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序章

9話 面接ってこんな事聞かれるの?

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【今回の学習】
 白色の腕輪
—————————————————————

 パラレルワールドに来て3日目。
 俺は今、学園の理事長と名乗る人と対面で座っていた。

「八神坊の親御さんからの頼みで、我が校にお前さんを通わせることになった」

 八神坊っていう呼び方が気になるけど、お偉いさんだからツッコめない。

「それに我が校には、隣の家の花咲姉妹も通っている。それに八神坊の妹も通っている。うちは中高一貫校だからな」

 なるほど。母さんは知り合いがいる学園が安心だと思ったのか。
 俺としても学園内に知り合いがいるとありがたい。

「八神坊は今、17歳だから高等部2年だな。私が今日来たのは面接をする為だ」

 学園に通えるかの面接か。いきなりで何にも練習してないけど、上手く答えられるかな?

「それにしても中々いい男だな」

 俺の顔をジロジロと見る理事長さん。普通の顔だと思うが……。
 
 理事長さんは、サイドだけ長いオレンジ色のショートカットに紫色の瞳。
 小柄でロリ可愛いと言ったところだ。これで20歳を超えているとは……。

「ところで……何故八神妹もいる」

 俺の横に視線をずらしてそう言う。
 確かに、俺の隣には梨月が当然のように座っていた。

「お兄ちゃんのサポートです」

 ニッコリと答える梨月。
 ま、まあ俺も梨月が居てくれるのは安心だが、面接中に居ていいのか?

「そういえば先程、八神坊は5年ぶりに山を降りたらパラレルワールドになっていたとか言っていたな」

「ま、まぁ……はい」

  少し前まで雑談をしていてそこで、経緯とかについて話していたのだ。

「まだ混乱する部分もあるか。今日は親御さんもいないし、特例で八神妹の同席を認めよう」

「ありがとうございます」

 理事長さんって意外と優しいな。理事長っていうもんだからもっと硬い人かと思っていた。

「雑談もここまでとして、そろそろ面接を始めるか」

「は、はい」

 それからは普通の面接で「何が得意だ」や「自分の長所は」など聞かれた。
 
「ふぅ……」

 なんとか質問に答えることができ、ホッと一息つく。

「じゃあ最後の質問だ。八神坊、お前さんはは誰としてもOKか?」

「えっ?」

 い、今なんて……

「お兄ちゃんはセックスなんてしません」

 俺が聞き返す前に梨月がキッパリとそう言った。

「八神妹よ、兄が大切なことは分かるが、そう独占欲を丸出しにされては困る」

 腕を組み、やれやれとした表情の理事長さん。
 梨月はなんかちょっと不機嫌そうだ。

「えっと……あの……」

「いきなりセックスと言われて戸惑うのも分かるが、これは重要な質問だ」

「じゅ、重要?」

「男女比に圧倒的な差がついているのは八神坊も知っているだろう?」

「は、はい……。確か、1万人対6000万人だとか……」

「そうだ。男が謎の激減をしている。このままでは人類は滅びてしまう。人類を存続させる為にはすなわち、子供を産むしかない。つまり、セックスしないといけないのだ」

 理事長さんが言っていることは正しい。人口が減るのを少しでも抑える為には子供を作るしかない。
 
「しかし、いくら子供を産んで欲しいからといって、男が子供を作る道具化となってほしくないのだ」

 圧倒的に少ない男性が複数の女性とするしかないよな。
 道具化は確かに嫌だな……。

「そこで私たちは事前に本人に意思確認を取ることにしている。たとえ、パラレルワールドになったとしても人には選ぶ権利というものがある」

 つまり、複数人とセックスをするかしないかは自分自身ということか。

「八神坊はどうする?」

 興味がないと言ったら嘘になる。俺だって男だ。
 でも……

「誰とでもは嫌ですね」

 そういうのは好きな人とするべきだと思う。俺なんかが恋人なんて作れるかも分からないけど。

「そうか……」

 理事長さんは一言そう言うと、鞄の中から何かを取り出した。

「八神坊、13歳から18歳の間はこれを付けなければならない決まりでな」

 そう言ってを渡された。

「使い方は八神妹に教えてもらえ。また詳しいことは学園に来た時に話す」

「えっ、学園の面接は……」

「もちろん合格だ。まあ男なら最初から合格だがな」

 そ、そうなのか……。とりあえず学園に通えることになって良かった。

「そういえばまだ私の名前を言ってなかったな」

 本当にそういえばだ。理事長さんで安定していた。

「私の名前は椛珠音かんばたまね。みんなからは『タマちゃん』と呼ばれている。八神坊もそう呼ぶといい。あと、敬語も不要だ」

 面接が終わり、立ち上がる理事長もといタマちゃん。
 見た目は幼女だが、頼れそうな人だ。

「お前さんの入学、楽しみにしてるぞ、八神碧月」

 そう言い残し、帰っていった。

    ◇           ◇       ◇

「5年ぶりに山を降りたらパラレルワールドになっていたかぁ……。くっく、中々、面白い奴だ」

 珠音は八神家を出てすぐさま携帯を取り出し、誰かに掛けた。

「ああ、私だ。例の少年にあって来たぞ。中々のイケメンだったな。これは競争率が凄いことになる」

 どこか楽しげに伝える珠音。

「すぐに護衛クラスメイトの選考をしよう。選考方法は通常通りで構わない」

 そう言い終わると、電話を切った。

「八神坊がこの学園でどう行動するか、見ものだな」

 碧月はまだ知らない。
 このパラレルワールドで変わったことが男女比だけではない事を。


            序章終わり
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