17 / 23
17 ドレス選び(※ローズ視点)
しおりを挟む
プラチナムのご婦人は、本当に3日でお姉様と私のデザイン案と生地のサンプルを持ってきたわ。さすがに二人分ともなるとお手伝いを雇う必要があるのか、それとも弟子なのか、何人かの女性が丁寧にサロンに荷物を運んできた。
「さ、こちらがデザイン案ですよ。気にいるものはあるかしら?」
プラチナムのご婦人が持ってきたのは、3組のドレスの図案。どれも私とお姉様の対案で、2人で並べばそうと分かり、1人でいれば自分の魅力を最大限に活かすデザイン。今流行りの広がりのあるドレスではなく、ほっそりとしたお姉様と私のスタイルが生きる、身体のラインにそったデザインだった。
流行ばかり追っていた私はこのドレスがどれだけ注目を集めるかよく分かる。これはとても目立つだろう、それも良い意味で。
姉はデザインの良し悪しには疎いからか、何度も3枚を見比べている。たぶん、違いが分かっていないのだわ。困ったお姉様だこと。私はお姉様の手元からデザイン案を引っこ抜く。
「あ……ローズ」
「お姉様、分かっていますよ。貴女がデザインの違いがよく分からなくて困っていることなんて」
プラチナムのご婦人は面白そうに笑って私にデザイン案の全てを見せてきた。
私も聡い方だとは思うけれど、ご婦人の方も相当聡い方だわ。選ばれた人しか作ってもらえないというのも頷ける。
プラチナムのご婦人のデザイン、これは流行を作る側のデザイン。絶対に世の人に受け入れられ、斬新でありながら気品は損なわない。私たち姉妹がこれを着て建国祭に出たら……、とても目立つでしょうね。
生地のサンプルにも触らせてもらいながら、私が決めたのは、薄絹とレースでデザインされた花弁をイメージしたドレス。
刺繍を施した物と迷ったけれど、私たちはまだ若い。薄絹とレースを重ね、肩は出ているけれど長手袋でカバーされて、薔薇にも百合にも見える花を象ったデザイン。裾は後ろに少し長く、前は透けるレースで靴が見える。その靴もヒールは高くとも繊細でありながら、動きやすいデザインに見えた。
色は私が華やかな赤で、姉は銀に近い白。姉の方は光沢がある生地で私は逆に色が強いからか光沢は無いが重たくなりすぎない生地。
「すごいわ……、完璧ですプラチナム婦人」
「あらあら、完璧なんて事ないのよ。貴女たちはとても若くて美しい。口さがない男たちの噂からは、私のドレスで守ってあげますからね。……それに、貴女たちが成長してからも、ドレスを任されたいわ。長生きしないといけない理由ができたわね」
どうやら私が選んだデザイン案は、プラチナムのご婦人の一番自信のあるデザインだったようだ。認められた、と思ったし、社交界についてもプラチナムのご婦人はご存知のようだわ。
でも、本当にそう。このドレスを着て姉と私が建国祭に出たら、絶対に注目が集まる。私たちのためのドレスでありながら、ドレスそのものが強い力を持っている。悪評、私の……過去のあやまち、それを跳ね除ける力のあるドレス。
お姉様にも生地を触らせて、デザインについて説明したけれど、全くこの人は分かっていない。
プラチナムのご婦人は品よく笑うと、では採寸しましょうかと私たちを促した。
「さ、こちらがデザイン案ですよ。気にいるものはあるかしら?」
プラチナムのご婦人が持ってきたのは、3組のドレスの図案。どれも私とお姉様の対案で、2人で並べばそうと分かり、1人でいれば自分の魅力を最大限に活かすデザイン。今流行りの広がりのあるドレスではなく、ほっそりとしたお姉様と私のスタイルが生きる、身体のラインにそったデザインだった。
流行ばかり追っていた私はこのドレスがどれだけ注目を集めるかよく分かる。これはとても目立つだろう、それも良い意味で。
姉はデザインの良し悪しには疎いからか、何度も3枚を見比べている。たぶん、違いが分かっていないのだわ。困ったお姉様だこと。私はお姉様の手元からデザイン案を引っこ抜く。
「あ……ローズ」
「お姉様、分かっていますよ。貴女がデザインの違いがよく分からなくて困っていることなんて」
プラチナムのご婦人は面白そうに笑って私にデザイン案の全てを見せてきた。
私も聡い方だとは思うけれど、ご婦人の方も相当聡い方だわ。選ばれた人しか作ってもらえないというのも頷ける。
プラチナムのご婦人のデザイン、これは流行を作る側のデザイン。絶対に世の人に受け入れられ、斬新でありながら気品は損なわない。私たち姉妹がこれを着て建国祭に出たら……、とても目立つでしょうね。
生地のサンプルにも触らせてもらいながら、私が決めたのは、薄絹とレースでデザインされた花弁をイメージしたドレス。
刺繍を施した物と迷ったけれど、私たちはまだ若い。薄絹とレースを重ね、肩は出ているけれど長手袋でカバーされて、薔薇にも百合にも見える花を象ったデザイン。裾は後ろに少し長く、前は透けるレースで靴が見える。その靴もヒールは高くとも繊細でありながら、動きやすいデザインに見えた。
