6 / 31
東から来た男 その2
しおりを挟む
三日後の夜、セナたちは衛士に守られながら謡舞寮を出発した。
御堂の邸宅は二条にある。高貴な身分の公家や有力者ほど大内裏に近い場所に住んでいる。大学寮もまた朱雀門の近くにあった。つまりは大内裏から離れた場所が庶民の居住区であり、町はずれは貧民街と言っても過言ではない。
邸宅では煌々と篝火を灯し、帝を迎える支度が整っていた。貴人を乗せた牛車が続々とやって来る。
望月が入り口の官人に到着を告げ、案内を待つ。
「うひゃー、すっげーな……」
りつはキョロキョロとまわりを見渡す。太刀を佩き、炬火を携えた甲冑姿の武士たちが整然と配置につき、見回りの哨戒兵もこれから合戦でもするような装備である。彼らは検非違使とも違う、御堂晴隆の私兵である。
「やめなさいよ、みっともない」
サギリがりつの脇をひじで突く。
「ああ、悪い。それにしても、この着物は着慣れないなぁ」
りつたちが着ている装束は綾の舞装束である。いつも着ている麻の練習着と違って作りは精巧で、花の文様の刺繍などが施されている。
先頭に立つ望月が、後に続くセナたち四人に声をかけた。
「お前たちは生徒だが謡舞寮の代表なのだ。堂々としていなさい」
「は、はい」
りつは唇を結んであごを引いた。
「あの、望月様」
「どうした静乃」
「私たちが舞うことはあるのでしょうか?」
「さあ、わからぬ。命ぜられねば舞わぬのが宮中の舞人だ。ただ、御前様の舞は見られるはずだ。まばたきはしないほうがよいぞ」
望月は、ふふっ、と笑った。
案内の官人がやって来て、セナたちは邸宅の奥に進んだ。謡舞寮に匹敵するほどの広さと大きさである。御堂晴隆の権力がうかがえる。
セナたちは板張りの大広間の片隅に、身を縮めて座った。本来ならば同席など許されない雲上人たちの集まりである。
帝を中心に、今回の主賓である水野実真が右隣に、主催者である御堂晴隆が左に座った。そして、帝の斜め後ろに蛾王の巨体が控えている。
賓客である公卿や公家たちの前には、朱塗りの台盤(食事用の長机)が置かれ、色とりどりの料理が並んでいる。
「今宵は一万尾に一匹しか獲れぬという鮭児と、南都諸白をご用意いたした。存分に召し上がられよ」
御堂がみなに向かって言った。
南都諸白とは、清酒――すなわち透明の酒である。濁り酒しか飲めない庶民には手が出ない高級酒である。鮭児もこれだけの数を入手するのは並大抵ではない。御堂はそれを用意してみせた。
「人がいっぱい……料理がいっぱい……うう、めまいがする」
りつは場の空気にあてられて青ざめている。去年まで田舎で百姓をやっていた身分だ。場違いこの上ない。さすがのサギリも緊張でひきつっている。
セナは静乃を盗み見た。少し表情が固いが、ふだんとあまり変わらない。
それにしても――。
帝を見ると、楽しげに銀の酒杯をかたむけている。
(なぜ、殺さない……鬼童丸は何を……)
そして、水野実真を見た。
(あれが今日、私が守る相手……でも、何から守るというの……)
帝を迎えた宴の席。酒食は進んでいるが、みなどこがぎこちない。公家たちの笑みは引きつり気味で、慎重に言葉を選びながら会話をしている。
実真は酒杯に手を付けず、無言で食事をしている。
「みなのもの、箸を置け。これより我が師・弓御前に舞を披露してもらう」
帝がその大きな口を開け、よく通る声で言った。
「古典も良いが、流行り物にも良いモノがある。これへ」
その言葉を合図に、大広間に楽人たちがササッと入って来た。琵琶、龍笛、鼓などの奏者が配置につくと、その中央に音もなく進み出る一人の舞人。
金の立烏帽子、白の水干、銀の菊綴、紅の長袴、腰には籐巻の太刀を佩き、手には五本骨の日月扇――。
それは舞人の一つ、男装の麗人・白拍子だった。
「おお……」
一同は感嘆の息を漏らした。ただ立っているだけで美しい。
弓御前はすでに老齢に差し掛かっているはずなのに、年若い乙女に見える。
楽人の演奏に合わせ、舞がゆるりと始まると、大広間に優しい風が吹いた。
その足さばきは風に揺れる草のように淀みなく、手のひらは蝶のようにひらひらと、扇に描かれた太陽と月が穏やかな時の流れを感じさせた。
弓御前の唇がつむぐ言葉が音を纏う――歌である。
遊びを せんとや 生れけむ 戯れ せんとや 生れけん
遊ぶ 子供の 声きけば 我が身さえこそ 動がるれ
(遊ぶために生まれて来たのか。戯れるため生まれて来たのか。遊ぶ子供の声を聴けば、私の身体さえも動いてしまう。)
その身に宿る生の灯火。
肉体の躍動と静止の繰り返しの中で、巡り廻る命の螺旋が、セナの目にはっきりと映った。
衝撃だった。弓御前は、いや、舞とはこんなに美しいモノだったのか――。
もはやまばたきの仕方を忘れた。息も出来ない。
ただただ見惚れ、感じ、今この時この場所が春の野になった。
(あれが天女の舞……!)
