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29話
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私達はお母様の言葉に従い街に戻ります。
確かに強がったものの、今の私達では戦いについていけない……ロイ君がいたら残れたのかな?
ロイ君の回避と防御は既に冒険者でもかなり上の方だと聞いています。それに私達と年が変わらないのに全く疲れを感じさせずに常に笑っています。
本当に凄いです。
「ねぇ、フィア……私達もっと強くなれるよね?」
レラは歩きながらそう私に言う。理由はなんとなくわかります。
現役の『聖天』の力は凄かった……それにお母様も……。どれだけ、訓練しても──強くなっても──追いつく所か、力の差が明白になっていく。
あの場に私達がいても邪魔になるだけなのはわかったていた。
「……うん。強さや凄さがわかるのは自分が成長した証だってお母様が言ってた……」
「そう……少しでも追いつきたいわね……」
「そうですね……ロイ君に置いていかれないようにしないと……」
ロイ君は自分が1番足手まといになると思っているけど、3人の中で成長はずば抜けている。
訓練で複数人相手にしていても、まともに一撃を当てるのは困難だったりする。
どちらかと言うと私達の方がついて行けていない──
「えぇ、私達だって守られるだけじゃない所を見せましょう! ──!? フィアっ!」
そんな事を考えていると、急にレラが立ち止まり声をかけてきた。
「──はい」
目の前にはゆらゆらと揺れながら近付く気配──
レラは抜剣し、私もメイスを手に持つ。
「──久しぶりだなぁ」
「その声──この間のBランク冒険者?! 街から出たんじゃなかったの?!」
レラと話をしている目の前のフードで身を隠した存在はどう考えても人ではない。話から以前にレラが酷い目にあわせた人のはず……。
「お前らに復讐する為に俺は機会を待ったんだよっ! いつも護衛がいやがるからな。今日は誰もいねぇ──八つ裂きにしてやるっ!」
「前の私と思わない事ね? 今日は1人じゃないっ! フィアだっているんだからっ! 返り討ちにしてやるわっ!」
レラの言葉通り──今日は『聖天』の人は誰もいないけど、私がいますっ!
確かに──殺気混じりの物凄い『威圧』です。
この間の私達では足がすくんで動けなかったでしょう。
しかし、今の私達はマンティコアとの戦闘で『威圧耐性』を習得しているとお母様から聞いています。
実戦に勝る訓練は無いと聞きますが、まさしくその通りです。
ロイ君に出会ってから──ロイ君程ではないですが、新しいスキルを習得し、更に成長出来ている。
それはレラも同じはず。例え、相手が格上でも簡単にやられたりはしないですっ!
「今日はあの坊主はどうした? 外にはいないはずだが?」
外にいないはず?
どう言う意味?
「──ロイが出るまでもないわよ」
「……なんだ本当にこの近くにいねぇのか。つまらん。あいつがいなきゃ余裕だな。まぁ、良い──どうせ、お前らの護衛は魔物で来れねぇしな」
「それは──どういう意味ですか!?」
今回外の魔物の件もこの人が関係してる可能性を示唆されて私は思わず声を出す。
「あぁ? これを俺にくれた奴が引き付けてくれてんだよ。本当の目的はあの坊主なんだがな。家もわかってるし、後で向かうか」
ロイ君が狙われている?
ロイ君は今、マンティコアの戦闘で気を失っている……私達がなんとかしないと──
「「──絶対に行かせないっ!」」
私とレラは言葉が被る。
「俺は力を貰ったんだよ。お前らを殺す為になぁっ! お前らもこの力でこの中に入れてやるよっ!」
「「「ゔゔぁあぁぁぁっ」」」
──!?
男がフードを脱ぐと体中に苦悶の表情を浮かべた顔がたくさん浮かんでおり、そいつらはうめき声を上げ続けていた。
融合している?
今、目の前にいる存在はもう人ではない──魔物になっている……。
それにあの男の持っている剣──あれは魔剣。
目に見えるぐらい禍々しいオーラが見える……もしかして、この魔剣が原因?
魔剣は効果が不明な物も多く、呪われている物もあるとお母様の講義で言っていました。
「レラ──死力を尽くしてでもロイ君を守りましょうっ!」
「えぇ──必ずここで止めるわっ!」
私の合図と同時にレラは駆け出し斬りかかる──
「前より動きが良いな……だが──その程度では俺には勝てんな。むんっ!」
男は剣を振り抜き、レラの攻撃を受け止めた後に吹き飛ばします。
「ちっ、フィアっ!」
「はいっ! ──光線! レラっ!」
──斬っ!
私の魔法が直撃し、胸元に穴が空いた瞬間にレラが首を斬り飛ばします──
「「やったっ!」」
私達はハイタッチを交わす。
「レラ、早くこの事をお母様に──」
「まだだ──これぐらいじゃ俺は倒れねぇぜ?」
男の首は繋がり、傷は回復されていた。
「……何故?」
私は自然とそんな言葉が出てしまいました。普通は首が飛ばされて生きている生き物なんて有り得ない……。例外としてアンデットぐらいのはず──
「んあ? 別に俺はアンデットじゃねぇよ。人ではなくなったがなぁ? まずは鬱憤を晴らさせてもらう──その後にロイだったか? あいつをやればいいだろ」
殺しても死なないなんて……どうしたら……。
それに私も魔力も残り少ない……レラも体力的に限界……。
怖い──
「──良い顔だな。もっと俺に見せてくれよ? さぁ宴の時間だ──」
確かに強がったものの、今の私達では戦いについていけない……ロイ君がいたら残れたのかな?
