45 / 53
第二幕
同衾と幼馴染
しおりを挟む
「や、やっと倒せたぁ……」
「お疲れ……」
「このゲーム面白いね‼」
「それは何よりで……」
咲夜はあれから数時間ずっとゲームをやり続けていた。チュートリアルボス自体は割とすぐに倒せたのだが、そこから彼女はこのゲームの面白さにはまったのか飲める込むようにしてずっとやり続けていた。それこそ僕の膝の上にのっていることも忘れるくらいに。
「あ、もう日越えちゃったね。あはは……」
「笑いごとじゃないんだけどなぁ……僕朝弱いし……」
「大丈夫。今日は私が一緒に寝るから問題ないよ」
「ちょっと待て。今なんて言った!?」
「おいで。まーくん?」
咲夜は僕のベットの中に潜り込むとベットを叩き、僕に隣で寝るよう訴えかけてきている。
「おいおい……いくらなんでもそれはどうよ……」
「何をためらっているの?」
「いや。それはためらうでしょう……」
僕たちはまだ付き合ってもいないわけで、付き合っていたとしても年ごろの男女が同じ部屋で寝るのはどうかと思う。まして同じベットで寝るなど論外だ。そういうのは結婚してからするもので、高校生の僕たちがしていいわけがない。
「私は気にしないから‼ むしろそのまま過ちを犯してくれた方が……」
「馬鹿な事を言うんじゃない‼」
咲夜はどうにも自分の体を僕に安売りする傾向がある。いくら僕と早く付き合いたくても自分の体を売るような行為は本当に止めて欲しい。
「ぶぅ……まーくんの頑固者」
「咲夜が緩すぎるの。そういう事は結婚するまで絶対にダメ」
「え!? それはいくら何でも生殺しすぎるよ!?」
「全然そんなんじゃない。むしろ普通だ‼」
「ほら‼ さきっちょ‼ さきっちょだけでいいから‼」
「女の子がそんなはしたない言葉をつかうんじゃありません‼」
時々咲夜のこういうところが中年オヤジに見えて萎える。折角可愛い容姿をしているのだからもっとお淑やかにして欲しいものだ。そうすれば僕だってもっと素直に褒めるのに……
「ぶぅ……まーくんのイケず~」
「本当どうして咲夜はこうも親父臭いのか……はぁ……」
「ガチなため息止めて? 泣きたくなるから……」
「あ、ごめん。そんなつもりは……」
「もう。冗談だよ。それぐらいじゃ泣かないよ。私が次に泣くのはまーくんとの結婚式の時って決めてるからね‼」
「随分気の早いことで……」
「そうでもないよ。私達もう高校二年生なんだよ? 私のプラン的には後六年後には結婚したいし」
「六年後……」
六年後というと大学卒業して、就職が決まったくらいだろう。そう考えると咲夜にしては案外堅実な予定と言える。
それにしても咲夜は微塵も僕と破局する可能性を疑っていない。咲夜からすればそうだろう。何せ彼女は僕の事をずっと思い続けている。その間僕に彼女ができるというイベントがあったのにも関わらず、咲夜は諦めなかった。むしろ炎をより激しく燃え上がらせている。それは今も尚。
果たして僕が彼女のそんな気持ちに追いつける日は来るのだろうか。
「まーくん?」
「いや、なんでもない」
「はい。また嘘ついた」
「……本当咲夜は僕に関することを何でもお見通しだな……」
「うん‼ 自分で言うのもなんだけどまーくんの事は本人以上に理解している自身があるよ‼」
「それはそれで怖いな……」
「まーくんはどう? 私の事どれくらい理解している?」
「僕? 僕は……そうだな……」
いざそう言われるとかなり悩む。僕は一体どれほど咲夜の事を理解しているのだろう。他人よりは誰よりも理解している自身はある。でも彼女の家族と比べるとどうだろう。そこまで僕の咲夜への理解は達しているのだろうか。
「考えすぎ。そういう時は誰よりも理解していますって答えればいいの」
「嘘でも?」
「嘘でもだよ。女の子は誰だって自分の好きな人に褒められるのは嬉しい物なんだから」
「それは咲夜だけでは……」
「まーくん?」
「いえ。何でもないです……」
「よろしい。ってもう日を跨いじゃうじゃん‼ 明日も学校なんだから早く寝ないと‼」
「それなら僕は一階で……」
「ダメ。まーくんは今日私と一緒に寝るの」
「いや、だから……」
「却下」
「却下を却下」
「却下を却下を却下」
「却下を却下を却下を却下」
「却下を却下を却下を却下を却下を却下ってもう‼ いいから早く来る‼」
「ちょ!? 咲夜!?」
やばい。やばい。やばい。やばい。このままだと確実にやば……
「まーくんは自分のやりたいと思ったことを最後まで貫きとおせばいいと思うよ」
「……咲夜?」
「誰かになんと言われようがまーくんは最後まで自分意志を貫きとおせばいいよ。その方がきっとうまくいく。私が保証してあげる」
「咲夜は……僕の前から絶対にいなくならない?」
「うん。いなくならないよ。死が二人を分かつその時までずっと一緒にいるよ」
ああ。そういうことか。咲夜が今日泊まると言い出した理由がやっとわかった。
「……ありがとう」
「何が?」
「とぼけなくていいのに……」
咲夜は僕の事を慰めるために今日泊まると言い出したのだ。先程のゲームにしたって僕の好きなゲームをやることによって僕がより元気になってくれると思ったのだろう。まあ途中からは彼女自身ドはまりしていたが……でもそれよりも僕の気持ちを汲んでくれるのが何よりも嬉しかった。心ではこれ以上彼女に甘えてはダメなのはわかっている。でもこうやっていざ経験すると嬉しくて、自身の気持ちを抑えられそうにない。
「咲夜。好きだよ」
「へ!? 今なんて言った!?」
「……秘密」
「ええ!? もう一回‼ もう一回言ってよ‼ 録音したいから‼」
「絶対に嫌‼」
「なら私も言うからまーくも言ってよ‼」
「咲夜の好きという言葉にそれほどの価値はない」
「酷い!?」
嘘だ。本当は好きと言われるたびに僕の胸はときめている。でも僕は嘘つきだから。そんな事言わない。
「ま~くん‼」
「もう寝ろよ……」
「お疲れ……」
「このゲーム面白いね‼」
「それは何よりで……」
咲夜はあれから数時間ずっとゲームをやり続けていた。チュートリアルボス自体は割とすぐに倒せたのだが、そこから彼女はこのゲームの面白さにはまったのか飲める込むようにしてずっとやり続けていた。それこそ僕の膝の上にのっていることも忘れるくらいに。
「あ、もう日越えちゃったね。あはは……」
「笑いごとじゃないんだけどなぁ……僕朝弱いし……」
「大丈夫。今日は私が一緒に寝るから問題ないよ」
「ちょっと待て。今なんて言った!?」
「おいで。まーくん?」
咲夜は僕のベットの中に潜り込むとベットを叩き、僕に隣で寝るよう訴えかけてきている。
「おいおい……いくらなんでもそれはどうよ……」
「何をためらっているの?」
「いや。それはためらうでしょう……」
僕たちはまだ付き合ってもいないわけで、付き合っていたとしても年ごろの男女が同じ部屋で寝るのはどうかと思う。まして同じベットで寝るなど論外だ。そういうのは結婚してからするもので、高校生の僕たちがしていいわけがない。
「私は気にしないから‼ むしろそのまま過ちを犯してくれた方が……」
「馬鹿な事を言うんじゃない‼」
咲夜はどうにも自分の体を僕に安売りする傾向がある。いくら僕と早く付き合いたくても自分の体を売るような行為は本当に止めて欲しい。
「ぶぅ……まーくんの頑固者」
「咲夜が緩すぎるの。そういう事は結婚するまで絶対にダメ」
「え!? それはいくら何でも生殺しすぎるよ!?」
「全然そんなんじゃない。むしろ普通だ‼」
「ほら‼ さきっちょ‼ さきっちょだけでいいから‼」
「女の子がそんなはしたない言葉をつかうんじゃありません‼」
時々咲夜のこういうところが中年オヤジに見えて萎える。折角可愛い容姿をしているのだからもっとお淑やかにして欲しいものだ。そうすれば僕だってもっと素直に褒めるのに……
「ぶぅ……まーくんのイケず~」
「本当どうして咲夜はこうも親父臭いのか……はぁ……」
「ガチなため息止めて? 泣きたくなるから……」
「あ、ごめん。そんなつもりは……」
「もう。冗談だよ。それぐらいじゃ泣かないよ。私が次に泣くのはまーくんとの結婚式の時って決めてるからね‼」
「随分気の早いことで……」
「そうでもないよ。私達もう高校二年生なんだよ? 私のプラン的には後六年後には結婚したいし」
「六年後……」
六年後というと大学卒業して、就職が決まったくらいだろう。そう考えると咲夜にしては案外堅実な予定と言える。
それにしても咲夜は微塵も僕と破局する可能性を疑っていない。咲夜からすればそうだろう。何せ彼女は僕の事をずっと思い続けている。その間僕に彼女ができるというイベントがあったのにも関わらず、咲夜は諦めなかった。むしろ炎をより激しく燃え上がらせている。それは今も尚。
果たして僕が彼女のそんな気持ちに追いつける日は来るのだろうか。
「まーくん?」
「いや、なんでもない」
「はい。また嘘ついた」
「……本当咲夜は僕に関することを何でもお見通しだな……」
「うん‼ 自分で言うのもなんだけどまーくんの事は本人以上に理解している自身があるよ‼」
「それはそれで怖いな……」
「まーくんはどう? 私の事どれくらい理解している?」
「僕? 僕は……そうだな……」
いざそう言われるとかなり悩む。僕は一体どれほど咲夜の事を理解しているのだろう。他人よりは誰よりも理解している自身はある。でも彼女の家族と比べるとどうだろう。そこまで僕の咲夜への理解は達しているのだろうか。
「考えすぎ。そういう時は誰よりも理解していますって答えればいいの」
「嘘でも?」
「嘘でもだよ。女の子は誰だって自分の好きな人に褒められるのは嬉しい物なんだから」
「それは咲夜だけでは……」
「まーくん?」
「いえ。何でもないです……」
「よろしい。ってもう日を跨いじゃうじゃん‼ 明日も学校なんだから早く寝ないと‼」
「それなら僕は一階で……」
「ダメ。まーくんは今日私と一緒に寝るの」
「いや、だから……」
「却下」
「却下を却下」
「却下を却下を却下」
「却下を却下を却下を却下」
「却下を却下を却下を却下を却下を却下ってもう‼ いいから早く来る‼」
「ちょ!? 咲夜!?」
やばい。やばい。やばい。やばい。このままだと確実にやば……
「まーくんは自分のやりたいと思ったことを最後まで貫きとおせばいいと思うよ」
「……咲夜?」
「誰かになんと言われようがまーくんは最後まで自分意志を貫きとおせばいいよ。その方がきっとうまくいく。私が保証してあげる」
「咲夜は……僕の前から絶対にいなくならない?」
「うん。いなくならないよ。死が二人を分かつその時までずっと一緒にいるよ」
ああ。そういうことか。咲夜が今日泊まると言い出した理由がやっとわかった。
「……ありがとう」
「何が?」
「とぼけなくていいのに……」
咲夜は僕の事を慰めるために今日泊まると言い出したのだ。先程のゲームにしたって僕の好きなゲームをやることによって僕がより元気になってくれると思ったのだろう。まあ途中からは彼女自身ドはまりしていたが……でもそれよりも僕の気持ちを汲んでくれるのが何よりも嬉しかった。心ではこれ以上彼女に甘えてはダメなのはわかっている。でもこうやっていざ経験すると嬉しくて、自身の気持ちを抑えられそうにない。
「咲夜。好きだよ」
「へ!? 今なんて言った!?」
「……秘密」
「ええ!? もう一回‼ もう一回言ってよ‼ 録音したいから‼」
「絶対に嫌‼」
「なら私も言うからまーくも言ってよ‼」
「咲夜の好きという言葉にそれほどの価値はない」
「酷い!?」
嘘だ。本当は好きと言われるたびに僕の胸はときめている。でも僕は嘘つきだから。そんな事言わない。
「ま~くん‼」
「もう寝ろよ……」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。


貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる