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第二幕
音ゲーと金髪少女
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「やっぱり遊びに来ると言ったらここだよな‼」
僕が星野さんを連れてきた場所は、ゲーセンだ。本当ならもっと別の場所に連れて行ってあげたかった。でも生憎今日は時間がなし。それに明日も学校がある。そんな状況下の中夕方から遠出するのはあまり好ましくないだろう。
「ここって……何をする場所なのですか?」
「え、もしかしてゲームセンター知らなかった……?」
「ゲームセンター……?」
普通に考えてゲームセンターを知らないのは明らかにおかしい。でも星野さんの様子からは嘘をついているようには見えない。
「ええと、ゲームという言葉は知っているよね……?」
「はい。チェスとかオセロとかそういったものの事を指す言葉ですよね?」
「正解。ただチェスとかオセロは世間一般にはボードゲームって呼ぶね」
「そうなのですか!? 私その様な事知りませんでした」
『いつの時代の人間だよ』という突っ込みはこの際置いておくとして、どうやら星野さんは世俗の事にとても疎いらしい。それは彼女がお金持ちだから。星野さんがお金持ちといった確証は現時点では得られていない。でも彼女の立ち振る舞いや言動を見ていれば明らかに僕たちとは違う世界に生きる人間だということはわかる。
「一応ここにもボードゲームはあるけれどどうせやるなら音楽ゲームとか格闘ゲームとかの方がオススメ……って言ってもそれらが何か知らなかったね」
「うう……すみません……」
「そうやってすぐ謝らない」
僕は星野さんの頭を軽く小突いてやる。星野さんは僕の小突いた部分を手で押さえながら涙目で僕の事を非難がましく見つめる。
「金剛さん。ひどいですわ」
「うん、うん。そうやってはっきり意見を言うのはとても大事な事だと思うな」
「うう……」
「ははは。顔、真っ赤だね」
「こ、金剛さんのせいですわ‼」
「うん。そうだね。僕のせいだね」
「うう……‼ うう……‼ うう……‼」
星野さんは子供みたいに唸る。それはきっと本来の彼女が子供っぽい性格をしているのに起因しているのだろう。
きっとこの状況を敦に見せたら驚くだろう。何せあの場にいた時の星野さんは、どちらかと言えば大人びたような様子だったのだから。
「とりあえず音楽ゲームでもやってみようか」
「ええと……それは……その……楽しいのですか?」
「うん。とても楽しいし、星野さんもきっと気にいると思うよ」
「そう……ですか。わかりました。金剛さんがそこまで言うのでしたらやってみますわ」
「それじゃあ、あそこにあるのやろうか」
僕の指さす先そこには国民的ゲーム、太〇の達人があった。ただそれも星野さんは、それすらも知らないのかとても不思議そうな顔を浮かべていた。
「こ、これはどうやって遊ぶのでしょうか?」
「簡単に言ってしまうと画面に表示されたアイコンのリズムに合わせて太鼓をたたくゲームだよ」
「そう……なのですか?」
「そうなの。とりあえず僕が一曲やってみるから星野さんは見ていて」
「わ、わかりました」
投入口に百円硬貨を入れると画面が変わり、スピーカーから軽快な音楽が流れだす。
「されこれでいいか」
僕が今回遊ぶ曲は、クラシック音楽の白鳥の湖。難易度は本来ならおにをえらびたいところだが、星野さんにお手本を見せるのが目的なので、ここはあえてかんたんを選択する。
「ふんふんふ~ん」
譜面のあまりの簡単さに僕は少々退屈さを感じ、横目で星野さんの事を見る。
「凄い……凄いですわ……世の中にこんなものがあったのですか‼」
星野さんはどうやら僕の想定よりも遥かに気に入ったらしく、瞳をキラキラ輝かせている。そんな間にもあっという間に一曲が終わり、画面ではフルコンボと表示されていた。
「まあこんな感じのゲームだよ。後二回遊べるから後は星野さんが遊んでいいよ」
