可愛くて、健気で、エッチで、一途な幼馴染の女の子は、好きですか?~付き合いたい彼女と付き合いたくない彼の攻防戦~

三日月

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第二幕

忠告と元カノ

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「さて談笑はこれくらいにして星野さん」
「な、なんですか……?」
「星野さんの抱える問題……僕たちに話してくれないかな?」

 星野さんの抱える問題が何なのか知らない以上こちらとしても打てる手は限られてくる。それにいつまでも先延ばしにしているのは、星野さんの精神衛生上もあまりよくないと思う。

「それは……」
「私がいると話しづらい? それなら一旦席を外すけれど……」
「い、いえ。そういうわけでは……」

 よかった。星野さんはどうやら先輩に大分心を許してくれたらしい。それに性格もどこか前向きになってきている。その速さは僕の予想していたものより大分早い。

「あの……私の何を聞きたいのですか……?」
「星野さんが何故自分と関わると不幸になるか思っている理由について。そしてどうして恋愛が嫌いなのか」
「それは……」
「まだ言えない?」
「……すみません」
「いいよ。気にしないで」

 どうやらそのあたりのガードはかなり固いらしく、僕なりにかなり親しくなれた今をしても話してくれないらしい。それに今、星野さんはチラッと先輩の事を見ていた。それにどういった意図があるかは今の段階では測りかねる。

「雅也君。ちょっと……」
「わかりました。ごめん。星野さん。一旦席を外すね」
「い、いえ……お構いなく……」

 先輩はどうやら星野さんには聞かせられない話があるらしく、僕を外へと連れ出した。

「雅也君。貴方は甘いわ。そんな事じゃ一向に聞きだす事なんかできないわよ」
「先輩……」
「雅也君がこの子の事を気づかっているのはわかる。でもいくら何でも気づかいすぎ。貴方は星野さんの事をお姫様か何かだとでも思っているのかしら?」
「そういうわけでは……」
「それならもっと厳しくいかないとダメ。あの子の場合は特に」
「それは……どういう意味ですか?」
「どういう意味も何もそのままよ。あの子はかなり甘やかされて育てられたみたいね。だからあんな顔をする」
「あんな顔……それってあの申し訳なさそうな顔ですか……?」
「ええ。そうよ。あの子。ああ見えてかなり危険よ。しかもあの態度……わざとなのかしら? いや、それはないか……」

 先輩が先程から何を言っているか僕にはよくわからない。でも先輩の表情を見るに、彼女は何か確信めいたものを握っている……そんな素振りを感じる。

「雅也君。この際だからはっきり言っておくわ。あの子と今すぐ縁を切りなさい。貴方にはあの子の更生はにできない」
「それは一体どういう意味ですか?」
「そんな怖い顔しないの。別に何もあの子の事を見放せと言っている分けじゃないのだから」
「だとしたら一体どういう意味ですか?」
「あの子……星野さんはあれは男をにするタイプの女の子よ」
「ダメにする?」
「ええ。わかりやすく言うなら傾国の美女タイプ。男にすり寄って、男を堕落させる生粋の悪女。それがあの子の本質よ」
「そんなわけないでしょう。あの星野さんですよ? 天然で、ドジで、人畜無害なあの星野さんですよ?」
「そこがまた問題なのよ」
「問題?」
「あの子。なまじ天然なものだから自分がそういう事をしているのに気づいていないのよ」

 そう言われると星野さんがやたらと僕に体を密着させてくるのにも納得できる。

「でも今更手を引くなんてできませんよ。それにあの子を見捨てるなんて真似僕には……」
「分かってるわよ。それぐらい。私が言いたいのは雅也君が今後貴方と関わるのを止めろと言っているの。その後の面倒は全部私が見るから」
「そんな無責任な真似できませんよ‼」

 僕はあの子を助けると決めている。それを今更ひっくり返すことなどできない。

「雅也君ならそう言うだろうとは思っていたわ」
「なら……‼」
「これ以上あの子と関わると木葉さんを泣かせることになるわよ?」
「それは……」
「大体あなたは誰に対しても優しすぎるのよ。そんな事しているとそのうち一番大事な物を失うわよ」
「……」
「いい? ここからは全部私に任せなさい。だから雅也君。今日はもう帰りなさい」

 僕は先輩の言葉に何も言い返せなかった。それが悔しくて、悔しくてたまらなくて、何か言い返そうとしたが言葉が出なかった。こんな惨めな気持ちを味わったのはいつ以来だろう。自分に対してここまで激しい怒りが沸いたのはいつ以来だろう。

 そう思いつつも僕は背を向け、店へと戻っていく先輩を見つめる他なかった。
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