31 / 47
黒喰いなの?
しおりを挟む
シーアの資料の中から、随分と古い詩かな?が一枚でてきた。
縁取りが、古い破魔の図柄だね、ロベリアに習ったから覚えてるよ。
破魔や邪気払いの図柄が幾重にも描かれてるね、そんなに物騒な物なの?
ん-と・・。
地を穢し
空を穢し
水を穢し
親を喰らい
友を喰らい
兄弟を喰らい
かの者の進むは永久の闇
かの者を見る事を拒め
かの者の声を聴くことを拒め
かの者を語る事を拒め
忌避すべきは羨慕(せんぼ)の想い
妬(ねた)むなかれ
嫉(そね)むなかれ
僻(ひが)むなかれ
忌わみの黒は洞にて微睡む
かの者を揺り起こすなかれ
うわぁ・・親を喰いって、同族食い?・・これ『黒喰い』の事かいてる?
微睡むって、寝てるって意味だよね。
まさか・・『黒喰い』って生きてるの?
穢れるって書いてあるし、黒いスライムと関係あるのかな?
どうしよう、言ったほうがいい?
じっと眺めて考えてるうちに、お開きの時間になってしまった。
「本日は大変有意義な時間でした。ではこの続きはまた明日。」
シーアの皆さんが図書館から退出していった。
「「「「はぁーーー。」」」」
扉が閉まった途端、皆が一斉に深く長い息を吐いた。
侍従さん達はテキパキとお茶とお菓子を並べていく。
気持ちの落ち着くハーブティーですか、お菓子も甘味強めですね。
侍従さん、お心遣いありがとう。
「どうなんじゃあれは?」
魔導士長が髭を撫でながら、気の毒そうに僕を見る。
「シーアの『黒』様欲しさの狂言か?だとしたらあまりにもお粗末だぞ。」
腕組みの騎士団長。
「いやぁーあれ本気でしょう。」
苦笑いのヒガさん。
はい、居残り会議が始まりました。
強制参加ですからね!
皆さん忌憚なきご意見をお願いします。
「僕男ですけど・・。」
「それは問題ありません。夜空様は『黒』の賢者。この場合、ケネス殿が入り婿になるのが正解でしょうねぇ。ロベリア様が義父ですか・・・黒のスライムより難題な気がしてきましたよ・・。王にどう報告すればいいのやら・・。」
苦虫噛み潰した様な顔の宰相さん。
問題ない・・そうですか・・・。
宰相さん、入り婿って・・僕がお嫁さんなのは決定なの?
貴族なら、家同士の政略結婚で本人の気持ちとか関係なくて婚約が決まるんだろうけど、僕はそんなの嫌だな・・。
「夜空様のお気持ちはどうなんです?」
安定の無表情シキさん。
「えっ?わっ、わかんないです・・。好きだって言ってもらえるのは、そりゃ嬉しいけど。初対面でどんな人かも知らないし・・えっと・・。」
恥ずかしくて赤くなる頬を両手で抑え、もじもじ、もにょもにょしてたら、皆机にうつ伏せになっちゃった。
護衛の皆さんも、図書館職員さんも膝から崩れ落ちてるし。
「え?何で?どうしたの?」
どうしたの?じゃないよ!
尊くて直視できません夜空様。
こんなぽやぽやした可愛い生き物どーすんの、喰われない?
いつもより可愛さが倍増してるけど自覚がないのか?
ほほ、愛いのぉ。
これを、このまま野に放ってはまずいだろう。
他国の者が、『翠』の脅威に怯まず求婚したとなれば、我が国でも堰を切ったように、求婚者が溢れかえる事態は必至!
あぁまた仕事が増える・・。
夜空様の身辺警護のレベルを引き上げなければ!
俺も嫁に欲しい・・。
宰相以下、飛び交う思いは様々なのだが、何故か目線を合わせうなずき合う。
「恐れながら夜空様。発言をお許し下さい。」
唯一崩れ落ちなかった侍従さん。
「そのままのお気持ちをケネス様にお伝えすればよろしいかと・・。ケネス様は実直で誠実な方とお見受け致します。夜空様のお気持ちを決して無下になさらないと思いますよ。」
・・本日3本目の冷たいお絞り。
侍従さん・・渡される毎にどんどん冷たさが増してるのは気の所為じゃないよね、ありがとう・・。
縁取りが、古い破魔の図柄だね、ロベリアに習ったから覚えてるよ。
破魔や邪気払いの図柄が幾重にも描かれてるね、そんなに物騒な物なの?
ん-と・・。
地を穢し
空を穢し
水を穢し
親を喰らい
友を喰らい
兄弟を喰らい
かの者の進むは永久の闇
かの者を見る事を拒め
かの者の声を聴くことを拒め
かの者を語る事を拒め
忌避すべきは羨慕(せんぼ)の想い
妬(ねた)むなかれ
嫉(そね)むなかれ
僻(ひが)むなかれ
忌わみの黒は洞にて微睡む
かの者を揺り起こすなかれ
うわぁ・・親を喰いって、同族食い?・・これ『黒喰い』の事かいてる?
微睡むって、寝てるって意味だよね。
まさか・・『黒喰い』って生きてるの?
穢れるって書いてあるし、黒いスライムと関係あるのかな?
どうしよう、言ったほうがいい?