「いいのですか‼」
「う、うん……」
美少女の嬉しそうな顔というのは目の保養になるのと同時に心臓に悪い。僕の状況は端から見れば浮気をした彼氏の様なもので、もしこのような場を咲夜に目撃されたら確実に誤解される。最悪嫌われるなんてこともあり得る。
「さ、流石にいない……よね?」
周囲一帯を見ても咲夜らしき面影は確認できず、心底安心する。
「どうかなされたのですか……?」
「う、ううん。な、何でもないよ。気にしないで」
「はぁ……わかりましたわ」
そう言うと星野さんは再び画面に向き、一心不乱にバチを振るう。その時の彼女の表情はとても楽しそうな様子で、僕は安心した。
「見ろよ。あの子の制服……」
「あれって……聖カの子か‼ はぁ……やっぱり超かわいいな~」
「おい。お前声かけて来いよ」
「え、でも隣に男いるし……」
「馬鹿。あんなモブがあの子の彼氏なわけないだろう」
「それもそうか」
「そうだよ」
「「「あはははは」」」
後ろで僕の事何者かが馬鹿にするような声が聞こえ、一言文句を言ってやろうと思って振り返る。
「あれ……? いない……?」
ただ後ろには既に誰もおらず、まるで狸に化かされたような気分だ。
「どうでしたか‼ 私上手に演奏できていましたか‼」
「うん。上手に演奏できていたよ」
本当は途中からほとんど見ていなかった。でもここでその様な事を言えば彼女の機嫌を損ねるのは、日を見るより明らかなことで、僕はそう咄嗟に嘘をついた。
「ほ、本当ですか‼」
「本当、本当。僕、嘘つかない」
そんな僕の言葉を星野さんは完全に信じ切っており、わかりやすく嬉しそうな表情を見せる。それはきっと彼女が純粋だからで、何より僕の事を心の底から信用してくれているからだろう。
でも僕としては内心複雑だった。何せ僕と星野さんは今日あったばかりなのだ。その様な人間をここまで信用するのは、明らかに危ない。もし僕が悪い人だったら彼女は、今頃きっと酷い目に合う。いや、違う。彼女の場合は、むしろ酷い目にあっても構わないと思っているのかもしれない。
僕が星野さんを連れてきた場所は、ゲーセンだ。本当ならもっと別の場所に連れて行ってあげたかった。でも生憎今日は時間がなし。それに明日も学校がある。そんな状況下の中夕方から遠出するのはあまり好ましくないだろう。
「ここって……何をする場所なのですか?」
「え、もしかしてゲームセンター知らなかった……?」
「ゲームセンター……?」
普通に考えてゲームセンターを知らないのは明らかにおかしい。でも星野さんの様子からは嘘をついているようには見えない。
「ええと、ゲームという言葉は知っているよね……?」
「はい。チェスとかオセロとかそういったものの事を指す言葉ですよね?」
「正解。ただチェスとかオセロは世間一般にはボードゲームって呼ぶね」
「そうなのですか!? 私その様な事知りませんでした」
『いつの時代の人間だよ』という突っ込みはこの際置いておくとして、どうやら星野さんは世俗の事にとても疎いらしい。それは彼女がお金持ちだから。星野さんがお金持ちといった確証は現時点では得られていない。でも彼女の立ち振る舞いや言動を見ていれば明らかに僕たちとは違う世界に生きる人間だということはわかる。
「一応ここにもボードゲームはあるけれどどうせやるなら音楽ゲームとか格闘ゲームとかの方がオススメ……って言ってもそれらが何か知らなかったね」
「うう……すみません……」
「そうやってすぐ謝らない」
僕は星野さんの頭を軽く小突いてやる。星野さんは僕の小突いた部分を手で押さえながら涙目で僕の事を非難がましく見つめる。
「金剛さん。ひどいですわ」
「うん、うん。そうやってはっきり意見を言うのはとても大事な事だと思うな」
「うう……」
「ははは。顔、真っ赤だね」
「こ、金剛さんのせいですわ‼」
「うん。そうだね。僕のせいだね」
「うう……‼ うう……‼ うう……‼」
