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守られる者。
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ふっと圧力が抜けたと思った瞬間、まるで見えない手のひらで上から押さえつけられるように空気が重くなる。
表現しようのない『何か』の叫び声が森の方から聞こえた。
「────まさかっ?!」
逡巡し、沈黙の後に出た叫びは誰のものだったのか。
「クソッ……ここには訓練用の武器しか持ってきていない!無いよりはマシだが、この家にも何か武器はないかっ?!」
「古い農工具なら、まだ納屋の方に置いてある!防具魔術の使える者!てめえらの持ってきた獲物と農工具と、ありったけ全部強化の魔術を施せ!結界魔法を使える者!あっちの建物に残ってる奴はいないな?!」
「おりません!!」
「なら、とりあえずはこの敷地内だけに結界を張れるだけ重ねて張れ!張り終わったら余力のある者から順番に途切れさせないよう継続し続けろ!」
「僧兵候補たち!今こそ神殿本館の間抜け者どもに泡吹かせる時と知れ!武具に攻撃魔法を纏わせられる者は残留魔力に注意し、的確に仕留めよ!対または4人で隊を組み、けっして単独では行動するな!散れっ!!」
「はっ!!」
ザッと一糸乱れぬ統率を見せる僧兵の数は20名足らず。
聖ガイ・トゥーオン神殿にある僧兵隊の本隊はその10倍の200名。
引退した者やトゥーオンの名を冠にした小神殿にいる者たちを合わせればさらに3倍4倍と人数は増えるだろうが、これだけの統率された動きはできないだろう。
「お、お師匠……さま……」
「大丈夫ですよ。あなたに下心を抱かなかったあのエクルー神官は、現在いる聖ガイ・トゥーオン神殿の僧兵隊だけでなく、歴代の総隊長の誰よりも強い。そしてマクロメイもまた……私がおそらくあなたの周りにいる『師匠』としては一番弱い。しかしだからこそ、私の側を離れてはいけませんよ?」
「はい」
少年は素直に師匠の言葉に頷く。
バルトバーシュの言葉は嘘ではない。
彼の魔力は神殿ではどのような属性があるの、父親の家系由来のものは極表面的なものとしかわからず、潜在的な魔力の大きさこそ判明したものの、それが一体どうやって発現するのかはまだわかっていなかった。
しかし多岐にわたる『修行』の中でも特に未解明の神語や古代語などの翻訳に際してバルトバーシュの魔力が反応したため、おそらくはそれらを研究すれば自ずと解明されるであろうという仮説の元、日々その仕事に従事してきたのである。
そして確かにバルトバーシュが意味を翻訳した神語は今まで人間の言葉で唱えていた祈祷のどれよりも効果が発揮され、辺境の地にありながら聖地のひとつとされるほどに、聖ガイ・トゥーオン神殿の名を上げることに貢献した。
だが彼の肉体的な部分では僧兵よりもはるかに劣り、腕力でもって誰かを助けるよりは助けられる方に徹した方が迷惑をかけないし、結界は張れるがせいぜいこの家の守りを固めるぐらいがせいぜいである。
マクロメイについて森の中で狩りを──正確には彼が仕掛けた罠から獲物を取って来るだけなのだが──してくるとはいえ、バルトロメイ自身どれくらい武力を揮えるかは定かではない。
だからこそ、神官たちの動きを阻害することはできないのだ。
表現しようのない『何か』の叫び声が森の方から聞こえた。
「────まさかっ?!」
逡巡し、沈黙の後に出た叫びは誰のものだったのか。
「クソッ……ここには訓練用の武器しか持ってきていない!無いよりはマシだが、この家にも何か武器はないかっ?!」
「古い農工具なら、まだ納屋の方に置いてある!防具魔術の使える者!てめえらの持ってきた獲物と農工具と、ありったけ全部強化の魔術を施せ!結界魔法を使える者!あっちの建物に残ってる奴はいないな?!」
「おりません!!」
「なら、とりあえずはこの敷地内だけに結界を張れるだけ重ねて張れ!張り終わったら余力のある者から順番に途切れさせないよう継続し続けろ!」
「僧兵候補たち!今こそ神殿本館の間抜け者どもに泡吹かせる時と知れ!武具に攻撃魔法を纏わせられる者は残留魔力に注意し、的確に仕留めよ!対または4人で隊を組み、けっして単独では行動するな!散れっ!!」
「はっ!!」
ザッと一糸乱れぬ統率を見せる僧兵の数は20名足らず。
聖ガイ・トゥーオン神殿にある僧兵隊の本隊はその10倍の200名。
引退した者やトゥーオンの名を冠にした小神殿にいる者たちを合わせればさらに3倍4倍と人数は増えるだろうが、これだけの統率された動きはできないだろう。
「お、お師匠……さま……」
「大丈夫ですよ。あなたに下心を抱かなかったあのエクルー神官は、現在いる聖ガイ・トゥーオン神殿の僧兵隊だけでなく、歴代の総隊長の誰よりも強い。そしてマクロメイもまた……私がおそらくあなたの周りにいる『師匠』としては一番弱い。しかしだからこそ、私の側を離れてはいけませんよ?」
「はい」
少年は素直に師匠の言葉に頷く。
バルトバーシュの言葉は嘘ではない。
彼の魔力は神殿ではどのような属性があるの、父親の家系由来のものは極表面的なものとしかわからず、潜在的な魔力の大きさこそ判明したものの、それが一体どうやって発現するのかはまだわかっていなかった。
しかし多岐にわたる『修行』の中でも特に未解明の神語や古代語などの翻訳に際してバルトバーシュの魔力が反応したため、おそらくはそれらを研究すれば自ずと解明されるであろうという仮説の元、日々その仕事に従事してきたのである。
そして確かにバルトバーシュが意味を翻訳した神語は今まで人間の言葉で唱えていた祈祷のどれよりも効果が発揮され、辺境の地にありながら聖地のひとつとされるほどに、聖ガイ・トゥーオン神殿の名を上げることに貢献した。
だが彼の肉体的な部分では僧兵よりもはるかに劣り、腕力でもって誰かを助けるよりは助けられる方に徹した方が迷惑をかけないし、結界は張れるがせいぜいこの家の守りを固めるぐらいがせいぜいである。
マクロメイについて森の中で狩りを──正確には彼が仕掛けた罠から獲物を取って来るだけなのだが──してくるとはいえ、バルトロメイ自身どれくらい武力を揮えるかは定かではない。
だからこそ、神官たちの動きを阻害することはできないのだ。
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