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分からせパート

第13話 "2番目"の彼女

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「ねぇ、日浦くん本当にどうしたの?」
「わかんなーい。あんなに肉食系だったけ?」

 ザワザワと僕を見て話す女子たち。

「本当にいいの……?」

 立夏ちゃんまで心底驚いた反応。

 今まで構ってきたが、それとは訳が違うようだ。

 思い返してみれば、田中と高橋があそこまで嫌がっているのだ。
 水着姿で接触するのは、それだけ男子にとってハードルが高いらしい。

「うん。よろしくね」

「よろしく……」

 さて、2組を作ってすることというのは、水の中に沈んで数秒を待つという水泳の授業でお決まりの運動だ。

 先生の笛の合図と共に、僕は立夏ちゃんと手を繋ぎ合い、一緒に水の中へ潜る。
 
 ……胸が間近で凄かった。

 そんな感想を思いつつ、プールから上がる。

「今度は一分間バタ足だ――じゃあ、始めっ!」

 ピー! と先生の笛と共に開始されるバタ足の運動。

「ねぇ大晴くん」

「なに、立夏ちゃん」

 バタ足をしながら話しかけてくる立夏ちゃん。
 水面を叩く音で会話は僕らにしか聞こえない。

「なんで私にばっかり構ってくれるの?」

「仲良くなりたいから」

「ふーん……本当にそれだけ?」

「何かおかしな点でも?」

「おかしいところしかないよ。だって急に私にばっかり構ってくるんだよ?」

「嫌だった?」

「むしろ嬉しかったけど、この学園では女子は男子に優しくしちゃいけないから、そんなに構われると対応に困るかな。……それに、日浦くんはみんなの。それを独り占めすると……みんなの嫉妬が怖い。まぁ生徒会だがら大丈夫だけど」

 あはは、と笑いながら語る立夏ちゃん。

 共有財産という言葉に引っかかったが、構わず攻める。

「大晴くんは私の物ですって言えばいいだけだよ」

「あはは、そう言っちゃうか。本当に積極的だよね。それとも……」

 ――むにゅっ。

「―――誰かに命令されてやってるの?」

 立夏ちゃんは、関係性を周囲に見せつけるかの如く、僕の腕に抱き着いた。

 ……落ち着け僕の鼓動。

「さぁ? どうだろう」

 冷静を装って交わす。

「しらばっくれるんだぁ。うーん、美奈はこんな面倒くさいことやらないし、弥夕も同じ……」

 なんか考察を始めだした。

 ここは一気に勝負をかけた方がいいな。

「立夏ちゃん」

「ん?」
 
 鹿波ちゃんが言っていた。

 告白する際には"この言葉"を使うようにと。

 僕は息を浅く吸い、告げる。

「――僕の2の彼女になってよ」

 バシャ……

 立夏ちゃんのバタ足が止まった。

 僕らの間に静寂が訪れていると、笛の音が鳴る。

「バタ足終わり! クロールに行くぞ!」

 先生の言葉にだるそうな返事が響く。

「……なるほどねぇ。あの女……」
  
 その直後、眉をひそめ何か呟く。

 返事に紛れて聞き取れなかった。

「立夏ちゃん……?」

「いいよ」

「え?」

「私、2番目の彼女になるよ」

 ……えーと、これは攻略成功なのか?

 え、嘘……え??

「でもクラスのみんなにはまだ内緒だね」

 口元に人差し指を当ててニコッと笑った立夏ちゃん。
 そのまま列の方に向かっていった。

 告白成功……つまりハーレムヒロイン1人ゲットということ?

 意外とあっさりしていて、実感が湧かない。

 やっぱり立夏ちゃんってチョロいんなの??

 呆然と立ち尽くしていると、背後から誰かにツンツンと突かれた。

 振り返ると、黒のショートカットの美少女。

 その子はスク水を着ていた。
 だが、児童向けにデザインされているスク水に、その巨乳は収まっていない。
 上から覗くと谷間が丸見えだ。

「えーと……」

「くのと言います」

「くの仔ちゃん?」

「はい、くの仔です。鹿波様より、大晴様が暴走しないようにと派遣された監視役です」

「あーなるほど。ちなみさっきの見てた?」

「はい。声は聞き取れませんでしたが、口の動きから内容はなんとか」

  凄いなこの子。
 
「……成功したと思う?」

「むしろ成功以外考えられません。本人も言っていたでありませんか」

「……だよね」

 うーん……鹿波ちゃん、これで大丈夫なのー?


*****

「鹿波様」

『あら、くの仔。貴方が電話をかけてきたと言うことは、大晴に動きがあったのね』

「はい。鹿波様の言う通り、"2番目"の彼女と言っていました」

『そう。で、返事は?』

「オッケーです」

『なるほど……。立夏には気づかれたようね』

「何か処置をした方がよろしいですか?」

『いや、そのままでいいわ。じゃあ大晴に伝えといて。次は香久山美奈を攻略すると』

「分かりました」

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