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第1章 学園編〜天然王子とその護衛(クラスメイト)たち
第5話 お昼だよー!全員着席〜
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【今回の学習】
小さいからって舐めてはいけない
————————————————————
「飯かぁ~!」
疲れた腕を上に伸ばしながらそう言う。
授業は教科こどに担当の先生が来て指導するスタイルだそうだ。内容自体は一般的なものだったが、先生が俺を見るなり何やら顔を赤くしていたことが気になった。
後から朱莉に聞くと、「男がいるとこんなものよ」と言われた。
「お腹すいたなー」
パラレルワールドでもやはり腹は減るものだ。
さて、お弁当は……
「お兄ちゃん!」
「おっ、梨月!」
妹の梨月が教室に来てくれた。理由はお弁当を届けに来てくれたからだ。
「はいお弁当」
「ありがたく頂きます」
大きめのお弁当箱を受け取る。
朝ごはんを食べて思ったが、梨月も料理上手だ。何でも「お兄ちゃんが帰ってきた時に美味しい料理を食べて貰いたいから沢山練習した」とのことだ。なんていい妹!
「あっ、アツ。梨月ちゃんにお弁当作ってもらってたんだ」
背後から貰った弁当を覗く朱莉。その後ろには青いふろしきで包まれた弁当があった。
「アタシもお弁当作ってきたんだけど、梨月ちゃんのお弁当あるならいらない——」
「いや、朱莉の作ってくれた弁当も食うぞ?」
「へっ?」
間抜けな声を上げる朱莉。
薄々勘づいていたが、後ろに持っているのは俺の為に作ってくれたお弁当だったか。
「俺の為に作ってくれたんだろ?もちろん食うに決まってるじゃん」
これでも俺は食べる方だ。それに朱莉の料理は美味しいからな。
「そっか……。じゃあはい」
「おう。サンキュー」
何やら上機嫌な様子で弁当を渡してくれた。
この弁当、結構ずっしりとしているな。俺が食べるのを見越して多く作ってくれたのか。
「ねぇねぇ翠ちゃん。碧月くんって、無自覚イケメンに加えて、タラシ要素もあるのかな?」
「そうみたいだね和奏」
翠と和奏が何やら俺も方を見ながらコソコソ話している。
そんな間に恋白が梨月の側に来た。
「良かったら梨月さんも一緒に食べませんか?」
「えっ、いいんですか!?」
「はい。梨月さんは碧月さんの妹さんですから安心です」
喜んでいる様子の梨月。
確かに俺も梨月と食べるのは大賛成なのだが……
「でも席はどうするんだ」
このクラスは6人しか生徒がいないので机と椅子も6人分しかない。梨月の食べる場所がないのだ。
「それなら誰かが膝の上に座ればいいんじゃない?碧月くんの」
「えっ、俺!?」
和奏にまさかのことを振られ動揺する。それにしても何故俺の膝なんだ。
「男の子なら女の子を乗せてもそれほどダメージはないでしょ?」
「ダメージって……」
確かに、重さとかは女の子に比べたら感じない方だと思うけど……。
俺の意見も聞かずにどんどん進めていく女性陣。
「やっぱりここは小柄な野々音がいいよねー」
候補に挙げられたのは野々音だった。
「ん……野々、チビじゃない」
翠にそう言われて不満そうな野々音。翠と俺をチラチラと交互に見ている。
「はぁ~。野々音は可愛いよね~。よしよしー」
「翠、頭撫でないで」
抱っこして頭を撫でる翠から離れようとする野々音だが、足をバタバタさせるばかりで全く離れられない。
「はいはいみんな~。今のうちに席に座ってー」
翠がそう呼びかけると、机を合わせ、それぞれ席に着く。
「はーい到着~」
翠は宣言通り、俺の膝の上に野々音を座らせた。やっぱり軽い。
すぐに降りると思っていたが、野々音は俺の膝の上に座ったまま動かない。
「居心地がいいのかな~?」
野々音は席に座りながらニヤニヤする翠に対して首をフイと逸らし、俺の方を向いた。
「変なことしたら殺す」
「しないわ!?」
それから7人でお昼を食べ始めた。
「ん!上手い!」
梨月が作ってくれたミニハンバーグを口に入れ、感想を言う。
「お兄ちゃんに気に入ってもらえて良かった」
隣に座る梨月は嬉しそうにしている。
「朱莉の作ってくれたコロッケも美味しいよ」
「ん、ありがとう」
前に座る朱莉にも感想を言うと嬉しそうにしていた。
今度は卵焼きと食べようと箸を伸ばし口に運ぼうとした時、
「はむ」
俺が食べるはずだった卵焼きは消えてしまった。膝の上に座っている野々音がパクリと食べたからだ。
「ん、おいしい」
つまみ食い犯は膝の上で満足気に頷いている。
「おい野々音……」
つまみ食いをした野々音を呆れ気味に見ていると、隣の梨月がカタカタと震え出した。
「お、お、お、お兄ちゃんの、あーんを……っ」
「どうした梨月!?壊れたロボットみたいになってんぞ!?」
「碧月、次」
そんな梨月の様子を気にすることなく次を要求する野々音。梨月の作った卵焼きが美味しかったのだろう。
そして次は朱莉の作った弁当の方を指さした。
「おい、野々音。これは一応俺の弁当なのだが?」
「ん、こんなにたくさんあるなら問題ない」
確かに、弁当二つ。しかも二つともかなりボリュームがある。
「俺はいいとしても、まずは作った本人に許可をとれよ?」
野々音は俺の言葉にコクリと頷き、弁当を作った朱莉、梨月の方を向いた。
「食べて、いい?」
「アタシはいいよ」
「わ、私もいいですが……」
「許可取った。次」
「自分で食べようとはしないんだな」
仕方なく唐揚げを口の前まで持っていくとパクリと食べられた。
「そろそろ自分で食べる」
「最初からそうしてくれ」
自分のお弁当もあることながら、パクパクと食べていく。
「意外と食べるんだな」
見た目の小柄さから小食かと思っていた。
だとしたら、この栄養はどこに———ふぐっ!?
「ん、今、よからぬ事を考えた」
「だからって腹パンするかよ……」
膝で腹をパンチされ悶絶する。
意外と狂犬なのね。
「殺さないだけマシ」
「小さいからって侮れねぇな……」
人は見た目で判断してはいけないという言葉が身に染みて分かった気がする……。
「でも野々音ちゃん、嫌そうにしている割には碧月くんの膝から降りないよねー」
「そうだよねー。実はツンデレなのかな~?ツンデレ野々音ちゃん?」
「ん、和奏、翠うるさい」
それから賑やかな昼飯は続くのであった。
小さいからって舐めてはいけない
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「飯かぁ~!」
疲れた腕を上に伸ばしながらそう言う。
授業は教科こどに担当の先生が来て指導するスタイルだそうだ。内容自体は一般的なものだったが、先生が俺を見るなり何やら顔を赤くしていたことが気になった。
後から朱莉に聞くと、「男がいるとこんなものよ」と言われた。
「お腹すいたなー」
パラレルワールドでもやはり腹は減るものだ。
さて、お弁当は……
「お兄ちゃん!」
「おっ、梨月!」
妹の梨月が教室に来てくれた。理由はお弁当を届けに来てくれたからだ。
「はいお弁当」
「ありがたく頂きます」
大きめのお弁当箱を受け取る。
朝ごはんを食べて思ったが、梨月も料理上手だ。何でも「お兄ちゃんが帰ってきた時に美味しい料理を食べて貰いたいから沢山練習した」とのことだ。なんていい妹!
「あっ、アツ。梨月ちゃんにお弁当作ってもらってたんだ」
背後から貰った弁当を覗く朱莉。その後ろには青いふろしきで包まれた弁当があった。
「アタシもお弁当作ってきたんだけど、梨月ちゃんのお弁当あるならいらない——」
「いや、朱莉の作ってくれた弁当も食うぞ?」
「へっ?」
間抜けな声を上げる朱莉。
薄々勘づいていたが、後ろに持っているのは俺の為に作ってくれたお弁当だったか。
「俺の為に作ってくれたんだろ?もちろん食うに決まってるじゃん」
これでも俺は食べる方だ。それに朱莉の料理は美味しいからな。
「そっか……。じゃあはい」
「おう。サンキュー」
何やら上機嫌な様子で弁当を渡してくれた。
この弁当、結構ずっしりとしているな。俺が食べるのを見越して多く作ってくれたのか。
「ねぇねぇ翠ちゃん。碧月くんって、無自覚イケメンに加えて、タラシ要素もあるのかな?」
「そうみたいだね和奏」
翠と和奏が何やら俺も方を見ながらコソコソ話している。
そんな間に恋白が梨月の側に来た。
「良かったら梨月さんも一緒に食べませんか?」
「えっ、いいんですか!?」
「はい。梨月さんは碧月さんの妹さんですから安心です」
喜んでいる様子の梨月。
確かに俺も梨月と食べるのは大賛成なのだが……
「でも席はどうするんだ」
このクラスは6人しか生徒がいないので机と椅子も6人分しかない。梨月の食べる場所がないのだ。
「それなら誰かが膝の上に座ればいいんじゃない?碧月くんの」
「えっ、俺!?」
和奏にまさかのことを振られ動揺する。それにしても何故俺の膝なんだ。
「男の子なら女の子を乗せてもそれほどダメージはないでしょ?」
「ダメージって……」
確かに、重さとかは女の子に比べたら感じない方だと思うけど……。
俺の意見も聞かずにどんどん進めていく女性陣。
「やっぱりここは小柄な野々音がいいよねー」
候補に挙げられたのは野々音だった。
「ん……野々、チビじゃない」
翠にそう言われて不満そうな野々音。翠と俺をチラチラと交互に見ている。
「はぁ~。野々音は可愛いよね~。よしよしー」
「翠、頭撫でないで」
抱っこして頭を撫でる翠から離れようとする野々音だが、足をバタバタさせるばかりで全く離れられない。
「はいはいみんな~。今のうちに席に座ってー」
翠がそう呼びかけると、机を合わせ、それぞれ席に着く。
「はーい到着~」
翠は宣言通り、俺の膝の上に野々音を座らせた。やっぱり軽い。
すぐに降りると思っていたが、野々音は俺の膝の上に座ったまま動かない。
「居心地がいいのかな~?」
野々音は席に座りながらニヤニヤする翠に対して首をフイと逸らし、俺の方を向いた。
「変なことしたら殺す」
「しないわ!?」
それから7人でお昼を食べ始めた。
「ん!上手い!」
梨月が作ってくれたミニハンバーグを口に入れ、感想を言う。
「お兄ちゃんに気に入ってもらえて良かった」
隣に座る梨月は嬉しそうにしている。
「朱莉の作ってくれたコロッケも美味しいよ」
「ん、ありがとう」
前に座る朱莉にも感想を言うと嬉しそうにしていた。
今度は卵焼きと食べようと箸を伸ばし口に運ぼうとした時、
「はむ」
俺が食べるはずだった卵焼きは消えてしまった。膝の上に座っている野々音がパクリと食べたからだ。
「ん、おいしい」
つまみ食い犯は膝の上で満足気に頷いている。
「おい野々音……」
つまみ食いをした野々音を呆れ気味に見ていると、隣の梨月がカタカタと震え出した。
「お、お、お、お兄ちゃんの、あーんを……っ」
「どうした梨月!?壊れたロボットみたいになってんぞ!?」
「碧月、次」
そんな梨月の様子を気にすることなく次を要求する野々音。梨月の作った卵焼きが美味しかったのだろう。
そして次は朱莉の作った弁当の方を指さした。
「おい、野々音。これは一応俺の弁当なのだが?」
「ん、こんなにたくさんあるなら問題ない」
確かに、弁当二つ。しかも二つともかなりボリュームがある。
「俺はいいとしても、まずは作った本人に許可をとれよ?」
野々音は俺の言葉にコクリと頷き、弁当を作った朱莉、梨月の方を向いた。
「食べて、いい?」
「アタシはいいよ」
「わ、私もいいですが……」
「許可取った。次」
「自分で食べようとはしないんだな」
仕方なく唐揚げを口の前まで持っていくとパクリと食べられた。
「そろそろ自分で食べる」
「最初からそうしてくれ」
自分のお弁当もあることながら、パクパクと食べていく。
「意外と食べるんだな」
見た目の小柄さから小食かと思っていた。
だとしたら、この栄養はどこに———ふぐっ!?
「ん、今、よからぬ事を考えた」
「だからって腹パンするかよ……」
膝で腹をパンチされ悶絶する。
意外と狂犬なのね。
「殺さないだけマシ」
「小さいからって侮れねぇな……」
人は見た目で判断してはいけないという言葉が身に染みて分かった気がする……。
「でも野々音ちゃん、嫌そうにしている割には碧月くんの膝から降りないよねー」
「そうだよねー。実はツンデレなのかな~?ツンデレ野々音ちゃん?」
「ん、和奏、翠うるさい」
それから賑やかな昼飯は続くのであった。
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