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閑話 ヒガの独り言
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俺が、初めてシキと初めて会ったのは、入隊試験の時だった。
シルバーグレーの髪がキラキラ光っていて随分小奇麗で、どっかの貴族のご令息かと思っていた。
試験枠が俺と同じで平民出だとわかって驚いて、実は女だってわかって、二度驚いたのは、まぁ本人にも秘密な。
シキはシキで、こんな小さな猫が大丈夫なんだろうか?と思っていたそうだ。
今では頭一つ追い越した俺だが、入団試験時には、シキより小さいし、力もなかった。
試験の時は、機敏性と機転が利く所で勝負をかけた。落ちる気なんか、これっぽっちも無かったね。
泥臭かろうが勝ちは勝ちだ。
シキは、涼しい顔で、当然の様に剣で勝ち抜きやがった。
あいつは、表情筋が死んだかの様に、常に無表情で冷静だ。
まぁ美人っちゃあ、美人だが、同性の女からの支持ばっかりだけど、お前それでいいのか?
ちょっとこっちに回してくんない?と切実に思う今日この頃。
もう少し誠実になればよいのではないか?だぁ。いつも誠実だろうが俺は。
「・・お前のは誠実でなく、欲望に忠実なのが正解なのではないか?」
シキはこの通り、言葉も選ばない。
言葉を包むって事をしないので、辛辣で誤解されやすい。
言い分を聞いてりゃ、至極真っ当な事しか言っていないが、後ろ暗い奴らには、それが嫌みに聞こえるらしい。
阿保らしい、何処にでも捻くれ野郎はいるもんだ。
あいつは、人に厳しいが自分にも厳しい、清廉潔白な騎士のお手本みたいなやつだ、俺みたいなチャランポランなお気楽騎士とは違う。
でも、シキはそんな俺に一方的に意見を押し付けたり、卑下したりしない。
裏表がなく付き合いやすく、俺は割と気にいっている。
もう少し要領良く振舞えば苦労も無かろうにと思うので、軽い俺といると半々で釣り合いが取れて、ちょうどいい様だ。
俺たちは実力で勝ち抜き『黒』の夜空様の護衛に選ばれた。
なのに、その小さいからって理由はどうなんですか?団長。
さすがの俺でも凹みますわ。
夜空様は、御貴族様の様に偉ぶったりしない、素直で可愛らしい方だ。
『翠』の溺愛っぷりには流石の俺もドン引きだが、うん夜空様ならそれも仕方ないなと納得。
どーも危なっかしいんだよねー。
見た目小動物だし、行動も小動物だし。
ちょろちょろ、きょろきょろ、くるくる
・・なんだこの可愛い生き物。
これで18歳。
しかも賢者様なんだから、驚きだ。
城内に『夜空様を愛でる会』とか、『夜空様を見守る会』とか、いろんな派閥が出来てるの気が付いてないだろうな。
作る御菓子も絶品で、夜空様が帰った後他のやつらに取られない様に死守するのがほんとに大変。
どうして俺の分だけ狙いやがるんだか。
シキも同じ物持ってるつーの。
はぁ?怖いだぁ?
ふざけんな、同じ団員だろうが、気概みせやがれ!
シキも無表情ながら夜空様の事を気に入ってる様だ。
二人してすっかり餌付けされちまった。
あんな小さいのに、団長を軽く投げ飛ばしたり、おっとりしてるのに、俺らより気配を感じるのが鋭いとか、隠し玉が多くてビックリする。
悪戯が見つかった様に楽しそうに、ふふふっと笑う。
いや、これ以上可愛いを振り撒いたらいかんよ夜空様。
さて、今日も夜空様が来城する日だ。
今日の『蒼』様お仕立て衣装はどんなだろう。
まぁ、そこいらの鼻持ちならぬ貴族令嬢どもの何百倍も可愛いのは、確実なんだがな。
シルバーグレーの髪がキラキラ光っていて随分小奇麗で、どっかの貴族のご令息かと思っていた。
試験枠が俺と同じで平民出だとわかって驚いて、実は女だってわかって、二度驚いたのは、まぁ本人にも秘密な。
シキはシキで、こんな小さな猫が大丈夫なんだろうか?と思っていたそうだ。
今では頭一つ追い越した俺だが、入団試験時には、シキより小さいし、力もなかった。
試験の時は、機敏性と機転が利く所で勝負をかけた。落ちる気なんか、これっぽっちも無かったね。
泥臭かろうが勝ちは勝ちだ。
シキは、涼しい顔で、当然の様に剣で勝ち抜きやがった。
あいつは、表情筋が死んだかの様に、常に無表情で冷静だ。
まぁ美人っちゃあ、美人だが、同性の女からの支持ばっかりだけど、お前それでいいのか?
ちょっとこっちに回してくんない?と切実に思う今日この頃。
もう少し誠実になればよいのではないか?だぁ。いつも誠実だろうが俺は。
「・・お前のは誠実でなく、欲望に忠実なのが正解なのではないか?」
シキはこの通り、言葉も選ばない。
言葉を包むって事をしないので、辛辣で誤解されやすい。
言い分を聞いてりゃ、至極真っ当な事しか言っていないが、後ろ暗い奴らには、それが嫌みに聞こえるらしい。
阿保らしい、何処にでも捻くれ野郎はいるもんだ。
あいつは、人に厳しいが自分にも厳しい、清廉潔白な騎士のお手本みたいなやつだ、俺みたいなチャランポランなお気楽騎士とは違う。
でも、シキはそんな俺に一方的に意見を押し付けたり、卑下したりしない。
裏表がなく付き合いやすく、俺は割と気にいっている。
もう少し要領良く振舞えば苦労も無かろうにと思うので、軽い俺といると半々で釣り合いが取れて、ちょうどいい様だ。
俺たちは実力で勝ち抜き『黒』の夜空様の護衛に選ばれた。
なのに、その小さいからって理由はどうなんですか?団長。
さすがの俺でも凹みますわ。
夜空様は、御貴族様の様に偉ぶったりしない、素直で可愛らしい方だ。
『翠』の溺愛っぷりには流石の俺もドン引きだが、うん夜空様ならそれも仕方ないなと納得。
どーも危なっかしいんだよねー。
見た目小動物だし、行動も小動物だし。
ちょろちょろ、きょろきょろ、くるくる
・・なんだこの可愛い生き物。
これで18歳。
しかも賢者様なんだから、驚きだ。
城内に『夜空様を愛でる会』とか、『夜空様を見守る会』とか、いろんな派閥が出来てるの気が付いてないだろうな。
作る御菓子も絶品で、夜空様が帰った後他のやつらに取られない様に死守するのがほんとに大変。
どうして俺の分だけ狙いやがるんだか。
シキも同じ物持ってるつーの。
はぁ?怖いだぁ?
ふざけんな、同じ団員だろうが、気概みせやがれ!
シキも無表情ながら夜空様の事を気に入ってる様だ。
二人してすっかり餌付けされちまった。
あんな小さいのに、団長を軽く投げ飛ばしたり、おっとりしてるのに、俺らより気配を感じるのが鋭いとか、隠し玉が多くてビックリする。
悪戯が見つかった様に楽しそうに、ふふふっと笑う。
いや、これ以上可愛いを振り撒いたらいかんよ夜空様。
さて、今日も夜空様が来城する日だ。
今日の『蒼』様お仕立て衣装はどんなだろう。
まぁ、そこいらの鼻持ちならぬ貴族令嬢どもの何百倍も可愛いのは、確実なんだがな。
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