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固まる者。
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おかしな格好──いや服装自体は下着ではなく、女性戦士として普通にある胸当てや腰回りのスカートなのだが、その下に付けるべき防御付与つきのアンダーウェアをつけていないため、直視するのが躊躇われる状態の女性に視線が集まる。
そのほとんどは男性で、しかも助けに入ろうかどうしようかというものではなく、いやらしい目付きばかりだった。
「ちょ、ちょっと…アンリ、あんた何やってんの?」
「…ぅ…ぐ……ん……」
杖を持った長いストレートヘアの女性が棍棒を持って固まったままの女性に近付いて尋ねるが、彼女は首を動かすどころか口を開くこともできないらしい。
「ねえ!ちょっと、ふざけんじゃ……」
キッと眼差しをキツくして身体を揺すろうと手を伸ばした途端──杖持ち女性も固まった。
さすがに『アンリ』と呼ばれた女性ほど無謀でなく、落着いた姿勢で近付いたが、全面でクロスしている布は乳房を隠しているが、それは首の後ろでひと回りしてるだけなので、背中は尻部分ギリギリまで丸出しである。
いつもなら流れる黒髪でチラリズムが効く衣装なのだが、少し前かがみになっているせいだが、何故か動けなくなってしまっている今は自慢の後ろ髪を背中に戻すこともできない。
「ああああああ!!先輩方ぁぁぁ!ど、ど、ど、どうしたらいいんですかぁぁぁ~~~………」
背中に剣を斜めがけした剣士が泣きそうになりながら叫び、彫像のように固まってしまった2人に飛びついてその格好で固まる。
片足のつま先だけが地面についているだけで見ているこっちが辛くなりそうな姿勢だが、やはりそこまでくれば残っていた弓使いは自分の武器を構え、ロダーと仲間の間に割り込むように身体を入れて、男たちに下がれと言ってきた。
「お前……お前……おかしいことしただろ?さっさと解除しろよ……しないと、アタシの矢で射殺すぜ?!」
「いや、射殺したら解除されないよ?永遠にこの格好のままよ?それでもいいならやれば?」
「なっ……」
キリキリと弦が鳴るにもかかわらず、ロダーは薄っすらと笑いを浮かべながら飄々と答える。
「なーんてね」
とんっと小柄な少女の肩を軽く押して、弓使いごと固まって動かない女性たちにぶつからせ──ピタリと止まる。
「んなわけないじゃん。そんな永久的な魔法なんてあるわけないじゃん。俺ってば天才?大魔法師?まあいいや。俺がいてもいなくてもそのうち解除されるから」
「え?いいの?」
「ああ、こいつらがお前に『いるかいないかギルドで確かめてきて』ってお願いしてた『白鳥の姉妹姫』っていうパーティーね」
「ああ、そういえば」
「……忘れてたろ?絶対」
だからここのところ「ロダーさんの捜しているパーティーはまだ町に来てないみたいですよ~」という報告が3日から5日とまちまちだったのか。
「忘れていたというか……いつも届けがなかったんで。だから見つかった時でいいかなぁと」
なるほど。
確かに効率的には毎日冒険者ギルドに顔を出すというのは意味がない──わけじゃない。
が、ロダーが『冒険者ギルドに毎日顔を出して、特定のパーティーが町に来ているか確認する』という依頼を出しているわけではないのだから、バルトロメイの気が抜けたって責めることはできないのだ。
むしろこの巨乳どころか尻まで大きい蜂のようなスタイル軍団を追いかけていたのだか見つけたかったのだか、捜していたロダーが他人任せにし過ぎたというだけのことである。
そのほとんどは男性で、しかも助けに入ろうかどうしようかというものではなく、いやらしい目付きばかりだった。
「ちょ、ちょっと…アンリ、あんた何やってんの?」
「…ぅ…ぐ……ん……」
杖を持った長いストレートヘアの女性が棍棒を持って固まったままの女性に近付いて尋ねるが、彼女は首を動かすどころか口を開くこともできないらしい。
「ねえ!ちょっと、ふざけんじゃ……」
キッと眼差しをキツくして身体を揺すろうと手を伸ばした途端──杖持ち女性も固まった。
さすがに『アンリ』と呼ばれた女性ほど無謀でなく、落着いた姿勢で近付いたが、全面でクロスしている布は乳房を隠しているが、それは首の後ろでひと回りしてるだけなので、背中は尻部分ギリギリまで丸出しである。
いつもなら流れる黒髪でチラリズムが効く衣装なのだが、少し前かがみになっているせいだが、何故か動けなくなってしまっている今は自慢の後ろ髪を背中に戻すこともできない。
「ああああああ!!先輩方ぁぁぁ!ど、ど、ど、どうしたらいいんですかぁぁぁ~~~………」
背中に剣を斜めがけした剣士が泣きそうになりながら叫び、彫像のように固まってしまった2人に飛びついてその格好で固まる。
片足のつま先だけが地面についているだけで見ているこっちが辛くなりそうな姿勢だが、やはりそこまでくれば残っていた弓使いは自分の武器を構え、ロダーと仲間の間に割り込むように身体を入れて、男たちに下がれと言ってきた。
「お前……お前……おかしいことしただろ?さっさと解除しろよ……しないと、アタシの矢で射殺すぜ?!」
「いや、射殺したら解除されないよ?永遠にこの格好のままよ?それでもいいならやれば?」
「なっ……」
キリキリと弦が鳴るにもかかわらず、ロダーは薄っすらと笑いを浮かべながら飄々と答える。
「なーんてね」
とんっと小柄な少女の肩を軽く押して、弓使いごと固まって動かない女性たちにぶつからせ──ピタリと止まる。
「んなわけないじゃん。そんな永久的な魔法なんてあるわけないじゃん。俺ってば天才?大魔法師?まあいいや。俺がいてもいなくてもそのうち解除されるから」
「え?いいの?」
「ああ、こいつらがお前に『いるかいないかギルドで確かめてきて』ってお願いしてた『白鳥の姉妹姫』っていうパーティーね」
「ああ、そういえば」
「……忘れてたろ?絶対」
だからここのところ「ロダーさんの捜しているパーティーはまだ町に来てないみたいですよ~」という報告が3日から5日とまちまちだったのか。
「忘れていたというか……いつも届けがなかったんで。だから見つかった時でいいかなぁと」
なるほど。
確かに効率的には毎日冒険者ギルドに顔を出すというのは意味がない──わけじゃない。
が、ロダーが『冒険者ギルドに毎日顔を出して、特定のパーティーが町に来ているか確認する』という依頼を出しているわけではないのだから、バルトロメイの気が抜けたって責めることはできないのだ。
むしろこの巨乳どころか尻まで大きい蜂のようなスタイル軍団を追いかけていたのだか見つけたかったのだか、捜していたロダーが他人任せにし過ぎたというだけのことである。
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