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第二幕
僕とボウリング
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「ストライク」
「またですか……」
相変わらず先輩の性能はおかしい。何せ先輩は始めからストライクかスペアしか出していないのだ。その腕はもうプロレベル......というかプロでも難しいだろう。どうしてこれでスカウトされていないのか不思議でならない。
「むぅぅぅ……‼ どうしてなの……‼」
「格の違い……かしらね?」
「むかつく‼ むかつく‼ むかつく‼」
僕からすれば咲夜も十分凄い。何せあの先輩に肉薄した成績をたたき出しているのだ。そんな芸当普通の人間にはできないし、僕なんか二人のスコアに比べればミジンコ程度の成績しか出ていない。
「本当二人は凄いなぁ……僕なんか頑張ってもコレなんだから」
「雅也君は球を投げる際少しフォームが崩れているのよ。だから球が少しぐらついて曲がるの。そこを治せばもっとうまくなると思うわよ?」
「そう……ですか?」
こういう所もきっちり見ているあたり、この人は本当に僕の事をよく観察している。でもその観察力をもっと別の事に生かして欲しいと思う自分もいるわけで……
「先輩って案外研究者に向いていそうですよね」
「そう……かしら?」
「ええ。特に人間観察なんてさせたら凄そうです。先輩ってなんだかんだ人の事良く観察してますし」
「それを言うなら雅也君も十分その素質ありそうだけど?」
「僕ですか? 僕は……ホラ。頭が足りないので……」
「本気で目指すのなら私が見てあげるわよ。それこそ朝晩付きっきりで……ね?」
「そんなのあたしが認めるわけないでしょう?」
「それぐらいわかっているわよ。今のは軽い冗談。でも勉強を見てあげるっていうのは本当。何なら木葉さんも見てあげましょうか?」
「結構です‼ ね? まーくん?」
「え、僕は勉強は見てもらいたいけど?」
「なんで!?」
「だって先輩頭いいもん」
「私がいるじゃん‼」
「咲夜は……」
咲夜は説明下手で、しかも問題の解き方もかなりふわふわしていて、独特な物だから僕はうまく理解できないのだ。その点先輩はこちらのレベルを把握して、言葉を選んで教えてくれるのでとても分かりやすく、だからこそ昔はよく教えて貰っていたのだ。
「なんでそんな気まずそうな顔するの!? 何!? 私の教え方ってそんなにおかしいの!?」
「……うん」
「そ、そんな馬鹿な……」
「ならこういうのはどう? 私が雅也君を見るから木葉さんは私に教える」
「え? でも先輩って……」
「ああ、語弊があったわね。木葉さんが教えるのは一、二年生の分野よ。私って一応受験生だからその辺の復習しておきたいのよ」
「そう言えばそうでしたね。それにしても意外です。先輩の事だからもうとっくに受験勉強終わったのかと思ってました」
「一応全体の復習を三周くらいは終わらせているわね」
「あんたどんだけ勉強してんだよ!?」
「雅也君の写真を眺めながら片手間にやってたら自然とそうなってたのよ」
突っ込みたい所は満載だが今は我慢しておこう。
「……過去問とかはもう解いたんですか?」
「ええ」
「……正答率は?」
「そんなの満点に決まっているじゃない。おかしなこと聞かないで頂戴」
「……咲夜」
「まーくん。ダメだよ。この人と比べる事自体おかしなことなんだから……」
「……だよな」
「ちょっと。人を変人みたいに言わないで頂戴」
「あんたを変人と言わずしてなんというんだ‼ ああ‼ あった‼ 変態か‼ むしろそっちの方がしっくりくるわ‼」
「そんなに褒めても私の処女ぐらいしかあげれないわよ?」
「褒めてねぇよ‼ 処女もいらねぇよ‼」
「……そう」
「がっかりすんなよ‼」
「まーくん。まーくん」
「何!?」
「私も処女はまーくんのものだから好きな時に奪っていいからね?」
「お、女の子がそんなはしたない事を言うんじゃありません‼︎」
僕の周りにはどうしてこうも変態、変人が集まる傾向があるのか……
「それは雅也君が変人だからよ」
「人の心を読むな‼」
「ごめんさない。それで勉強会の事どうする?」
「私は嫌」
「僕はいいですよ」
「分かったわ。それじゃあ雅也君と私の二人きりですることにするわ‼」
「……私も行く」
先輩の咲夜の立場段々逆転してきていないか? これが秀才……というか鬼才の真の力というか。おお、怖い怖い。
「よろしい。それに木葉さん。貴方にもメリットはあるのよ」
「メリット?」
「ええ。私の教え方を学べば今度からはあなたが勉強を教えてあげられるでしょう?」
「……なるほど。一理ある」
「なんなら高校三年生の単元も先に教えてあげる。木葉さんならきっと理解できるでしょうし、二人が高校三年生の時は既に私は卒業しているしね」
「先輩……」
「どうしたの? そんな悲しそうな顔をして?」
「いえ。卒業したら先輩との縁も切れるのかと思いまして」
人は誰しも会わなくなれば関係が薄れていくもので、その理からは抜けられるものは極々僅かであろう。
「それは無いわ。言ったでしょう? 私は貴方のそばを離れるつもりはないと。むしろ大学生って時間がたっぷりあるから今以上に一緒にれるからむしろ嬉しいわ‼」
「……そうですか」
こういつもポジティブでいてくれると嬉しいんだけどなぁ……
「またですか……」
相変わらず先輩の性能はおかしい。何せ先輩は始めからストライクかスペアしか出していないのだ。その腕はもうプロレベル......というかプロでも難しいだろう。どうしてこれでスカウトされていないのか不思議でならない。
「むぅぅぅ……‼ どうしてなの……‼」
「格の違い……かしらね?」
「むかつく‼ むかつく‼ むかつく‼」
僕からすれば咲夜も十分凄い。何せあの先輩に肉薄した成績をたたき出しているのだ。そんな芸当普通の人間にはできないし、僕なんか二人のスコアに比べればミジンコ程度の成績しか出ていない。
「本当二人は凄いなぁ……僕なんか頑張ってもコレなんだから」
「雅也君は球を投げる際少しフォームが崩れているのよ。だから球が少しぐらついて曲がるの。そこを治せばもっとうまくなると思うわよ?」
「そう……ですか?」
こういう所もきっちり見ているあたり、この人は本当に僕の事をよく観察している。でもその観察力をもっと別の事に生かして欲しいと思う自分もいるわけで……
「先輩って案外研究者に向いていそうですよね」
「そう……かしら?」
「ええ。特に人間観察なんてさせたら凄そうです。先輩ってなんだかんだ人の事良く観察してますし」
「それを言うなら雅也君も十分その素質ありそうだけど?」
「僕ですか? 僕は……ホラ。頭が足りないので……」
「本気で目指すのなら私が見てあげるわよ。それこそ朝晩付きっきりで……ね?」
「そんなのあたしが認めるわけないでしょう?」
「それぐらいわかっているわよ。今のは軽い冗談。でも勉強を見てあげるっていうのは本当。何なら木葉さんも見てあげましょうか?」
「結構です‼ ね? まーくん?」
「え、僕は勉強は見てもらいたいけど?」
「なんで!?」
「だって先輩頭いいもん」
「私がいるじゃん‼」
「咲夜は……」
咲夜は説明下手で、しかも問題の解き方もかなりふわふわしていて、独特な物だから僕はうまく理解できないのだ。その点先輩はこちらのレベルを把握して、言葉を選んで教えてくれるのでとても分かりやすく、だからこそ昔はよく教えて貰っていたのだ。
「なんでそんな気まずそうな顔するの!? 何!? 私の教え方ってそんなにおかしいの!?」
「……うん」
「そ、そんな馬鹿な……」
「ならこういうのはどう? 私が雅也君を見るから木葉さんは私に教える」
「え? でも先輩って……」
「ああ、語弊があったわね。木葉さんが教えるのは一、二年生の分野よ。私って一応受験生だからその辺の復習しておきたいのよ」
「そう言えばそうでしたね。それにしても意外です。先輩の事だからもうとっくに受験勉強終わったのかと思ってました」
「一応全体の復習を三周くらいは終わらせているわね」
「あんたどんだけ勉強してんだよ!?」
「雅也君の写真を眺めながら片手間にやってたら自然とそうなってたのよ」
突っ込みたい所は満載だが今は我慢しておこう。
「……過去問とかはもう解いたんですか?」
「ええ」
「……正答率は?」
「そんなの満点に決まっているじゃない。おかしなこと聞かないで頂戴」
「……咲夜」
「まーくん。ダメだよ。この人と比べる事自体おかしなことなんだから……」
「……だよな」
「ちょっと。人を変人みたいに言わないで頂戴」
「あんたを変人と言わずしてなんというんだ‼ ああ‼ あった‼ 変態か‼ むしろそっちの方がしっくりくるわ‼」
「そんなに褒めても私の処女ぐらいしかあげれないわよ?」
「褒めてねぇよ‼ 処女もいらねぇよ‼」
「……そう」
「がっかりすんなよ‼」
「まーくん。まーくん」
「何!?」
「私も処女はまーくんのものだから好きな時に奪っていいからね?」
「お、女の子がそんなはしたない事を言うんじゃありません‼︎」
僕の周りにはどうしてこうも変態、変人が集まる傾向があるのか……
「それは雅也君が変人だからよ」
「人の心を読むな‼」
「ごめんさない。それで勉強会の事どうする?」
「私は嫌」
「僕はいいですよ」
「分かったわ。それじゃあ雅也君と私の二人きりですることにするわ‼」
「……私も行く」
先輩の咲夜の立場段々逆転してきていないか? これが秀才……というか鬼才の真の力というか。おお、怖い怖い。
「よろしい。それに木葉さん。貴方にもメリットはあるのよ」
「メリット?」
「ええ。私の教え方を学べば今度からはあなたが勉強を教えてあげられるでしょう?」
「……なるほど。一理ある」
「なんなら高校三年生の単元も先に教えてあげる。木葉さんならきっと理解できるでしょうし、二人が高校三年生の時は既に私は卒業しているしね」
「先輩……」
「どうしたの? そんな悲しそうな顔をして?」
「いえ。卒業したら先輩との縁も切れるのかと思いまして」
人は誰しも会わなくなれば関係が薄れていくもので、その理からは抜けられるものは極々僅かであろう。
「それは無いわ。言ったでしょう? 私は貴方のそばを離れるつもりはないと。むしろ大学生って時間がたっぷりあるから今以上に一緒にれるからむしろ嬉しいわ‼」
「……そうですか」
こういつもポジティブでいてくれると嬉しいんだけどなぁ……
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