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第二章 アーウェン少年期 領地編
少年兵は挑まれる ①
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いつもと同じ時間に叩き起こされ、ロエンはエブランと共に家どころかこの近辺を、ぐるっと一区画分を三周もさせられた。
一辺30軒分の家々の前を走りながらロエンは自分の子分や、敵対する別の子供集団の家を教えたり、逆にエブランにどういう隙間によからぬ輩が潜みやすいということを教えてもらったりする。
確かに走り抜けながらチラッと見た影からは鼾が聞こえたり、スッと縮こまる気配がしたりした。
治安隊と呼ばれる見回りの兵とすれ違った時には、エブランが指を曲げたり広げたりして「あっち」と視線を投げて注意を促したりしていた。
「こういうのを教えるのも、非番で城から出ている俺たちの役目だったりするからな」
「……知らないよ、そんなの」
まるで城にいる領兵たちがこの町の治安を守っているような言い方に思わずムカッとして、ロエンはつい投げやりな言い方で返事をしてしまった。
それは子供らしい傲慢な考えで、実のところこういった大人が治安を維持しているのはわかっている。
わかってはいるが──『この町は俺たちの物』という縄張り意識を消すことはできない。
エブランにはもちろんそんな単純な考えはお見通しで、走ったままブスッと頬を膨らませている少年の鼻を摘まんでからスピードをやや上げた。
「んぶっ!ちっ、チクショッ!な、何するっ?!」
「はっはっはーっ!オラオラ、ちゃんとついてこなかったら、もう一周追加すんぞっ!」
「うぇっ?!そんなっ!オーボーだろっ!」
ゲラゲラと笑う男と、ムキになって怒鳴りながら後を追いかける少年──冷ややかな目でそれを見下ろしている同じ年頃の少年がいたことにも気付かずに。
駆け足三周分。
腕立て伏せ五十回。
使い古しのマットレスを地面に引いての腹筋五十回。
裏返って背筋五十回。
荷袋に木屑を詰めた重りを肩に担いでのスクワットを五十回。
いつの間に作ったのかエブランが木刀を渡してきたので、それで素振りを五十回。
いくら子供たちの大将だったとはいえ、キチンと訓練していたわけでもないロエンにはまだこれくらいが精一杯だ。
ロエンに合わせて駆け足は同じく三周だとはいえ、エブランは三倍の運動量をこなしてもまだ涼しい顔をしている。
悔しくてもう一度と木剣を振り上げるが、ヘロヘロと打ち込み、エブランに簡単に避けられガツンと軽く下から受けた衝撃で木剣を手放してしまった。
「ほいっ、軽い」
「クッソォォォッ!」
威勢はいいが声だけ大きいロエンは、ペシッと尻を木刀で叩かれてベシャッと地面に崩れ折れた。
一辺30軒分の家々の前を走りながらロエンは自分の子分や、敵対する別の子供集団の家を教えたり、逆にエブランにどういう隙間によからぬ輩が潜みやすいということを教えてもらったりする。
確かに走り抜けながらチラッと見た影からは鼾が聞こえたり、スッと縮こまる気配がしたりした。
治安隊と呼ばれる見回りの兵とすれ違った時には、エブランが指を曲げたり広げたりして「あっち」と視線を投げて注意を促したりしていた。
「こういうのを教えるのも、非番で城から出ている俺たちの役目だったりするからな」
「……知らないよ、そんなの」
まるで城にいる領兵たちがこの町の治安を守っているような言い方に思わずムカッとして、ロエンはつい投げやりな言い方で返事をしてしまった。
それは子供らしい傲慢な考えで、実のところこういった大人が治安を維持しているのはわかっている。
わかってはいるが──『この町は俺たちの物』という縄張り意識を消すことはできない。
エブランにはもちろんそんな単純な考えはお見通しで、走ったままブスッと頬を膨らませている少年の鼻を摘まんでからスピードをやや上げた。
「んぶっ!ちっ、チクショッ!な、何するっ?!」
「はっはっはーっ!オラオラ、ちゃんとついてこなかったら、もう一周追加すんぞっ!」
「うぇっ?!そんなっ!オーボーだろっ!」
ゲラゲラと笑う男と、ムキになって怒鳴りながら後を追いかける少年──冷ややかな目でそれを見下ろしている同じ年頃の少年がいたことにも気付かずに。
駆け足三周分。
腕立て伏せ五十回。
使い古しのマットレスを地面に引いての腹筋五十回。
裏返って背筋五十回。
荷袋に木屑を詰めた重りを肩に担いでのスクワットを五十回。
いつの間に作ったのかエブランが木刀を渡してきたので、それで素振りを五十回。
いくら子供たちの大将だったとはいえ、キチンと訓練していたわけでもないロエンにはまだこれくらいが精一杯だ。
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「クッソォォォッ!」
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