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第1章 学園編〜天然王子とその護衛(クラスメイト)たち
第9話 反省会
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【今回の学習】
ちゃんと反省……してますよ?
—————————————————————
夕食は花咲家で一緒に頂くことにした。今日の夕食は朱莉と梨月という料理上手コンビが作ってくれたハヤシライスだ。
これはレストランで出せるくらい上手い!
「お兄ちゃん!警戒心がなすぎですよ!」
ハヤシライスを食べている時、梨月がそう言い出した。
あのモノレールの出来事から家に帰ってめちゃくちゃ説教されたのにまだ怒っている。
「どうしたの梨月ちゃん?」
花織さんが心配そうに聞く。
「皆さん聞いてください!今日、モノレールで帰る時、お兄ちゃんが女の子に襲われそうになって……」
———ピタリ
騒がしかった食卓が静かになる。
「もぐもぐ♪」
美味しそうにハヤシライスを食べている向葵ちゃん以外、全員ピタリと箸が止まった。いや、スプーンか。
「梨月ちゃん、詳しく教えてくれるかな?」
朱莉の顔が凄くひきつっていた。
その隣の桜果さんはニコニコしながら俺を見ているだけだった。
「いやいや、襲われてないよ。ほら、放課後の勧誘申請の人が話しかけてきたんだ」
「どういう風にですか?」
ひえっ……!?桜果さんの背後からドス黒いオーラが出ている。
女の子ってこんなに怖かったっけ?
「最初は申請断ってすいませんって話だったんですけど、それから学園のことを教えてくれるという話になって……」
「そこからその人、お兄ちゃんと2人っきりになれる場所に移動させようとしたんです!」
俺の言葉を遮り、勢いよくそう言う梨月。
家に帰って説教された時、「知らない人と2人きりは絶対ダメです!」と幼稚園児に注意するみたいなこと何回も言われた。
「それは見過ごせないよね……」
「Queens特権でその人を退学させましようか?」
「いやいや!?桜果さんはやめてくださいよ!」
Queensの立ち位置である桜果さんはそれが簡単にできてしまうから!
「でも、もしかしたら旦那様はその方に襲われていたかもしれませんよ?」
「いやいや、大丈夫ですよ」
あの時、梨月の蹴りを交わしたのは凄いと思ったが、女の子と男では圧倒的に力の差が違う。
「アツ、今、女と男では力の差が圧倒的に違うとか思ってたでしょ?」
「なんでわかった?もしやエスパーか?」
俺が朱莉にそう聞くと「はぁ……」とため息を吐かれた。
「アツ、女を甘く見てると痛い目に遭うよ?学園の女の子たちは特殊な訓練を受けているんだから」
「特殊な訓練?」
なんだそりゃ?
「具体的にいうと護身術を習ってるの。たまに体育の時間にやるよ」
「マジかよ……。もしかして護衛と関係がある?」
「大ありだね。男を守るために護身術を習ってるものだから」
俺も護衛術を爺ちゃんから習ったが、まさか朱莉たちも習得済みとは……。もしかしたら対戦したら負けちゃうのかな……?
「話は逸れましたが、旦那様。いくら女の子といっても警戒を怠らないで下さいね?」
「そうですよお兄ちゃん!私、お兄ちゃんが襲われたら私……」
「梨月……」
確かにあの時、梨月が来てくれなかったら襲われていた可能性もあったな。
「梨月ちゃんや娘たちが怒るのも無理はないよ碧月くん。それは貴方のことを大切に思っているからよ。ほら先輩だって……」
花織さんが視線を逸らした先は……
「あっくんが襲われた……。私のあっくんが……」
何やら涙目になりながらブツブツ呟いている母さんの姿があった。
「碧月くん、この状況を見ても自分は大丈夫だったと言える?」
「言えませんね……。今後はもっと注意します」
俺がもし、襲われて最初に精神崩壊しそうなのは絶対母さんな気がする。
母さんがいつまでも穏やかなままでいる為にも注意しないとな。
「分かったらいいわ。ほら先輩もみんなもこの話はここでお終い!」
花織さんがなだめてくれたおかげで母さんも3人もとりあえずは納得してくれたようだ。
「みんなどうしたの~?」
ただ、向葵ちゃんだけは相変わらず不思議そうにしていた。その姿を見て微笑ましくなる。
「あっ、そうだ!」
何かを思い出した向葵ちゃん。そのままトテトテとどこかに行き、プリントを一枚持って帰ってきた。
「んー?これは何かな?」
受け取った花織さんがそう聞く。
「明日、授業参観があるのー!」
元気よく答えた向葵ちゃん。きっとお母さんに授業参観に来て欲しいのだろう。
たが、花織さんの表情は暗くなった。
「ごめんね向葵。お母さん、明日お仕事があって来れないの……」
花織さんが申し訳なさそうに言うと、向葵ちゃんは先程のニコニコした表情から泣きそうな表情になった。
「ふえ……?ダメなの……?」
勝手な憶測だが、花織さんは女で一つで3人の子供を育てている。だから家計を支えるために仕事は休めないと思う。
「他の子は来てくれるって言ってたのに……」
「本当にごめんなさい……」
悲しいのは向葵だけではなく、花織さんもだと思う。
俺は泣きそうになる向葵を見ていられなくなり、咄嗟にこう言った。
「向葵ちゃん!俺が代わりに授業参観に来るのは嫌かな?」
「ふぇ?にぃにが……?」
「うん……」
涙目だった向葵ちゃんだったが、次第にパァァァと表情が明るくなり……
「にぃにが来てくれるの、向葵嬉しい!」
満面の笑みでそう言われた。
お母さんの代わりになれるか心配だったが、喜んでくれて良かった。
「お兄ちゃん、全然反省してない……」
「でも向葵のあの笑顔を見たら取り消すことなんて出来ませんね」
「明日は丁度、私が護衛の当番だから付き添うよ」
何やら3人でコソコソ話し合っているが、今は向葵ちゃんの太陽みたいな笑顔に夢中である。
「碧月くん。ごめんだけど、お願いしていいかな?」
「全然いいですよ。むしろこっちからお願いしたいくらいですから」
可愛らしい向葵ちゃんの授業参観に行けるなんて喜び以外の何もない。
「じゃあ買っていたスーツの出番だね!」
いつの間にか立ち直っていた母さんが嬉しそうにそう言う。
そして、いつの間にスーツなんて買っていたのか。
「じゃあ授業参観には朱莉お姉ちゃんとにぃにが来てくれるんだね!」
向葵ちゃんの言葉に俺も朱莉もコクリと微笑みながら頷く。
「やった~♪」
何はともあれ、喜んでくれてよかった。
ちゃんと反省……してますよ?
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夕食は花咲家で一緒に頂くことにした。今日の夕食は朱莉と梨月という料理上手コンビが作ってくれたハヤシライスだ。
これはレストランで出せるくらい上手い!
「お兄ちゃん!警戒心がなすぎですよ!」
ハヤシライスを食べている時、梨月がそう言い出した。
あのモノレールの出来事から家に帰ってめちゃくちゃ説教されたのにまだ怒っている。
「どうしたの梨月ちゃん?」
花織さんが心配そうに聞く。
「皆さん聞いてください!今日、モノレールで帰る時、お兄ちゃんが女の子に襲われそうになって……」
———ピタリ
騒がしかった食卓が静かになる。
「もぐもぐ♪」
美味しそうにハヤシライスを食べている向葵ちゃん以外、全員ピタリと箸が止まった。いや、スプーンか。
「梨月ちゃん、詳しく教えてくれるかな?」
朱莉の顔が凄くひきつっていた。
その隣の桜果さんはニコニコしながら俺を見ているだけだった。
「いやいや、襲われてないよ。ほら、放課後の勧誘申請の人が話しかけてきたんだ」
「どういう風にですか?」
ひえっ……!?桜果さんの背後からドス黒いオーラが出ている。
女の子ってこんなに怖かったっけ?
「最初は申請断ってすいませんって話だったんですけど、それから学園のことを教えてくれるという話になって……」
「そこからその人、お兄ちゃんと2人っきりになれる場所に移動させようとしたんです!」
俺の言葉を遮り、勢いよくそう言う梨月。
家に帰って説教された時、「知らない人と2人きりは絶対ダメです!」と幼稚園児に注意するみたいなこと何回も言われた。
「それは見過ごせないよね……」
「Queens特権でその人を退学させましようか?」
「いやいや!?桜果さんはやめてくださいよ!」
Queensの立ち位置である桜果さんはそれが簡単にできてしまうから!
「でも、もしかしたら旦那様はその方に襲われていたかもしれませんよ?」
「いやいや、大丈夫ですよ」
あの時、梨月の蹴りを交わしたのは凄いと思ったが、女の子と男では圧倒的に力の差が違う。
「アツ、今、女と男では力の差が圧倒的に違うとか思ってたでしょ?」
「なんでわかった?もしやエスパーか?」
俺が朱莉にそう聞くと「はぁ……」とため息を吐かれた。
「アツ、女を甘く見てると痛い目に遭うよ?学園の女の子たちは特殊な訓練を受けているんだから」
「特殊な訓練?」
なんだそりゃ?
「具体的にいうと護身術を習ってるの。たまに体育の時間にやるよ」
「マジかよ……。もしかして護衛と関係がある?」
「大ありだね。男を守るために護身術を習ってるものだから」
俺も護衛術を爺ちゃんから習ったが、まさか朱莉たちも習得済みとは……。もしかしたら対戦したら負けちゃうのかな……?
「話は逸れましたが、旦那様。いくら女の子といっても警戒を怠らないで下さいね?」
「そうですよお兄ちゃん!私、お兄ちゃんが襲われたら私……」
「梨月……」
確かにあの時、梨月が来てくれなかったら襲われていた可能性もあったな。
「梨月ちゃんや娘たちが怒るのも無理はないよ碧月くん。それは貴方のことを大切に思っているからよ。ほら先輩だって……」
花織さんが視線を逸らした先は……
「あっくんが襲われた……。私のあっくんが……」
何やら涙目になりながらブツブツ呟いている母さんの姿があった。
「碧月くん、この状況を見ても自分は大丈夫だったと言える?」
「言えませんね……。今後はもっと注意します」
俺がもし、襲われて最初に精神崩壊しそうなのは絶対母さんな気がする。
母さんがいつまでも穏やかなままでいる為にも注意しないとな。
「分かったらいいわ。ほら先輩もみんなもこの話はここでお終い!」
花織さんがなだめてくれたおかげで母さんも3人もとりあえずは納得してくれたようだ。
「みんなどうしたの~?」
ただ、向葵ちゃんだけは相変わらず不思議そうにしていた。その姿を見て微笑ましくなる。
「あっ、そうだ!」
何かを思い出した向葵ちゃん。そのままトテトテとどこかに行き、プリントを一枚持って帰ってきた。
「んー?これは何かな?」
受け取った花織さんがそう聞く。
「明日、授業参観があるのー!」
元気よく答えた向葵ちゃん。きっとお母さんに授業参観に来て欲しいのだろう。
たが、花織さんの表情は暗くなった。
「ごめんね向葵。お母さん、明日お仕事があって来れないの……」
花織さんが申し訳なさそうに言うと、向葵ちゃんは先程のニコニコした表情から泣きそうな表情になった。
「ふえ……?ダメなの……?」
勝手な憶測だが、花織さんは女で一つで3人の子供を育てている。だから家計を支えるために仕事は休めないと思う。
「他の子は来てくれるって言ってたのに……」
「本当にごめんなさい……」
悲しいのは向葵だけではなく、花織さんもだと思う。
俺は泣きそうになる向葵を見ていられなくなり、咄嗟にこう言った。
「向葵ちゃん!俺が代わりに授業参観に来るのは嫌かな?」
「ふぇ?にぃにが……?」
「うん……」
涙目だった向葵ちゃんだったが、次第にパァァァと表情が明るくなり……
「にぃにが来てくれるの、向葵嬉しい!」
満面の笑みでそう言われた。
お母さんの代わりになれるか心配だったが、喜んでくれて良かった。
「お兄ちゃん、全然反省してない……」
「でも向葵のあの笑顔を見たら取り消すことなんて出来ませんね」
「明日は丁度、私が護衛の当番だから付き添うよ」
何やら3人でコソコソ話し合っているが、今は向葵ちゃんの太陽みたいな笑顔に夢中である。
「碧月くん。ごめんだけど、お願いしていいかな?」
「全然いいですよ。むしろこっちからお願いしたいくらいですから」
可愛らしい向葵ちゃんの授業参観に行けるなんて喜び以外の何もない。
「じゃあ買っていたスーツの出番だね!」
いつの間にか立ち直っていた母さんが嬉しそうにそう言う。
そして、いつの間にスーツなんて買っていたのか。
「じゃあ授業参観には朱莉お姉ちゃんとにぃにが来てくれるんだね!」
向葵ちゃんの言葉に俺も朱莉もコクリと微笑みながら頷く。
「やった~♪」
何はともあれ、喜んでくれてよかった。
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