まひびとがたり

パン治郎

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嵐の前に その1

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 ある夜明け、京の都の住人たちはおぞましい叫び声に目を覚ました。
「タイカンジチュウ! タイカンジチュウ!」
 声の主は朱雀門にいた。大きな一羽の白い鸚鵡である。
 太いクチバシを大きく開け、青黒い舌を天に向けては声を枯らしている。足を縄でつながれており、空に逃げようと羽ばたいてのたうちまわっている。
 その縄の先には、朱雀門を守っていたはずの衛士の死体が四つ――。いずれも背後から喉笛を掻っ切られていた。
「タイカンジチュウ! タイカンジチュウ!」
 一体、何を叫んでいるのか? その正体はすぐに知れた。
 朱雀門の扉に、衛士の血で書かれた四つの文字があったのだ。

『大姦似忠』

 御堂晴隆が紫宸殿に呼び出された。
 帝は高御座の上で、問いかけを発することなく爪を噛みながら、じーっと中空を見つめている。
「鬼の仕業――でしょうな」
 御堂晴隆は、沈黙の中から帝の問いを抜き取って答えた。
「献上品目録を改めましたところ、例の鸚鵡は大陸から鎮西(九州)に渡った後、いったん船で陸奥国にわたり、それから鳥羽街道を通って京の都に届けられる予定だったようです。先日から、畿内で献上品の輸送隊が幾度か襲われておりますゆえ、その中に鸚鵡がなかったか調査させております」
「のう、晴隆」
「はっ」
「これはどういう意味かのう? タイカンジチュウとやらは」
「大姦は忠に似たり――姦臣(邪悪な家臣)こそ、まるで忠臣のような振る舞いをするという意味にございます」
「それはお前のことか?」
 帝の冷たい言葉に、沈黙すら凍てついた。
 凍った時を破ったのは晴隆の高らかな笑い声である。
「フハハハハ!」
「ハハハハハ! 何がおかしい」
 晴隆はサッと口を閉じ、表情を無にした。
「これこそまさに、敵の思惑にございます。朝廷内に疑心を生み、暗鬼を生じさせる。真に利するのは帝ではございません」
「暗鬼……鬼か。なぜ鬼はわしに刃向う?」
「理由などありませぬ。それゆえに鬼なのです」
「意味がわからぬ」
「上古の時代より鬼は存在しておりました。古くは長い脛を持つ土蜘蛛。かつて雷公が討伐せし朱天童子。同じころ関東にて乱を起こした我が一族・御堂虎次郎にも幽鬼が憑いていたと謂われております。鬼はこの日ノ本の影なのです。帝という大きな日輪ありしところに、必ず潜んでおりまする」
「して、わしの影は何者だ?」
「愛宕の黒鬼――鬼童丸」
 帝はまん丸の目を細める。
「鬼童丸はそれまでの鬼と違い、畿内を裏から支配しております。時には鬼どもを殺し、民を守り、安寧をもたらします」
「ふん、帝のつもりか」
「しかし帝が持ちし権威を鬼童丸は持っておりませぬ。それゆえわずか数年で支配は弱まり、黒鬼が病に臥せった程度で逸脱する者が現れたのです」
「わしの影は病か」
「噂では。それまで黒鬼は帝の献上品には決して手を付けませんでした。鬼どもに何かあったのは間違いありませぬ」
「そうか。わかった。とにかく許せぬ」
 帝の四角い禿頭に、ビキビキと太い筋が浮かびあがる。
「鬼どもを討つ! 晴隆、兵を出せ!」
「ならば、忠臣を遣わしましょう」

          ※

 牢の壁の上に明かり取りの長方形の小さな木戸がある。
 静乃は、四角に切り取った空を日がな一日眺めていたが、その数は数えなかった。
 セナたちがここを去ってから、日に二度の食事以外は来訪者もいない。
 親類縁者は父・高階義明が陸奥に配流され御家が断絶された時に、斬首または追放処分になってしまった。
 いまだ独りで京の都の片隅にいて、ひっそり命を永らえている現実を笑うことにも飽きてしまった。
 殺しもせず、殺されもせず、ただただここに居る。
(もう疲れた……生きることに疲れてしまった……)
 静乃は身を横たえ、乱れた黒髪の隙間から目を開けて、何も見なかった。
 閉ざされた扉の向こうから足音が近づいてくる。聞き慣れぬ音。食事を運ぶ少年のものではない。これは、武芸を極めた強者の足音――。
「謡舞寮生徒・静乃――聴こえているか」
 水野実真の声だった。ここに来るのは珍しい。
「何用でしょうか」静乃は身を起こす。
「帝の命により、私は戦に出る。支度のためしばらく家を留守にする」
「戦ですって? 帝は誰と戦うというのです。すべての敵を討ち、罪なき者まで殺し尽くしたその果てには、我が身をも滅ぼすおつもりですか」
「私が戦うのは畿内に棲みつく数多の百鬼と、それを束ねる愛宕の黒鬼だ」
「鬼……愛宕の黒鬼」
 私は鬼だから――セナの告白が静乃の脳裏をよぎる。
 愛宕の黒鬼。そういえばセナも同じ名前を口にしていなかったか? 愛宕の黒鬼が育ての親だと。
「セナは今、どうしていますか? りつやサギリ、謡舞寮は今……」
「セナか……」
 言い淀む実真の代わりに、背後に控えていた安長が答える。
「セナは、謡舞寮にはおらぬ」
「いない?」
「理由は知らぬ。サギリがそう申しておったゆえ」
「サギリが……」
 静乃は扉に近づき、両手をついた。
「実真様――お願いがございます。一時のあいだ、私をここから出しては頂けないでしょうか? 実真様にお供しとうございます」
 その意外な発言に、安長の声が跳ねる。
「何を言っておるか!? お前は咎人なのだぞ!」
 語気を荒くした安長を、実真は手で制止した。
「何故だ?」
「セナを探します」
 静乃はしばし言葉を胸の内に留め、ゆっくり吐き出した。
「セナが……鬼だからです」
 なんと、と安長が驚く。実真は目を細めた。
「その願いは叶えられない。我らが赴くのはまごうことなき戦だ。たとえ咎人でなくとも、武士でない者を連れてゆくことは出来ない」
 往くぞ安長、と言って実真は牢の前から去った。
 残された静乃はそのまま床に突っ伏し、無力感を噛み締める。
 泣こうにも泣けない。涙はとうに枯れ果てた。
「セナ……」
 どうしてセナは黒い笄をくれなかったのか。アレさえあれば、こんなに苦しまなくて済んだものを。
(苦しい……?)
 今さら、何を苦しむ。この身の命運はすでに尽きたではないか。
 帝を殺す使命は果たせなかった。その時点でもう、この世に生まれ落ちた意味すら失った。死んだのだ。実真によって現世に繋ぎとめられたこの肉体。あとは心の臓を止めて、朽ちるのを待つのみのはず。
(じゃあ、この苦しみは……?)
 この苦しみは――心がそうだと感じているからか。
 友を助けたいと思う心がここにある。それは外から吹き込まれたものだ。
 この抜け殻の肉体に――まだ使命が――。
「セナを……見つけなきゃ」
 静乃は顔を上げた。そして時を待った。聞きなれた足音がする。
「食事です」
 年若い男の声。水野家の屋敷で働く少年である。年齢は静乃と同じか一つ二つぐらい上だった。
 扉の下にある食事用の引き戸が開く。漆塗りの食膳がスッと牢の中に入れられた。
 静乃はその少年の手を上からそっと重ねる。
九馬きゅうまさん……あの、一つお願いが」
 静乃の声はいつになく弱々しく、そして艶やかだった。九馬と呼ばれた少年の手はビクリと跳ね、静かに外に向かって引いた。
「な、なんでしょう?」
「桶に水を汲んで来ては頂けませんか? 少し汗をかいたもので、身体を拭きたいのです……ダメですか?」
「は、はぁ……それぐらいなら」
 九馬はすぐに水を張った桶と手拭いを持って来た。引き戸から中に押し入れるも、静乃はなかなか受け取らない。
「ねえ、九馬さん。少し、背中を拭いていただけませんか?」
「ええ!? せ、せな、せな……」
 九馬は変な声をあげた。
「中にお入りになって……大丈夫、何もいたしませんから」
「し、しかし」
「咎人とはいえ私も女。身綺麗にしていたいのです。どうか後生ですから九馬さん、私のささやかな願いを聞き届けては頂けませんか」
 九馬は頬を紅潮させ、しばらく葛藤したのち扉に手をかけた。
「で、では……」
 そろーっと扉を開けると、帯を解き、背中を半分まであらわにした静乃が静かに待っていた。
 華奢な肩。淡雪のような肌。うなじの稜線が艶めかしい。
 九馬は唾をゴクリと飲み、なるべく見ないようにして近づく。荒くなる呼吸を必死に噛み殺しながら、桶の水に手拭いをひたした。
 美しい背骨の隆起――手拭いを背中にそっと這わせる。
「ねぇ、九馬さん――ごめんね」
「え?」
 静乃はサッと身を翻した。すばやく九馬の背後に回り込み、腕を取って関節を封じた。ギャツと小さく悲鳴をあげる九馬。前に倒れ込む。
「し、し、静乃さん」
 静乃は自分の腰帯で九馬をきつく縛り上げた。単衣の胸ははだけ、乳房がチラチラと見えるのを九馬は縛られながらも見ないように目を伏せた。
「本当にごめんなさい、九馬さん」
 静乃は九馬の顔をその裸の胸で抱いた。そうすると喜ぶと知っていた。
「ブハッ」
 九馬の脳天はくらくら。勢いよく鼻血を噴き出して仰向けに倒れた。
「トドメになっちゃった……ま、いいか」
 静乃は牢から出て、半裸のまま着替えを探した。実真や安長の着物では不格好に過ぎる。やはり背丈の近い九馬の物を拝借するしかなった。
「あら、この絹の直垂ひたたれ……九馬さんの一張羅かしら」
 申し訳ないと思いつつも袖を通し、小袴を穿いた。髪を束ねて立烏帽子をかぶるとすっかり男装が済んだ。そして緒太の草履で実真の屋敷を出る。
 向かう先は愛宕山――黒鬼の根城があるはずだ。
(そこにセナが……でも、その前に)
 静乃は謡舞寮に向かった。みんなどうしているだろうか――。
 正門を覗くも、中は静まり返っている。みんなもいなくなってしまったのか。胸騒ぎがする。自分が犯した過ちでみんなの人生が滅茶苦茶になった。頭ではわかっていたし、覚悟もしていたが、こうして謡舞寮の静寂に触れると胸が痛む。
 すると、白砂の庭のほうから声がした。急いで向かう。
「みんなしっかりしろよ!」
 りつの声だった。静乃は塀に背中を預け、耳を澄ました。
「いいか? 今は夜なんだ。夜がなけりゃ夜明けだってやって来ないさ」
 そして、次に聞こえたのはサギリの声だった。
「静乃のしたことは許されないかもしれない。でもそれは静乃の人生であって、私たちのモノじゃない。だったら自分の人生を生きるしかないでしょ」
 静乃の背中がずるずると下がり、尻をついた。両手で顔を覆う。
 枯れ果てたと思っていた涙があふれて止まらない。
(みんな……ああ……)
 涙を手の甲で拭いながら立ち上がった。顔を両手で思い切り叩く。
「セナに会わなきゃ」
 静乃は歩きなれた二条大路を西に往き、大内裏の朱雀門を見上げる。
(もうここに戻ることはない……)
 二条大路をそのまままっすぐ通り抜け、そこから丹波国のほうへ進んでいけば愛宕山にたどり着く。が、仮にも逃亡犯である。街道は避けていったん桂川まで抜けて、そこから迂回しつつ愛宕山を目指すことにした。
 そのぶん危険は付きまとう。山道の途中で、盗賊に見つかった。
「おい小僧、綺麗な着物でどこに行くんだ?」
「くっ……」
 相手は四人。こちらは武器もない。
「んん~? よく見りゃ女じゃねえか! それも上玉も上玉の!」
 盗賊の一人が気付いた。途端に目の色が変わり、下卑た笑みが浮かぶ。
「コイツは高く売れそうだ」
「なあなあ、黒鬼に献上して手下にしてもらうか? ツテがあるんだろ?」
「黒鬼か……」
「黒鬼を知っているの?」
 静乃は身構えながら、盗賊たちに問う。
「だったらどうした?」
「黒鬼のところに行きたい。連れて行って」
「ハハハ! わざわざ食われに行くっていうのか!」
「私は高階家の一人娘・静。黒鬼ならばその価値がわかるはず。きっと感謝して褒美を出すでしょう」
 静乃は賭けに出た。盗賊すなわち鬼は世情の外にいる。嘘を吟味する知識も情報もないはずだ。もっとも、その必要がないからだが――。
「黒鬼から感謝……ああ、そりゃあ良いハナシだ」
「じゃ、じゃあ」
「だが遅かったな」
「……え?」
「何日か前、黒鬼は手下の裏切りにあった。病に臥せっていたところを狙われたらしいが、生きてるかは知らん。黒鬼のもとにいたヤツの話だ」
「そんな……」
「当てが外れたか? だが関係ない。お前の生き死にはどのみち、俺たちが味見をしてからだ――ははっ、ひん剥いちまえ!」
 盗賊たちがギラついた目で迫る。静乃は腰砕けになるのを必死に耐え、踵を返して逃げた。が、木の根につまずき転んでしまう。目の前に外套(フード)をかぶった五人目の盗賊が立ちはだかった。退路は断たれた。
 ああ、情けない――静乃は迂闊な己を呪う。
 外套の盗賊は膝を突き、太い左腕でがっしりと静乃を抱き止める。
「いいぞ新入り! そのまま押さえてろ!」
 盗賊たちが笑いながら群がる。が、絶望に染まった静乃の耳朶に、なぜか盗賊の断末魔の叫びが響いた。
 恐る恐る見上げると、外套の盗賊の右手から放たれた鋭い太刀の一撃が、盗賊の胸を貫いている。
 外套の盗賊がぼそりと言った。
「俺は幻を見ているのか……」
 外套がはらりと風でめくれ、その相貌があらわになる。
 大きな刀傷で潰れた右目――。静乃はその顔をよく知っていた。
「お前は……景平……!」
「何という僥倖か……姫様……ッ!」
 隻眼の景平だった。残った左目からは、ひと筋の涙が流れている。
「テメェ! 裏切る気か!」
 盗賊たちの激昂をよそに、景平は静乃を優しく抱き起す。
「たった今、地獄の淵から蘇った。俺は高階家に仕えし武士・松野景平だ――我が姫を愚弄した罪、その命で償えると思うな」
 それからが早かった。隻眼の景平は瞬く間に盗賊たちとの距離を詰め、すべて一刀のもとに斬り伏せてしまった。
「剣の腕は落ちていないようね」
 隻眼の景平は盗賊の着物で刀の血糊をぬぐった。すばやく納刀して静乃の前に膝を突き、頭を垂れて畏まる。
「はっ――法眼ほうげん様の鋼の教えですから」
「三年ぶりね」
「まさか生きておいでとは……この景平、姫が死んだと思い込み、鬼と成り果てたことを恥じております」
「いいの。私はたしかにあの時、帝の手の者に襲われて死んだ。その後の私は復讐に生きる幽鬼……だったから……」
 静乃の声が湿る。隻眼の景平はわずかに目を上げた。
「先日、伊藤佐門に会いました」
「伊藤家の……憶えているわ。といっても、おぼろげな記憶だけど」
「ヤツも鬼となり、今はホオヅキと名を変えております」
 静乃は景平の右目の傷痕を見て、目線を外した。
 この傷は、十余年前の永現の乱によるものである。その乱は、帝の座を巡って起こった皇子同士の争いだった。正室の子である弟皇子に皇位継承を主張する一派と、側室の子である兄皇子を担ぐ一派の対決でもあった。
 兄皇子(今の帝)派である父・義明と、弟皇子派である伯父・義成よしなりとで争い、家中にも血の嵐が巻き起こった。兄皇子派の勝利とともに父は高階家の当主となり、弟皇子派の伯父以下家臣団は粛清された。
「あの乱は、血も縁も関係ない……ただの殺し合いだったそうね。誰を責めることも、責められることもないわ……あなたもよ、景平」
 隻眼の景平はさらに畏まる。
「この景平、死に場を探しておりました。鬼に身をやつし、人の恨みを買うばかりの日々でございます。今日のことはまさに天運。もし許されるならば……いま一度、姫に……」
「私もあの日、鬼となった……きっと私を許さぬ者もいるでしょう。でも、私はお前を許そうと思う。まだ……姫と呼んでくれるの?」
「無論――」
 静乃はゆっくり目を閉じ、かつての家臣の想いを噛み締める。
「ありがとう……では立ちなさい、景平」
 景平は武士の顔に戻り、静乃に対して『伺候《しこう》(貴人に仕えること)』した。
「私はこれから、友達に会いにゆきます」
「友……でございますか」
「ええ、今のあなた同様、私に命を吹き込んでくれた大切な友達の一人よ。名前はセナというの。本名じゃない。なぜならセナも鬼だから」
「セナ……?」
 景平の脳裡に、宇多村での光景がよみがえる。
「姫様、伊藤佐門は、ある少女と行動を共にしておりました」
「……何?」
「その少女の名は――セナ」
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