色は私が華やかな赤で、姉は銀に近い白。姉の方は光沢がある生地で私は逆に色が強いからか光沢は無いが重たくなりすぎない生地。
「すごいわ……、完璧ですプラチナム婦人」
「あらあら、完璧なんて事ないのよ。貴女たちはとても若くて美しい。口さがない男たちの噂からは、私のドレスで守ってあげますからね。……それに、貴女たちが成長してからも、ドレスを任されたいわ。長生きしないといけない理由ができたわね」
どうやら私が選んだデザイン案は、プラチナムのご婦人の一番自信のあるデザインだったようだ。認められた、と思ったし、社交界についてもプラチナムのご婦人はご存知のようだわ。
でも、本当にそう。このドレスを着て姉と私が建国祭に出たら、絶対に注目が集まる。私たちのためのドレスでありながら、ドレスそのものが強い力を持っている。悪評、私の……過去のあやまち、それを跳ね除ける力のあるドレス。
お姉様にも生地を触らせて、デザインについて説明したけれど、全くこの人は分かっていない。
プラチナムのご婦人は品よく笑うと、では採寸しましょうかと私たちを促した。
31
お気に入りに追加
2,512
あなたにおすすめの小説
なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
──いいえ。わたしがあなたとの婚約を破棄したいのは、あなたに愛する人がいるからではありません。
ふまさ
恋愛
伯爵令息のパットは、婚約者であるオーレリアからの突然の別れ話に、困惑していた。
「確かにぼくには、きみの他に愛する人がいる。でもその人は平民で、ぼくはその人と結婚はできない。だから、きみと──こんな言い方は卑怯かもしれないが、きみの家にお金を援助することと引き換えに、きみはそれを受け入れたうえで、ぼくと婚約してくれたんじゃなかったのか?!」
正面に座るオーレリアは、膝のうえに置いたこぶしを強く握った。
「……あなたの言う通りです。元より貴族の結婚など、政略的なものの方が多い。そんな中、没落寸前の我がヴェッター伯爵家に援助してくれたうえ、あなたのような優しいお方が我が家に婿養子としてきてくれるなど、まるで夢のようなお話でした」
「──なら、どうして? ぼくがきみを一番に愛せないから? けれどきみは、それでもいいと言ってくれたよね?」
オーレリアは答えないどころか、顔すらあげてくれない。
けれどその場にいる、両家の親たちは、その理由を理解していた。
──そう。
何もわかっていないのは、パットだけだった。
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
初めまして婚約者様
まる
恋愛
「まあ!貴方が私の婚約者でしたのね!」
緊迫する場での明るいのんびりとした声。
その言葉を聞いてある一点に非難の視線が集中する。
○○○○○○○○○○
※物語の背景はふんわりしています。スルッと読んでいただければ幸いです。
目を止めて読んで下さった方、お気に入り、しおりの登録ありがとう御座いました!少しでも楽しんで読んでいただけたなら幸いです(^人^)
【完結】都合のいい妻ですから
キムラましゅろう
恋愛
私の夫は魔術師だ。
夫はものぐさで魔術と魔術機械人形(オートマタ)以外はどうでもいいと、できることなら自分の代わりに呼吸をして自分の代わりに二本の足を交互に動かして歩いてほしいとまで思っている。
そんな夫が唯一足繁く通うもう一つの家。
夫名義のその家には美しい庭があり、美しい女性が住んでいた。
そして平凡な庭の一応は本宅であるらしいこの家には、都合のいい妻である私が住んでいる。
本宅と別宅を行き来する夫を世話するだけの毎日を送る私、マユラの物語。
⚠️\_(・ω・`)ココ重要!
イライラ必至のストーリーですが、作者は元サヤ主義です。
この旦那との元サヤハピエンなんてないわ〜( ・᷄ὢ・᷅)となる可能性が大ですので、無理だと思われた方は速やかにご退場を願います。
でも、世界はヒロシ。
元サヤハピエンを願う読者様も存在する事をご承知おきください。
その上でどうか言葉を選んで感想をお書きくださいませ。
(*・ω・)*_ _))ペコリン
小説家になろうにも時差投稿します。
基本、アルファポリスが先行投稿です。
【完結】『お姉様に似合うから譲るわ。』そう言う妹は、私に婚約者まで譲ってくれました。
まりぃべる
恋愛
妹は、私にいつもいろいろな物を譲ってくれる。
私に絶対似合うから、と言って。
…て、え?婚約者まで!?
いいのかしら。このままいくと私があの美丈夫と言われている方と結婚となってしまいますよ。
私がその方と結婚するとしたら、妹は無事に誰かと結婚出来るのかしら?
☆★
ごくごく普通の、お話です☆
まりぃべるの世界観ですので、理解して読んで頂けると幸いです。
☆★☆★
全21話です。
出来上がっておりますので、随時更新していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる