11 / 29
第1章 学園編〜天然王子とその護衛(クラスメイト)たち
第0話 護衛(クラスメイト)
しおりを挟む
「逢坂翠 花咲朱莉 柊木和奏 菫沢恋白 椛野々音。 以上5名を新たな男の護衛とする」
理事長室にてそう告げる女性。
目の前の5人の少女は真剣な眼差しで聞いていた。
「とりあえずおめでとうと言っとこう」
先程から5人の少女の前で話をしている彼女は、以前、碧月の家 を訪問した椛珠音だ。
そして、碧月が通うことになる『皇義学園』の理事長でもある。
「今回は特に倍率に高かった。これもお前さんが動いたからだな。なぁ花咲妹よ」
珠音は口角を上げながら面白そうな目で朱莉を見る。
「別にアタシは……」
どこか恥ずかしそうな様子の朱莉。頬はほんのりと赤く染まっていた。
「そりゃああの朱莉さんが選考会に参加するなんて珍しいからねぇ~」
灰みの青みの緑のボブの少女は面白がるようにそう言う。
「翠、うるさい……。アタシはただ、アツが他の女の子に悪くされないか心配なだけで……」
「とか言う割には、選考書も最初ら辺に出したクセにぃ~。朱莉ちゃんは照れ屋なのかな~?」
「確かに、朱莉さんが一人の男性のことに執着するなんて珍しいですね」
ピンク髪の少女と黒髪の少女もまた、朱莉のことを珍しいそうに見る。
「和奏と恋白までからかわないでよ……。アツとはただの幼馴染だから……っ。本人は覚えてなさそうだけど……」
どこかガッカリした表情になる朱莉。
「というか、野々音の方が選考会に参加するなんて珍しいよ」
「それについては私が勧めた。理事長特権でな」
「ん。お姉ちゃんにこの選考会に参加しろって言われた……」
得意気に胸を張る珠音。
そんな彼女を見て野々音以外の四人は呆れたような表情をしていた。
「うわ~出た。タマちゃんの職権乱暴~」
「何を言うか和奏。最愛の妹が安心して学園生活を送るためだ。家族愛と言ってもらおう」
「確かに野々音が可愛いのは分かるけど、本人の意思はどうなるのタマちゃん?野々音はこれで良かったの?」
「ん。野々のこと、邪魔しないなら誰でもいい……」
水色の髪の少女は亀のぬいぐるみを抱きしめながらそう言う。
「あの朱莉さんとタマちゃん先生に絶大な信頼を寄せられている八神碧月さん……。ますます気になりますね……」
「くっく。既に名前バレしてるが、新たな男について簡単に説明するとしよう」
珠音はそう言うと、プロジェクターで何かを映し出した。
そこには訪問時に隠し撮りしたのか、碧月の写真が投影されていた。
「彼の名前は八神碧月。年齢17歳。見ての通り、中々整った顔立ちをしている」
「ほんとだぁー。イケメンなんて珍しいね~」
碧月の写真を興味深そうに見る
5人。
珠音は説明を続ける。
「八神坊は5年ほど山籠りしていて、ある日、山を降りたらパラレルワールドになっていたらしい」
「随分と可哀想だね……」
「5年のブランクがあるのは辛いですね」
「その事も影響しているが、八神坊はかなり抜けておる。『天然王子』といったところだな。さっきも言った通り、顔立ちが良いからお前さんたちがしっかり守ってやれよ」
珠音の言葉にコクリと頷く5人。その姿を見て珠音も安心そうにしている。
「この場にいる5人は普段の成績と態度もいいから校則違反にならないと信じている」
珠音の言葉を先程の緩やかな感じとは違い真剣な表情で聞く5人。
よほど校則違反を警戒しているように思える。
「八神坊が来るのは明後日だ。今日のうちに準備を終わらせておけ。以上、解散」
珠音がそう言うと、5人は「はい」と揃って返事をし、理事長を去っていった。
理事長室に一人残った珠音は、未だ映る碧月の写真を眺め、はにかみながらこう言った。
「八神坊。学園ようこそ、パラレルワールドの学園に」
と。
理事長室にてそう告げる女性。
目の前の5人の少女は真剣な眼差しで聞いていた。
「とりあえずおめでとうと言っとこう」
先程から5人の少女の前で話をしている彼女は、以前、碧月の家 を訪問した椛珠音だ。
そして、碧月が通うことになる『皇義学園』の理事長でもある。
「今回は特に倍率に高かった。これもお前さんが動いたからだな。なぁ花咲妹よ」
珠音は口角を上げながら面白そうな目で朱莉を見る。
「別にアタシは……」
どこか恥ずかしそうな様子の朱莉。頬はほんのりと赤く染まっていた。
「そりゃああの朱莉さんが選考会に参加するなんて珍しいからねぇ~」
灰みの青みの緑のボブの少女は面白がるようにそう言う。
「翠、うるさい……。アタシはただ、アツが他の女の子に悪くされないか心配なだけで……」
「とか言う割には、選考書も最初ら辺に出したクセにぃ~。朱莉ちゃんは照れ屋なのかな~?」
「確かに、朱莉さんが一人の男性のことに執着するなんて珍しいですね」
ピンク髪の少女と黒髪の少女もまた、朱莉のことを珍しいそうに見る。
「和奏と恋白までからかわないでよ……。アツとはただの幼馴染だから……っ。本人は覚えてなさそうだけど……」
どこかガッカリした表情になる朱莉。
「というか、野々音の方が選考会に参加するなんて珍しいよ」
「それについては私が勧めた。理事長特権でな」
「ん。お姉ちゃんにこの選考会に参加しろって言われた……」
得意気に胸を張る珠音。
そんな彼女を見て野々音以外の四人は呆れたような表情をしていた。
「うわ~出た。タマちゃんの職権乱暴~」
「何を言うか和奏。最愛の妹が安心して学園生活を送るためだ。家族愛と言ってもらおう」
「確かに野々音が可愛いのは分かるけど、本人の意思はどうなるのタマちゃん?野々音はこれで良かったの?」
「ん。野々のこと、邪魔しないなら誰でもいい……」
水色の髪の少女は亀のぬいぐるみを抱きしめながらそう言う。
「あの朱莉さんとタマちゃん先生に絶大な信頼を寄せられている八神碧月さん……。ますます気になりますね……」
「くっく。既に名前バレしてるが、新たな男について簡単に説明するとしよう」
珠音はそう言うと、プロジェクターで何かを映し出した。
そこには訪問時に隠し撮りしたのか、碧月の写真が投影されていた。
「彼の名前は八神碧月。年齢17歳。見ての通り、中々整った顔立ちをしている」
「ほんとだぁー。イケメンなんて珍しいね~」
碧月の写真を興味深そうに見る
5人。
珠音は説明を続ける。
「八神坊は5年ほど山籠りしていて、ある日、山を降りたらパラレルワールドになっていたらしい」
「随分と可哀想だね……」
「5年のブランクがあるのは辛いですね」
「その事も影響しているが、八神坊はかなり抜けておる。『天然王子』といったところだな。さっきも言った通り、顔立ちが良いからお前さんたちがしっかり守ってやれよ」
珠音の言葉にコクリと頷く5人。その姿を見て珠音も安心そうにしている。
「この場にいる5人は普段の成績と態度もいいから校則違反にならないと信じている」
珠音の言葉を先程の緩やかな感じとは違い真剣な表情で聞く5人。
よほど校則違反を警戒しているように思える。
「八神坊が来るのは明後日だ。今日のうちに準備を終わらせておけ。以上、解散」
珠音がそう言うと、5人は「はい」と揃って返事をし、理事長を去っていった。
理事長室に一人残った珠音は、未だ映る碧月の写真を眺め、はにかみながらこう言った。
「八神坊。学園ようこそ、パラレルワールドの学園に」
と。
13
お気に入りに追加
266
あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


