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真実が明かされる日

この淫魔、返品可能ですか?

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「きゃああ」

私に抱き付いていたイブちゃんが由希人くんに気がついて、私から離れて自分を抱き締めたままプルプル震えている。

「ごめんなさい……ごめんなさい………殺さないで」

一瞬で彼女の前に移動した由希人くんは人差し指をイブちゃんの額にトンと押し当てた。イブちゃんは目を見開いたまま動かなくなった。

「由希人くん!イブちゃん、キズ付けないで!悪い子じゃないの」

「ゆうきさんの精気を食べるなんて、本来なら万死に値するんですけどね。究極熟成を完成出来たのは、彼女のおかげみたいですし………ふんふん。なるほど」

由希人くんが額から指を離すと、イブちゃんは、パタンと倒れた。

由希人くんは奥の高志くんが眠っている場所へ真っ直ぐ歩いていく。

「高志くんも悪くないんだよ」

「はい、さっき彼女の記憶を大まかに読んだので、事情は掴めました」

そう、言いながら眠っている高志くんの左胸の上に手を置く。

「そんな事、出来たの?」

「はあ、最近、大量の人間の思考を確認する仕事がありまして、その時に出来るようになりました……うーん。左心房の血管と壁に異常がありますね。こっちは、初めてだから上手くいくかな」

由希人くんの手が光る。瞳を閉じて集中しているのがわかる。どれくらい、そうやっていただろう。

倒れていたイブちゃんが気がついて慌てて駆け寄ってくる。


「高志くん!」

「気が散る、黙ってて」

イブちゃんと固唾を飲んで見守っていると、ふーーーっと由希人くんが息を吐いて、置いていた手を離した。

「とりあえず、血栓は分解したし、血管と壁も魔力で補強しました。後は、彼を死なない程度に食べて何とかしなさい。その前に、究極熟成が発動するはずだから何とかなると思いますけどね。では失礼。行きましょう。ゆうきさん」

「え?このまま?高志くんが起きるまで、ついていたいよ。本当に大丈夫?」

「彼が起きたら、即、濃厚な濡れ場ですよ?見たいんですか?」

「ええ?!」

「ハイハイ、行きますよ」

手を引かれて歩いていると、海の底みたいな結界が揺れて出口が見えてくる。

私は一度、振り返って、じっと高志くんを見つめているイブちゃんに声をかけた。

「イブちゃん、またね」

彼女は弾けるように振り返って、見たこともない明るいキラキラした笑顔で頷いてくれた。


私と由希人くんはイブちゃんの結界から、外へと出た…………あり?ここは?

虹色の空、一面のベッド。えーとー。えーと。

「全く、ほぼ無事だったから、よかったものの。ぼくが丹精込めた術式の装備も全部、自ら外すなんて!ゆうきさんは、いつもめちゃくちゃです」

「ごめんなさい」

いきなり、ぐいっと引き寄せられて強く抱き締められる。

「気が気じゃなかった………!怖くて怖くて堪りませんでした」


「心配かけて………ごめんなさい」


「心配しましたよ。気配が一切、消えてしまって……そしたら……胸が急に熱くなってきて、ゆうきさんの気配が、微かに辿れるようになって…………ゆうきさん」

由希人くんは、少し腕を緩めて極上の優しい微笑を浮かべた。

「そのままのぼくを受け入れて、信じて愛してくれてありがとう」


「由希人くんも、私の事、ずっと大切に愛してくれてありがとう」


えへへ。



…………でも、ここって逃げ場無いよね。有無を言わせずって感じがするんですけど。さっきイブちゃんに抱き締められたより、ずっと危機感を感じるのは何故かしら。このドキドキは、ときめき?それとも恐怖?


「さあ、時間を忘れるくらい愛し合いましょう。ぼく、何も気にしないで全力が出せるの初めてです」

ワクワクしながら何を、とぼけた事、仰っているのでしょうか?時間も、他のものも、色々気にして!全力なんて求めて無いから!ツッコミ所が多すぎて口をパクパクさせるだけで終わってしまったじゃないの!

「動けなくなっても大丈夫です、会社への有給申請は出しておきますから」


あのー。やっぱり、この淫魔を、何処かに返品したいんですけど……………無理ですかね。


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