まひびとがたり

パン治郎

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つわものたち その2

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 屋敷の広間にて――水野実真、渡会久忠、上條常正の三者が顔を合わせた。
 渡会久忠は屋敷の主人であり、この伊勢国における最有力武士である。京の都から逃れた実真を匿うため、東西の境界である鈴鹿の関までただちに手勢を派遣したのだった。
 上條常正は元・伊豆国の介(次官)だったが、東国で頻発していた武士同士の領地争いを看過したとして、実真の手で解任され蟄居処分となっている。
 実真が都から追われたと知り、祭子と志郎の姉弟を先に伊勢国に向かわせた。
「実真殿、お久しゅうございます。斉藤某を討ち取った時以来ですな」
 常正は恭しく頭を垂れる。小柄な老人である。美しい白髪をきっちり束ねてまげを結い、白い髭も綺麗に整えている。微笑をたたえた好々爺だった。
「御足労、痛み入ります」
「娘とは話されましたかな?」
「ええ、少しだけ」
「祭子は母に似て器量は良いのですが、どうにも可愛げがない。あれでは嫁の貰い手もない。やはり舞踊でもさせたほうがよろしいかのう?」
 実真は返答に困って、はぁ、と短く言った。
「上條殿、今日はそのような話をしに来たのではありますまい」
 見かねた渡会が助け船を出す。
「おお、そうであった。わざわざ伊豆より兵を連れて来たのは他でもない」
 常正は豊かな白い眉毛の下の鋭い目の奥を光らせる。
「実真殿――我々には用意がございます」
「用意……」
 実真は常正の言葉の意味を知っている。表情を無に切り替えた。
 その時、広間に祭子と志郎がやって来た。
「失礼仕る――親父殿、ここにおられたか」
「おお、祭子、志郎。息災か」
「伊豆で別れてまだひと月。幼子でもありますまいに」
「そうだったか? 年を取ると時の加減がわからぬ。お前が可憐な姿で花を摘んでおったのがついこないだのようだ」
「それは幼少の話。耄碌するには早いと思いますが」
「あの時の蓮華の冠は兵法書に挟んでしまってある」
 祭子は口元が歪むのを堪え、志郎は笑いそうになるのを堪えている。
「……それより親父殿、なぜ鍛治谷殿を一緒に?」
「兵衛に会ったか。実真殿、鍛治谷兵衛を憶えておいでか?」
 常正は実真に向き直る。実真はこくりと頷いた。
「もちろん。鬼熊殿を忘れるはずがありますまい」
「ははは、そうですか。しかし、かつての兵衛とは思わぬことです。猿神童子討伐の折には猪武者でしたが、今や立派な鍛治谷家の当主。なかなかどうして見事な武者振りでありますよ」
「それは……素晴らしい」
 話が見えない。常正の言葉は祭子が来た途端に萎んだように感じる。
「次に鍛治谷殿と仕合をすれば、私も負けるやもしれませぬ」
「ははは、どうでしょうな。まだまだ実真殿には及びますまい」
 実真と常正はともに笑い合った。それを見て祭子は奥歯を噛む。
 姉の苛立ちに気付いた志郎は、そっと耳を塞ぐ。
「ええい、じれったい!」
 祭子は怒号が広間に響いた。そして実真をまっすぐ見すえる。
「実真殿――我らは茶話に来たのではない。戦をしに来たのだ!」
 直後、広間の空気がしんと静まり返った。
 戦――呆気なくその言葉が飛び出した。志郎は、あちゃーとばかりに顔を右手で覆い、常正はやれやれというふうに小さく息を吐く。
 今まで慎重に言葉を選んでいたというのに。
「まったく我が娘ながら誰に似たのか」
「何をおっしゃる父上。他でもないあなたですよ」
 志郎はぼそりと言った。常正は恨めしそうな目で我が子たちを見る。
「こうなれば仕方ない。実真殿」
「断る」
 実真は短く言った。常正は今にも掴みかかりそうな祭子を目で抑える。
「いやいやこれは、祭子の嫁入りの話ではない」
「わかっています」
「いいや、わかっておらぬ。私が自ら伊豆介を返上し、実真殿を都にお戻ししたのは、いずれこうなることが見えておったからです。主君に裏切られ、こうして再び東国の地に戻られることが」
 主君――その言葉は、武士であれば当然、仕える家の主を指す。
 しかし常正の言った主君は明らかに意味が違う。日ノ本すべての武士は帝に仕えている。そのことである。
「実真殿……東国武士は強さこそが絶対の信条。この私も、渡会殿も、祭子も、志郎も……あまねくつわもの者たちはみな、そなたの強さに心底惚れている。用意とはすなわち、そなたを主君に戴くこと」
 天与の時はまさに今、と常正は言った。
「今こそ日ノ本の覇者となり、帝と並び立つ時なのです」

          ※

「お前たちは京の娘か?」
 鍛治谷兵衛がそう尋ね、静乃が恐々と頷いてから沈黙が訪れた。祭子はどこかに行ったきり戻ってこない。セナは熊のような巨体の男をジッと眺める。
「ううむ……そうだな……京の娘に何を話せばよいのか」
 どうやら話題を探しているらしい。額にうっすら汗をかいている。
「そ、そうだ。東国の話をしてやろう。東国を知っているか?」
 セナは知らない。隣の静乃に視線を送る。
「ええと、この伊勢国にある鈴鹿の関より東の国々だと聞いています」
「然様。そして東国では強さだけがモノを言う――修羅の国だ」
「修羅……」
 セナは愛宕山で実真と戦った時の鬼童丸を思い出していた。あれこそまさに修羅だった。そして、静乃もまたその時の実真を思い出した。その姿もまごうことなき修羅だった。
「東国にはかつて覇者となった男がいた。その名を御堂虎次郎。太政大臣の御堂晴隆と先祖を同じくする男だ。百五十年ぐらい昔の話だがな。虎次郎はその強さで関東の並み居る猛者を従わせ、ついに覇者となった――しかしな、その覇権もひと月と経たずして崩壊してしまった。何故だかわかるか?」
 静乃は首をかしげる。するとセナが短く答えた。
「もっと強いヤツに負けた」
 鍛治谷はどんぐり眼をさらに丸くする。
「そうだ! その通りだ! 御堂虎次郎は京から派遣された追討使・御堂貞晴によって打ち滅ぼされた。いいか娘たちよ、真の覇者とは真に強き者だ。誰にも負けず、勝ち続ける者を言うのだ」
 そのとき、セナの脳裡にシュウジンの言葉がよみがえる。

 自由でいるためには、本当の強さが必要なのさ――。

「真の覇者は、誰よりも自由?」
 奇妙な問いに鍛治谷はぽかんと口を開ける。
「おう……そりゃあ、そうだろう。立ちはだかる敵を物ともせぬ強さがあれば、すべてを欲しいままにできる。自由だ」
 セナは鍛治谷の言葉をそのまま呑み込むことができない。
 はたして、本当にそうなのだろうか。
「今、東国に覇者はいるのですか?」静乃が問う。
「おらん! だが、最も近い男ならいる――水野実真だ。あの男ならば東国どころか、誰も成し得なかった日ノ本の覇者になれると俺は信じている!」
 鍛治谷は自分のことのように誇らしげに、大口開けて天に向かって笑った。

          ※

 日ノ本の覇者――その言葉が広間の空気を凍らせた。
 上條常正、祭子、志郎の親子も、屋敷の主である渡会久忠も実真に視線を寄せている。そばに控えている安長は口を堅く閉ざして目をつむっていた。
「私は……帝の臣だ」
 実真が絞り出すように言った言葉はそれだった。
「そのような考えは帝に弓するも同じ」
 実真の言葉はかすかに震えていた。太陽を射落とすようなものだ。
 日ノ本の歴史の中で、それを行った者は一人もいない。
「実真殿……何も帝を殺せとは言っておりませぬ。ただ力を示せばよい。我らに必要なのは、お仕えするにふさわしい真のつわものなのです」
「しかし……」
 常正はなおも言葉を続ける。実真は答えられるだけの言葉を持たない。
「ではなぜ、東国が強さを重んじる国になったとお思いかな?」
「それはわかっています。必要だったからでしょう」
「その通り。永らく都は京にあり、畿内とその周辺の国々は王化に浴することができた。西国には大きな港が数多あり、大陸と盛んに交易を行うことで帝の庇護を厚くした――だが、東国は違う」
 常正の言葉の意図を汲み、次を渡会が続ける。
「然様……実真殿、東国はいわば見放された土地であった。支配の名のもとに京から役人が派遣され、まるで小さな帝のように振る舞う。見たことも聞いたこともない一人の人間のために、我らはずっと額に土を付けて来た」
 続いて志郎が発言する。
「僕たちは、強くなければならなかったのです。帝の威光などという曖昧な物のために、心の底から自分を蔑むことのないように」
 そして、祭子である。
「実真殿、我らにはそなたが必要だ。だが、それを拒むというならば、そなたを東国で庇護する義理はない……あの娘たちもな」
 実真はハッとして顔を上げた。祭子は挑発するように笑う。
「フッ……自分のことはさて置いても、他人が犠牲になるのは嫌か?」
 実真と祭子は視線をぶつけ合った。
「ならば私と闘え。そなたが勝てば娘たちは守ってやる。その上で何処へでも行くがいい。もし私が勝ったなら、そなたの首をねて私が覇者となろう」
 何とも過激な一騎打ちの申し込みである。
 常正は娘の苛烈さに冷や汗をかき、志郎は短くため息を吐いてつぶやく。
「まったく素直じゃないんだから……姉上は」

