可愛くて、健気で、エッチで、一途な幼馴染の女の子は、好きですか?~付き合いたい彼女と付き合いたくない彼の攻防戦~

三日月

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第二幕

アクションゲームと幼馴染

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「あ、また死んだ……」
「まあこのゲーム難しいし、仕方ないって」

 咲夜が今楽しんでいるのは巷で死にゲーとして話題の作品群の一つだ。咲夜はあれからぶっ通しで二時間程酔っているが、未だにチュートリアルのボスに苦しんでいる。

「そういうまーくんは一発でクリアしたんでしょう?」
「いや、まあそうだけど……ほら僕の場合は動画で前々から見てて敵の動き覚えてるし、過去作もクリアしてるしさ」
「それは……そうだけどやっぱりゲーマーとしては悔しいんだよ‼」
「その気持ちはわかるけど咲夜ってアクションゲーム下手じゃん」

 咲夜が専ら好んでやるゲームはストラテジー系のモノやシナリオもので、アクションゲームはほとんどやらない。一応格闘ゲームは多少やりはするが、お世辞にもうまいとは言えない。

「違います‼ 私は普通ですぅ‼ むしろまーくんがうますぎるんだよ‼」
「いや、そういうわけでもないぞ? 僕より上手いプレーヤーなんてこの世にごまんといるし、動画見てると実力の差を思い知らされるからな」
「そんなこと知らないし、少なくとも私の知ってる中で一番アクションゲームが上手いのはまーくんなんだから‼」
「お、おう……」

 僕はゲーマーではなく、ゲーム好き程度と自負しているがそれでも人からゲームが上手いと言われると嬉しいものだ。特に僕はアクションゲームが一番好きなので、猶更嬉しい。

「コツとか教えてよ‼」
「コツと言われてもなぁ……僕そういうのよくわかんないんだよ」
「え!? なんで!?」
「だって僕咲夜みたいに頭で考えながらゲームやるタイプじゃないもん」

 僕はこういったゲームはほとんど感覚でやっていて、敵の動きを多少こそ覚えはするがほとんど勘で何とかしまっているのだ。だからこそそれを教えろと言われてもうまく説明できないし、何より僕は説明下手だ。

「まーくんって馬鹿なの?」
「おい。なんか今日僕に対して当たり強くない?」
「気のせいだよ。それよりもコツ教えて」
「だから僕にはわからないんだって……強いて言うなら死んで覚える。以上」
「何それ!? 全然楽しくない‼」
「いや、それがそうでもないのだよ」

 僕から言わせてもらえばこういったゲームは死にまくるほうが楽しい。だってそれを乗り越え、クリアした先には他では味わう事の出来ない達成感を味わうことができるのだから。むしろ一度も死なないでクリアするアクションゲームなどヌルゲーもいいところで、興ざめもいいところだ。

「まーくんってドMなの?」
「そんなわけないだろ‼ 僕は至ってノーマルだ‼」
「ええ……だって死にまくるのが楽しいって絶対にマゾだよ?」
「失礼な奴だな‼ 本当のMは先輩みたいな奴の事を言うんだよ‼」
「あ、そっか……」

 先輩の名をだした途端にすぐさま納得するのもどうかと思う。

「それに僕からすればどうしてこの楽しさが理解できないのか不思議でしかたないよ」
「え? なんで?」
「咲夜ってなんかMっぽいじゃん」
「そうだけど……でもそれは相手がまーくんだからなわけで、それ以外の人からいじめられるのは普通に嫌」
「……反応に困るようなこと言うなよ」
「えへへ……」
「何故照れる……」
「それよりも早くコツ教えてよ‼」
「まだいうか‼」
「だってどうしてもクリアしたいんだもん‼」
「わかったよ‼ なら一回お手本見せるから見てな」
「わかった‼」

 返事のよいことで全く、本当に困ったやつだ。

「……」
「まーくん?」
「……」
「まーくん‼」
「……」
「無視しないでよ!?」
「……あ、ごめん。画面に集中してた」
「うう‼ うう‼ うう‼ うう‼」
「痛い‼ 痛い‼ 痛い‼」

 咲夜からの攻撃に気を取られていたら画面の中のキャラはいつの間にか死んでいて、画面には『YOU DIED』と表示されていた。

「ああ、死んじゃった……」
「だってまーくんが無視したもん‼ 私のこと無視したもん‼」
「ゴメンって……」
「うう……‼ うう……‼」
「本当に悪かったからそう唸るな」
「……私がボス倒すまで今日は寝かせないから」
「はいはい。最後まで付き合いますよ」
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