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さらわれました
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手紙の仕分けがこれまた大変だった。
だって城中からだよ。
とりあえず知ってる人を抜いて。
どなたでしょう?な手紙を男性、女性に分けて、うーむ無記名が8通。
一通づつ読んでいくしかないか・・。
シキさん達からは、危ない事って何やらかしたの?早く謹慎あけるといいね、みたいな事が書かれてた。
宰相さんからは、何処からかケネスさんの求婚の件が漏れ、今では国内外から釣書き届いて仕事になりませんって・・切実な苦情だ。
優良物件なんだから、ケネスさんにしとけばって、お勧めしてる。
そんなノリでいいの宰相さん?
アイちゃんからは、田中さん達とお茶して楽しかった。次回もご一緒にお越し下さいだって。お歌も聞かせて下さいねって、田中さーん!
封印した黒歴史暴露してきましたね!
4人してお城行ってきて、どこまで話したの!?笑い事じゃ無いですよ。
侍女ズは、田中様が召し上がったアンパン所望って、相変わらずな自由人。
王様からも届いてる・・『翠』が荒れるから面倒事増やすな、高位精霊をお使いに使うとか、心臓に悪いからホント止めろ・・殴り書きだ。
王様ホントに泣いたかもしれないなー。ごめんなさい。
「婿殿からは、これも預かったぞい。」
田中さん、婿殿ってケネスさんの事?
だから嫁には行かないってば。
ほら、ロベリアから黒い霧が発生したじゃん、田中さんの足元に迫ってる。
捕まっちゃうよ、気を付けてね。
小さな黒い箱の中には、黒真珠のピンブローチが入っていた。
この大きさ、しかも黒、形もバロックじゃなく美しい球体だ・・これ相当高いんじゃ・・。
ラダさんが箱に納められたブローチをしげしげと見つめ
『善い物だ。』
と僕の胸元に付けてくれた。
うわぁ!ラダさん認めた逸品!絶対高額商品だよぉ!
どうしようこんな贈り物まで頂いちゃったよ。改めてお礼状書かないと。
えーと手紙の方は何て・・。
― 貴方に会いたい ―
一言だった。
・・ケネスさんが上級者すぎる。
ここにはお絞りを差し出してくれる侍従さんはいない。
自分で頭冷やさなくっちゃ、あうぅ顔を洗ってこよう・・。
恥ずかしいから、残りは部屋で読もう。
田中さん達を招いてお話を伺いたいと魔導士の皆さんの熱烈オファーの手紙。
侍従さん達から感謝のお手紙。
問題はこれか・・。
差出人の名前がない封書をおっかなびっくり開いてみると。
『貴方に捧げる歌』え?ポエムなの?
あぁなるほど、それで無記名・・。
いろんな人から心配されたり、励まされたり、ポエム捧げられたり。
なんか段々ファンレターを読んでる気分になったきた。僕、いつアイドルになったのだろう?小首をかしげる。
最後の無記名の手紙かぁ・ここまで読むのにだいぶ時間かかったなぁ・・。
この大量の手紙のお返事どうしよう。
溜息混じりに開いた最後手紙には、赤い魔法陣が書かれていた。
陣が暗い光を発しながら、ギュルリと発動を始める。
『あ、これ駄目なやつだ。』
そう思った瞬間。
「パキィィン!」
ロベリアとラダさんから貰ったイヤーカフが弾け飛び、頬に痛みが走った。
目の前が暗くなり、手紙を握ったまま意識が落ちていく『あぁ倒れる』そうぼんやりと思った。
2枚めに描かれた魔法陣が、時間差で発動、倒れ込んだ夜空の体を転移させた。
役目を終えた陣は発火し、燃え尽きる。
「「夜空?」」
龍種の二人はすぐさま、その異常に気が付いた。
屋敷から夜空の気配が消え、イヤーカフの繋がりも切れている。
部屋に駆け付けた二人が見たのは、砕けたイヤーカフの破片と、倒れた際に掴んで引きずられた寝台のシーツ。
床一面に散らばった手紙と、何かが燃え尽きた灰だった。
「城内からの手紙に細工ですか。油断しました。何処に飛ばされた?」
イヤーカフが砕けたと言う事は、夜空が致死の悪意をぶつけられたという事に他ならない。
龍の巣で子を襲い攫っただと・・。
ギリと歯噛みするロベリアから、龍気が漏れ出し辺りが徐々に氷つきだした。
『ロベリア落ち着け・・。夜空は、シーアの黒の贈り物を身に着けていた。そちらから気配を手繰ろう。あれにも守りの陣が組んであった、夜空は無事なはずだ。』
ラダも沸々と怒りを抑えている。
「わかりました。・・精霊達は・・既に夜空を追った様ですね。では私達は城へ向かいましょう。」
だって城中からだよ。
とりあえず知ってる人を抜いて。
どなたでしょう?な手紙を男性、女性に分けて、うーむ無記名が8通。
一通づつ読んでいくしかないか・・。
シキさん達からは、危ない事って何やらかしたの?早く謹慎あけるといいね、みたいな事が書かれてた。
宰相さんからは、何処からかケネスさんの求婚の件が漏れ、今では国内外から釣書き届いて仕事になりませんって・・切実な苦情だ。
優良物件なんだから、ケネスさんにしとけばって、お勧めしてる。
そんなノリでいいの宰相さん?
アイちゃんからは、田中さん達とお茶して楽しかった。次回もご一緒にお越し下さいだって。お歌も聞かせて下さいねって、田中さーん!
封印した黒歴史暴露してきましたね!
4人してお城行ってきて、どこまで話したの!?笑い事じゃ無いですよ。
侍女ズは、田中様が召し上がったアンパン所望って、相変わらずな自由人。
王様からも届いてる・・『翠』が荒れるから面倒事増やすな、高位精霊をお使いに使うとか、心臓に悪いからホント止めろ・・殴り書きだ。
王様ホントに泣いたかもしれないなー。ごめんなさい。
「婿殿からは、これも預かったぞい。」
田中さん、婿殿ってケネスさんの事?
だから嫁には行かないってば。
ほら、ロベリアから黒い霧が発生したじゃん、田中さんの足元に迫ってる。
捕まっちゃうよ、気を付けてね。
小さな黒い箱の中には、黒真珠のピンブローチが入っていた。
この大きさ、しかも黒、形もバロックじゃなく美しい球体だ・・これ相当高いんじゃ・・。
ラダさんが箱に納められたブローチをしげしげと見つめ
『善い物だ。』
と僕の胸元に付けてくれた。
うわぁ!ラダさん認めた逸品!絶対高額商品だよぉ!
どうしようこんな贈り物まで頂いちゃったよ。改めてお礼状書かないと。
えーと手紙の方は何て・・。
― 貴方に会いたい ―
一言だった。
・・ケネスさんが上級者すぎる。
ここにはお絞りを差し出してくれる侍従さんはいない。
自分で頭冷やさなくっちゃ、あうぅ顔を洗ってこよう・・。
恥ずかしいから、残りは部屋で読もう。
田中さん達を招いてお話を伺いたいと魔導士の皆さんの熱烈オファーの手紙。
侍従さん達から感謝のお手紙。
問題はこれか・・。
差出人の名前がない封書をおっかなびっくり開いてみると。
『貴方に捧げる歌』え?ポエムなの?
あぁなるほど、それで無記名・・。
いろんな人から心配されたり、励まされたり、ポエム捧げられたり。
なんか段々ファンレターを読んでる気分になったきた。僕、いつアイドルになったのだろう?小首をかしげる。
最後の無記名の手紙かぁ・ここまで読むのにだいぶ時間かかったなぁ・・。
この大量の手紙のお返事どうしよう。
溜息混じりに開いた最後手紙には、赤い魔法陣が書かれていた。
陣が暗い光を発しながら、ギュルリと発動を始める。
『あ、これ駄目なやつだ。』
そう思った瞬間。
「パキィィン!」
ロベリアとラダさんから貰ったイヤーカフが弾け飛び、頬に痛みが走った。
目の前が暗くなり、手紙を握ったまま意識が落ちていく『あぁ倒れる』そうぼんやりと思った。
2枚めに描かれた魔法陣が、時間差で発動、倒れ込んだ夜空の体を転移させた。
役目を終えた陣は発火し、燃え尽きる。
「「夜空?」」
龍種の二人はすぐさま、その異常に気が付いた。
屋敷から夜空の気配が消え、イヤーカフの繋がりも切れている。
部屋に駆け付けた二人が見たのは、砕けたイヤーカフの破片と、倒れた際に掴んで引きずられた寝台のシーツ。
床一面に散らばった手紙と、何かが燃え尽きた灰だった。
「城内からの手紙に細工ですか。油断しました。何処に飛ばされた?」
イヤーカフが砕けたと言う事は、夜空が致死の悪意をぶつけられたという事に他ならない。
龍の巣で子を襲い攫っただと・・。
ギリと歯噛みするロベリアから、龍気が漏れ出し辺りが徐々に氷つきだした。
『ロベリア落ち着け・・。夜空は、シーアの黒の贈り物を身に着けていた。そちらから気配を手繰ろう。あれにも守りの陣が組んであった、夜空は無事なはずだ。』
ラダも沸々と怒りを抑えている。
「わかりました。・・精霊達は・・既に夜空を追った様ですね。では私達は城へ向かいましょう。」
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