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二人で食事を
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私が車の助手席に座ると、課長は運転席からこちらに顔を向けた。
「何か食べたいものある?
本当いうと、初めてはちゃんとした所を予約して連れて行きたかったんだけど、時間が遅いからな……。軽く飲みながらイタリアンか和食にしようか。」
「そうですね、遅いから和食の方が重くなくていいでしょうか。」
「そうだな、和食にしよう。明日は何か予定あるのか。」
「明日ですか?特には。土日はお掃除したり、DVD観たり、読書したり…ですかね?私、インドア派なんです。」
「そんな感じだよな。」少し嬉しそうに言う課長にぷぅっとふくれてしまう。
「なんだ、怒ったのか?可愛いな。色白の鈴原のイメージ通りだって褒めてるんだが。」
………!"可愛い"という所だけをひろってしまい、首筋まで赤く染まってしまったかも知れない。
「世間知らずなインドア人間をいじめないでくださいよ。」
「クるな…嗜虐趣味はなかった筈だが…」課長は小声で何か呟いていたけど、赤くなった頬を押さえて窓の方を向いていた私には聞こえなかった。
「じゃ、行くぞ」と車を走らせた。
「それで、どんな映画を観るんだ?」
「結構何でも観ますね。ホラー以外は。昔の名作とか、アクションとか、レンタルになったばかりのものとか、課長は映画を観に行く派ですか。」
「イヤ、映画館にはめったに行かない。観るとすればアクションを借りて家で観る位だな。
でも、鈴原が行きたいなら連れて行くぞ?」
「いぇ、私もめったに映画館には行かないです。借りて家で観る方が楽です。」
「インドア派だもんな?」あハハと笑う。
「だったら課長だってインドア派じゃないですか!」
「そうだな、週末二人で家で観るか、インドア同士?」
「はいはい、わかりました。…もぅ、課長って小さい頃いじめっ子だったんじゃないですか?」
「好きな子をいじめたくなるのは男子共通。」
「もう映画の話は終わり!今度は課長の好きな食べ物を教えてください。」
「鈴原の手料理なら、目玉焼きだっていいぞ?………しいていうなら、ハンバーグとか、生姜焼きとか。最初は失敗しちゃってもいいぞ?」
「もう食べ物の話もいいですから!それになんで私がお料理ダメダメの設定になってるんですか。」
「あはは、お、着いたぞ。」
なんだか何の実りのない会話をしているうちに目的の場所に着いたらしい。
「いつも一人で来ているんだが、ここは個室があったからゆっくりできると思ってさ、行こう。」
「はい」少し高そうなお店に見えたけど、いつも来てるって言ってたし…と心を決めて敷居をまたいだ。
・・・
食前酒の後、二人でビールを飲みながら、美味しいお料理に思わず顔がほころんでいた。
「新人歓迎会の時は本当に焦ったけど、実際、鈴原はお酒はどうなんだ?」
「あの時は本当に申し訳ありませんでした。でも、記憶をなくしたのはあれが初めてで、いつもはあんな事ないんです。」
「記憶をなくした?…あの時の事、覚えていないのか?」
「はい、全く。送ってくれたのが課長だった事さえ………。気付いたら、ベッドで寝ていて、フロントからの電話で起きました。」
「どうりで…な。でも、危ないな。何かあったらどうするんだ。やっぱり既婚とは言え部長に送らせなくて良かった。……起きた時心配じゃあなかったのか?」
「何もなかったのはすぐわかりましたから。出血もなかったですし………ぁ、」
あわわ…余計な事を言いそうになり、口をつぐんで課長を見ると、手で顔を覆っていてよくわからなかった。少ししてから、顔から手をはなして、課長は優しい表情で話し始めた。
「前に言った事、聞いていなかったんだな。改めて言いたいから、今日は酔っぱらってもらっちゃ困る。ほどほどに頼むよ。」
「今言ってくれれば絶対忘れませんよ?」
「もう少し飲んでからだ。代行頼むから心配するな。」
「ふぅん…?」
「俺だってこんな話慣れてない。もう少し飲まないと話せねぇよ。」
今、"俺"って言った?なんか可愛い…と微笑んでしまう。私に笑われたせいか、課長の顔も少し赤くなる。
「課長は何歳なんですか?」
「32。………鈴原より10歳上。」
「10歳上…?」………いっぱい付き合った人いるのかな…と切なくなる。過去を想像してしまい、目が潤んだかも知れない。
「鈴原、やっぱり早く言いたい、食べたいもの、もう少し頼むから、後30分位でいいか?」
「いいですよ」酔っぱらいそうなのかな?とまた可愛いく思えてしまう。ただの部下の私に、"俺"とか素になったり、少年みたいにからかってきたりして、キュンキュンくる。多分顔に出ている。でも、バレてもいいや、課長も酔ってるみたいだし………と課長を見つめて笑った。
「何か食べたいものある?
