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第二幕
不器用と元カノ
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あれから数時間後、僕たちはカラオケを出て、カラオケの近くにあるカフェに来ていた。
「納得いかない......」
「何を文句言っているの?」
「どうして霧羽さんはそんなに全部が全部完璧なんですか!? 納得いきません‼」
「そう言われても……ねぇ?」
「その態度ムカつく‼」
「こ、金剛さん。落ちついてください。公共の場ですから……」
「星野さんに諭された!?」
「酷いですわ!?」
「あ、ごめん……つい本音が……」
いくら思考が乱れていたとは言え、この状況で星野さんにそういうのは明らかに禁句だった。現に星野さんは完全にいじけてしまって、今は頼んだコーヒーをちびちびと飲みながら何も言わなくなってしまい、時々不気味な笑みを浮かべていた。
「ほ、星野さん……?」
「いいんです……どうせ私なんか……」
これはかなりめんどくさいパターンだ。ここから彼女の気持ちを持ち上げる方法など僕には想像もつかない。これが女性の扱いに慣れているチャラ男とかならばなんとかできるのだろうが生憎僕はそうではない。
それに先輩も宛にできないだろう。むしろこういう時の先輩は余計な事しか言わない。僕が落ち込んだ時もこの人はこの人なりに励まそうとはしていたのだが、その言葉は全て逆効果で僕の心にはいつも深い傷ばかり負っていた。
「雅也君。エッチな事しましょう」
「あんたいきなり何言ってんだ!? 気でも触れたのか!?」
「そ、そそそうですよ‼ こ、こんな場所で……そ、そういう事は家で……」
「家ならいいの!?」
「す、すすすみません‼ そんなつもりで言ったわけじゃないんです‼」
「そ、そうだよね」
星野さんはとても清楚な見た目をしているからそういう事には、疎いのかと思っていたが案外そうではないらしく、そのギャップは中々な破壊力を持っている。もし僕に咲夜という心に決めた人が居なければ今の一言で確実に落ちている。
「流石に冗談よ。でも星野さんの気分は持ち直せたでしょう?」
「あ、そう言えば……」
先輩の言う通り星野さんの気分は持ち直していた。でもこのような手法で直されても正直嬉しくはないし、むしろ腹が立つ。
「もっと上手いことやってください。いくら何でも手法が酷いです」
「ごめんなさい。私器用な方じゃないから……」
「それは知っていますよ」
「雅也君……」
先輩の不器用さなど彼女と付き合う前から知っている。何なら初めて会ったときから彼女の言い回しは回りくどくて、不器用なのがバレバレだった。でもそれは冷静になった今だからこそ理解できたことで、大概の人は彼女の美しさの前でそんな面は隠れてしまう。そう考えると美人なのも考え物だと思う。
そもそも美人でいいところと言ったら意中の男性を落としやすいというだけで、それ以外は何らメリットはないだろう。興味のない男から常日頃からいやらしい目線で見られし、ラブレターだって貰う。それを断りに行くの一々手間だし、かといっていかないのも失礼だ。何より先輩の場合、意中の男性の心も射止められず、踏んだり蹴ったりだろう。
「まあブサイクよりはいいと思うけど」
「ブサイクがどうしたの?」
「いえ、美人な人も結構苦労しているんだろうなと思って……」
「ん? 美人って星野さんの事かしら?」
「それもそうですけど先輩もですよ?」
「私って美人なの?」
「え……それ本気で言ってます?」
「ええ……そもそも美人だとかブサイクだとか何かよくわからないのよ」
「それまたなんで?」
「だって人って個性の塊じゃない」
「個性の塊……」
「そう。個性の塊。人にはそれぞれいいところも悪いところもある。顔だってそうよ。人によってはブサイクに見えても、人によっては綺麗に見える場合があるわけで、そんなものに優劣をつけるのっておかしいと思わない?」
「それは……」
「わ、わかります‼ 美人だとかブサイクだとか人の勝手な基準で判断しないで欲しいですよね‼」
どうやら美人な二人には共感できるものがあるらしい。そうなると咲夜もそうなるのだろうか? 後で聞いてみよう。
「納得いかない......」
「何を文句言っているの?」
「どうして霧羽さんはそんなに全部が全部完璧なんですか!? 納得いきません‼」
「そう言われても……ねぇ?」
「その態度ムカつく‼」
「こ、金剛さん。落ちついてください。公共の場ですから……」
「星野さんに諭された!?」
「酷いですわ!?」
「あ、ごめん……つい本音が……」
いくら思考が乱れていたとは言え、この状況で星野さんにそういうのは明らかに禁句だった。現に星野さんは完全にいじけてしまって、今は頼んだコーヒーをちびちびと飲みながら何も言わなくなってしまい、時々不気味な笑みを浮かべていた。
「ほ、星野さん……?」
「いいんです……どうせ私なんか……」
これはかなりめんどくさいパターンだ。ここから彼女の気持ちを持ち上げる方法など僕には想像もつかない。これが女性の扱いに慣れているチャラ男とかならばなんとかできるのだろうが生憎僕はそうではない。
それに先輩も宛にできないだろう。むしろこういう時の先輩は余計な事しか言わない。僕が落ち込んだ時もこの人はこの人なりに励まそうとはしていたのだが、その言葉は全て逆効果で僕の心にはいつも深い傷ばかり負っていた。
「雅也君。エッチな事しましょう」
「あんたいきなり何言ってんだ!? 気でも触れたのか!?」
「そ、そそそうですよ‼ こ、こんな場所で……そ、そういう事は家で……」
「家ならいいの!?」
「す、すすすみません‼ そんなつもりで言ったわけじゃないんです‼」
「そ、そうだよね」
星野さんはとても清楚な見た目をしているからそういう事には、疎いのかと思っていたが案外そうではないらしく、そのギャップは中々な破壊力を持っている。もし僕に咲夜という心に決めた人が居なければ今の一言で確実に落ちている。
「流石に冗談よ。でも星野さんの気分は持ち直せたでしょう?」
「あ、そう言えば……」
先輩の言う通り星野さんの気分は持ち直していた。でもこのような手法で直されても正直嬉しくはないし、むしろ腹が立つ。
「もっと上手いことやってください。いくら何でも手法が酷いです」
「ごめんなさい。私器用な方じゃないから……」
「それは知っていますよ」
「雅也君……」
先輩の不器用さなど彼女と付き合う前から知っている。何なら初めて会ったときから彼女の言い回しは回りくどくて、不器用なのがバレバレだった。でもそれは冷静になった今だからこそ理解できたことで、大概の人は彼女の美しさの前でそんな面は隠れてしまう。そう考えると美人なのも考え物だと思う。
そもそも美人でいいところと言ったら意中の男性を落としやすいというだけで、それ以外は何らメリットはないだろう。興味のない男から常日頃からいやらしい目線で見られし、ラブレターだって貰う。それを断りに行くの一々手間だし、かといっていかないのも失礼だ。何より先輩の場合、意中の男性の心も射止められず、踏んだり蹴ったりだろう。
「まあブサイクよりはいいと思うけど」
「ブサイクがどうしたの?」
「いえ、美人な人も結構苦労しているんだろうなと思って……」
「ん? 美人って星野さんの事かしら?」
「それもそうですけど先輩もですよ?」
「私って美人なの?」
「え……それ本気で言ってます?」
「ええ……そもそも美人だとかブサイクだとか何かよくわからないのよ」
「それまたなんで?」
「だって人って個性の塊じゃない」
「個性の塊……」
「そう。個性の塊。人にはそれぞれいいところも悪いところもある。顔だってそうよ。人によってはブサイクに見えても、人によっては綺麗に見える場合があるわけで、そんなものに優劣をつけるのっておかしいと思わない?」
「それは……」
「わ、わかります‼ 美人だとかブサイクだとか人の勝手な基準で判断しないで欲しいですよね‼」
どうやら美人な二人には共感できるものがあるらしい。そうなると咲夜もそうなるのだろうか? 後で聞いてみよう。
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