ロイ君の回避と防御は既に冒険者でもかなり上の方だと聞いています。それに私達と年が変わらないのに全く疲れを感じさせずに常に笑っています。
本当に凄いです。
「ねぇ、フィア……私達もっと強くなれるよね?」
レラは歩きながらそう私に言う。理由はなんとなくわかります。
現役の『聖天』の力は凄かった……それにお母様も……。どれだけ、訓練しても──強くなっても──追いつく所か、力の差が明白になっていく。
あの場に私達がいても邪魔になるだけなのはわかったていた。
「……うん。強さや凄さがわかるのは自分が成長した証だってお母様が言ってた……」
「そう……少しでも追いつきたいわね……」
「そうですね……ロイ君に置いていかれないようにしないと……」
ロイ君は自分が1番足手まといになると思っているけど、3人の中で成長はずば抜けている。
訓練で複数人相手にしていても、まともに一撃を当てるのは困難だったりする。
どちらかと言うと私達の方がついて行けていない──
「えぇ、私達だって守られるだけじゃない所を見せましょう! ──!? フィアっ!」
そんな事を考えていると、急にレラが立ち止まり声をかけてきた。
「──はい」
目の前にはゆらゆらと揺れながら近付く気配──
レラは抜剣し、私もメイスを手に持つ。
「──久しぶりだなぁ」
「その声──この間のBランク冒険者?! 街から出たんじゃなかったの?!」
レラと話をしている目の前のフードで身を隠した存在はどう考えても人ではない。話から以前にレラが酷い目にあわせた人のはず……。
「お前らに復讐する為に俺は機会を待ったんだよっ! いつも護衛がいやがるからな。今日は誰もいねぇ──八つ裂きにしてやるっ!」
「前の私と思わない事ね? 今日は1人じゃないっ! フィアだっているんだからっ! 返り討ちにしてやるわっ!」
レラの言葉通り──今日は『聖天』の人は誰もいないけど、私がいますっ!
確かに──殺気混じりの物凄い『威圧』です。
この間の私達では足がすくんで動けなかったでしょう。
しかし、今の私達はマンティコアとの戦闘で『威圧耐性』を習得しているとお母様から聞いています。
実戦に勝る訓練は無いと聞きますが、まさしくその通りです。
ロイ君に出会ってから──ロイ君程ではないですが、新しいスキルを習得し、更に成長出来ている。
それはレラも同じはず。例え、相手が格上でも簡単にやられたりはしないですっ!
「今日はあの坊主はどうした? 外にはいないはずだが?」
外にいないはず?
どう言う意味?
「──ロイが出るまでもないわよ」
「……なんだ本当にこの近くにいねぇのか。つまらん。あいつがいなきゃ余裕だな。まぁ、良い──どうせ、お前らの護衛は魔物で来れねぇしな」
「それは──どういう意味ですか!?」
今回外の魔物の件もこの人が関係してる可能性を示唆されて私は思わず声を出す。
「あぁ? これを俺にくれた奴が引き付けてくれてんだよ。本当の目的はあの坊主なんだがな。家もわかってるし、後で向かうか」
ロイ君が狙われている?
ロイ君は今、マンティコアの戦闘で気を失っている……私達がなんとかしないと──
「「──絶対に行かせないっ!」」
私とレラは言葉が被る。
「俺は力を貰ったんだよ。お前らを殺す為になぁっ! お前らもこの力でこの中に入れてやるよっ!」
「「「ゔゔぁあぁぁぁっ」」」
──!?
男がフードを脱ぐと体中に苦悶の表情を浮かべた顔がたくさん浮かんでおり、そいつらはうめき声を上げ続けていた。
融合している?
今、目の前にいる存在はもう人ではない──魔物になっている……。
それにあの男の持っている剣──あれは魔剣。
目に見えるぐらい禍々しいオーラが見える……もしかして、この魔剣が原因?
魔剣は効果が不明な物も多く、呪われている物もあるとお母様の講義で言っていました。
「レラ──死力を尽くしてでもロイ君を守りましょうっ!」
「えぇ──必ずここで止めるわっ!」
私の合図と同時にレラは駆け出し斬りかかる──
「前より動きが良いな……だが──その程度では俺には勝てんな。むんっ!」
男は剣を振り抜き、レラの攻撃を受け止めた後に吹き飛ばします。
「ちっ、フィアっ!」
「はいっ! ──光線! レラっ!」
──斬っ!
私の魔法が直撃し、胸元に穴が空いた瞬間にレラが首を斬り飛ばします──
「「やったっ!」」
私達はハイタッチを交わす。
「レラ、早くこの事をお母様に──」
「まだだ──これぐらいじゃ俺は倒れねぇぜ?」
男の首は繋がり、傷は回復されていた。
「……何故?」
私は自然とそんな言葉が出てしまいました。普通は首が飛ばされて生きている生き物なんて有り得ない……。例外としてアンデットぐらいのはず──
「んあ? 別に俺はアンデットじゃねぇよ。人ではなくなったがなぁ? まずは鬱憤を晴らさせてもらう──その後にロイだったか? あいつをやればいいだろ」
殺しても死なないなんて……どうしたら……。
それに私も魔力も残り少ない……レラも体力的に限界……。
怖い──
「──良い顔だな。もっと俺に見せてくれよ? さぁ宴の時間だ──」
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