可愛くて、健気で、エッチで、一途な幼馴染の女の子は、好きですか?~付き合いたい彼女と付き合いたくない彼の攻防戦~

三日月

文字の大きさ
上 下
40 / 53
第二幕

不器用と元カノ

しおりを挟む
   あれから数時間後、僕たちはカラオケを出て、カラオケの近くにあるカフェに来ていた。

「納得いかない......」
「何を文句言っているの?」
「どうして霧羽さんはそんなに全部が全部完璧なんですか!? 納得いきません‼」
「そう言われても……ねぇ?」
「その態度ムカつく‼」
「こ、金剛さん。落ちついてください。公共の場ですから……」
「星野さんに諭された!?」
「酷いですわ!?」
「あ、ごめん……つい本音が……」

 いくら思考が乱れていたとは言え、この状況で星野さんにそういうのは明らかに禁句だった。現に星野さんは完全にいじけてしまって、今は頼んだコーヒーをちびちびと飲みながら何も言わなくなってしまい、時々不気味な笑みを浮かべていた。

「ほ、星野さん……?」
「いいんです……どうせ私なんか……」

 これはかなりめんどくさいパターンだ。ここから彼女の気持ちを持ち上げる方法など僕には想像もつかない。これが女性の扱いに慣れているチャラ男とかならばなんとかできるのだろうが生憎僕はそうではない。

 それに先輩も宛にできないだろう。むしろこういう時の先輩は余計な事しか言わない。僕が落ち込んだ時もこの人はこの人なりに励まそうとはしていたのだが、その言葉は全て逆効果で僕の心にはいつも深い傷ばかり負っていた。

「雅也君。エッチな事しましょう」
「あんたいきなり何言ってんだ!? 気でも触れたのか!?」
「そ、そそそうですよ‼ こ、こんな場所で……そ、そういう事は家で……」
「家ならいいの!?」
「す、すすすみません‼ そんなつもりで言ったわけじゃないんです‼」
「そ、そうだよね」

 星野さんはとても清楚な見た目をしているからそういう事には、疎いのかと思っていたが案外そうではないらしく、そのギャップは中々な破壊力を持っている。もし僕に咲夜という心に決めた人が居なければ今の一言で確実に落ちている。

「流石に冗談よ。でも星野さんの気分は持ち直せたでしょう?」
「あ、そう言えば……」

 先輩の言う通り星野さんの気分は持ち直していた。でもこのような手法で直されても正直嬉しくはないし、むしろ腹が立つ。

「もっと上手いことやってください。いくら何でも手法が酷いです」
「ごめんなさい。私器用な方じゃないから……」
「それは知っていますよ」
「雅也君……」

 先輩の不器用さなど彼女と付き合う前から知っている。何なら初めて会ったときから彼女の言い回しは回りくどくて、不器用なのがバレバレだった。でもそれは冷静になった今だからこそ理解できたことで、大概の人は彼女の美しさの前でそんな面は隠れてしまう。そう考えると美人なのも考え物だと思う。

 そもそも美人でいいところと言ったら意中の男性を落としやすいというだけで、それ以外は何らメリットはないだろう。興味のない男から常日頃からいやらしい目線で見られし、ラブレターだって貰う。それを断りに行くの一々手間だし、かといっていかないのも失礼だ。何より先輩の場合、意中の男性の心も射止められず、踏んだり蹴ったりだろう。

「まあブサイクよりはいいと思うけど」
「ブサイクがどうしたの?」
「いえ、美人な人も結構苦労しているんだろうなと思って……」
「ん? 美人って星野さんの事かしら?」
「それもそうですけど先輩もですよ?」
「私って美人なの?」
「え……それ本気で言ってます?」
「ええ……そもそも美人だとかブサイクだとか何かよくわからないのよ」
「それまたなんで?」
「だって人って個性の塊じゃない」
「個性の塊……」
「そう。個性の塊。人にはそれぞれいいところも悪いところもある。顔だってそうよ。人によってはブサイクに見えても、人によっては綺麗に見える場合があるわけで、そんなものに優劣をつけるのっておかしいと思わない?」
「それは……」
「わ、わかります‼ 美人だとかブサイクだとか人の勝手な基準で判断しないで欲しいですよね‼」

 どうやら美人な二人には共感できるものがあるらしい。そうなると咲夜もそうなるのだろうか? 後で聞いてみよう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

処理中です...