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第1章 学園編〜天然王子とその護衛(クラスメイト)たち

ストーカーをざまぁする②

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 【今回の学習】
 確保!
—————————————————————

 その後、俺たちは近くのファミリーレストランに寄った。
 もちろんあの親子も一緒に店内に入ってきた。

「モグモグ」

 注文したカルボナーラを美味しそうに食べる向葵ちゃん。
 時折、隣に座る朱莉が口についたソースを拭いているのが微笑ましい。

 しかしまあ……

「ここまで渋といとわねぇー……」

  頼んだハンバーグを口に入れ、不満を漏らす。
 俺と朱莉が側にいるのにも関わらず、ストーカー行為を止めないとは……。
 今日、授業参観に来ていたのが俺たちじゃなくて花織さんだった場合、危なかったかもな。

「これに向葵も気づいてないから余計厄介なのよねー」

 確かに、先程から気にすることなくモグモグと食べている。
 こんな純粋な子にストーカーをするなんて許せないな……。

「ねぇアツ。そのハンバーグ、一口頂戴」

「ん?いいぞ。ペッパーの方とチーズの方どっちがいい?」

「ペッパーで」

  刺激が欲しいのか?
 ハンバーグを切り分け、朱莉の口まで持っていくと、パクリと食べた。

「ん、美味しい。アタシのデミグラスオムライスも食べる」

「おう、食べる」

 俺も朱莉にオムライスを食べさせてもらった。
 うん。デミグラスオムライスも美味いな。今度来た時はこっちを頼もう。

「ねーあそこのカップル。あーんを平然としてるわ」
「というか新婚さんかしら?あの小さな子は子供?」
「動画に収めないと」

 俺たちがストーカー親子に集中しすぎてこんなことを言われていたとは知らなかった。


「さてと……」

  ご飯も食い終わったところで作戦を実行するか。

「向葵ちゃん、俺、トイレに行ってくるね」

「あっ、アタシも!向葵、少しだけお留守番できる?」

「うん。できるよ!早めに帰ってきてね」

  俺たちは向葵ちゃんを1人残し席を立つ。

 さて、動いてくれよ……。

 ◇◇◇

 朱莉お姉ちゃんとにぃにが席を立って1人になった私。
 メロンソーダをチュウチュ飲んでいると……

「き、君!1人なの?」

「ふぇ?」

  おじさんが話しかけきた。

「えーと……」

 ママや桜果お姉ちゃんや朱莉お姉ちゃんには、知らない人に話しかけられたら大声を出しなさいって言われてるけどどうしよう……

 戸惑っているとその後ろから見覚えのある人が来た。

「ひ、ひ、向葵ちゃん!」

「えーと……確か隣のクラスの豪田茂くんだよね?」

「お、覚えていてくれたんだ!」

 私の学校で男の子といえば豪田くんを含めた5人しかいないから覚えている。でも、豪田くんとはあまり話したことがない。

「ということはこの人は豪田くんのパパ?」

「うひよっ!パパ!」

 おじさんはやら喜んでいる。

「違うんだ。お兄ちゃんなんだ」

「へ、へぇー」

 おじさんだと思ってた……。
 すると何やらおじさんが……お兄さんが顔を赤くし、はぁはぁ言い始めた。
 
 だ、大丈夫かな……?

「そ、それにしても、こんなところで会うなんて偶然だね!」

 まさかお昼ご飯を食べている場所が一緒だなんて偶然だ。

「そ、そ、そそうだね!」
「うん!」

 お兄さんの方がちょっと心配になってきた……。

「お兄さん、大丈夫?」

「あ、ああうん。大丈夫だよ」

  それならいいけど……

「今日は向葵ちゃんに伝えたいことがあるんだ」

  いきなり豪田くんがそう言った。

「何かな?」

 豪田くんは何やらモジモジしていたが、やがて話し始めた。

「俺と付き合って下さい!」

 大声でそう言われる。
 告白かな?

「ごめんさい。私、好きな人がいるの」
 
 そう断ると、豪田くんはブルブル震え出した。

「も、も、もしかしてさっきの男……?」

「うん。にぃにが好きなの」

 断られたのがよほどショックなのか落ち込む豪田くん。
 可哀想だなと思ったが、付き合うならにぃにみたいな優しくて面白くてカッコいい人がいいから。

「そっか……じゃあ兄ちゃんお願い」
「うむ」

「えっ?」

 そう疑問に思った後、私は突然、お兄さんに口を塞がれた。

「むぐむぐ?!」

 いきなりで何が起こったのか分からないが、ひたすら怖いということしか考えられない。

「監禁すれば、告白なんて関係ないよね?」

 見上げている豪田くんの顔は、幸せそうだった。

 これって誘拐ってやつなのかな……?誘拐されたらママや桜果お姉ちゃんや朱莉お姉ちゃんやにぃにや梨月お姉ちゃんと会えなくなっちゃう……。


 どうしよかと思っていた時……

「「確保ー!!」」

 朱莉お姉ちゃんとにぃにの声がした。
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