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閑話 ラダの楽しみ
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ある日久しく音信の無かったロベリアから、養子をもらったと知らせを受けた。
あのロベリアが養子?
穏やかそうな見た目に反し、かなり偏屈で扱い難いあのロベリアが?
その知らせを受けた時、何かの冗談かと思った。
しかしこの手紙の厚さはなんだ?
ロベリアの手紙は、下手をすると数行で終わる事もざらだ。
必要最低限な言葉で綴られた、情緒もへったくれもない実用一点張りが、常なのに。
読み進めると、書いてる内容がそもそもおかしい。
息子の名前は夜空。狼の子か。
山奥で拾って・・拾ったのかロベリアよ。
異界育ち、双黒で、17なのに10くらいにしか見えない可愛さで、完全獣化でき、無詠唱で魔法を・・。
いやいや、待て待て。どうなんだこれはおかしな事だらけだぞ・・。
後半は、自分色の念話機能を付与したイヤーカフの作成と衣装の装飾依頼。
装飾の構想は、是非とも息子を見てから相談したい頼む、と熱烈に書いてある。
ねぐらから出て来いって事か・・。
ついでとばかりにクリアゼの末の姫への献上品の依頼も記されてあった。
うんロベリアだな、間違いない。
重い腰をあげ、ロべリアの待つクリアゼの領地に闇夜に紛れて飛ぶ。
ここに閉じ籠ってもう何年だ?出掛けるの、いつぶりだろう?
・・人の事は言えない様だ。傍から見れば私も引き籠りの偏屈者だな。
「初めてまして。夜空です。」
小さい!可愛い!ついでに声も可愛い!艶やかな見事な双黒!真珠色のきめ細やかな肌!可愛い!
疑って悪かったロベリア。
手紙のまんまだった。
という事は、完全獣化も真か、是非とも見たい!
獣化した黒狼の見事な事!
モフモフが、モフモフが・・このモフモフが手放せる訳がない。
夜空の毛並みを堪能するあまり、ロベリアに本気で怒られる羽目になった。
この子の為の『黒』の装飾か。これは久しぶりに腕がなる仕事だ。
完成した美しい星々を纏った『黒』の衣装は、ロベリア共々満足の行くものになった。
夜空の可愛さが引き立っている。
あぁ、どんどん新しい衣装の構想が浮かんでくる。楽しい、嬉しい、凝り固まった心が解れていくようだ。
夜空の後見に名乗りをあげ、ロベリアの勧めもあり、前の住まいを引き払い同居する運びなった。
夜空は、異界の色んな食べ物を試行錯誤し再現しては振舞ってくれる。
成人した龍種はそう食べなくても支障はないのだが、異界の料理は魅力的だ。
食べ物に手間を惜しまない事、味の追求を求める事は、国民性なのだそうだ。
随分と食道楽な気質だ。
それだけ元の世界は、豊な所だったのだろう。
何時ぞやは、何やら道具を並べ始めたと思ったら、こんな物を作るとは。
発想が豊かというか、突飛というか。
オルゴウル、こんな物見た事もない。
屑魔石も砕けば十分装飾に使える事が分かって、可能性が広がる。
目から鱗が落ちるとはこの事だ。
今度衣装にも取り入れてみよう。
水を注いだだけのコップで音楽を奏でる事も、自分が幼子に戻ったようで楽しかった。
ある日、衣装の刺繍に数日徹夜した事が露見し、夜空から御叱りをうけた。
ふふ、龍種に説教なんて出来るのは君ぐらいだよ夜空。
ロベリアの付与した防御陣が過剰すぎると正座で説教されている姿を見た時は、本気で笑い声がでそうになった。
不味い不味い、ブレスがでる。
危なかった。
永く生きていると、何事にも心が動かなくなり疲弊していく。
私はこの能力の所為で、関わり合いを極力裁ち、隠遁生活を長く送っていたので、その傾向が顕著だった。
しかし夜空に会ってから、すっかりそんな気鬱も消えてしまった。
今度は何を始めるのだろう?
本当にワクワクして目が離せない。
私の楽しみはまだまだ続きそうだ。
あのロベリアが養子?
穏やかそうな見た目に反し、かなり偏屈で扱い難いあのロベリアが?
その知らせを受けた時、何かの冗談かと思った。
しかしこの手紙の厚さはなんだ?
ロベリアの手紙は、下手をすると数行で終わる事もざらだ。
必要最低限な言葉で綴られた、情緒もへったくれもない実用一点張りが、常なのに。
読み進めると、書いてる内容がそもそもおかしい。
息子の名前は夜空。狼の子か。
山奥で拾って・・拾ったのかロベリアよ。
異界育ち、双黒で、17なのに10くらいにしか見えない可愛さで、完全獣化でき、無詠唱で魔法を・・。
いやいや、待て待て。どうなんだこれはおかしな事だらけだぞ・・。
後半は、自分色の念話機能を付与したイヤーカフの作成と衣装の装飾依頼。
装飾の構想は、是非とも息子を見てから相談したい頼む、と熱烈に書いてある。
ねぐらから出て来いって事か・・。
ついでとばかりにクリアゼの末の姫への献上品の依頼も記されてあった。
うんロベリアだな、間違いない。
重い腰をあげ、ロべリアの待つクリアゼの領地に闇夜に紛れて飛ぶ。
ここに閉じ籠ってもう何年だ?出掛けるの、いつぶりだろう?
・・人の事は言えない様だ。傍から見れば私も引き籠りの偏屈者だな。
「初めてまして。夜空です。」
小さい!可愛い!ついでに声も可愛い!艶やかな見事な双黒!真珠色のきめ細やかな肌!可愛い!
疑って悪かったロベリア。
手紙のまんまだった。
という事は、完全獣化も真か、是非とも見たい!
獣化した黒狼の見事な事!
モフモフが、モフモフが・・このモフモフが手放せる訳がない。
夜空の毛並みを堪能するあまり、ロベリアに本気で怒られる羽目になった。
この子の為の『黒』の装飾か。これは久しぶりに腕がなる仕事だ。
完成した美しい星々を纏った『黒』の衣装は、ロベリア共々満足の行くものになった。
夜空の可愛さが引き立っている。
あぁ、どんどん新しい衣装の構想が浮かんでくる。楽しい、嬉しい、凝り固まった心が解れていくようだ。
夜空の後見に名乗りをあげ、ロベリアの勧めもあり、前の住まいを引き払い同居する運びなった。
夜空は、異界の色んな食べ物を試行錯誤し再現しては振舞ってくれる。
成人した龍種はそう食べなくても支障はないのだが、異界の料理は魅力的だ。
食べ物に手間を惜しまない事、味の追求を求める事は、国民性なのだそうだ。
随分と食道楽な気質だ。
それだけ元の世界は、豊な所だったのだろう。
何時ぞやは、何やら道具を並べ始めたと思ったら、こんな物を作るとは。
発想が豊かというか、突飛というか。
オルゴウル、こんな物見た事もない。
屑魔石も砕けば十分装飾に使える事が分かって、可能性が広がる。
目から鱗が落ちるとはこの事だ。
今度衣装にも取り入れてみよう。
水を注いだだけのコップで音楽を奏でる事も、自分が幼子に戻ったようで楽しかった。
ある日、衣装の刺繍に数日徹夜した事が露見し、夜空から御叱りをうけた。
ふふ、龍種に説教なんて出来るのは君ぐらいだよ夜空。
ロベリアの付与した防御陣が過剰すぎると正座で説教されている姿を見た時は、本気で笑い声がでそうになった。
不味い不味い、ブレスがでる。
危なかった。
永く生きていると、何事にも心が動かなくなり疲弊していく。
私はこの能力の所為で、関わり合いを極力裁ち、隠遁生活を長く送っていたので、その傾向が顕著だった。
しかし夜空に会ってから、すっかりそんな気鬱も消えてしまった。
今度は何を始めるのだろう?
本当にワクワクして目が離せない。
私の楽しみはまだまだ続きそうだ。
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