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おじゃまします
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田中さんに手招きされるまま進めば、ふわりと膜を通る様な、不思議な抵抗感の後、苔むした大きな洞の中に立っていた。
ふかふかの苔に足を取られて歩き辛いけど、トランポリンみたいで楽しい。
これが祠の中か、機会があったらお山の祠にもお邪魔してみたい。
「適当な所にかけておくれ。客人を招くのも久しぶりじゃ。童が来るとわかっていたら菓子の一つでも用意しておいたんじゃがのう。」
カピバラさんが切なそうな表情が浮かべる。切なそうなカピバラ!なんてチャーミング!抱きしめたい!
「初めまして。『翠』の名を頂いておりますロベリアと息子の夜空と申します。お目にかかれ光栄です。」
あら、いつも不遜な態度のロベリアが自分から挨拶してる。
ここならベールをとっても大丈夫だよね。えーと、頭は下げないで・・ロベリアに倣い、胸に手を当てて挨拶をする。
「初めまして夜空です。」
うんうんと、挨拶が出来た事に保護者ズが温かい目で頷いている。
そこ!小さい子が良く出来ましたみたいに微笑ましく見ないで!
僕もうすぐ18だって忘れてないよね!
「これが古い馴染みの、水のサトナ=ウ=ウイデと、炎のゴート=ウ=カガリじゃ。サトゥとゴトゥと呼んで構わんぞい。」
「・・佐藤さんと後藤さん。」
どうして略しちゃうと、こうも日本人感漂う名前になるんだろう?
いや、僕としたら覚えやすくて大変助かるけど。
「むぅ、やっぱり坊の発音は何かちと違うのぉ。」田中さん苦笑い。
「ほう黒か行幸行幸。」
後藤さんが羽をパタパタ拍手する・・器用だ。
佐藤さんの頭の上から降りませんが、そこ定位置なんですか?
だめだ、このショット可愛すぎるよ。
僕は手土産の新作「抹茶カステラ」を
渡し、収納魔法で用意して来たお茶を
振舞った。
「おもたせとはすまんなぁ。」と、しきりに恐縮する佐藤さん達に癒された。
うん、ちゃぶ台も用意しておいて良かった。
「さて尋ねたいのはこの子ことじゃい。この子は翠の養子で、狼の子じゃ。そうじゃな17年程前に、この子の様な黒狼が村で生れたなぞ、お前達聞いた事はないかいの?」
田中さんもきゅもきゅ頬張りながら話のは、お行儀が悪いよ。ほらこぼしてる。
「いや聞いたことはないな。これだけ見事な黒なら、大騒ぎになったろうに。」
あっさり情報が潰えちゃった。
うん・・そんなに直ぐにわかるとは思ってなかったよ、うん大丈夫・・想定内。
「大昔は大勢おったがのう、粗方黒喰いに喰いつくされてしもうた。それからサッパリ見ない様になったな。この村に限らず、黒が生れたなんぞあれからとんと聞かんわ。」
「御伽話のあの『黒喰い』ですか?」
狼のおとぎ話にでてくる「悪戯ばかりする悪い子を連れていく」黒い怪物の事だって、なまはげみたいに『悪い子はいねぇかぁー』って脅すやつ、この世界にもあるんだね。
どの世界でも、子供の悪戯に手をやく親は共通かぁ。
そうだ、最近似た言葉聞いたばっかりだ。あれは『黒狂い』一文字違い。
「本当の『黒喰い』は、狼にとって禁忌なんじゃ。大昔の事で今ではすっかり形骸化してしもうて、おとぎ話にも出てきよる。古い狼でも覚えとるもんも、もうおらんかもしれんなぁ。」
「禁忌ですか?」
「そうじゃ『黒喰い』は狼喰い、同族喰いだからな。」
ふかふかの苔に足を取られて歩き辛いけど、トランポリンみたいで楽しい。
これが祠の中か、機会があったらお山の祠にもお邪魔してみたい。
「適当な所にかけておくれ。客人を招くのも久しぶりじゃ。童が来るとわかっていたら菓子の一つでも用意しておいたんじゃがのう。」
カピバラさんが切なそうな表情が浮かべる。切なそうなカピバラ!なんてチャーミング!抱きしめたい!
「初めまして。『翠』の名を頂いておりますロベリアと息子の夜空と申します。お目にかかれ光栄です。」
あら、いつも不遜な態度のロベリアが自分から挨拶してる。
ここならベールをとっても大丈夫だよね。えーと、頭は下げないで・・ロベリアに倣い、胸に手を当てて挨拶をする。
「初めまして夜空です。」
うんうんと、挨拶が出来た事に保護者ズが温かい目で頷いている。
そこ!小さい子が良く出来ましたみたいに微笑ましく見ないで!
僕もうすぐ18だって忘れてないよね!
「これが古い馴染みの、水のサトナ=ウ=ウイデと、炎のゴート=ウ=カガリじゃ。サトゥとゴトゥと呼んで構わんぞい。」
「・・佐藤さんと後藤さん。」
どうして略しちゃうと、こうも日本人感漂う名前になるんだろう?
いや、僕としたら覚えやすくて大変助かるけど。
「むぅ、やっぱり坊の発音は何かちと違うのぉ。」田中さん苦笑い。
「ほう黒か行幸行幸。」
後藤さんが羽をパタパタ拍手する・・器用だ。
佐藤さんの頭の上から降りませんが、そこ定位置なんですか?
だめだ、このショット可愛すぎるよ。
僕は手土産の新作「抹茶カステラ」を
渡し、収納魔法で用意して来たお茶を
振舞った。
「おもたせとはすまんなぁ。」と、しきりに恐縮する佐藤さん達に癒された。
うん、ちゃぶ台も用意しておいて良かった。
「さて尋ねたいのはこの子ことじゃい。この子は翠の養子で、狼の子じゃ。そうじゃな17年程前に、この子の様な黒狼が村で生れたなぞ、お前達聞いた事はないかいの?」
田中さんもきゅもきゅ頬張りながら話のは、お行儀が悪いよ。ほらこぼしてる。
「いや聞いたことはないな。これだけ見事な黒なら、大騒ぎになったろうに。」
あっさり情報が潰えちゃった。
うん・・そんなに直ぐにわかるとは思ってなかったよ、うん大丈夫・・想定内。
「大昔は大勢おったがのう、粗方黒喰いに喰いつくされてしもうた。それからサッパリ見ない様になったな。この村に限らず、黒が生れたなんぞあれからとんと聞かんわ。」
「御伽話のあの『黒喰い』ですか?」
狼のおとぎ話にでてくる「悪戯ばかりする悪い子を連れていく」黒い怪物の事だって、なまはげみたいに『悪い子はいねぇかぁー』って脅すやつ、この世界にもあるんだね。
どの世界でも、子供の悪戯に手をやく親は共通かぁ。
そうだ、最近似た言葉聞いたばっかりだ。あれは『黒狂い』一文字違い。
「本当の『黒喰い』は、狼にとって禁忌なんじゃ。大昔の事で今ではすっかり形骸化してしもうて、おとぎ話にも出てきよる。古い狼でも覚えとるもんも、もうおらんかもしれんなぁ。」
「禁忌ですか?」
「そうじゃ『黒喰い』は狼喰い、同族喰いだからな。」
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