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延長戦
第24話 鹿波ちゃんを攻略しよう!
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深夜1時。
みんなは自室で寝ているが、僕は王様ゲームの時のキスが頭にこびりついて、どうにも眠れなかった。
なので、さっぱりしようと、風呂場に向かった。が、先客で鹿波ちゃんが浸かっていたのであった。
かぽーん
別荘のお風呂はまるで、温泉施設のような広さを誇っている。
そんな広々とした空間で湯船に並んで浸かる僕たち。
「ねぇ、鹿波ちゃん」
「どうしたの、大晴」
「本当にこれで3人とも落とせたのかな」
「ええ。キスに夢中になっていたし、最終的には目がハートになって、私が止めなかったら、大変なことになっていたわ」
確かに、鹿波ちゃんが止めなければ、あのまま童貞を卒業していたかもしれない。
そのくらい、堕ちた時の彼女たちは凄かった。
生徒会の3人は攻略完了。
次のステップに進める、と言いたいところだけど……。
——鹿波ちゃんを攻略していない。
鹿波ちゃんは僕のことを夫に貰ってくれると言った。
すごく嬉しかったし、ハーレムメンバー第一号と確信していた。
だが、彼女が僕を好きとは限らない。
僕は……鹿波ちゃんに好きだと言われたことがなかったから。
くの仔ちゃんが言っていた。
『鹿波様はなんでもこなせる優等生です。ただ一つ、弱点があるとすれば……自分の思い通りにいかなかった時』
今までは鹿波ちゃんの指示通り動いているため、彼女の思い通りにいって当然。
鹿波ちゃんはあの日、「もし、失敗しても私が大晴を夫に貰ってあげるわ」と言っていた。
なら、その逆のことを言えば、何かしらのボロが出るはず。
仕掛けるなら、3人を攻略した今。
「鹿波ちゃん、僕さ」
「ん?」
「ハーレムを作るのに成功したから……奥さんいらないや」
◆
(鹿波視点)
攻略済みゲームを提案した理由。
1人でゆっくり考えた結果——大晴を裏で独占する優越感に浸りたかったと出た。
と、同時に気づいてしまった。
結局、得られるのは優越感だけ。
迫られたり、デートをしたり、彼からキスされたり……。
思い返せば、大晴にそんな事されたことはなかった。
それは、恩人という権利に縋った末路。
本当は大晴に言って欲しかったのだ。
『鹿波ちゃんが1番だよ』
『やっぱり鹿波ちゃんがいないとダメ』
『鹿波が好きだ』
……ああ、私は余裕ぶっていたせいで、1番遅れていたのだ。
◆
静寂が続く。
……これは選択を間違えたかな?
「僕、先に上がるね」
次の作戦を練るために湯船から上がろうとしたが……
「私のこと、見て……」
鹿波ちゃんが僕の腕にしがみついてきた。
柔らかな感触に、ふわりと香る良い匂いによって、僕の意識が一気に彼女に集中する。
「……大晴」
悲しそうに、でも甘えるように目を細め、湿った息が顔にかかる。
「ごめんね、鹿波ちゃん。さっきのは嘘だよ」
僕は両手で鹿波ちゃんの顔を挟み、そして、唇を重ねた。
唇と唇が軽く触れあって、数瞬の後に離れる。
「私……大晴のことが好きなの。大好き……っ」
鹿波ちゃんからの始めての、好きの言葉。
思わず頬が緩む。
「鹿波ちゃんありがとう。あの日僕を拾ってくれて。そして、僕のことを好きになってくれて。僕にとって鹿波ちゃんは1番目に好きになった女の子。けれど、僕はみんなのことを愛したいから、1番に愛を注げるかは分からないけど……一生大切にすることは間違いないから」
彼女の目を見て真っ直ぐ告げる。
「一生……。その言葉、忘れないから」
「うん、約束するよ」
