Re.パラレルワールドの反逆者〜デブでイジメられていた俺が痩せて帰ってきたら、何故か貞操観念が逆転していた件

序章

2話 そしてお隣さんにも土下座した

【今回の学習】
努力は周りの人でさえ巻き込む。
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「一番に報告したい人がいるの～」

　ようやく落ち着いた母さん、というより俺か。
　母さんにそう言われ、お隣さんの家に連れて行かれる。表札には『花咲』と書いてある。

———ピンポーン

「花織かおりちゃーん、帰ってきたよ～」

「えっ、そんな呼び掛けでいいの？」
　
　母さんがインターフォンにそう呼びかけると、家の中からドタドタと慌ただしい足音がした。
　そして勢いよくドアが開かれる。

「………」

　出てきたのは女性。
　容姿は濃こき色のボブに茜色の瞳に抜群のプロポーション。めちゃくちゃ綺麗な女性だ。
　
　今は目を見開き、驚いた表情をしている。
　しばらく固まったまま俺を凝視していたが、ようやく口を開いた。

「……とりあえず中に入ってください。ここはなにかと目立ちますから」

　そう言われたので、俺と母さんはその女性の家に上がった。
　それからリビングに案内され、俺と母さん、花咲さんと対面に座る。

「それで、貴方は八神碧月くんで間違いないのね？」

「は、はい……」

「そう……」

　深刻そうな顔になったと思えば、次は隣に座る母さんの方を見る花咲さん。
　そして、ニッコリと微笑んだ。

「先輩、良かったですね」

「うんっ！花織ちゃんのおかげだよ～」
　
　花咲さんの目尻には涙が溜まっていた。そして母さんの目にも再び、溜まっている。

「色々ありがとうっ、花織かおりちゃーん」

「いえいえ」

　お互いに手を握り合い、感動を分かちかっている2人。
　この状況を飲み込めないのはやはり俺だけだ。

「うちがご飯を食べれなかった時にご飯を分けてくれたり、ご馳走してくれたり」

　え？

「洋服が買えなかった時もお下がりをくれたり、買ってくれたり」

　ええ？？

「仕事がなくなった時は仕事先を紹介してくれたり」

　えええ？？？

「お金が底をついた時には貸してくれたり」

　ええええ？？？？

「ほんと色々ありがと～～！」

　待って、どういうこと？俺のいない5年間に一体、八神家で何があったんだよ！？
　とりあえず、確実に分かったことがある。今、母さんの隣にいる女性、花織さんは間違いなく八神家にとって恩人で神様的存在だと。

　そんな花織さんの目の前に行き、再びこう叫んだ。

「本当にすいませんでしたぁぁぁ！」
と。
　こうして俺はお隣さんにも土下座をしたのであった。