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閑話 侍従のつぶやき
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『黒』の賢者が立つ。
城内、いえ諸外国にも、どれだけ激震が走った事か。
私あの日の事は一生忘れないでしょう。
『翠』が慈しみ『蒼』が抱いていたのは小さな双黒。
射干玉の様に光る御髪に、黒曜石の様な瞳、真珠色の不思議な肌、黒の衣装には星々が舞い、御名の通り『夜空』を切り取り具現化した御姿でした。
名乗りを上げた謁見に居合わせた仲間からの情報では、なんと17歳、既に成人されておられた。
城内の侍従情報網に夜空様に関するあらゆる事が集約され、共有事項として周知されていくのは、アッと言う間でした。
図書館にお見えになる時の、美しい衣装は、『蒼』様、自ら装飾を手掛けている一点物。
細工で名高い『蒼』様、流石です。
夜空様の良さを最大限に引き出されています。侍従一同その妥協を許さない仕事ぶりに、惜しみない称賛の拍手をお送りさせて頂きます。
ヒラヒラと蝶の様に広がる袖を振る夜空様のなんと愛らしい事か。
城内の皆の癒しとなっております。
ありがたいことです。
来城なさる度に、新しい衣装を身にまとい、その見た事もない斬新な御衣装と見事な装飾で、瞬く間に城内のファッショリーダーとなられましたが、夜空様はご自覚しておられません。
ご令嬢、ご令息の皆様から羨望の眼差しを向けられていますが、一向にお気づきになられない所も微笑ましいですね。
貴族の方々は、夜空様とどうにかお近づきになり、『蒼』様に衣装の依頼が出来ない物かとあれこれ画策しておられますが、はっきり言って無理でしょう。
私共の無駄な仕事が増えるだけなので、早々に諦めて頂きたいものです。
また、夜空様の真珠の肌は、女性陣の羨望の的です。
しっとりと極めが細かく、吸いつく様な肌触りとか・・。
流石に、私共はお体に触れる様な機会がありません。
これは、夜空様に投げ飛ばされた騎士達からの情報です。
何故、その様な事になったのでしょう?
ともあれ御手に触れる事が出来るなど、羨ましい限りです。
夜空様は、我々の様な下々この者にも、微笑を向けられ気さくにお声がけして下さいます。
好感度爆上がりです。
何処の誰とは申しませんが、夜空様の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいと、侍従一同の総意を得ています。
ある日の事、なんと我らの食堂に夜空様がいらっしゃいました。
夜空様は、食に興味がおありとの事で、無礼討ち覚悟でお誘いしてみた所、思いの他喜んで頂けたと。
でかしたお前は勇者だ。
まさか、夜空様と同じ空間でご一緒に食事が出来るとは、感無量です。
質素な食事は夜空様の御口に合うとは、とても思えません。
が、一切そんな素振りも見せず、食材や調理法など質問されながら、ニコニコと食事をされていらっしゃいました。
「ご馳走様でした。」
なんと有り難い御言葉でしょう。
料理長と食堂スタッフが感激のあまり、肩を抱き合い、むせび泣いている気持ちは痛いほどわかりますよ。
自ら作ったお菓子を振舞う事も多いとか。アイディーカ姫様付きの侍女ズが、そのお零れに預かる事もあるのを知っています。
羨ましくないと言えば嘘になります。
私共も夜空様のお菓子を振舞って頂ける日も近いでしょう。
我等が癒しの『黒』様。
侍従一同、真心を込め誠心誠意お仕え致します。
これからも、陰ながら見守り愛でる事だけは、どうかお許し下さいませ。
城内、いえ諸外国にも、どれだけ激震が走った事か。
私あの日の事は一生忘れないでしょう。
『翠』が慈しみ『蒼』が抱いていたのは小さな双黒。
射干玉の様に光る御髪に、黒曜石の様な瞳、真珠色の不思議な肌、黒の衣装には星々が舞い、御名の通り『夜空』を切り取り具現化した御姿でした。
名乗りを上げた謁見に居合わせた仲間からの情報では、なんと17歳、既に成人されておられた。
城内の侍従情報網に夜空様に関するあらゆる事が集約され、共有事項として周知されていくのは、アッと言う間でした。
図書館にお見えになる時の、美しい衣装は、『蒼』様、自ら装飾を手掛けている一点物。
細工で名高い『蒼』様、流石です。
夜空様の良さを最大限に引き出されています。侍従一同その妥協を許さない仕事ぶりに、惜しみない称賛の拍手をお送りさせて頂きます。
ヒラヒラと蝶の様に広がる袖を振る夜空様のなんと愛らしい事か。
城内の皆の癒しとなっております。
ありがたいことです。
来城なさる度に、新しい衣装を身にまとい、その見た事もない斬新な御衣装と見事な装飾で、瞬く間に城内のファッショリーダーとなられましたが、夜空様はご自覚しておられません。
ご令嬢、ご令息の皆様から羨望の眼差しを向けられていますが、一向にお気づきになられない所も微笑ましいですね。
貴族の方々は、夜空様とどうにかお近づきになり、『蒼』様に衣装の依頼が出来ない物かとあれこれ画策しておられますが、はっきり言って無理でしょう。
私共の無駄な仕事が増えるだけなので、早々に諦めて頂きたいものです。
また、夜空様の真珠の肌は、女性陣の羨望の的です。
しっとりと極めが細かく、吸いつく様な肌触りとか・・。
流石に、私共はお体に触れる様な機会がありません。
これは、夜空様に投げ飛ばされた騎士達からの情報です。
何故、その様な事になったのでしょう?
ともあれ御手に触れる事が出来るなど、羨ましい限りです。
夜空様は、我々の様な下々この者にも、微笑を向けられ気さくにお声がけして下さいます。
好感度爆上がりです。
何処の誰とは申しませんが、夜空様の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいと、侍従一同の総意を得ています。
ある日の事、なんと我らの食堂に夜空様がいらっしゃいました。
夜空様は、食に興味がおありとの事で、無礼討ち覚悟でお誘いしてみた所、思いの他喜んで頂けたと。
でかしたお前は勇者だ。
まさか、夜空様と同じ空間でご一緒に食事が出来るとは、感無量です。
質素な食事は夜空様の御口に合うとは、とても思えません。
が、一切そんな素振りも見せず、食材や調理法など質問されながら、ニコニコと食事をされていらっしゃいました。
「ご馳走様でした。」
なんと有り難い御言葉でしょう。
料理長と食堂スタッフが感激のあまり、肩を抱き合い、むせび泣いている気持ちは痛いほどわかりますよ。
自ら作ったお菓子を振舞う事も多いとか。アイディーカ姫様付きの侍女ズが、そのお零れに預かる事もあるのを知っています。
羨ましくないと言えば嘘になります。
私共も夜空様のお菓子を振舞って頂ける日も近いでしょう。
我等が癒しの『黒』様。
侍従一同、真心を込め誠心誠意お仕え致します。
これからも、陰ながら見守り愛でる事だけは、どうかお許し下さいませ。
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