前に弓御前が言っていた。これがそうに違いない。セナは強く思った。
(私は……こんなふうに舞えるだろうか……この私が)
セナは自分で気付かぬうちに拳を固く握っていた。
舞が終わった。誰もが息を呑み、ぼーっとしていた。
「素晴らしい……! さすが弓御前! さすが我が師よ!」
帝は感激の涙を流している。激流である。公家たちも次々に感動の言葉を口に出し、何度も大きなため息を吐いた。先ほどまでの凝り固まった雰囲気はどこへやら、一転して場は和やかに、みなの表情もやわらいだ。
「見たか、お前たち」
望月がセナたちに言った。圧倒されて誰も声に出せなかった。
「私も最初はそうだった。生徒のころに御前様の舞を見て、自分の舞がいかに小手先のモノか思い知ったものだ」
望月はまだ夢見心地といった様子のセナたちを見て、フフッと笑った。
そのときである。水野実真が席を立った。
「拙者、少し酒に酔ってしまいました……夜風に当たって参ります」
実真は帝の返事を待たずに大広間を後にした。興に水を差す実真の行動に公家たちは胆を冷やしたが、意外にも帝は咎めようとはしなかった。
「私も夜風に」セナは実真を追うために席を立つ。
「どうした?」と、望月。
「酒のニオイにあてられて……」
「そうか、行ってきなさい」
セナはペコリと一礼して実真のあとを追った。
御堂晴隆の邸宅は謡舞寮よりも広く、自然の草木を模した庭園は見事なものだった。
池の水面に月光が降り注ぐ。その幻想的な輝きをセナは一瞥する。
(まるで仙境だ……この国にこんなところが)
日ノ本の支配者――シュウジンは御堂晴隆をそう言っていた。
今の帝をその座に就けた張本人だという。その時の争いはもう十数年も昔。まだ自分が生まれたかどうかもわからない頃の話だ。
(いけない……今は実真を追わないと)
セナは疑念を振り払い、夜の闇に溶けて実真の後をつけた。実真は敷地のすみにあった井戸に向かう。水を飲むつもりらしい。
ふと、セナは井戸のそばの異様な気配に気付いた。
(誰かいる……一人……いや、二人)
気配を消して隠れているが、かすかに殺気を感じる。
セナは繁みに隠れつつ、とっさに落ちていた石を拾った。
実真が井戸に接近した。その瞬間、井戸枠の反対側から、全身黒尽くめの刺客が現れた。ギラリと光る小太刀を実真に向けてまっすぐ突く。
二人は組み合った。実真は刺客の小太刀を脇でがっしりと封じている。そこを狙ってもう一人の刺客が迫り来る。
セナは手にした石を鋭く投げ放ち、二人目の刺客の手を撃った。
刺客は、ぐあっ、と短い悲鳴を上げた。
実真はその隙を逃さず、一人目の刺客の腕をひねって肩の関節を外し、振り向きざまに後ろ蹴りを放って二人目の刺客の手から太刀を叩き落とす。そして身体を反転させた余勢を利用して、淀みなく刀を抜き放った。
月光に濡れた刀身は黒く、木目状の模様で覆われていた。
「帰って主に伝えよ――失敗したと」
無駄のない、流水のような動作だった。
セナはその美しさに息を呑む。まるで舞でも見ているかのようだ。刺客たちは、落とした武器も拾わずに這う這うの体で逃げて行った。セナは結果的に命令を遂行できてホッとした。
「助かった。礼を言う」
実真はセナに気付いていた。ギョッとして身を縮めるも、実真ほどの達人から今さら逃れられない。
セナは観念して月光のもとに姿をさらす。
「お礼? 心にもないことを……」
実真はセナの姿を認め、かすかに唇を開く。
「いや、嘘じゃない」
「いいえ、私の助けがなくてもあの程度の敵は難なく倒せた」
「ふう……まいったな。まさか、謡舞寮の生徒にたしなめられるとは」
「彼らは何者?」
「君の言ったとおりだ。敵……私の存在を疎ましく思う者。では、今度は私から聞いてもいいかい?」
「ダメ」
即答するセナ。実真は困ったように笑う。
「はは、ダメか。それなら仕方ない」
「ごめんなさい。私には答えられない」
「そうか。急いで戻ろう。帝は短気だ」
実真はすれ違いざまにセナの肩に手を置いた。武士の手だった。
「顔色が悪い」セナは見たままを言った。
「ああ、酒が苦手でね……」
※
二人が戻った後も、酒宴は続いていた。給仕の女官たちは慌ただしくお膳を抱えて走り回り、みんなくだけた様子で楽しんでいる。
帝は晴隆と時おり談笑してはカラカラ笑い、実真はなかなか進まぬ酒杯に目を落として何やら思案にふけっている。
そのうち、赤ら顔の公家の一人がこんなことを言いだした。
「主上(帝のこと)――畏れながら申し上げまする」
「おお、なんだ。申してみよ」
