毒状態の悪役令嬢は内緒の王太子に優しく治療(キス)されてます

愛徳らぴ

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41.【Side:ブレアナ】本心と計画

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(可憐とか可愛いとかの称賛の言葉は聖女たる私のために存在するもの)

 この世界で命を得た瞬間から私の幸せは運命づけられていた。

(当然よね? だって私はこの世界で万能かつ唯一の治癒能力を持っているのだから)

 自分が何者なのかを理解したのは生まれて間もない頃のこと。
 前世の記憶が私に、この世界がゲームの世界であることと自分が誰からも愛され必要とされる治癒能力者(ヒーラー)であることを教えてくれた。

(乙女ゲームのヒロインなら王子様とだって結婚できる!)

 結婚をするならアエルバートが第一候補だった。
 彼はよく言えばいい人であり、悪く言えば自信がなくて優柔不断。そんな彼の性格は私が王妃になったときにコントロールしやすくて都合がいい。
 アエルバートと結婚してすべて思い通り……のはずだった。

(なのに! どうして! 王太子が城に戻って来ちゃうってどういうこと!? 王太子は行方不明という情報だった。見つかってしまう……城に帰って来てしまうなんて想定外だわ。確かオスリックが帰還するのはオスリックルートだけのはずなのに)

 戻ってきたオスリックが国王になるのか、それともアエルバートが国王になるのかを見定めたい。アエルバートの母であるロージーとも連絡を取って様子を見ていたら、二人が決闘をすることになった。
 アエルバートが勝てば、次期国王になるのはアエルバートになるらしい。これは是非ともアエルバートに勝って欲しい。

(でも、現実は思い通りにはいかなかった)

 勝者はオスリック。オスリックはアエルバートと比べて聡明で御しにくそうな人だ。表情を見てもなにを考えているかが読み取れない。それでも贅沢を言っている余裕はなかった。オスリックを篭絡しなければ、私が王妃になるという目標が潰えてしまう。
 問題はセラフィンの存在だ。オスリックの心がセラフィンに向いていることは明らかだった。

(どうしてセラフィンなの!? せっかくアエルバートをセラフィンから奪い取ったのに、そのアエルバートが国王になれなくて、セラフィンが次期国王と結婚なんて間違ってる!)

 アエルバートに処刑されて死ぬはずだったセラフィンは今も生きていて、オスリックに愛されている。どうしてそんなことが起きているのかは分からないけど、これを利用してセラフィンを引き離し私がオスリックと結婚する方法を思いついた。
 セラフィンからオスリックに私を推薦してもらえばいい。オスリックも好きな相手から別の女を薦められればさすがに諦めるだろうし、なによりも私はオスリックが捜している治癒能力者(ヒーラー)でなのだから妻にするのに申し分ない。
 気がかりだったのはセラフィンがしっかり動いてくれるかだったけど、毒の治療をしてあげたら婚約を保留にしてくれた。はっきりきっぱり断って私を推薦しなかったことは不満だけど、いったんはよしとしよう。あまり性急にことを進めても怪しまれちゃいそうだし。

(さぁて、私が王妃になる日も近いわよ)
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