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変化する者。
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変化は素早く起きた。
とにもかくにも教会長と修道女長がやったこと、やろうとしていたことを聴取することが決まり、幼いレーアを引き取った経緯と、ドウシュの持っていた宝石のついた小刀を奪おうとしたこと、レーアを捨てていった祖父母たちから彼女や両親にまつわるもの一切の権利を放棄するという念書まで書かせて保管していたことも明らかになった。
それはもちろんガンス家の家宝を売り払う算段があったのだが、さらに美しく成長していくレーアを貴族に売りつければもっと金が手に入るという皮算用も弾いており、実際にその売買契約を成立させるための手紙もあった。
その貴族との交渉に関しては、レーア自身が聞きたくもないのに知ってしまった教会長と修道女長の関係と共に白日の下に晒され、「やっぱり聞いてやがった!」という自白とも言える教会長の叫びで事実と認められたのである。
貴族絡みの『修道女の人身売買』という大事件に発展したため、バルトロメイは来た道を戻ることはできずに足止めされ、結局ドウシュとその妻の再埋葬を見守ってからの出発を約束させられた。
見返りとしてはドウシュの身体に入り込んだ魔物を退治し、どうやら呪いそのものを霧散させたことに対する報酬と、特別に冒険者ギルドから本部関係者が派遣されてバルトロメイの冒険者カードの更新に関する処理をこの村でやってくれるという約束が為される。
それはバルトロメイにとって別に不利でもなんでもなく、むしろレーアから生前のドウシュがどんな父親だったかを教えてもらえるいい時間だった。
確かにマロシュ老以外の家族とはうまくいっていなかったようだが、冒険者としての生活はそう悪いものではなかったようで、妻に出会うまでの冒険譚を幼い頃に聞かせてくれたらしい。
だが、同時に妻の故郷にまつわる伝承を軽視したことによる手痛いしっぺ返しについては呪いが発症する前からずっと後悔していたらしく、そのことについては言葉少なとなったが、母に対してずっと懺悔の言葉を繰り返していたことを、父の埋葬が終わってから教えてもらったとレーアは話した。
「それと……何故か父は『自分が死んだら、あの廃墟に死体を打ち捨ててほしい』と母に言っていたと。母はそれを『自分はよそ者だから、妻の一族の墓所に葬られる権利はない』という意味だと思っていたらしいのだけれど……」
「ひょっとして……自分が廃墟の呪いを持っているから、そこに自分の身体を置いたらいいと思っていた……のかな?」
「かもしれない。そうすれば、呪いはあの場所に戻って……またこの村が大きく発展することになるかもって、思ってたのかもしれないわ……」
あの日から十日ほどもこの村にいて、バルトロメイとレーアは最初の堅苦しさを取り払えるほど親しくなった。
似た年頃のラジムがいればバルトロメイとレーアの淡い距離感に水を差したり、揶揄ったりしたかもしれないが、師匠たちと共にすでにドファーニ商隊護衛として最終目的地に向かって旅立っており弟分の成長を見ることは叶わない。
そうとも知らず、バルトロメイはのんきにラジムもここにいればレーアと友達になったのかもと考えていたが、それは同時にレーアが自分のことをどう思っているのかということにも気がついていないということだった。
とにもかくにも教会長と修道女長がやったこと、やろうとしていたことを聴取することが決まり、幼いレーアを引き取った経緯と、ドウシュの持っていた宝石のついた小刀を奪おうとしたこと、レーアを捨てていった祖父母たちから彼女や両親にまつわるもの一切の権利を放棄するという念書まで書かせて保管していたことも明らかになった。
それはもちろんガンス家の家宝を売り払う算段があったのだが、さらに美しく成長していくレーアを貴族に売りつければもっと金が手に入るという皮算用も弾いており、実際にその売買契約を成立させるための手紙もあった。
その貴族との交渉に関しては、レーア自身が聞きたくもないのに知ってしまった教会長と修道女長の関係と共に白日の下に晒され、「やっぱり聞いてやがった!」という自白とも言える教会長の叫びで事実と認められたのである。
貴族絡みの『修道女の人身売買』という大事件に発展したため、バルトロメイは来た道を戻ることはできずに足止めされ、結局ドウシュとその妻の再埋葬を見守ってからの出発を約束させられた。
見返りとしてはドウシュの身体に入り込んだ魔物を退治し、どうやら呪いそのものを霧散させたことに対する報酬と、特別に冒険者ギルドから本部関係者が派遣されてバルトロメイの冒険者カードの更新に関する処理をこの村でやってくれるという約束が為される。
それはバルトロメイにとって別に不利でもなんでもなく、むしろレーアから生前のドウシュがどんな父親だったかを教えてもらえるいい時間だった。
確かにマロシュ老以外の家族とはうまくいっていなかったようだが、冒険者としての生活はそう悪いものではなかったようで、妻に出会うまでの冒険譚を幼い頃に聞かせてくれたらしい。
だが、同時に妻の故郷にまつわる伝承を軽視したことによる手痛いしっぺ返しについては呪いが発症する前からずっと後悔していたらしく、そのことについては言葉少なとなったが、母に対してずっと懺悔の言葉を繰り返していたことを、父の埋葬が終わってから教えてもらったとレーアは話した。
「それと……何故か父は『自分が死んだら、あの廃墟に死体を打ち捨ててほしい』と母に言っていたと。母はそれを『自分はよそ者だから、妻の一族の墓所に葬られる権利はない』という意味だと思っていたらしいのだけれど……」
「ひょっとして……自分が廃墟の呪いを持っているから、そこに自分の身体を置いたらいいと思っていた……のかな?」
「かもしれない。そうすれば、呪いはあの場所に戻って……またこの村が大きく発展することになるかもって、思ってたのかもしれないわ……」
あの日から十日ほどもこの村にいて、バルトロメイとレーアは最初の堅苦しさを取り払えるほど親しくなった。
似た年頃のラジムがいればバルトロメイとレーアの淡い距離感に水を差したり、揶揄ったりしたかもしれないが、師匠たちと共にすでにドファーニ商隊護衛として最終目的地に向かって旅立っており弟分の成長を見ることは叶わない。
そうとも知らず、バルトロメイはのんきにラジムもここにいればレーアと友達になったのかもと考えていたが、それは同時にレーアが自分のことをどう思っているのかということにも気がついていないということだった。
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