星野さんは子供みたいに唸る。それはきっと本来の彼女が子供っぽい性格をしているのに起因しているのだろう。
きっとこの状況を敦に見せたら驚くだろう。何せあの場にいた時の星野さんは、どちらかと言えば大人びたような様子だったのだから。
「とりあえず音楽ゲームでもやってみようか」
「ええと……それは……その……楽しいのですか?」
「うん。とても楽しいし、星野さんもきっと気にいると思うよ」
「そう……ですか。わかりました。金剛さんがそこまで言うのでしたらやってみますわ」
「それじゃあ、あそこにあるのやろうか」
僕の指さす先そこには国民的ゲーム、太〇の達人があった。ただそれも星野さんは、それすらも知らないのかとても不思議そうな顔を浮かべていた。
「こ、これはどうやって遊ぶのでしょうか?」
「簡単に言ってしまうと画面に表示されたアイコンのリズムに合わせて太鼓をたたくゲームだよ」
「そう……なのですか?」
「そうなの。とりあえず僕が一曲やってみるから星野さんは見ていて」
「わ、わかりました」
投入口に百円硬貨を入れると画面が変わり、スピーカーから軽快な音楽が流れだす。
「されこれでいいか」
僕が今回遊ぶ曲は、クラシック音楽の白鳥の湖。難易度は本来ならおにをえらびたいところだが、星野さんにお手本を見せるのが目的なので、ここはあえてかんたんを選択する。
「ふんふんふ~ん」
譜面のあまりの簡単さに僕は少々退屈さを感じ、横目で星野さんの事を見る。
「凄い……凄いですわ……世の中にこんなものがあったのですか‼」
星野さんはどうやら僕の想定よりも遥かに気に入ったらしく、瞳をキラキラ輝かせている。そんな間にもあっという間に一曲が終わり、画面ではフルコンボと表示されていた。
「まあこんな感じのゲームだよ。後二回遊べるから後は星野さんが遊んでいいよ」
「いいのですか‼」
「う、うん……」
美少女の嬉しそうな顔というのは目の保養になるのと同時に心臓に悪い。僕の状況は端から見れば浮気をした彼氏の様なもので、もしこのような場を咲夜に目撃されたら確実に誤解される。最悪嫌われるなんてこともあり得る。
「さ、流石にいない……よね?」
周囲一帯を見ても咲夜らしき面影は確認できず、心底安心する。
「どうかなされたのですか……?」
「う、ううん。な、何でもないよ。気にしないで」
「はぁ……わかりましたわ」
そう言うと星野さんは再び画面に向き、一心不乱にバチを振るう。その時の彼女の表情はとても楽しそうな様子で、僕は安心した。
「見ろよ。あの子の制服……」
「あれって……聖カの子か‼ はぁ……やっぱり超かわいいな~」
「おい。お前声かけて来いよ」
「え、でも隣に男いるし……」
「馬鹿。あんなモブがあの子の彼氏なわけないだろう」
「それもそうか」
「そうだよ」
「「「あはははは」」」
後ろで僕の事何者かが馬鹿にするような声が聞こえ、一言文句を言ってやろうと思って振り返る。
「あれ……? いない……?」
ただ後ろには既に誰もおらず、まるで狸に化かされたような気分だ。
「どうでしたか‼ 私上手に演奏できていましたか‼」
「うん。上手に演奏できていたよ」
本当は途中からほとんど見ていなかった。でもここでその様な事を言えば彼女の機嫌を損ねるのは、日を見るより明らかなことで、僕はそう咄嗟に嘘をついた。
「ほ、本当ですか‼」
「本当、本当。僕、嘘つかない」
そんな僕の言葉を星野さんは完全に信じ切っており、わかりやすく嬉しそうな表情を見せる。それはきっと彼女が純粋だからで、何より僕の事を心の底から信用してくれているからだろう。
でも僕としては内心複雑だった。何せ僕と星野さんは今日あったばかりなのだ。その様な人間をここまで信用するのは、明らかに危ない。もし僕が悪い人だったら彼女は、今頃きっと酷い目に合う。いや、違う。彼女の場合は、むしろ酷い目にあっても構わないと思っているのかもしれない。
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