帝もすっかり頬を上気させ、目がとろけている。
「謡舞寮といえば、主上が手ずからお作りになられた素晴らしき学び舎。その生徒の舞とは如何なるものか、拝見しとうございまする」
帝は笑みを浮かべ、聞き終わらぬうちに笑いだした。
「カッカッカ――よくぞ申した! 聞いておったな、望月よ」
望月は背筋をピシャリと伸ばす。
「はっ……まだ未熟なれば、ご不興を買わねばよいのですが……」
「かまわぬ。もし良き舞を披露できれば……そうだのう、いずれワシの舞人にしてやってもよい……演目は……ううむ」
帝は実真をチラリと見た。
「東遊がよい。その昔、駿河国に舞い降りた天女を歌ったものだ。はたして、この中に天女となれる者がいればよいが……のう実真よ」
「……は」実真は短く頷く。
望月はセナたち四人に視線を向ける。いち早く答えたのは静乃だった。
「私、やります! やらせてください!」
りつとサギリも頷く。セナは望月の目を見つめた。
「……わかった。では、ご披露して差し上げよ」
セナたち四人は大広間の中央に躍り出て、帝や公家たちが見守る中、それぞれの位置についた。
東遊は四人以上の舞人で披露する明るく軽やかな調子の舞である。高麗笛、篳篥、和琴などを用いて演奏され、唱歌の者がつく。
「今宵は、この望月が歌人を務めまする」
楽人たちの反対側に、望月がついた。
前奏となる狛調子が楽人たちの手によって奏でられ、望月がスーッと息を吸い込んだ。
涼やかな歌声が大広間に響き渡る。
晴れんな 手を調へろな 歌ととのへむな 栄えむの音
え 我が背子が 今朝の琴手は七つ緒の八つ緒の琴を
調べたることや 汝を懸山の桂の木や
一の歌、二の歌が披露され、公家たちは望月の美しい声に魅了された。
セナたちも舞のために控えながら、その耳で望月の歌唱に驚く。修練で幾度も手本を聞いたのに正式な演目では凄味が違う。セナはいつになく緊張を覚えた。
望月の独唱が終わり、いよいよ舞人の出番となる。
セナと静乃、りつとサギリが、それぞれ対称の配置で向かい合う。
高麗笛と篳篥が、セナたちの足もとを照らすように、そっと流れに導いた。
公家たちから、おお、という声が上がる。
出だしの動きから、四人は鏡合わせのように舞った。
だが――。
(ダメだ……どうしても呼吸がズレる)
セナは焦りを覚えた。てんでバラバラだ。りつは緊張ですっかり硬くなり、サギリは舞の手順を一つ一つ思い出しているためテンポが少し遅い。
そして静乃もふだんの精彩を欠き、まったく余裕がない。
(私もダメだ……一人の舞とは全然違う)
セナは誰かと一緒に舞うことの難しさを実感していた。今までは一人で気ままに自由に舞っていた。どのような身振り手振りでも、笛の音に乗せさえすればカタチになった。でも、これは違う。
みんなの呼吸と心を一つに合わせなければならない――。
その瞬間、異変が起こった。
静乃が一人だけ、動きから大きく離れた。
りつもサギリも自分の舞に必死で見えていない。セナだけが、静乃の異常な動きに気付いた。
「今こそ天誅を――」
静乃が帝に向かって突進した。その手には手のひらほどの小刀。まっすぐ帝の胸を狙って、白銀の刃を放った。帝の背後に控えていた蛾王が身を乗り出して拳を静乃に向ける。すべての一瞬が交差した――。
誰の驚く声もなし。帝は目を丸く剥き、刃の切っ先を見つめていた。
大広間の人間たち、そしてセナが次に目撃したのは、凍った時間だった。
中心にいたのは実真である。静乃の放った刃は実真の左手の人差し指と中指に挟まれて、殺意と共に勢いを止められ、蛾王の放った巨大な拳は、大きく開いた右手でガッチリと防がれていた。
「そこまで!」
水野実真が、帝と静乃の二つの命を守ったのだった。
あまりに想定外の出来事に、公家たちは腰を抜かし、青ざめ、唇をわなわな震わせている。セナたちも何が起こったのか理解できずに呆然としていた。
「蛾王、娘を殺せ」
帝は蛾王の巨体の下で汗一つかかず、無感動に言い捨てた。
蛾王の拳がギリギリと音を立てて小刻みに震える。実真の指の骨も白く浮き上がり、強大な力がせめぎ合っている。一進一退の攻防だった。
「お待ちください」
そう言った実真の表情と声は澄んでいる。
「この者はワシを殺そうとした。待つ理由がどこにある、実真」
そこに衛士たちがなだれ込んできた。すぐさま静乃の身柄を拘束し、その場でうつ伏せに押し倒すと頭を抑えつける。静乃は鋭く叫んだ。
「私は先の参議・高階義明が一人娘・静! いわれなき汚名を着せられ殺された父の恨みを晴らすべく、ここに来た! 天誅を受けよ! 妖怪め!」
