可愛くて、健気で、エッチで、一途な幼馴染の女の子は、好きですか?~付き合いたい彼女と付き合いたくない彼の攻防戦~

三日月

文字の大きさ
上 下
33 / 53
第二幕

女友達と僕

しおりを挟む
「ええ……取り乱して大変申し訳ありませんでした……」
「お、おう。そんな事より大丈夫……か?」
「……うん」

 あの後僕は母に呼び出され、制裁を受けた。具体的に言うと思い切りビンタをされた。そのせいで僕の頬には今もでかでかと母の手形が移っており、未だにジンジン痛む。

「ご、ごめんね。まーくん……」
「ごめんなさい。はしゃぎ過ぎたわ……」
「あ、うん。いいよ……気にしないで……」
「それでいい加減私と敦を巻き込んだ理由について話してくれるのよね?」
「ああ、それは話すよ。朱音だけに……」
「ちょ!? なんで俺には言わないんだよ‼」
「黙れ。カス。死ね」
「俺だけ扱い雑‼」
「雅也君。私の事も雑にあつ……」
「先輩。少し黙ってください」
「あ、はい」

 僕は朱音を手招きし、部屋の外へと呼び出す。その際咲夜が少し頬を膨らませ、不満そうにしていた。

「それでなんで私だけ呼んだの?」
「お前敦の事好きか?」
「……それはどういう意味?」
「そのままの意味だよ。異性として敦の事を見ているかって事」
「……なんでそんな事聞くの?」
「いや。好きならお手伝いしてやろうかと思ってな」
「……あんたのそういう所。本当に

 嫌い。その言葉を友人から言われて動揺しないものはいないだろう。

「な、なんで?」
「うっさい。黙れ。死ね」
「流石に酷い……」

 こちらは良かれと思って手伝おうとしたのに、この言われようは流石に傷つく。 

「ふん‼ 自業自得よ‼」
「ええ……僕の優しさをもう少し受け取……」
「ああ?」
「な、なんでもないです……」

 朱音の様子を見るに本気で嫌がっているようだ。僕には何故彼女がここまで手助けを嫌がるのかわからない。もし僕が彼女と同じ立場だったら土下座してでもお願いするというのに。女性の気持ちは本当にわからない。

「それであんたは何を私達にさせようとしたの?」
「ん? いや。そのままだよ。敦が早乙女さんを口説いて、星野さんっていう昨日僕が知り合った少女の事を聞き出して欲しいのよ」
「それになんで私が関わらないといけないのよ」
「朱音はいわゆるお目付け役。敦が馬鹿な事をしないかこっそりサポートしてもらおうかと思ってな」

 これは確かに目的の一つだが本当の目的は違う。僕は今回の事で朱音にもう少し焦って欲しいと思ったのだ。

 敦はああ見えて、案外女性にモテるタイプだと思う。少なくとも僕みたいな奴よりははるかにモテるだろう。

   顔も悪くないし、コミュニケーション能力だってある。料理だってできるし、基本的に誰に対しても優しい。そうであるにもかかわらずあいつがモテないのはその発言の残念さだ。

 敦は相手が女子であろうと平気で下品な事を言うし、彼女欲しい常日頃から口にしている。それが彼の最大の欠点で、それにさえ目を瞑ればあいつは超優良物件なのだ。

 そんな彼のいいところを間近で見させ、彼がモテるということを知れば朱音も少しは焦り、もっと恋に積極的になって、性格も丸くなってくれるだろうというのが僕の今回の目論見だ。

「ふ~ん。あんた咲夜以外の女の子と知り合いになったんだ」
「ま、まあな。でもただの友達としか見て……」
「あ、うん。それは分かるからいい」
「そ、そうか」
 
 朱音はやけに物分かりがよかった。いつもなら何かしら罵倒してくるはずなのに、今はしおらしくしている。そんな彼女はどこか不気味だ。

「いいわ。あんたのお願い聞いてあげる」
「そ、そうか? 助かるよ」
「その代わり‼ 今度またで遊びにいきましょう? それで引き受けてあげる」
「わ、わかった」

 朱音の言う皆とは僕、咲夜、敦、そして朱音の四人の事を指しているのはわかっている。でも何故四人で遊びにいきたいのか僕には、わからなかった。

 朱音は敦の事を好きなはず。それならば普通敦と二人きりで遊びにいけるようセッティングするよう頼んでくるはずだ。でも朱音はそんな事一切頼んでこなかった。むしろ四人で遊ぶことにやけにこだわっていた。

 もしかしたら朱音は敦が好きではないのかもしれない。むしろ朱音がこだわっているのは……

「何呆けているの? さっさと戻るわよ」
「お、おう……」 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

処理中です...