雨の日に淫魔を拾いました……返品は不可能のようです_| ̄|○

はにゃ

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異種族間の適切な男女交際とは?

突撃、御宅訪問

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 結局、落ち着かなくてカフェを後にする。

お支払いをしようとして、ハッとする。由希人くんは、お金持ってない。やばい、私のヒモみたいになってしまう。いや、実際、ヒモみたいなものだ。コレは、マズイ。

焦っていたら、由希人くんが見た事もないブランドの財布をチノパンのポケットから出して、2人分の支払いを済ませた。

「ゆうきさん、行きましょう」

私の腰に手を添えて、エスコートしてくれる。

店の外に出てから傘の中から小さな声で尋ねる。

「ねえねえ。お財布どうしたの?」

「それが、さっき、ゆうきさんが席を外したでしょう。その時、サラさんが来たんです」

うん。お手洗いに行って、お化粧直しもした。

「え、会いたかった。すぐ帰ったの?」

「淑女に支払いを、させる男性は許されません。これは貸しですから。時間が出来たら、レオ様の所へ来るように………と、言って、財布を、こっそり渡してくれて、隠密活動中ですので失礼しますと、言って去って行ったんだよ。さすがに驚いた。そして後が怖い」

「そうなんだ。今から行く?」

「せっかくのデートなのに!?」

「今から、遠出は無理だし。ショッピングモールとかは視線が……でも、行くとしても、どうやって行こう?」

なんだかんだで、もう午後2時を回っている。何処かで食事と言っても、私しか食べないし。次のデートの行き先でも決めようとカフェに入ったのに、注目されすぎて碌に話も出来なかった。有名人って、きっと大変なんだろうな~。平凡が気楽でいい。

「う~ん。こちらから行った事あるけど、出来たら行きたくないですね。借りが、あるから、いずれ行くしかないでしょうが」

ゲンナリした様子で由希人くんは肩を落とした。

「じゃあ、今から来られます?」

ひょっこりと、サラさんが白い傘の中から覗き込んでいる。

黒いドレスではなくて、白いニットのカットソーとグレイのプリーツスカートで、もうシンプルなのに眩しいくらい美しい。拝みたくなる。綺麗。可愛い。お嫁さんに来て下さい。相変わらずの無表情なんだけど、服装のせいかな、雰囲気が柔らかい。

「お邪魔しちゃっていいんですか?」

「はい。レオ様の許可は頂いておりますので」

「ちょっと待って!彼女にも、あんな水を浴びせたりしないだろうね!それに、異常な場所に巻き込まないで!」

「もちろんです。ゆうきさまは、大切なお客様ですから。ノーチェックで貴賓室に直行させて頂きます。お手をどうぞ」

細くて白くて、すべすべの綺麗な手を手のひらを上にして差し出す。思わず、手を乗せてしまう。機嫌良く何度でもお手をする友人の家のワンちゃんの気持ちがわかってしまった。

「こんな所から飛ぶ気?目立つでしょう」

「周辺に、「魅了」を、応用した目隠しの術をかけます。行きましょう」

サラさんは、由希人くんの手首を軽く掴んで、それから、視界が一瞬、揺らぐ。

次の瞬間には、洋風で上品な応接間に移動していた。毛足の長い絨毯。シックな無地の質の良いソファーセット。壁には大きな風景画の油絵が飾ってある。

一瞬で、移動するなんて、すごい。正直、何でも出来てしまいそう。

「お掛けになって。すぐにお茶を用意致します。レオ様も、顔を出されると思います」

そう言って、手際良く紅茶を入れてくれる。ダージリンの良い香りがする。

私と由希人くんはソファーに隣り同士に腰掛ける。


由希人くんは、向かいに座って紅茶を用意するサラさんをジッと真剣な顔で見つめている。うん。わかるよ。綺麗だもんね。前、会った時より、さらに(洒落じゃないよ)輝きが増してる気がする。基本、無表情なのは、変わらないけど……何だろう。こう、上手く言えないけど、恋する女の子的なキラキラ感がある。恋……してるのかな。確か、レオさんはサラさんのこと秘書兼、恋人って言ってたような。

「ゆうきさま、ギモーヴとマカロンお好きですか?紅茶と一緒にどうぞ。由希人さまも、宜しければお茶だけでも」

ギモーブとマカロン好きだ。あの食感と色んな色と香りと味が楽しいの。わぁ、アフタヌーン・ティーセットをお店以外で見るの初めてだ。一番、上には色とりどりなサンドイッチが並んでいる。
私と由希人くんの前に紅茶をコトと上品に置く。仕草が品があって、だからって気取ってなくて美しい。

「ありがとうございます。この場所は日本の何処になるのですか?さっきの場所から、どれくらい離れているの?」



「地図上の距離で申し上げましたら80km……程でしょうか」

それは……かなり離れてますね。それを一瞬。どこでもドアも真っ青の高性能。

「前に来た結界内の別の場所……だよね」

「はい。基本的に遠距離移動は結界内への移動と同義ですので。訓練すれば、由希人さまでしたら単独で、此方に来る事が出来るようになると思います。レオ様の許可証が必要ですが」

「許可証?」

「はい。私は、こちらの指輪が許可証になっております。私以外の者が、この指輪を嵌めても効力は、ございません」

そう言って、サラさんが左手を少し上げると、その薬指に銀の複雑な透かし模様が入った指輪が光っている。

この場所は………そーゆー意味ですよね。レオさん。サラさん解っているのか?

「……サラさん以外に、許可証、持っている人っているの?」

「はい。おります」

「それも、指輪?」

「いえ、服にピンで取り付けるタイプの許可証でございます」

「…………………………………………」

「…………………………………………」

「ねぇ、サラさん左手の薬指に指輪を付ける意味って……知ってる?」

「指輪を付けるのに意味が、あるのですか?レオ様は落とさないようにと、仰っておりました。私、粗忽者ですので」

おおい!責任者出て来い。全然、伝わって無いじゃ無いか!



「いらっしゃい。ようこそ」


扉が開いて、レオさん(責任者)が、にこやかに入って来た。
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