そこにいつもの静乃はいなかった。穏やかで大人びた雰囲気の、やさしい目をしたあの静乃は。
セナは心臓の高鳴りを感じた。
数多の修羅場をくぐって来たにも関わらず、今、とても、怖い――。
「その娘を守るというのですかな――実真殿」
御堂晴隆が涼しい顔で、酒杯に残っていた酒をあおる。
「それすなわち、帝の命に背くということ」
「いいえ、私はただ、酒宴に水を差すことはないと申している。これ以上は」
晴隆は目を細め、視線をずらした。その瞳には露骨に嫌悪が浮かんでいる。
実真は帝に向き直る。
「帝――この娘を私に預けて頂きとう存じます。しっかり吟味したのち、すべての罪を明らかにいたしまする」
「ならぬ。殺せ」
「帝!」
実真が大きく声を張った。大広間に漂っていた酒気が吹き飛ぶ。
「もう二度と、舞を汚してはなりませぬ」
帝と実真の視線が真っ向からぶつかる。
セナはこの凍てついた時間を永遠のように感じた。まるで溶けない氷のように。
夜空に浮かんだ円い月が、夜の都を皓々と照らしていた。
御堂の邸宅は二条にある。高貴な身分の公家や有力者ほど大内裏に近い場所に住んでいる。大学寮もまた朱雀門の近くにあった。つまりは大内裏から離れた場所が庶民の居住区であり、町はずれは貧民街と言っても過言ではない。
邸宅では煌々と篝火を灯し、帝を迎える支度が整っていた。貴人を乗せた牛車が続々とやって来る。
望月が入り口の官人に到着を告げ、案内を待つ。
「うひゃー、すっげーな……」
りつはキョロキョロとまわりを見渡す。太刀を佩き、炬火を携えた甲冑姿の武士たちが整然と配置につき、見回りの哨戒兵もこれから合戦でもするような装備である。彼らは検非違使とも違う、御堂晴隆の私兵である。
「やめなさいよ、みっともない」
サギリがりつの脇をひじで突く。
「ああ、悪い。それにしても、この着物は着慣れないなぁ」
りつたちが着ている装束は綾の舞装束である。いつも着ている麻の練習着と違って作りは精巧で、花の文様の刺繍などが施されている。
先頭に立つ望月が、後に続くセナたち四人に声をかけた。
「お前たちは生徒だが謡舞寮の代表なのだ。堂々としていなさい」
「は、はい」
りつは唇を結んであごを引いた。
「あの、望月様」
「どうした静乃」
「私たちが舞うことはあるのでしょうか?」
「さあ、わからぬ。命ぜられねば舞わぬのが宮中の舞人だ。ただ、御前様の舞は見られるはずだ。まばたきはしないほうがよいぞ」
望月は、ふふっ、と笑った。
案内の官人がやって来て、セナたちは邸宅の奥に進んだ。謡舞寮に匹敵するほどの広さと大きさである。御堂晴隆の権力がうかがえる。
セナたちは板張りの大広間の片隅に、身を縮めて座った。本来ならば同席など許されない雲上人たちの集まりである。
帝を中心に、今回の主賓である水野実真が右隣に、主催者である御堂晴隆が左に座った。そして、帝の斜め後ろに蛾王の巨体が控えている。
賓客である公卿や公家たちの前には、朱塗りの台盤(食事用の長机)が置かれ、色とりどりの料理が並んでいる。
「今宵は一万尾に一匹しか獲れぬという鮭児と、南都諸白をご用意いたした。存分に召し上がられよ」
御堂がみなに向かって言った。
南都諸白とは、清酒――すなわち透明の酒である。濁り酒しか飲めない庶民には手が出ない高級酒である。鮭児もこれだけの数を入手するのは並大抵ではない。御堂はそれを用意してみせた。
「人がいっぱい……料理がいっぱい……うう、めまいがする」
りつは場の空気にあてられて青ざめている。去年まで田舎で百姓をやっていた身分だ。場違いこの上ない。さすがのサギリも緊張でひきつっている。
セナは静乃を盗み見た。少し表情が固いが、ふだんとあまり変わらない。
それにしても――。
帝を見ると、楽しげに銀の酒杯をかたむけている。
(なぜ、殺さない……鬼童丸は何を……)
そして、水野実真を見た。
(あれが今日、私が守る相手……でも、何から守るというの……)
帝を迎えた宴の席。酒食は進んでいるが、みなどこがぎこちない。公家たちの笑みは引きつり気味で、慎重に言葉を選びながら会話をしている。
実真は酒杯に手を付けず、無言で食事をしている。
「みなのもの、箸を置け。これより我が師・弓御前に舞を披露してもらう」
帝がその大きな口を開け、よく通る声で言った。
「古典も良いが、流行り物にも良いモノがある。これへ」
その言葉を合図に、大広間に楽人たちがササッと入って来た。琵琶、龍笛、鼓などの奏者が配置につくと、その中央に音もなく進み出る一人の舞人。