じっと眺めて考えてるうちに、お開きの時間になってしまった。
「本日は大変有意義な時間でした。ではこの続きはまた明日。」
シーアの皆さんが図書館から退出していった。
「「「「はぁーーー。」」」」
扉が閉まった途端、皆が一斉に深く長い息を吐いた。
侍従さん達はテキパキとお茶とお菓子を並べていく。
気持ちの落ち着くハーブティーですか、お菓子も甘味強めですね。
侍従さん、お心遣いありがとう。
「どうなんじゃあれは?」
魔導士長が髭を撫でながら、気の毒そうに僕を見る。
「シーアの『黒』様欲しさの狂言か?だとしたらあまりにもお粗末だぞ。」
腕組みの騎士団長。
「いやぁーあれ本気でしょう。」
苦笑いのヒガさん。
はい、居残り会議が始まりました。
強制参加ですからね!
皆さん忌憚なきご意見をお願いします。
「僕男ですけど・・。」
「それは問題ありません。夜空様は『黒』の賢者。この場合、ケネス殿が入り婿になるのが正解でしょうねぇ。ロベリア様が義父ですか・・・黒のスライムより難題な気がしてきましたよ・・。王にどう報告すればいいのやら・・。」
苦虫噛み潰した様な顔の宰相さん。
問題ない・・そうですか・・・。
宰相さん、入り婿って・・僕がお嫁さんなのは決定なの?
貴族なら、家同士の政略結婚で本人の気持ちとか関係なくて婚約が決まるんだろうけど、僕はそんなの嫌だな・・。
「夜空様のお気持ちはどうなんです?」
安定の無表情シキさん。
「えっ?わっ、わかんないです・・。好きだって言ってもらえるのは、そりゃ嬉しいけど。初対面でどんな人かも知らないし・・えっと・・。」
恥ずかしくて赤くなる頬を両手で抑え、もじもじ、もにょもにょしてたら、皆机にうつ伏せになっちゃった。
護衛の皆さんも、図書館職員さんも膝から崩れ落ちてるし。
「え?何で?どうしたの?」
どうしたの?じゃないよ!
尊くて直視できません夜空様。
こんなぽやぽやした可愛い生き物どーすんの、喰われない?
いつもより可愛さが倍増してるけど自覚がないのか?
ほほ、愛いのぉ。
これを、このまま野に放ってはまずいだろう。
他国の者が、『翠』の脅威に怯まず求婚したとなれば、我が国でも堰を切ったように、求婚者が溢れかえる事態は必至!
あぁまた仕事が増える・・。
夜空様の身辺警護のレベルを引き上げなければ!
俺も嫁に欲しい・・。
宰相以下、飛び交う思いは様々なのだが、何故か目線を合わせうなずき合う。
「恐れながら夜空様。発言をお許し下さい。」
唯一崩れ落ちなかった侍従さん。
「そのままのお気持ちをケネス様にお伝えすればよろしいかと・・。ケネス様は実直で誠実な方とお見受け致します。夜空様のお気持ちを決して無下になさらないと思いますよ。」
・・本日3本目の冷たいお絞り。
侍従さん・・渡される毎にどんどん冷たさが増してるのは気の所為じゃないよね、ありがとう・・。
10
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
ポンコツ天使が王女の代わりに結婚したら溺愛されてしまいました
永江寧々
恋愛
フローリアの仕事は天使として恋人や夫婦、赤ん坊に神の祝福を届けること。
結婚式の鐘の音、赤ん坊の喜ぶ声、幸せそうな両親の笑顔。
フローリアにとって天使は生まれながらにして天職であり、誇りでもあった。
同じ顔、同じ性格、同じ意思を持つ天使たちの中で顔も意思も別物を持って生まれた異端者であるフローリア。
物覚えが悪く、物忘れが激しいマイペースさは天使の中でもトップで、所謂【出来損ない】のレッテルを貼られていた。
天使長アーウィンの頭痛の種であるフローリアも一人前と認められれば神から直々に仕事を任されるのだが、成績が最下位であるフローリアはなかなかその機会が巡ってこない。
神から直々に受ける仕事は【神にその努力を認められた者の願いを一つ叶えに行く】こと。
天使にとって最大の名誉ともなる仕事。
成績最下位の出来損ないであるフローリアが受けられるはずもない仕事だが、神の気まぐれによって直々に与えられることとなった。
フローリアが任された相手はとある国の王女様。
願い事は【私の代わりに王女になって】
天使に拒否権はない。
これは神が人間に与える最大の褒美。どんな内容でも叶えなければならない。
戸惑いながらも叶えることになったフローリアは願いと引き換えに天使の証明であり誇りでもある羽根を失った。
目を覚まし、駆け込んできた男女が『お父様とお母様よ』と言う。
フローリアはいつの間にか王女クローディア・ベルの妹、フローリア・ベルとなっていた。
羽根も天使の力も失ったフローリアは人間として生きることを決意するが、クローディアの代わりに受けた縁談で会った美しい王子は顔を合わせた直後「結婚してください」と膝をつき——
恋心を持たない天使が王子から受ける過剰ともいえる愛情で少しずつ変わり始めていく。
溺愛主義な王子とポンコツな元天使の恋愛物語。
※改筆中
キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています
平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。
生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。
絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。
しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?
虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜
ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」
あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。
「セレス様、行きましょう」
「ありがとう、リリ」
私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。
ある日精霊たちはいった。
「あの方が迎えに来る」
カクヨム/なろう様でも連載させていただいております
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる