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その淫魔の名は
開花と変化
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立ちすくんで、サラを見つめていたウィリアムは、ゆっくり私に向き直った。
「オレは丘向こうで農家をしているウィリアムと言う。……オレは、あなたに感謝する。」
そう言いながら、ウィリアムの両目から、ふいに涙が盛り上がり溢れ出した。ウィリアムは、自分で自分に驚いたように手の甲で、交互に目を押さえると、空の籠を片手で掴んで「また来る。」とだけ言って、小走りで去って行った。
「ウィリアム、どうしちゃったのかしら?。」
サラは不思議そうに首を傾げた。
サラは、他の男の事を、元夫のレオナルドと間違えなくなった。ただ、私の事だけは相変わらず、元夫で軍人のレオナルドだと思っている。
「最近、戦いに行かなくていいの?」「ずっと、こちらに居て、大国のお屋敷は放っておいて大丈夫?」などと、度々聞いてくるからだ。
「サラの体調が良くなるまでは、仕事を休ませてもらっているんだよ。私は、ずっと活躍していたからね。」
などと適当に誤魔化す。
午後に2人で出掛ける散歩も、かなり色んな場所に長時間、歩いて回れるくらい、サラは元気になった。
しかし、ひとつ問題と言うか何と言うか、これは断じて自分のせいでは無いと思う。
人気の無い湖のほとりの木陰で、下着だけを取り去ったサラを上に乗せ、柔らかな臀部を撫で、繋がりながら、元夫レオナルドに、どこでも盛る絶倫めと言うべきか、お前は生前 イイ仕事をしたと言うべきか悩んでいた。
そう、サラは外でも、度々、私を求めるのだ。
散歩の途中で、おそらく元夫に愛された場所を訪れた時に、サラは求める。「お願い、して。」と、身体を寄せて来る。
全くけしからんと、思いながら周りに人も獣も居ない事を、よく確認してからサラの求めに応じる。なるべく服を乱さないように気を遣いつつ、彼女を指や舌で達させるだけにしたり、緩やかに繋がったりして楽しむ。見るからに清楚な佇まいの彼女を、こんなにしてしまうなんて、元夫のレオナルドは、どんなどエロい男だったんだと頭を抱えながら、快楽に耐えれれずに甘い高い声で、自然を震わせる彼女の身体に次第に溺れてゆく。
もはや現実の彼女と、夢の中の彼女の姿に、ほとんど差はなかった。身体だけで言えば、以前の彼女に、すっかり戻ったと言ってよいだろう。陽の光の中で身を任せる彼女は美しく艶めかしい。
オルガもウィリアムも、度々、食糧を持って来てくれていた。実際、食事をするのはサラだけなのだから「足りないのではないか?。」と心配していたので森で獣や魚を捕ったり、木ノ実やキノコを集めたりしているからと告げた。
朝の情事と朝食の後、サラを眠らせて、扉を外からも中からも開かないように魔術を施して、自らの過保護さに苦笑しつつ、オルガやウィリアムの仕事を数時間ほど手伝う事も増えた。
オルガの家は夫に先立たれ、娘に婿養子が婚いできて子供が2人という家族構成で、男手があって困る事はないし、ウィリアムに至っては一人暮らしだった。仕事は幾らでもあった。
農耕馬の食べる干し草をウィリアムと共に黙々と刈っている時に、突然、声を掛けられた。
「サラと結婚しないのか?」
「彼女は、私を前の夫のレオナルドだと思っているんだよ。」
草を刈る手を止めずに、ウィリアムにそう返事をする。
「しかし、もう関係は夫婦なのだろう……。」
ウィリアムは、そこまで言ってから言い澱む。
「そういう事は、サラが正気に戻ってから考えようと思っている。」
「子供が出来てからでは遅い。」
ウィリアムは低音の声で呻くように言った。
「子供は出来ない。」
刈り終わった草を束に纏めながら答える。
「は?」
ウィリアムは、彼にしては大きな声を出した。
「オレは丘向こうで農家をしているウィリアムと言う。……オレは、あなたに感謝する。」
そう言いながら、ウィリアムの両目から、ふいに涙が盛り上がり溢れ出した。ウィリアムは、自分で自分に驚いたように手の甲で、交互に目を押さえると、空の籠を片手で掴んで「また来る。」とだけ言って、小走りで去って行った。
「ウィリアム、どうしちゃったのかしら?。」
サラは不思議そうに首を傾げた。
サラは、他の男の事を、元夫のレオナルドと間違えなくなった。ただ、私の事だけは相変わらず、元夫で軍人のレオナルドだと思っている。
「最近、戦いに行かなくていいの?」「ずっと、こちらに居て、大国のお屋敷は放っておいて大丈夫?」などと、度々聞いてくるからだ。
「サラの体調が良くなるまでは、仕事を休ませてもらっているんだよ。私は、ずっと活躍していたからね。」
などと適当に誤魔化す。
午後に2人で出掛ける散歩も、かなり色んな場所に長時間、歩いて回れるくらい、サラは元気になった。
しかし、ひとつ問題と言うか何と言うか、これは断じて自分のせいでは無いと思う。
人気の無い湖のほとりの木陰で、下着だけを取り去ったサラを上に乗せ、柔らかな臀部を撫で、繋がりながら、元夫レオナルドに、どこでも盛る絶倫めと言うべきか、お前は生前 イイ仕事をしたと言うべきか悩んでいた。
そう、サラは外でも、度々、私を求めるのだ。
散歩の途中で、おそらく元夫に愛された場所を訪れた時に、サラは求める。「お願い、して。」と、身体を寄せて来る。
全くけしからんと、思いながら周りに人も獣も居ない事を、よく確認してからサラの求めに応じる。なるべく服を乱さないように気を遣いつつ、彼女を指や舌で達させるだけにしたり、緩やかに繋がったりして楽しむ。見るからに清楚な佇まいの彼女を、こんなにしてしまうなんて、元夫のレオナルドは、どんなどエロい男だったんだと頭を抱えながら、快楽に耐えれれずに甘い高い声で、自然を震わせる彼女の身体に次第に溺れてゆく。
もはや現実の彼女と、夢の中の彼女の姿に、ほとんど差はなかった。身体だけで言えば、以前の彼女に、すっかり戻ったと言ってよいだろう。陽の光の中で身を任せる彼女は美しく艶めかしい。
オルガもウィリアムも、度々、食糧を持って来てくれていた。実際、食事をするのはサラだけなのだから「足りないのではないか?。」と心配していたので森で獣や魚を捕ったり、木ノ実やキノコを集めたりしているからと告げた。
朝の情事と朝食の後、サラを眠らせて、扉を外からも中からも開かないように魔術を施して、自らの過保護さに苦笑しつつ、オルガやウィリアムの仕事を数時間ほど手伝う事も増えた。
オルガの家は夫に先立たれ、娘に婿養子が婚いできて子供が2人という家族構成で、男手があって困る事はないし、ウィリアムに至っては一人暮らしだった。仕事は幾らでもあった。
農耕馬の食べる干し草をウィリアムと共に黙々と刈っている時に、突然、声を掛けられた。
「サラと結婚しないのか?」
「彼女は、私を前の夫のレオナルドだと思っているんだよ。」
草を刈る手を止めずに、ウィリアムにそう返事をする。
「しかし、もう関係は夫婦なのだろう……。」
ウィリアムは、そこまで言ってから言い澱む。
「そういう事は、サラが正気に戻ってから考えようと思っている。」
「子供が出来てからでは遅い。」
ウィリアムは低音の声で呻くように言った。
「子供は出来ない。」
刈り終わった草を束に纏めながら答える。
「は?」
ウィリアムは、彼にしては大きな声を出した。
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