10 / 53
開幕
ゲームセンターと幼馴染
しおりを挟む
「さて‼ 今日は命一杯遊ぶわよ‼」
「テンション高いなぁ……」
「ふふふ……そうだね。こんなに生き生きしている朱音は、久しぶりに見たかな」
「俺からすればこの朱音がデフォルトなんだけど……」
「あ、そうですか」
なんか俺だけ朱音の事をよく理解していないみたいで、妙な疎外感が……
「よし。敦‼ ひとまず格ゲーで勝負するわよ‼」
「は!? ちょっと待て‼ 俺は今日雅也と……」
「あんたの意見は聞いてない‼」
敦は首根っこを朱音にガシリと捕まれ、ずるずると格ゲーのコーナーへと連れていかれていた。その時の朱音の横顔は、とてもイキイキしていた。
「なるほど。そういう事か」
「ん? どうかしたの?」
「いや、もしかしてあの2人ってできてるのかなって……」
「どうしてそう思ったの?」
「朱音の横顔」
「横顔?」
「うん」
先程の朱音の横顔を僕は、今まで一度も引き出せた事は無く、とても魅力的な笑顔をしていたのだ。それこそ心に決めた人がいる僕の心を多少なりともざわつかせるぐらいには。
「ふ~ん。まーくん。朱音のことはよく見ているんだ。私と違って……もしかしてああいう子がタイプなの?」
「違う、違う。僕のタイプの女の子は、可愛くて、健気で、一途で、いつも笑顔で、癒してくれるそんな女の子が好きだよ」
さらにエロいと尚よしだが、流石にそこまでは言わない。というかここまで言えば咲夜には、僕の好きな人が誰か伝わるとおもうんだけど……特に一途という部分で。
「ふ、ふ~ん。そ、そっか。えへへ……」
どうやらうまく伝わってくれたらしく、咲夜は今だらしない笑みを浮かべている。
「そういう咲夜の好みの男の子は、どういうのなんだ?」
「ん? そんなのまーくんだよ?」
「いや。それは好みじゃなくて、人物であって……」
というか呼び方変わってるし。
「だからまーくんが好みなの。仮にまーくんと同じ性格、同じ言動、似たような容姿をした人がいてもその人は、まーくんじゃないでしょう?」
「それは、まあ……そうだな」
「つまりそういう事だよ」
「どういう事?」
「だから‼ 私が好きなのは、まーくんなの‼ 金剛雅也君の事が好きなの‼ 他の人じゃダメなの‼」
「そ、そうか……」
顔が熱い。ああ、もう。なんで咲夜はこうも男らしいのかな。僕なんて素直に咲夜が好きだと言えないのに、この子は、本当に、本当にもうなんなんだ。
「あ、うん。あ、ありがとう……」
「ふん。わかってくれたなら何より……ってまーくん顔赤いよ?」
「う、うるさい‼」
一体誰のせいでこうなっていると……
「う~ん?」
こういう所は鈍いのかよ‼ ああ、もう言いたい‼ 咲夜が好きだって超言いたい‼ けど言えない‼ ああ、もうもどかしいし‼ 過去の自分をぶん殴りたい‼
「僕の事はもういいだろう‼ それより早く遊ぼうぜ‼」
「う~ん。まーくんがそう言うのなら……」
よかった。うまく話題を逸らすことができた。これ以上咲夜にあんな様な事を言われようものならばそれこそ僕の方が、堕ちかねない。まあ既に彼女の魅力に完全に堕とされてはいるのだけれど。
「ひとまずUFOキャッチャーでもやるか?」
「いいね。UFOキャッチャー‼」
僕たちは台を周り、欲しい景品、取れそうな景品がないか慎重に吟味する。
「まーくん‼ まーくん‼ これ‼ これ‼」
「な!? これは……」
そこには僕の好きなポ〇モンのぬいぐるみがあった。ポケ〇ンの名は、ヨ〇バリス。そのデザインによってネットでは散々玩具にされ、人によっては、気持ち悪いだとか死ねだとか散々な評価をされているキャラクターなのだが、僕はあのなんとも言えないムカつく顔をしているこのキャラがとても気に入っていた。
「私‼ これやる‼ それでまーくんにあげるね」
「え、いやここは……」
「てい」
「あ……」
咲夜は僕が止める前に既に料金を入れていた。しかも五百円も。
「ふんふんふ~ん」
咲夜は、鼻歌を歌いながらレバー式のアームを動かす。彼女の動かすアームの軌道は不規則で、そんな動きでどうやってとるというのか僕には、全く予想がつかない。
「おお‼ 取れたよ‼ まーくん‼」
「そんな馬鹿な……」
「えへへ……どう? 凄い? 凄い?」
「うん。凄い、凄いのだけれど……なんでそれでとれるの……?」
咲夜の動かしていたアームは咲夜が下降ボタンを押すよりも前に時間切れが訪れ、勝手に落ちていった。その後が凄かった。何が凄いって落ちたアームは、ぬいぐるみの重心をきちんととらえ、いともたやすく持ち上げたまま、ぬいぐるみを取り出し口まで運んでしまったのだ。
咲夜は確かにゲームをたしなむが、こういった類のゲームはほとんどやらない。それこそ数える程度しかやったことがないだろう。にも関わらず景品は、取れてしまった。たったの一回で。
「よ~し‼ もっと取っちゃうぞ‼」
「あ、ああ……」
咲夜はその後残ったクレジットを用いてぬいぐるみをもう一つ取り、そのうち一個を僕にくれた。その際咲夜の言った「お揃いだね」といいながら可愛らしく笑う彼女の姿は、僕の瞳に強く焼き付いた。
「テンション高いなぁ……」
「ふふふ……そうだね。こんなに生き生きしている朱音は、久しぶりに見たかな」
「俺からすればこの朱音がデフォルトなんだけど……」
「あ、そうですか」
なんか俺だけ朱音の事をよく理解していないみたいで、妙な疎外感が……
「よし。敦‼ ひとまず格ゲーで勝負するわよ‼」
「は!? ちょっと待て‼ 俺は今日雅也と……」
「あんたの意見は聞いてない‼」
敦は首根っこを朱音にガシリと捕まれ、ずるずると格ゲーのコーナーへと連れていかれていた。その時の朱音の横顔は、とてもイキイキしていた。
「なるほど。そういう事か」
「ん? どうかしたの?」
「いや、もしかしてあの2人ってできてるのかなって……」
「どうしてそう思ったの?」
「朱音の横顔」
「横顔?」
「うん」
先程の朱音の横顔を僕は、今まで一度も引き出せた事は無く、とても魅力的な笑顔をしていたのだ。それこそ心に決めた人がいる僕の心を多少なりともざわつかせるぐらいには。
「ふ~ん。まーくん。朱音のことはよく見ているんだ。私と違って……もしかしてああいう子がタイプなの?」
「違う、違う。僕のタイプの女の子は、可愛くて、健気で、一途で、いつも笑顔で、癒してくれるそんな女の子が好きだよ」
さらにエロいと尚よしだが、流石にそこまでは言わない。というかここまで言えば咲夜には、僕の好きな人が誰か伝わるとおもうんだけど……特に一途という部分で。
「ふ、ふ~ん。そ、そっか。えへへ……」
どうやらうまく伝わってくれたらしく、咲夜は今だらしない笑みを浮かべている。
「そういう咲夜の好みの男の子は、どういうのなんだ?」
「ん? そんなのまーくんだよ?」
「いや。それは好みじゃなくて、人物であって……」
というか呼び方変わってるし。
「だからまーくんが好みなの。仮にまーくんと同じ性格、同じ言動、似たような容姿をした人がいてもその人は、まーくんじゃないでしょう?」
「それは、まあ……そうだな」
「つまりそういう事だよ」
「どういう事?」
「だから‼ 私が好きなのは、まーくんなの‼ 金剛雅也君の事が好きなの‼ 他の人じゃダメなの‼」
「そ、そうか……」
顔が熱い。ああ、もう。なんで咲夜はこうも男らしいのかな。僕なんて素直に咲夜が好きだと言えないのに、この子は、本当に、本当にもうなんなんだ。
「あ、うん。あ、ありがとう……」
「ふん。わかってくれたなら何より……ってまーくん顔赤いよ?」
「う、うるさい‼」
一体誰のせいでこうなっていると……
「う~ん?」
こういう所は鈍いのかよ‼ ああ、もう言いたい‼ 咲夜が好きだって超言いたい‼ けど言えない‼ ああ、もうもどかしいし‼ 過去の自分をぶん殴りたい‼
「僕の事はもういいだろう‼ それより早く遊ぼうぜ‼」
「う~ん。まーくんがそう言うのなら……」
よかった。うまく話題を逸らすことができた。これ以上咲夜にあんな様な事を言われようものならばそれこそ僕の方が、堕ちかねない。まあ既に彼女の魅力に完全に堕とされてはいるのだけれど。
「ひとまずUFOキャッチャーでもやるか?」
「いいね。UFOキャッチャー‼」
僕たちは台を周り、欲しい景品、取れそうな景品がないか慎重に吟味する。
「まーくん‼ まーくん‼ これ‼ これ‼」
「な!? これは……」
そこには僕の好きなポ〇モンのぬいぐるみがあった。ポケ〇ンの名は、ヨ〇バリス。そのデザインによってネットでは散々玩具にされ、人によっては、気持ち悪いだとか死ねだとか散々な評価をされているキャラクターなのだが、僕はあのなんとも言えないムカつく顔をしているこのキャラがとても気に入っていた。
「私‼ これやる‼ それでまーくんにあげるね」
「え、いやここは……」
「てい」
「あ……」
咲夜は僕が止める前に既に料金を入れていた。しかも五百円も。
「ふんふんふ~ん」
咲夜は、鼻歌を歌いながらレバー式のアームを動かす。彼女の動かすアームの軌道は不規則で、そんな動きでどうやってとるというのか僕には、全く予想がつかない。
「おお‼ 取れたよ‼ まーくん‼」
「そんな馬鹿な……」
「えへへ……どう? 凄い? 凄い?」
「うん。凄い、凄いのだけれど……なんでそれでとれるの……?」
咲夜の動かしていたアームは咲夜が下降ボタンを押すよりも前に時間切れが訪れ、勝手に落ちていった。その後が凄かった。何が凄いって落ちたアームは、ぬいぐるみの重心をきちんととらえ、いともたやすく持ち上げたまま、ぬいぐるみを取り出し口まで運んでしまったのだ。
咲夜は確かにゲームをたしなむが、こういった類のゲームはほとんどやらない。それこそ数える程度しかやったことがないだろう。にも関わらず景品は、取れてしまった。たったの一回で。
「よ~し‼ もっと取っちゃうぞ‼」
「あ、ああ……」
咲夜はその後残ったクレジットを用いてぬいぐるみをもう一つ取り、そのうち一個を僕にくれた。その際咲夜の言った「お揃いだね」といいながら可愛らしく笑う彼女の姿は、僕の瞳に強く焼き付いた。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。


貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる