのにちょっとキツい目付きと相まって──高貴な猫が「私何かしましたっけ?」というとぼけた顔をするのに似ていて、リオンには尊みがスゴい。
思わず「ウッ…」と呻いて口元を隠してしまうと、ルエナ嬢は慌てて王太子の気分を害したことを謝罪した。
「いやっ!ちがっ……害するなど……む、むしろ…可愛らしい……」
「はっ?」
何を言われたのかとちょっと引き気味に目を大きくするルエナ嬢は、まるで驚いた猫のようで──シオンは自分がガチ目な猫派だと確信した。
さらには滔々と説明しているつもりだったリオン自身も思考がこんがらがってしまい、グダグダになって強引に自分と前世では双子の妹だったシーナが共通で遊んでいた『げーむ』と読んでいた『小説』でルエナたちが出てくる物があり、その内容と酷似したこの世界で本来起こるはずだった──と思われる──『ルエナ嬢の婚約破棄及び断罪劇からの修道院収容』を阻止するべく行動していたことに繋げた。
「はぁ……?」
やはり納得はしてもらえない。
ガックリとリオンは肩を落としたが、それは想定内のこと。
アルベールも実際シーナが学園に通い出し、事前に『こういうことが起こる』というのがハッキリしているいわゆるルートイベントが発生したことを知りながら、ゆっくりと納得していったのだ。
しかしそのすべてが本来ならばルエナ自身が多少でも関わらなければならないのに、それ以前にルエナ自身が王族の一員となるには問題があるほど他人を見下す令嬢に仕上がってしまい、同じ家格である公爵家以下の令嬢とはほぼ関わろうとしなかったのだから、悪役令嬢そっちのけでイベントが起きたことがおかしいのである。
だからある意味ではルエナ嬢を断罪劇から救ったということには変わりはないが、着せられっぱなしの濡れ衣を晴らすために行動していること、そしてこれからはルエナ自身も積極的にシーナ嬢に関わって『自分は敵ではない』ということを周囲に知らしめる必要があるのだ。
「むろんその際はこう…喧嘩腰ではなく、君本来の優しさというか……」
「けんか…ごし……?」
キョトンとした表情のルエナ嬢が首を傾げる様は、大きいのにちょっとキツい目付きと相まって──高貴な猫が「私何かしましたっけ?」というとぼけた顔をするのに似ていて、リオンには尊みがスゴい。
思わず「ウッ…」と呻いて口元を隠してしまうと、ルエナ嬢は慌てて王太子の気分を害したことを謝罪した。
「いやっ!ちがっ……害するなど……む、むしろ…可愛らしい……」
「はっ?」
何を言われたのかとちょっと引き気味に目を大きくするルエナ嬢は、まるで驚いた猫のようで──シオンは自分がガチ目な猫派だと確信した。
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