金の立烏帽子、白の水干、銀の菊綴、紅の長袴、腰には籐巻の太刀を佩き、手には五本骨の日月扇――。
それは舞人の一つ、男装の麗人・白拍子だった。
「おお……」
一同は感嘆の息を漏らした。ただ立っているだけで美しい。
弓御前はすでに老齢に差し掛かっているはずなのに、年若い乙女に見える。
楽人の演奏に合わせ、舞がゆるりと始まると、大広間に優しい風が吹いた。
その足さばきは風に揺れる草のように淀みなく、手のひらは蝶のようにひらひらと、扇に描かれた太陽と月が穏やかな時の流れを感じさせた。
弓御前の唇がつむぐ言葉が音を纏う――歌である。
遊びを せんとや 生れけむ 戯れ せんとや 生れけん
遊ぶ 子供の 声きけば 我が身さえこそ 動がるれ
(遊ぶために生まれて来たのか。戯れるため生まれて来たのか。遊ぶ子供の声を聴けば、私の身体さえも動いてしまう。)
その身に宿る生の灯火。
肉体の躍動と静止の繰り返しの中で、巡り廻る命の螺旋が、セナの目にはっきりと映った。
衝撃だった。弓御前は、いや、舞とはこんなに美しいモノだったのか――。
もはやまばたきの仕方を忘れた。息も出来ない。
ただただ見惚れ、感じ、今この時この場所が春の野になった。
(あれが天女の舞……!)
前に弓御前が言っていた。これがそうに違いない。セナは強く思った。
(私は……こんなふうに舞えるだろうか……この私が)
セナは自分で気付かぬうちに拳を固く握っていた。
舞が終わった。誰もが息を呑み、ぼーっとしていた。
「素晴らしい……! さすが弓御前! さすが我が師よ!」
帝は感激の涙を流している。激流である。公家たちも次々に感動の言葉を口に出し、何度も大きなため息を吐いた。先ほどまでの凝り固まった雰囲気はどこへやら、一転して場は和やかに、みなの表情もやわらいだ。
「見たか、お前たち」
望月がセナたちに言った。圧倒されて誰も声に出せなかった。
「私も最初はそうだった。生徒のころに御前様の舞を見て、自分の舞がいかに小手先のモノか思い知ったものだ」
望月はまだ夢見心地といった様子のセナたちを見て、フフッと笑った。
そのときである。水野実真が席を立った。
「拙者、少し酒に酔ってしまいました……夜風に当たって参ります」
実真は帝の返事を待たずに大広間を後にした。興に水を差す実真の行動に公家たちは胆を冷やしたが、意外にも帝は咎めようとはしなかった。
「私も夜風に」セナは実真を追うために席を立つ。
「どうした?」と、望月。
「酒のニオイにあてられて……」
「そうか、行ってきなさい」
セナはペコリと一礼して実真のあとを追った。
御堂晴隆の邸宅は謡舞寮よりも広く、自然の草木を模した庭園は見事なものだった。
池の水面に月光が降り注ぐ。その幻想的な輝きをセナは一瞥する。
(まるで仙境だ……この国にこんなところが)
日ノ本の支配者――シュウジンは御堂晴隆をそう言っていた。
今の帝をその座に就けた張本人だという。その時の争いはもう十数年も昔。まだ自分が生まれたかどうかもわからない頃の話だ。
(いけない……今は実真を追わないと)
セナは疑念を振り払い、夜の闇に溶けて実真の後をつけた。実真は敷地のすみにあった井戸に向かう。水を飲むつもりらしい。
ふと、セナは井戸のそばの異様な気配に気付いた。
(誰かいる……一人……いや、二人)
気配を消して隠れているが、かすかに殺気を感じる。
セナは繁みに隠れつつ、とっさに落ちていた石を拾った。
実真が井戸に接近した。その瞬間、井戸枠の反対側から、全身黒尽くめの刺客が現れた。ギラリと光る小太刀を実真に向けてまっすぐ突く。
二人は組み合った。実真は刺客の小太刀を脇でがっしりと封じている。そこを狙ってもう一人の刺客が迫り来る。
セナは手にした石を鋭く投げ放ち、二人目の刺客の手を撃った。
刺客は、ぐあっ、と短い悲鳴を上げた。
実真はその隙を逃さず、一人目の刺客の腕をひねって肩の関節を外し、振り向きざまに後ろ蹴りを放って二人目の刺客の手から太刀を叩き落とす。そして身体を反転させた余勢を利用して、淀みなく刀を抜き放った。
月光に濡れた刀身は黒く、木目状の模様で覆われていた。
「帰って主に伝えよ――失敗したと」
無駄のない、流水のような動作だった。
セナはその美しさに息を呑む。まるで舞でも見ているかのようだ。刺客たちは、落とした武器も拾わずに這う這うの体で逃げて行った。セナは結果的に命令を遂行できてホッとした。
「助かった。礼を言う」
実真はセナに気付いていた。ギョッとして身を縮めるも、実真ほどの達人から今さら逃れられない。
セナは観念して月光のもとに姿をさらす。
「お礼? 心にもないことを……」
実真はセナの姿を認め、かすかに唇を開く。
「いや、嘘じゃない」
「いいえ、私の助けがなくてもあの程度の敵は難なく倒せた」
「ふう……まいったな。まさか、謡舞寮の生徒にたしなめられるとは」
「彼らは何者?」
「君の言ったとおりだ。敵……私の存在を疎ましく思う者。では、今度は私から聞いてもいいかい?」
「ダメ」
即答するセナ。実真は困ったように笑う。
「はは、ダメか。それなら仕方ない」
「ごめんなさい。私には答えられない」
「そうか。急いで戻ろう。帝は短気だ」
実真はすれ違いざまにセナの肩に手を置いた。武士の手だった。
「顔色が悪い」セナは見たままを言った。
「ああ、酒が苦手でね……」
※
二人が戻った後も、酒宴は続いていた。給仕の女官たちは慌ただしくお膳を抱えて走り回り、みんなくだけた様子で楽しんでいる。
帝は晴隆と時おり談笑してはカラカラ笑い、実真はなかなか進まぬ酒杯に目を落として何やら思案にふけっている。
そのうち、赤ら顔の公家の一人がこんなことを言いだした。
「主上(帝のこと)――畏れながら申し上げまする」
「おお、なんだ。申してみよ」
帝もすっかり頬を上気させ、目がとろけている。
「謡舞寮といえば、主上が手ずからお作りになられた素晴らしき学び舎。その生徒の舞とは如何なるものか、拝見しとうございまする」
帝は笑みを浮かべ、聞き終わらぬうちに笑いだした。
「カッカッカ――よくぞ申した! 聞いておったな、望月よ」
望月は背筋をピシャリと伸ばす。
「はっ……まだ未熟なれば、ご不興を買わねばよいのですが……」
「かまわぬ。もし良き舞を披露できれば……そうだのう、いずれワシの舞人にしてやってもよい……演目は……ううむ」
帝は実真をチラリと見た。
「東遊がよい。その昔、駿河国に舞い降りた天女を歌ったものだ。はたして、この中に天女となれる者がいればよいが……のう実真よ」
「……は」実真は短く頷く。
望月はセナたち四人に視線を向ける。いち早く答えたのは静乃だった。
「私、やります! やらせてください!」
りつとサギリも頷く。セナは望月の目を見つめた。
「……わかった。では、ご披露して差し上げよ」
セナたち四人は大広間の中央に躍り出て、帝や公家たちが見守る中、それぞれの位置についた。
東遊は四人以上の舞人で披露する明るく軽やかな調子の舞である。高麗笛、篳篥、和琴などを用いて演奏され、唱歌の者がつく。
「今宵は、この望月が歌人を務めまする」
楽人たちの反対側に、望月がついた。
前奏となる狛調子が楽人たちの手によって奏でられ、望月がスーッと息を吸い込んだ。
涼やかな歌声が大広間に響き渡る。
晴れんな 手を調へろな 歌ととのへむな 栄えむの音
え 我が背子が 今朝の琴手は七つ緒の八つ緒の琴を
調べたることや 汝を懸山の桂の木や
一の歌、二の歌が披露され、公家たちは望月の美しい声に魅了された。
セナたちも舞のために控えながら、その耳で望月の歌唱に驚く。修練で幾度も手本を聞いたのに正式な演目では凄味が違う。セナはいつになく緊張を覚えた。
望月の独唱が終わり、いよいよ舞人の出番となる。
セナと静乃、りつとサギリが、それぞれ対称の配置で向かい合う。
高麗笛と篳篥が、セナたちの足もとを照らすように、そっと流れに導いた。
公家たちから、おお、という声が上がる。
出だしの動きから、四人は鏡合わせのように舞った。
だが――。
(ダメだ……どうしても呼吸がズレる)
セナは焦りを覚えた。てんでバラバラだ。りつは緊張ですっかり硬くなり、サギリは舞の手順を一つ一つ思い出しているためテンポが少し遅い。
そして静乃もふだんの精彩を欠き、まったく余裕がない。
(私もダメだ……一人の舞とは全然違う)
セナは誰かと一緒に舞うことの難しさを実感していた。今までは一人で気ままに自由に舞っていた。どのような身振り手振りでも、笛の音に乗せさえすればカタチになった。でも、これは違う。
みんなの呼吸と心を一つに合わせなければならない――。
その瞬間、異変が起こった。
静乃が一人だけ、動きから大きく離れた。
りつもサギリも自分の舞に必死で見えていない。セナだけが、静乃の異常な動きに気付いた。
「今こそ天誅を――」
静乃が帝に向かって突進した。その手には手のひらほどの小刀。まっすぐ帝の胸を狙って、白銀の刃を放った。帝の背後に控えていた蛾王が身を乗り出して拳を静乃に向ける。すべての一瞬が交差した――。
誰の驚く声もなし。帝は目を丸く剥き、刃の切っ先を見つめていた。
大広間の人間たち、そしてセナが次に目撃したのは、凍った時間だった。
中心にいたのは実真である。静乃の放った刃は実真の左手の人差し指と中指に挟まれて、殺意と共に勢いを止められ、蛾王の放った巨大な拳は、大きく開いた右手でガッチリと防がれていた。
「そこまで!」
水野実真が、帝と静乃の二つの命を守ったのだった。
あまりに想定外の出来事に、公家たちは腰を抜かし、青ざめ、唇をわなわな震わせている。セナたちも何が起こったのか理解できずに呆然としていた。
「蛾王、娘を殺せ」
帝は蛾王の巨体の下で汗一つかかず、無感動に言い捨てた。
蛾王の拳がギリギリと音を立てて小刻みに震える。実真の指の骨も白く浮き上がり、強大な力がせめぎ合っている。一進一退の攻防だった。
「お待ちください」
そう言った実真の表情と声は澄んでいる。
「この者はワシを殺そうとした。待つ理由がどこにある、実真」
そこに衛士たちがなだれ込んできた。すぐさま静乃の身柄を拘束し、その場でうつ伏せに押し倒すと頭を抑えつける。静乃は鋭く叫んだ。
「私は先の参議・高階義明が一人娘・静! いわれなき汚名を着せられ殺された父の恨みを晴らすべく、ここに来た! 天誅を受けよ! 妖怪め!」
そこにいつもの静乃はいなかった。穏やかで大人びた雰囲気の、やさしい目をしたあの静乃は。
セナは心臓の高鳴りを感じた。
数多の修羅場をくぐって来たにも関わらず、今、とても、怖い――。
「その娘を守るというのですかな――実真殿」
御堂晴隆が涼しい顔で、酒杯に残っていた酒をあおる。
「それすなわち、帝の命に背くということ」
「いいえ、私はただ、酒宴に水を差すことはないと申している。これ以上は」
晴隆は目を細め、視線をずらした。その瞳には露骨に嫌悪が浮かんでいる。
実真は帝に向き直る。
「帝――この娘を私に預けて頂きとう存じます。しっかり吟味したのち、すべての罪を明らかにいたしまする」
「ならぬ。殺せ」
「帝!」
実真が大きく声を張った。大広間に漂っていた酒気が吹き飛ぶ。
「もう二度と、舞を汚してはなりませぬ」
帝と実真の視線が真っ向からぶつかる。
セナはこの凍てついた時間を永遠のように感じた。まるで溶けない氷のように。
夜空に浮かんだ円い月が、夜の都を皓々と照らしていた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
妖刀 益荒男
地辻夜行
歴史・時代
東西南北老若男女
お集まりいただきました皆様に
本日お聞きいただきますのは
一人の男の人生を狂わせた妖刀の話か
はたまた一本の妖刀の剣生を狂わせた男の話か
蓋をあけて見なけりゃわからない
妖気に魅入られた少女にのっぺらぼう
からかい上手の女に皮肉な忍び
個性豊かな面子に振り回され
妖刀は己の求める鞘に会えるのか
男は己の尊厳を取り戻せるのか
一人と一刀の冒険活劇
いまここに開幕、か~い~ま~く~
黄昏の芙蓉
翔子
歴史・時代
本作のあらすじ:
平安の昔、六条町にある呉服問屋の女主として切り盛りしていた・有子は、四人の子供と共に、何不自由なく暮らしていた。
ある日、織物の生地を御所へ献上した折に、時の帝・冷徳天皇に誘拐されてしまい、愛しい子供たちと離れ離れになってしまった。幾度となく抗議をするも聞き届けられず、朝廷側から、店と子供たちを御所が保護する事を条件に出され、有子は泣く泣く後宮に入り帝の妻・更衣となる事を決意した。
御所では、信頼出来る御付きの女官・勾当内侍、帝の中宮・藤壺の宮と出会い、次第に、女性だらけの後宮生活に慣れて行った。ところがそのうち、中宮付きの乳母・藤小路から様々な嫌がらせを受けるなど、徐々に波乱な後宮生活を迎える事になって行く。
※ずいぶん前に書いた小説です。稚拙な文章で申し訳ございませんが、初心の頃を忘れないために修正を加えるつもりも無いことをご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
【完結】風天の虎 ――車丹波、北の関ヶ原
糸冬
歴史・時代
車丹波守斯忠。「猛虎」の諱で知られる戦国武将である。
慶長五年(一六〇〇年)二月、徳川家康が上杉征伐に向けて策動する中、斯忠は反徳川派の急先鋒として、主君・佐竹義宣から追放の憂き目に遭う。
しかし一念発起した斯忠は、異母弟にして養子の車善七郎と共に数百の手勢を集めて会津に乗り込み、上杉家の筆頭家老・直江兼続が指揮する「組外衆」に加わり働くことになる。
目指すは徳川家康の首級ただ一つ。
しかし、その思いとは裏腹に、最初に与えられた役目は神指城の普請場での土運びであった……。
その名と生き様から、「国民的映画の主人公のモデル」とも噂される男が身を投じた、「もう一つの関ヶ原」の物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
葉桜よ、もう一度 【完結】
五月雨輝
歴史・時代
【第9回歴史・時代小説大賞特別賞受賞作】北の小藩の青年藩士、黒須新九郎は、女中のりよに密かに心を惹かれながら、真面目に職務をこなす日々を送っていた。だが、ある日突然、新九郎は藩の産物を横領して抜け売りしたとの無実の嫌疑をかけられ、切腹寸前にまで追い込まれてしまう。新九郎は自らの嫌疑を晴らすべく奔走するが、それは藩を大きく揺るがす巨大な陰謀と哀しい恋の始まりであった。
謀略と裏切り、友情と恋情が交錯し、武士の道と人の想いの狭間で新九郎は疾走する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
ふたりの旅路
三矢由巳
歴史・時代
第三章開始しました。以下は第一章のあらすじです。
志緒(しお)のいいなずけ駒井幸之助は文武両道に秀でた明るく心優しい青年だった。祝言を三カ月後に控え幸之助が急死した。幸せの絶頂から奈落の底に突き落とされた志緒と駒井家の人々。一周忌の後、家の存続のため駒井家は遠縁の山中家から源治郎を養子に迎えることに。志緒は源治郎と幸之助の妹佐江が結婚すると思っていたが、駒井家の人々は志緒に嫁に来て欲しいと言う。
無口で何を考えているかわからない源治郎との結婚に不安を感じる志緒。果たしてふたりの運命は……。
【完結】女神は推考する
仲 奈華 (nakanaka)
歴史・時代
父や夫、兄弟を相次いで失った太后は途方にくれた。
直系の男子が相次いて死亡し、残っているのは幼い皇子か血筋が遠いものしかいない。
強欲な叔父から持ち掛けられたのは、女である私が即位するというものだった。
まだ幼い息子を想い決心する。子孫の為、夫の為、家の為私の役目を果たさなければならない。
今までは子供を産む事が役割だった。だけど、これからは亡き夫に変わり、残された私が守る必要がある。
これは、大王となる私の守る為の物語。
額田部姫(ヌカタベヒメ)
主人公。母が蘇我一族。皇女。
穴穂部皇子(アナホベノミコ)
主人公の従弟。
他田皇子(オサダノオオジ)
皇太子。主人公より16歳年上。後の大王。
広姫(ヒロヒメ)
他田皇子の正妻。他田皇子との間に3人の子供がいる。
彦人皇子(ヒコヒトノミコ)
他田大王と広姫の嫡子。
大兄皇子(オオエノミコ)
主人公の同母兄。
厩戸皇子(ウマヤドノミコ)
大兄皇子の嫡子。主人公の甥。
※飛鳥時代、推古天皇が主人公の小説です。
※歴史的に年齢が分かっていない人物については、推定年齢を記載しています。※異母兄弟についての明記をさけ、母方の親類表記にしています。
※名前については、できるだけ本名を記載するようにしています。(馴染みが無い呼び方かもしれません。)
※史実や事実と異なる表現があります。
※主人公が大王になった後の話を、第2部として追加する可能性があります。その時は完結→連載へ設定変更いたします。
加藤虎之助(後の清正、15歳)、姉さん女房をもらいました!
野松 彦秋
歴史・時代
加藤虎之助15歳、山崎シノ17歳
一族の出世頭、又従弟秀吉に翻弄(祝福?)されながら、
二人は夫婦としてやっていけるのか、身分が違う二人が真の夫婦になるまでの物語。
若い虎之助とシノの新婚生活を温かく包む羽柴家の人々。しかし身分違いの二人の祝言が、織田信長の耳に入り、まさかの展開に。少年加藤虎之助が加藤清正になるまでのモノカタリである。
霜降に紅く
小曽根 委論(おぞね いろん)
歴史・時代
常陸国に仕える仲田家の次男坊宗兵衛は、殺された父親の仇を探す放浪の旅に出ていた。ある日宗兵衛は、仇討ちを恐れる者が多数逃げ込むと言われている、その名も『仇討山』の存在を知り、足を運ぶ。そこで出会った虚無僧・宮浦から情報を聞き出そうとする宗兵衛。果たして彼は宿敵を討ち果たすことが出来るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる