毒状態の悪役令嬢は内緒の王太子に優しく治療(キス)されてます

愛徳らぴ

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25.【Side:オスリック】捜索

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 城にいた兵士に声を掛けて人を集めてもらった。捜索に人手は多いに越したことはない。式典の後ということもあってかなりの人数が捜索に参加してくれることになった。
 人数が多ければすぐに見つかる。
 そう自分に言い聞かせていたが――想像以上にマズい事態だと気付いたのは、城下町に着いてからだった。
 昼間は人々の声で騒がしい城下町も夜になると静かなものだ。夜になると店は閉まるし、当然のことながら店員も帰宅している。
 手分けをして町を見て歩き、金髪の女性を探す。夜の暗さのせいで、明るい場所ならすぐに目に飛び込んでくる輝く髪がその光を失っているだろう。
 反対の通りを捜していたアキムと一度合流する。

「アキム、そっちはどうだ?」
「ほとんど店は閉まっていますね。あと開いているとしたら酒場くらいでしょう」
「昼間は店を開けていないから店主から聞けることはなさそうだし、客は酔っ払いばかりだが……」

 それでもここでこうして時間を無駄にしても仕方がない。小さな可能性でも存在するのなら動いた方がマシだ。

「では急いで話を聞いてきます」
「頼んだ」

 俺が乗り込んでいくと大騒ぎになるから、酒場はアキムに任せる。
 簡単に見つかるとは期待していなかったが、それでも何の手がかりも見つからない時間が続くと気持ちに余裕がなくなっていく。
 今できることは、まだ人が残っている店を見つけたらそこで話を聞くことと、路地に人影がないかを探すことだけ。
 兵士を動員したことで全体の捜索はあっさりと終えることができた。しかしセラフィンは見つからずじまいだ。
 建物の外にいないとなると、どこかに閉じ込められているかすでにこの町を出ているかになるな。

「殿下」

 アキムが駆け足で戻って来る。

「どうだった?」
「昼間に綺麗な金髪の令嬢を見かけたという人がいました。侍女も一緒だったそうなので、おそらくセラフィン様で間違いないかと」
「ではやはりセラフィンは城下町には来ていたんだな。あとは馬車屋に話を聞ければいいんだが」

 アキムは力強く頷く。

「ちょうど酒場に馬車屋がいたので話を聞きましたが、今日はそんな客はいなかったそうです」
「馬車には乗っていない、か」
「さらに尋ねたところ、今日は大きな荷物を持った客はいなかったとのことでした」
「つまりセラフィンはまだこの町の中にいるというわけか」

 アキムが持ち帰った情報のおかげでやるべきことの方針が定まった。

「道路や建物の影はすでに捜索済みだ。あとは空き家の調査だ。町のはずれまで隅々まで調べるぞ」
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