Re.パラレルワールドの反逆者〜デブでイジメられていた俺が痩せて帰ってきたら、何故か貞操観念が逆転していた件

序章

6話 もはや夫婦漫才

【今回の学習】
朱莉はウブで料理上手
———————————————————
———トントントン

「………」

————グツグツ

「………」

「…って、そんなにガン見しないでよ！？」

　そうお叱りを受ける俺は今、朱莉がテキパキと料理する姿をただひたすら横で眺めていた。

「いや、ほんとに料理作れるんだなーと思って」

「アタシが作れたら悪いのっ！」

「いや、ギャルに新たな属性がつく画期的な瞬間で良いと思うぞ！」

　そう返すと思いっきりスネを蹴られた。
　鍛えたとはいえ、め、めちゃくちゃ…イダイ…っ。

「誰がギャルよ、そういう見た目しているけど…。ほらアツ、口開けなさい」

　蹴られたスネが痛くてピョンピョン跳ねる俺に対して、朱莉が箸に乗ったジャガイモを差し出してきた。
　これはさっきほどから作っている肉じゃがのジャガイモだな。

「あーん。もぐもぐ…」

「どう？」

「んー…。もうちょい醤油入れた方がいいと思う。具体的には小さじ一杯分」

「ん、分かった」

　朱莉は俺のアドバイス通りに醤油を小さじ一杯分入れた。

「手伝おっか？」

「いや、いい。ていうかアツは主役なんだし」

「動いてないと落ち着かない」

「じゃあもう一回スネ蹴りしようか？」

「そういうことを言ってるんじゃない」

　誰も蹴って欲しいとかドM発言をしていない。

「この肉じゃが最後だから手伝うことはないよ」

　確かに台所とテーブルには既に出来上がった料理が並べられいた。
　どれも美味しそうだ。

「まだ役割が残ってるじゃん」

「えっ？」

「味見役」

「ばかっ…」

　そんな俺たちを除く温かく見守る(若干1名を除く)人達がいた。

「これじゃまるで…」

「「「夫婦(ね～)(だね)(です)」」」

　母さんと花織さんと桜果さんの三人が何やらハモった。

「ふ、ふ、夫婦っ！？」

　そう驚く朱莉の顔は赤くなっていた。
　朱莉って見た目ギャルっぽくて経験豊富そうなのに意外とウブな反応するよなー。

「朱莉っ！私が旦那様ハーレムの一号ですからねっ！」

「ええ！？ハ、ハーレムって…」

「うゆ？じゃあひなたは3号さんなの～♪」

「わわっ！？向葵が変な言葉を…。どうしてくれるのよ、アツ！」

「俺は何もやってない。てかそこまで変な言葉じゃないだろ？」

　腕に引っ付くてくる桜果さんとポカポカと涙目で叩いてくる朱莉をなだめる。
　向葵ちゃんはポテトサラダをつまみ食いをしていた。

「あらあら～。あっくんたらっ、もうハーレム築いちゃったわね～♪」

「では私は何号かな？」

「母さん、俺はハーレムなんて築いてないよ。それと花織さん、悪ノリはやめてください」

「なんでアツはそんな冷静にツッコめるのっ！？」

「信じられないことが起き過ぎて頭がパンク中。それと単に朱莉みたいな可愛い子と夫婦って見られて嬉しい」

　昔の俺じゃあデブで不細工過ぎるから美女と野獣ブスだよな。

「か、か、かわ…っ！？も、もぅバカっ！？」

　悪いことは何も言ってないはずなのに朱莉からもう一回スネ蹴りを受けた。

　その後、朱莉が作った晩御飯を食べた。めちゃくちゃ美味しかった。