本当いうと、初めてはちゃんとした所を予約して連れて行きたかったんだけど、時間が遅いからな……。軽く飲みながらイタリアンか和食にしようか。」
「そうですね、遅いから和食の方が重くなくていいでしょうか。」
「そうだな、和食にしよう。明日は何か予定あるのか。」
「明日ですか?特には。土日はお掃除したり、DVD観たり、読書したり…ですかね?私、インドア派なんです。」
「そんな感じだよな。」少し嬉しそうに言う課長にぷぅっとふくれてしまう。
「なんだ、怒ったのか?可愛いな。色白の鈴原のイメージ通りだって褒めてるんだが。」
………!"可愛い"という所だけをひろってしまい、首筋まで赤く染まってしまったかも知れない。
「世間知らずなインドア人間をいじめないでくださいよ。」
「クるな…嗜虐趣味はなかった筈だが…」課長は小声で何か呟いていたけど、赤くなった頬を押さえて窓の方を向いていた私には聞こえなかった。
「じゃ、行くぞ」と車を走らせた。
「それで、どんな映画を観るんだ?」
「結構何でも観ますね。ホラー以外は。昔の名作とか、アクションとか、レンタルになったばかりのものとか、課長は映画を観に行く派ですか。」
「イヤ、映画館にはめったに行かない。観るとすればアクションを借りて家で観る位だな。
でも、鈴原が行きたいなら連れて行くぞ?」
「いぇ、私もめったに映画館には行かないです。借りて家で観る方が楽です。」
「インドア派だもんな?」あハハと笑う。
「だったら課長だってインドア派じゃないですか!」
「そうだな、週末二人で家で観るか、インドア同士?」
「はいはい、わかりました。…もぅ、課長って小さい頃いじめっ子だったんじゃないですか?」
「好きな子をいじめたくなるのは男子共通。」
「もう映画の話は終わり!今度は課長の好きな食べ物を教えてください。」
「鈴原の手料理なら、目玉焼きだっていいぞ?………しいていうなら、ハンバーグとか、生姜焼きとか。最初は失敗しちゃってもいいぞ?」
「もう食べ物の話もいいですから!それになんで私がお料理ダメダメの設定になってるんですか。」
「あはは、お、着いたぞ。」
なんだか何の実りのない会話をしているうちに目的の場所に着いたらしい。
「いつも一人で来ているんだが、ここは個室があったからゆっくりできると思ってさ、行こう。」
「はい」少し高そうなお店に見えたけど、いつも来てるって言ってたし…と心を決めて敷居をまたいだ。
・・・
食前酒の後、二人でビールを飲みながら、美味しいお料理に思わず顔がほころんでいた。
「新人歓迎会の時は本当に焦ったけど、実際、鈴原はお酒はどうなんだ?」
「あの時は本当に申し訳ありませんでした。でも、記憶をなくしたのはあれが初めてで、いつもはあんな事ないんです。」
「記憶をなくした?…あの時の事、覚えていないのか?」
「はい、全く。送ってくれたのが課長だった事さえ………。気付いたら、ベッドで寝ていて、フロントからの電話で起きました。」
「どうりで…な。でも、危ないな。何かあったらどうするんだ。やっぱり既婚とは言え部長に送らせなくて良かった。……起きた時心配じゃあなかったのか?」
「何もなかったのはすぐわかりましたから。出血もなかったですし………ぁ、」
あわわ…余計な事を言いそうになり、口をつぐんで課長を見ると、手で顔を覆っていてよくわからなかった。少ししてから、顔から手をはなして、課長は優しい表情で話し始めた。
「前に言った事、聞いていなかったんだな。改めて言いたいから、今日は酔っぱらってもらっちゃ困る。ほどほどに頼むよ。」
「今言ってくれれば絶対忘れませんよ?」
「もう少し飲んでからだ。代行頼むから心配するな。」
「ふぅん…?」
「俺だってこんな話慣れてない。もう少し飲まないと話せねぇよ。」
今、"俺"って言った?なんか可愛い…と微笑んでしまう。私に笑われたせいか、課長の顔も少し赤くなる。
「課長は何歳なんですか?」
「32。………鈴原より10歳上。」
「10歳上…?」………いっぱい付き合った人いるのかな…と切なくなる。過去を想像してしまい、目が潤んだかも知れない。
「鈴原、やっぱり早く言いたい、食べたいもの、もう少し頼むから、後30分位でいいか?」
「いいですよ」酔っぱらいそうなのかな?とまた可愛いく思えてしまう。ただの部下の私に、"俺"とか素になったり、少年みたいにからかってきたりして、キュンキュンくる。多分顔に出ている。でも、バレてもいいや、課長も酔ってるみたいだし………と課長を見つめて笑った。
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