微笑み、再びキスをする。
鹿波ちゃんの気が済むまで、僕は彼女にキスをするのであった。
みんなは自室で寝ているが、僕は王様ゲームの時のキスが頭にこびりついて、どうにも眠れなかった。
なので、さっぱりしようと、風呂場に向かった。が、先客で鹿波ちゃんが浸かっていたのであった。
かぽーん
別荘のお風呂はまるで、温泉施設のような広さを誇っている。
そんな広々とした空間で湯船に並んで浸かる僕たち。
「ねぇ、鹿波ちゃん」
「どうしたの、大晴」
「本当にこれで3人とも落とせたのかな」
「ええ。キスに夢中になっていたし、最終的には目がハートになって、私が止めなかったら、大変なことになっていたわ」
確かに、鹿波ちゃんが止めなければ、あのまま童貞を卒業していたかもしれない。
そのくらい、堕ちた時の彼女たちは凄かった。
生徒会の3人は攻略完了。
次のステップに進める、と言いたいところだけど……。
——鹿波ちゃんを攻略していない。
鹿波ちゃんは僕のことを夫に貰ってくれると言った。
すごく嬉しかったし、ハーレムメンバー第一号と確信していた。
だが、彼女が僕を好きとは限らない。
僕は……鹿波ちゃんに好きだと言われたことがなかったから。
くの仔ちゃんが言っていた。
『鹿波様はなんでもこなせる優等生です。ただ一つ、弱点があるとすれば……自分の思い通りにいかなかった時』
今までは鹿波ちゃんの指示通り動いているため、彼女の思い通りにいって当然。
鹿波ちゃんはあの日、「もし、失敗しても私が大晴を夫に貰ってあげるわ」と言っていた。
なら、その逆のことを言えば、何かしらのボロが出るはず。
仕掛けるなら、3人を攻略した今。
「鹿波ちゃん、僕さ」
「ん?」
「ハーレムを作るのに成功したから……奥さんいらないや」
◆
(鹿波視点)
攻略済みゲームを提案した理由。
1人でゆっくり考えた結果——大晴を裏で独占する優越感に浸りたかったと出た。
と、同時に気づいてしまった。
結局、得られるのは優越感だけ。
迫られたり、デートをしたり、彼からキスされたり……。
思い返せば、大晴にそんな事されたことはなかった。
それは、恩人という権利に縋った末路。
本当は大晴に言って欲しかったのだ。
『鹿波ちゃんが1番だよ』
『やっぱり鹿波ちゃんがいないとダメ』
『鹿波が好きだ』
……ああ、私は余裕ぶっていたせいで、1番遅れていたのだ。
◆
静寂が続く。
……これは選択を間違えたかな?
「僕、先に上がるね」
次の作戦を練るために湯船から上がろうとしたが……
「私のこと、見て……」
鹿波ちゃんが僕の腕にしがみついてきた。
柔らかな感触に、ふわりと香る良い匂いによって、僕の意識が一気に彼女に集中する。
「……大晴」
悲しそうに、でも甘えるように目を細め、湿った息が顔にかかる。
「ごめんね、鹿波ちゃん。さっきのは嘘だよ」
僕は両手で鹿波ちゃんの顔を挟み、そして、唇を重ねた。
唇と唇が軽く触れあって、数瞬の後に離れる。
「私……大晴のことが好きなの。大好き……っ」
鹿波ちゃんからの始めての、好きの言葉。
思わず頬が緩む。
「鹿波ちゃんありがとう。あの日僕を拾ってくれて。そして、僕のことを好きになってくれて。僕にとって鹿波ちゃんは1番目に好きになった女の子。けれど、僕はみんなのことを愛したいから、1番に愛を注げるかは分からないけど……一生大切にすることは間違いないから」
彼女の目を見て真っ直ぐ告げる。
「一生……。その言葉、忘れないから」
「うん、約束するよ」
微笑み、再びキスをする。
鹿波ちゃんの気が済むまで、僕は彼女にキスをするのであった。
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