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序章
8話 梨月ちゃんは言いました「お兄ちゃんのバカ……っ」と
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【今回の学習】
やっぱり兄妹っていいよね
—————————————————————
翌日の夕方。
俺は今、妹の梨月の前で正座をしている。
「………」
見上げると、梨月は頬を膨らませ、怒っている様子だ。
昨日、梨月は友達の家に泊まっていたらしく帰って来なかった。
母さんがサプライズとして俺が帰ってきたことを梨月に知らせていなかったので、リビングで梨月に会ったところ、無言の圧で正座を促され今の状況に至る。
「………」
相変わらず何も発さず、ただ俺を見下ろしている。
梨月も大きくなったなぁ……。
灰みがかった青緑色のポニーテールに俺と同じ青色の瞳。
そして、昔から付けている黒のうさ耳シュシュ。
これは確か、小さい頃に誕生日プレゼントとして渡したものだ。未だに大切にしてくれてるなんてありがたい。
「お兄ちゃん、聞いてるんですか?」
「待て。お前、何も言ってなかっただろ?」
さっきから黙って見下ろしていただけじゃないか。
「お前じゃない。梨月」
「はい、梨月さん……」
「………」
「梨月……」
5年も会わない間にこんなにも成長してるなんてなぁ……。
昔は「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と言って、後をついてきたものだ。
すると、梨月は「はぁ……」とため息をつき、ようやく話し始めた。
「……この5年間、連絡もよこさないで」
うっ……
「家族が大変な時に、1人だけ安全なところに居て」
うっ……
「お兄ちゃんは私たち家族のことが嫌いなんですか?」
「いえ、大好きです」
母さんも梨月も大好きです。
俺が即答したのがよほど嬉しかったのか、「そ、そうですか……えへへ」と顔を赤らめて喜んでいる。
可愛い妹だな。
「こほっん……。とにかく、本当に心配したんですよ?お兄ちゃんが突然、おじいちゃんの家で修行するって出発したすぐ後に、男性がいなくなる事件が多発して……」
「もしかしたら、お兄ちゃんもいなくなってるんじゃないかと思って……っ」
段々と梨月の声が震えてきた。
「毎日、毎日不安で……。このうさ耳のシュシュをギュッと握りしめて祈ることしかできなくて……」
そこまで言うと、梨月は口を閉ざした。
「本当にすまなかったと思っている」
俺は床に頭をつけ、精一杯の謝罪をする。正座だけじゃ足りない。
「う、うぅ……お兄ちゃんのバカ……っ」
バカと言われても仕方ない。連絡を取れば、すぐに駆けつけることだってできたのに……。
「……顔を上げて下さい」
顔をあげると、涙をいっぱい溜めている梨月の姿があった。
溢れる涙を拭い、気持ちを落ち着かせている。
「ギュッと抱きしめてください」
「……正座しなくていい?」
「……やっぱりしててください。私が上に乗るので」
そう言い、俺の膝の上に座って、首に手をまわしてギュッと抱きついてきた。
「お母さんがいない時、家でいつも1人でした……」
俺の首元にうずくまり、震える声でそう言われる。
梨月がこんなにも泣くなんて……よっぽど寂しかったんだろうな。
「梨月、安心しろ。お兄ちゃんはもう、何処にも行かないから」
そう言い、サラサラの髪を優しく撫でる。
すると、首元でうずくまっている梨月がピクッと動いた。
「ほんと……ですか?」
「ああ。家に帰っても絶対いるし、これからご飯も一緒に食べれる」
俺は自分の事にいっぱいになり過ぎて大切な妹との時間を過ごせてなかった。
これからは兄妹の時間をたくさん作らないとな。
「構ってくれないと私、寂しくて死んじゃいますからね?」
「それは困るな。じゃあ毎日構ってあげないとな」
笑いかけると梨月は最高に可愛い笑顔を返してくれた。
「今日は添い寝してくれないと許さないですからね?」
首をコテンと傾げて言う姿は、自分の妹ながらに可愛いと思えてしまう。
「おうよ。毎日でもしてやる」
「ふふっ、じゃあ毎日お願いします」
ギューと俺に抱きつき、上機嫌になった梨月。
やっぱり兄妹っていいよな……。
やっぱり兄妹っていいよね
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翌日の夕方。
俺は今、妹の梨月の前で正座をしている。
「………」
見上げると、梨月は頬を膨らませ、怒っている様子だ。
昨日、梨月は友達の家に泊まっていたらしく帰って来なかった。
母さんがサプライズとして俺が帰ってきたことを梨月に知らせていなかったので、リビングで梨月に会ったところ、無言の圧で正座を促され今の状況に至る。
「………」
相変わらず何も発さず、ただ俺を見下ろしている。
梨月も大きくなったなぁ……。
灰みがかった青緑色のポニーテールに俺と同じ青色の瞳。
そして、昔から付けている黒のうさ耳シュシュ。
これは確か、小さい頃に誕生日プレゼントとして渡したものだ。未だに大切にしてくれてるなんてありがたい。
「お兄ちゃん、聞いてるんですか?」
「待て。お前、何も言ってなかっただろ?」
さっきから黙って見下ろしていただけじゃないか。
「お前じゃない。梨月」
「はい、梨月さん……」
「………」
「梨月……」
5年も会わない間にこんなにも成長してるなんてなぁ……。
昔は「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と言って、後をついてきたものだ。
すると、梨月は「はぁ……」とため息をつき、ようやく話し始めた。
「……この5年間、連絡もよこさないで」
うっ……
「家族が大変な時に、1人だけ安全なところに居て」
うっ……
「お兄ちゃんは私たち家族のことが嫌いなんですか?」
「いえ、大好きです」
母さんも梨月も大好きです。
俺が即答したのがよほど嬉しかったのか、「そ、そうですか……えへへ」と顔を赤らめて喜んでいる。
可愛い妹だな。
「こほっん……。とにかく、本当に心配したんですよ?お兄ちゃんが突然、おじいちゃんの家で修行するって出発したすぐ後に、男性がいなくなる事件が多発して……」
「もしかしたら、お兄ちゃんもいなくなってるんじゃないかと思って……っ」
段々と梨月の声が震えてきた。
「毎日、毎日不安で……。このうさ耳のシュシュをギュッと握りしめて祈ることしかできなくて……」
そこまで言うと、梨月は口を閉ざした。
「本当にすまなかったと思っている」
俺は床に頭をつけ、精一杯の謝罪をする。正座だけじゃ足りない。
「う、うぅ……お兄ちゃんのバカ……っ」
バカと言われても仕方ない。連絡を取れば、すぐに駆けつけることだってできたのに……。
「……顔を上げて下さい」
顔をあげると、涙をいっぱい溜めている梨月の姿があった。
溢れる涙を拭い、気持ちを落ち着かせている。
「ギュッと抱きしめてください」
「……正座しなくていい?」
「……やっぱりしててください。私が上に乗るので」
そう言い、俺の膝の上に座って、首に手をまわしてギュッと抱きついてきた。
「お母さんがいない時、家でいつも1人でした……」
俺の首元にうずくまり、震える声でそう言われる。
梨月がこんなにも泣くなんて……よっぽど寂しかったんだろうな。
「梨月、安心しろ。お兄ちゃんはもう、何処にも行かないから」
そう言い、サラサラの髪を優しく撫でる。
すると、首元でうずくまっている梨月がピクッと動いた。
「ほんと……ですか?」
「ああ。家に帰っても絶対いるし、これからご飯も一緒に食べれる」
俺は自分の事にいっぱいになり過ぎて大切な妹との時間を過ごせてなかった。
これからは兄妹の時間をたくさん作らないとな。
「構ってくれないと私、寂しくて死んじゃいますからね?」
「それは困るな。じゃあ毎日構ってあげないとな」
笑いかけると梨月は最高に可愛い笑顔を返してくれた。
「今日は添い寝してくれないと許さないですからね?」
首をコテンと傾げて言う姿は、自分の妹ながらに可愛いと思えてしまう。
「おうよ。毎日でもしてやる」
「ふふっ、じゃあ毎日お願いします」
ギューと俺に抱きつき、上機嫌になった梨月。
やっぱり兄妹っていいよな……。
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