 かくして、屋敷の庭先で実真と祭子の一騎打ちが行われた。
 家来が修練用の木の薙刀を渡そうとすると、祭子は「真剣を持て」と言って、愛用している刃渡り二尺(約60センチ)の大薙刀を手に取った。その立ち姿は華麗にして勇壮。身を切るような鋭い美しさである。
 一方の実真。安長が耳打ちする。
「いくら祭子殿とはいえ相手は女人。得物(武器)は木のほうが」
「いや、男も女も関係ない。武の者か否かだ。安長、ダマスカの剣を」
 そして、いざ立ち合う。すると、実真の手にダマスカの剣がずっしりと重く感じられた。帝から下賜された漆黒の諸刃の剣である。その木目状の文様がぐるぐると渦を巻き、実真の心を引き込もうとする。
 この剣は、まさに自分ではないか。そう思った。
「よそ見をするな、無礼者!」
 祭子の強烈な一撃が実真を見舞う。その一撃を紙一重でかわしても、すぐさま追撃の波が押し寄せる。上から、横から、さらには突風のように切り上げる。
 その武技は東国に並ぶ者なしと称され、祭子は『姫夜叉』と呼ばれていた。
「そなたは私に三度勝っている。だが、在りし日の私と思うな!」
 祭子の猛攻に防御一辺倒の実真だったが、この場にいる者たちは実真の力がこの程度でないことはよく知っている。
「実真殿は姉上相手に仕掛けるでしょうか」
 志郎が父・常正に問う。
「むろん仕掛ける。実真殿は古今に二人とない最強の武人。そんな男が勝負の場にあって手を抜くなど有り得ぬ」
「真剣ですよ? これって姉上、死にませんか?」
「……むう」常正は脂汗をだらだら流す。
「やめさせたほうが……」
「いかんいかん、これは武人の勝負。水を差すのは万死に値する。祭子も闘いの中で死ねるならば本望であろう」
 そう言いながら、娘が心配でたまらない様子だった。
 志郎はまたも短くため息を吐く。
「やはり親子だ。しかし、本当にどうすれば……」
 祭子の猛攻はまだ続いていた。実真はじりじりと押されている。
「そなたはズルい。それだけの強さを持ちながら、弱者のように振る舞う。もし私がそなたなら、そのように下を向くことはなかった!」
 祭子の攻撃がさらに激しくなった。さすがの実真も余裕を失う。
「祭子殿は……じゅうぶん強い」
「ああ――だが、私は女だ!」
「……!」
「戦わぬ理由が他にあることは知っている。それはどうでもよい。すべては過去のこと。そなたが目を向けるべきは――今だ!」
 実真は渾身の一撃を防ぎきれずに吹き飛ばされた。塀の壁に背中を打つ。
「立て、軟弱者。立たねばそなたを主と認めぬ」
「……私は」
 俯いていた実真の顔がわずかに上向く。その瞬間の瞳の輝きは、対峙する祭子にしか見えなかった。
 実真の手が動く。ダマスカの剣の漆黒の刀身が、キラリと陽の光を反射させる。祭子はカッと目を見開いた。
「待て待て~い!」
 その時である。間延びした声が上から降って来た。
 なんと塀の上に寿老上人がいた。よろけそうになりながら姿勢を保っている。
「何だ貴様は!」
 怒号とともに祭子の飛矢のような視線が突き刺さる。
「何だとは何だまったく、拙僧自ら馬を走らせ火急の報せを持って来たのに」
 寿老上人は塀の上に立ったまま、一同を見渡す。
「よいかみなの衆、先ごろ、この伊勢国に向けて追討使が派遣された。その兵の数、七千。七千だぞ。今ごろ出発しているであろう」
 その場に衝撃が走った。
「追討使――つまり軍の大将の名は――鬼童丸」
 寿老上人は実真を見下ろし、ニヤリと笑う。
「これでも戦えぬというのかね? 実真殿」
「私は……」
「まだ理由を探しておるのか。では、これを聞けば戦う気になるか?」
 寿老上人の不審な物言いに、実真は顔を上げた。
「帝が御堂晴隆の手により――幽閉された」
 さらに大きな衝撃が全員に走った。
「何が起こっている!?」
 実真は立ち上がる。寿老上人は塀から飛び降りた。
「さあ? だが、おぬしが欲していた大義だ。嘘ではないぞ」
「実真殿!」
 祭子が叱咤するようにその名を呼ぶ。
「実真殿!」
 常正たちもまた、その名を呼んだ。新たな主君となる男の名を。
 実真はダマスカの剣を握る手をジッと見つめる。
 この手にしか出来ないことを――遠い昔に聞いた浮世の声の残響が、実真の胸の奥で鳴った。
 ゆっくりと顔を上げ、祭子たちに向き直る。
「……往こう」
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