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第一章 アーウェン幼少期
少年は知能を認めてもらう ①
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カードを使ってまずは絵合わせを──そう思っていたが、アーウェンが筆記具に対して関心が高いらしいとみて、クレファーは方針を変えることにした。
ようやくアーウェンに自分のペンの持ち方を真似されていることに気が付いたカラは焦ってしまい、それまで順調に解けていた問題を解き間違えてしまうハプニングはあったものの、何とかそのテストは終わった。
その後に子供ふたりを並んで座らせると、使うはずだったカードを一枚出してアーウェンとエレノアの間に置く。
「ではこのカードには何が書かれていますか?」
「あめ!」
「あ…め……?」
エレノアは紙に包まれその両端を捻じられている丸い物体の絵が何かを正確に言い当てたが、アーウェンはそれが何なのかわからず、首を傾げながらエレノアの言ったことを繰り返す。
「エレノア様?」
「あい!」
「どうしてこれが『飴』とわかりましたか?」
「こえ!!」
元気よく指差したのは、そのカードに描かれている文字ではなく飴の絵そのものだった。
「では、この飴はいくつですか?」
「ひとちゅ!」
「……いち」
どちらも間違いではない。
間違いではないが、単位や数え方がわかっていないだけだ。
「はい、おふたりとも、よくできました。ではまず正しく覚えましょう。この絵は「飴』です」
「あい!」
「はい」
「そしてここに書かれているのが、『飴』という言葉の形です」
「あい…」
「……形……」
綺麗な絵ではなく、伸びたり曲がったりくるりと小さな円を描いているその線に魅力は見いだせないらしいエレノアの口調がやや大人しくなる。
代わりにアーウェンはやや興味を惹かれたらしく、じっとその線を見ていた。
「そしてこの上にあるのが数字……だけですが、エレノア様が言った『ひとつ』や『一個』ということもできます」
「あい」
「ひとつ…と、いっこ…」
「はい。どちらの言い方でも『一』という数字を現わす言い方です。それは物によって変わってきますが、今日はおふたりに、このカードに書かれているこの『文字』と『数字』の形を真似していただきます」
「まねぇ?」
「まね……」
「真似をするとは『見たものを同じく書く』ということです。見ててください」
ふたりの上から屈みこむように、クレファーは一枚の紙にまず『あめ』と書き、続いて横並びに離れたところに『1』と書いた。
「こんなふうに書いてください。綺麗に書けたら、飴がもらえます。できますか?」
「あめ!くだちゃい!」
「ハハハ……ええ、あげますよ?では綺麗にこの形を真似してくださいね?」
「あい!」
エレノアがまた元気を取り戻して、さっそくクレヨンを取り出そうとしたが、クレファーはそれを留めて子供用の鉛筆を握らせた。
「これをこう持って……そうです、お上手です。アーウェン様は……ああ!もうカラが持っていたのを見て覚えたのですね?いいですよ。まずは何度か書いてみてください」
最初はぐにゃりぐにゃりと曲がったり震えて、しかもかなり大きく書いてしまったので、たちまち紙はまだ文字には見えない線で埋まった。
そうしたら今度はその紙を裏返すようにとクレファーは自分が書いた紙を動かし、またお手本を書いてみせる。
「では、私がペンを動かす順番を見てくださいね?こう…こう……」
エレノアもアーウェンもそれぞれ身を乗り出し、ジッとクレファーの手元を見た後からまた真剣に書き始めた。
二枚目の紙を裏返すころにはちゃんと文字に見えるようになり、クレファーは思ったよりも呑み込みが早いことに驚きながら、飴をひとつずつふたりの手に乗せてやる。
しかしアーウェンは紙に包まれた飴を見たことがないらしく、受け取ったまままたキョトンとしていたが、エレノアがキュッと両端を引っ張ってくるりと紙を剥き、中から現れた緑色のブドウに似た物を口に入れるのを見て、いそいそと真似をした。
ようやくアーウェンに自分のペンの持ち方を真似されていることに気が付いたカラは焦ってしまい、それまで順調に解けていた問題を解き間違えてしまうハプニングはあったものの、何とかそのテストは終わった。
その後に子供ふたりを並んで座らせると、使うはずだったカードを一枚出してアーウェンとエレノアの間に置く。
「ではこのカードには何が書かれていますか?」
「あめ!」
「あ…め……?」
エレノアは紙に包まれその両端を捻じられている丸い物体の絵が何かを正確に言い当てたが、アーウェンはそれが何なのかわからず、首を傾げながらエレノアの言ったことを繰り返す。
「エレノア様?」
「あい!」
「どうしてこれが『飴』とわかりましたか?」
「こえ!!」
元気よく指差したのは、そのカードに描かれている文字ではなく飴の絵そのものだった。
「では、この飴はいくつですか?」
「ひとちゅ!」
「……いち」
どちらも間違いではない。
間違いではないが、単位や数え方がわかっていないだけだ。
「はい、おふたりとも、よくできました。ではまず正しく覚えましょう。この絵は「飴』です」
「あい!」
「はい」
「そしてここに書かれているのが、『飴』という言葉の形です」
「あい…」
「……形……」
綺麗な絵ではなく、伸びたり曲がったりくるりと小さな円を描いているその線に魅力は見いだせないらしいエレノアの口調がやや大人しくなる。
代わりにアーウェンはやや興味を惹かれたらしく、じっとその線を見ていた。
「そしてこの上にあるのが数字……だけですが、エレノア様が言った『ひとつ』や『一個』ということもできます」
「あい」
「ひとつ…と、いっこ…」
「はい。どちらの言い方でも『一』という数字を現わす言い方です。それは物によって変わってきますが、今日はおふたりに、このカードに書かれているこの『文字』と『数字』の形を真似していただきます」
「まねぇ?」
「まね……」
「真似をするとは『見たものを同じく書く』ということです。見ててください」
ふたりの上から屈みこむように、クレファーは一枚の紙にまず『あめ』と書き、続いて横並びに離れたところに『1』と書いた。
「こんなふうに書いてください。綺麗に書けたら、飴がもらえます。できますか?」
「あめ!くだちゃい!」
「ハハハ……ええ、あげますよ?では綺麗にこの形を真似してくださいね?」
「あい!」
エレノアがまた元気を取り戻して、さっそくクレヨンを取り出そうとしたが、クレファーはそれを留めて子供用の鉛筆を握らせた。
「これをこう持って……そうです、お上手です。アーウェン様は……ああ!もうカラが持っていたのを見て覚えたのですね?いいですよ。まずは何度か書いてみてください」
最初はぐにゃりぐにゃりと曲がったり震えて、しかもかなり大きく書いてしまったので、たちまち紙はまだ文字には見えない線で埋まった。
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しかしアーウェンは紙に包まれた飴を見たことがないらしく、受け取ったまままたキョトンとしていたが、エレノアがキュッと両端を引っ張ってくるりと紙を剥き、中から現れた緑色のブドウに似た物を口に入れるのを見て、いそいそと真似をした。
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