シン・三毛猫現象 〜自然出産される男が3万人に1人の割合になった世界に帰還した僕はとんでもなくモテモテになったようです〜
ミコガミヒデカズ
ファンタジー
気軽に読めるあべこべ、男女比モノです。
以前、私がカクヨム様で書いていた小説をリメイクしたものです。
とあるきっかけで異世界エニックスウェアに転移した主人公、佐久間修。彼はもう一人の転移者と共に魔王との決戦に挑むが、
「儂の味方になれば世界の半分をやろう」
そんな魔王の提案に共に転移したもう一人の勇者が応じてしまう。そんな事はさせないと修は魔王を倒そうとするが、事もあろうに味方だったもう一人の勇者が魔王と手を組み攻撃してきた。
瞬間移動の術でなんとか難を逃れた修だったが、たどり着いたのは男のほとんどが姿を消した異世界転移15年後の地球だった…。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

俺、貞操逆転世界へイケメン転生
やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。
勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。
――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。
――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。
これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。
########
この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

男女比1/100の世界で《悪男》は大海を知る
イコ
ファンタジー
男女貞操逆転世界を舞台にして。
《悪男》としてのレッテルを貼られたマクシム・ブラックウッド。
彼は己が運命を嘆きながら、処刑されてしまう。
だが、彼が次に目覚めた時。
そこは十三歳の自分だった。
処刑されたことで、自分の行いを悔い改めて、人生をやり直す。
これは、本物の《悪男》として生きる決意をして女性が多い世界で生きる男の話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる