Re.パラレルワールドの反逆者〜デブでイジメられていた俺が痩せて帰ってきたら、何故か貞操観念が逆転していた件

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第1章 学園編〜天然王子とその護衛(クラスメイト)たち

第0話 護衛(クラスメイト)

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逢坂翠あいさかすい 花咲朱莉はなさきあかり 柊木和奏ひいらぎわかな 菫沢恋白すみれざわこはく 椛野々音かんばののね。 以上5名を新たな男の護衛クラスメイトとする」

 理事長室にてそう告げる女性。
 目の前の5人の少女は真剣な眼差しで聞いていた。

「とりあえずおめでとうと言っとこう」
 
 先程から5人の少女の前で話をしている彼女は、以前、碧月の家 を訪問した椛珠音かんばたまねだ。
 そして、碧月が通うことになる『皇義すめらぎ学園』の理事長でもある。

「今回は特に倍率に高かった。これもお前さんが動いたからだな。なぁ花咲妹よ」

 珠音は口角を上げながら面白そうな目で朱莉を見る。

「別にアタシは……」

 どこか恥ずかしそうな様子の朱莉。頬はほんのりと赤く染まっていた。

「そりゃああの朱莉さんが選考会に参加するなんて珍しいからねぇ~」

 灰みの青みの緑のボブの少女は面白がるようにそう言う。

「翠、うるさい……。アタシはただ、アツが他の女の子に悪くされないか心配なだけで……」

「とか言う割には、選考書も最初ら辺に出したクセにぃ~。朱莉ちゃんは照れ屋なのかな~?」

「確かに、朱莉さんが一人の男性のことに執着するなんて珍しいですね」

 ピンク髪の少女と黒髪の少女もまた、朱莉のことを珍しいそうに見る。

「和奏と恋白までからかわないでよ……。アツとはただの幼馴染だから……っ。本人は覚えてなさそうだけど……」

 どこかガッカリした表情になる朱莉。

「というか、野々音の方が選考会に参加するなんて珍しいよ」

「それについては私が勧めた。理事長特権でな」

「ん。お姉ちゃんにこの選考会に参加しろって言われた……」

 得意気に胸を張る珠音。
 そんな彼女を見て野々音以外の四人は呆れたような表情をしていた。
 
「うわ~出た。タマちゃんの職権乱暴~」
 
「何を言うか和奏。最愛の妹が安心して学園生活を送るためだ。家族愛と言ってもらおう」

「確かに野々音が可愛いのは分かるけど、本人の意思はどうなるのタマちゃん?野々音はこれで良かったの?」

「ん。野々のこと、邪魔しないなら誰でもいい……」

 水色の髪の少女は亀のぬいぐるみを抱きしめながらそう言う。

「あの朱莉さんとタマちゃん先生に絶大な信頼を寄せられている八神碧月さん……。ますます気になりますね……」

「くっく。既に名前バレしてるが、新たな男について簡単に説明するとしよう」

  珠音はそう言うと、プロジェクターで何かを映し出した。
 そこには訪問時に隠し撮りしたのか、碧月の写真が投影されていた。

「彼の名前は八神碧月。年齢17歳。見ての通り、中々整った顔立ちをしている」

「ほんとだぁー。イケメンなんて珍しいね~」

 碧月の写真を興味深そうに見る
5人。
 珠音は説明を続ける。
 
「八神坊は5年ほど山籠りしていて、ある日、山を降りたらパラレルワールドになっていたらしい」

「随分と可哀想だね……」

「5年のブランクがあるのは辛いですね」

「その事も影響しているが、八神坊はかなり抜けておる。『天然王子』といったところだな。さっきも言った通り、顔立ちが良いからお前さんたちがしっかり守ってやれよ」

 珠音の言葉にコクリと頷く5人。その姿を見て珠音も安心そうにしている。

「この場にいる5人は普段の成績と態度もいいから校則違反ゲームオーバーにならないと信じている」

 珠音の言葉を先程の緩やかな感じとは違い真剣な表情で聞く5人。
 よほど校則違反ゲームオーバーを警戒しているように思える。

「八神坊が来るのは明後日だ。今日のうちに準備を終わらせておけ。以上、解散」

 珠音がそう言うと、5人は「はい」と揃って返事をし、理事長を去っていった。

 理事長室に一人残った珠音は、未だ映る碧月の写真を眺め、はにかみながらこう言った。

「八神坊。学園ようこそ、パラレルワールドの学園に」
と。
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